MY HOME DREAM

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 夢の家を思い浮かべるとき、やはり隣にはアリオスを思い浮かべてしまう。

 これを図面に起こして、夏休みの課題に宛てようかな・・・。

 半分涙で顔をぐちゃぐちゃにしながら、アンジェリークは入力を始めた。
 建蔽率のことなども考えながら、慎重に入力していく。
 夢の家之子とを考えるだけで随分と心が晴れ上がった。

 家族が集うのはやっぱりLDK、書斎もいるよね、あっ、マスターベッドルームもいるし・・・、ふたりの子供の部屋、サニタリーも・・・。

 二階建ての、夢のある部屋が作られていく。
 このソフトは家具も任意の場所に設置が出来るのもうれしいところだ。

 この家に、先生と私が子供たちと住む。

 夢のまた夢かもしれないが、想像していると嬉しかった。

 こんな家で住めるといいな・・・。

 そう思うと温かな気分になる。
 だが現実を思えば切なくなってしまった。

 アリオス先生が私なんかを思って下さるわけがないのに・・・。
 さっきも重要書類をコーヒーで汚しちゃったし・・・。

 急にしゅんとなってしまう。
 今、ディスプレーの中には夢の世界が広がっているが、現実には実現しそうにはない。
 そう思うと、また涙が込み上げてきた。
 アリオスはきっと舌打ちをしながら書類を作成しているだろう。
 まだパースを汚さなかったのがせめてもの救いだ。

 ここでお茶持っていても同じことだもんね・・・。

 再びしゅんとしながら、アンジェリークはディスプレーを見つめ、家を完成させていった。


「おい、アンジェリーク、何か店屋物でも取るぞ?」
 仕事が一段落し、夕食に良い時間になったので、アリオスはアンジェリークに声を掛けた。
 四時まではパートの女性が事務をし、それ以降はアンジェリークがヘルプに入る、完全個人事務所になっているせいか、今も二人だけ。
 いつもふたりで夕飯を食べるのを、彼が楽しみにしているのを、アンジェリークは気付いてはいない。
 彼女の反応はなくて、ゆっくりと部屋の中に入るとマウス片手に眠っているアンジェリークの姿があった。
「寝ちまってるのか・・・。しょうがねえな?」
 苦笑いすると、ディスプレーにはアンジェリークが作り上げた夢の家が見えた。
 彼の脳裏に面接時に彼女が言っていた言葉が思い浮かぶ。

「今、建築の勉強をしています。素敵な人と結婚して、子供がふたりになったら、自ら設計して家を建てたいんです。ここは子供部屋、ここは二人の寝室・・・。そんな感じで!」

 あの一言でアンジェを採用しようと決めた。
 大学の建築科の優秀な学生たちも候補にあったが、それでもこいつが良かった。
 純粋で素直な気質だったから惹かれた。
 何もできなくても、こいつは俺を癒してくれる最高のパートナーだ・・・。
 こいつの夢は俺が叶える!
 誰にも邪魔させない。

 パソコンにあるデータを、手早くMOに落とし込む。
 彼は誰よりも優しい笑顔を向けると、アンジェリークを抱き上げ、休憩室にあるソファベッドに運んだ。

「んっ・・・」
 たっぷりと小一時間ほど眠った後、アンジェリークはようやく目を覚ました。
「起きたか? 夕飯が来てるから喰おうぜ?」
 いつものようにアリオスは言うと、テーブルを指差す。
 そこには、まだ手が付けられていない中華弁当がほんのり湯気をあげていた。
「食うぞ?」
「あ、はい」
 待っててくれたのが涙が出るほど嬉しかった。
 同時に、後ろめたさを感じてしまう。
「サボリ過ぎですね、私・・・」
「ほら、とっとと座って食え?」
「有り難うございます」
 ほんの少し気まずい感じがしたが、アンジェリークはアリオスと向かい側に座って、ぼそぼそと食べ始める。
「美味しい!」
「だろ?」
 堪らなく優しい彼の笑顔。それを見るだけで、アンジェリークは堪らなく嬉しかった。

 夕食が終わった後、アリオスがアンジェリークを家まで送り、何時もなら家に帰るのを、そのまま事務所に帰った。
 事務所にも十分泊まれる設備があり、今日は泊まるつもりだ。
 早速、コンピューターに映したものを元に、アリオスなりの技術を加えて、一枚の設計図として仕上げていく。
 それを本格的な建築用CGソフトで立体的に再現した。
 作業は深夜に及んだが、全く疲れはなかった。

 あいつの喜ぶ顔が見たい…

 ただそれだけを思って、アリオスは作業に励んだ--------


「こんにちは!」
「ああ」
 いつものようにアンジェリークは元気に挨拶をする。
 いつものように彼女はカバンを置きに休憩室に入った。
 机の上に図面とCGで立ち上げたボードが置いてあり、ついついアンジェリークは覗き込む。

 あれ…?

 何所かで見たことがある図面をもう一度覗き込む。
 そこにはこう書かれていた。
 アリオスとアンジェリークの家。

 先生…!!!!!

 喜ぶが全身を駆け巡り、身体が震えてくる。
 切なくて嬉しくて泣きたくなる。
 気配を感じ振り返ると、アリオスがいつものように憎らしいほどの素敵な笑顔で立っていた。
「アリオス先生・・・」
「おまえが昨日作った家をパースで起こしてみた。
 おまえの夢、俺になら叶えてやれる。
 -------いや、叶えさせてくれねえか?」
 アンジェリークは身体を震わせ、アリオスを見ている。
「-------先生!!!」
 アンジェリークは感極まって、感情を素直にアリオスにぶつけるためにその精悍な胸に飛び込んでいった。
「私の夢を叶えてください…っ!」
 その瞬間。
 強く抱きすくめられ、深いキスを与えられる。
 その力強さと温かさに溺れながら、彼女は幸せに震えた。
 キスは初めてだった。
 とても甘くてそして深い。
 強く甘く唇を吸い上げられ、舌先で散々口腔内を愛撫される。
 甘くて堪らない美酒のようだった。
「はあ…」
 ようやく唇を離されて、潤んだ瞳でアリオスを見上げる。
「------愛してるぜ?
 おまえが傍にいてくれるから、いつも頑張れる」
「私もあなたがいるから頑張れるの・・・」
 ぎゅっと抱き合って、2人は至福の思いを感じる。
「手ごろの土地を探して、その土地を元に2人で家を設計しような。
 ----それに…」
「それに?」
「こ作りも早速始めなきゃな?」
「きゃあっ!」
 甘い悲鳴をあげるのと同時に、アンジェリークはアリオスに抱き上げられた。
「先生…」
 恥かしそうにアンジェリークは精悍な胸に顔を埋めてしまう。
「さてと、今日はもう仕事はお開きだ…」
 そのままソファベッドに運ぶと、そこに彼女を寝かせ、自分もその上に身体を重ねる。
「愛してる…」
 アリオスは愛をこめてアンジェリークを愛しはじめた-----
 
コメント

今やってるゲームでついつい思いついてしまいました。
建築かもアリオスに似合いますよね〜




マエ   モドル