やっぱり言い過ぎたかな… アンジェリークは、ベッドの中に入っても、まだ昼間の喧嘩を反芻していた。 だって…。 アリオス、他の女性に花を贈るんだもん…。 信じてるし、愛してるけれど、ちゃんと言ってくれないと不安になっちゃう…。 考えながら、彼女は何度も寝返りを打つ。 だけど…、コレだけは言いたいの! アリオスのバカっ! 結局同じことばかりを何度も考えながら、眠れない夜を過ごすアンジェリークだった。 翌日、アンジェリークは、約束の地に姿をあらわしていた。 アリオスを刺激したくないというので、そっとである。 隠れるようにして行くと、そこにはもう彼がいて、アンジェリークが声をかける前に、声をかけてきた。 「よっ、アンジェ」 「ア、アリオス…」 アンジェリークは少し気まずくて、彼に顔を合わせられない。 俯いたままの彼女の手を、彼は取った。 「えっ!」 「行くぞ? 連れて行きたい場所があるからな!?」 「えっ! あ、アリオス〜!!」 ぐいっと掴まれたまま、彼は彼女を引っ張ってゆく。 それがアンジェリークには心地が良い。 あたりまえのようにしっかりと包んでくれる恋人のぬくもりは、とても喧嘩直後には思えない。 突然、彼は立ち止まると、アンジェリークに振り返る。 「んっ…」 軽く甘いキスをして、甘く囁く。 「大人しくしてろよ?」 彼は再び歩みを進める。 アンジェリークは、連れられるままに、太陽の公園近くの、重厚感のある屋敷の前に来ていた。 「ここは?」 「いいから逢えば判るぜ?」 アリオスは横にある呼び鈴を鳴らす。 「はい」 とても可愛らしい絵に描いたような品のある初老の女性が出てきて、アンジェリークは目を丸くした。 「アイリーン」 「アリオス、昨日は花を有難う」 二人の雰囲気はまるで親子のようで、軽く挨拶代わりの抱擁をした後、笑いあう。 この方が"アイリーン”さん…。 わたしったら…、とんだ誤解をしてたみたい… 「ハッピーバースデイ、アイリーン」 「有難う、アリオス」 アイリーンはにっこりと嬉しそうに笑うと、アンジェリークを優しい眼差しで見つめた。 「アリオス、この方ね? あなたが大事に思っている女性は…」 「ああ。この間言ってた、どうしようもない女だ」 アンジェリークは、わざと不機嫌そうな眼差しをアリオスに向けるが、彼はそれはジェスチャーと知っているから笑っているだけだ。 「さあ、二人ともなかに入って! ケーキを焼いたのよ!」 「ケーキ!」 その言葉に、アンジェリークは目を輝かせる。 「おまえだったら好きだと思うぜ? アイリーンのケーキは最高だからな」 「うん…」 何があっても手を離さない二人に、アイリーンは微笑ましいとばかりに目を細めて見つめる。 「さ、どうぞ!」 本当にお似合いだこと… 穏やかな午後だった。 アンジェリークはケーキを美味しいと言ってはぱくつき、アリオスの分まで平らげ、アイリーンとはケーキの話で大いに盛り上がった。 その二人の様子をアリオスは楽しげに見つめているのが印象的だった。 その優しい眼差しで愛しげにアンジェリークを見つめるアリオスに、アイリーンは心から嬉しく思う。 この少女を、アリオスはだれよりも大切に思っているのね… アリオスがふと時計を見ると、5時近くまでになっている。 「アンジェ、そろそろ」 「あ、うん…」 アリオスが咲きに立ち上がると、さりげなくアンジェリークの椅子を引いて、手を差し伸べてやって立ち上がらせる。 「あら、アリオス、優しいこと」 「うるせえ」 そんな彼に、アンジェリークはくすりと笑った。 そのまま二人の手は絡み合い、繋がれたまま。 しっかりと繋がれて、もう離れようがないように思える。 アイリーンは、二人を玄関先まで送り、見送る。 「アリオス、今日は有難う。アンジェリークさんにあわせてくれて有難う…。あなたにこんな素敵な恋人がいたなんてね?」 アンジェリークははにかんで俯き、アリオスの手を恥ずかしそうにぎゅっと握り締めた。 「こいつはあんたに紹介しておきたかったからな? ここでの親代わりのあんたに・・・」 「アリオス…」 アンジェリークは嬉しくて涙がこぼれそうになる。 昨日までの怒りは、もうどこかに行ってしまっている。 「今日は有難うございました!!」 深深と頭を下げる彼女に、アリオスは優しく見守っている。 「こちらこそまたきてくださいね?」 「はい! 喜んで!」 「またね?」 「はいご馳走様でした!」 笑顔で答えてくれる彼女に、アイリーンは何度も手を振って、見送った。 夕焼けが二人を優しく包み込む。 「アリオス…」 「何だ?」 「…今日は有難う…。凄く嬉しかった…」 心からの言葉を、少し照れくさそうにしながら、アンジェリークは呟く。 アリオスは僅かに口角を上げて笑うと、掠めるようなキスをした。 「…バカ…」 甘い彼のキスに、アンジェリークは頬を染める。 いつまでたっても初々しい彼女が可愛くて堪らない。 「アリオス…、昨日はごめんね…。あの…、私言いすぎたみたいで…」 今なら素直になれると、アンジェリークは上目遣いで、アリオスにしどろもどろに謝る。 少ししゅんとしている所をみるとしっかりと反省をしているらしい。 「キスしてくれたら許してやってもイイゼ?」 「え!?」 ニヤリと良くない微笑を浮かべられて、アンジェリークは耳まで真っ赤にする。 「…ここで?」 「そう、ここで」 きっぱりといわれて、アンジェリークは泣きそうになった。 だが、彼が一度行ったらきかない事を彼女は良く知っている。 「…判った・・・」 アンジェリークが震えながら背伸びをすれば、アリオスも背が届くようにと屈んでくれる。 ぎこちなくても、柔らかいものが唇に落ちてくる。 戸惑いがちの可愛いキスに、アリオスはぐいっとその細い腰を引き寄せた。 今度は彼が主導権を奪い、深いものを彼女に与える。 舌と唇で愛されて、彼女は僅かに震えた。 ようやく話されたときには、アンジェリークの大きな瞳は官能に濡れていた。 「アリオス…、きゃっ!」 そのまま抱き上げられて、アンジェリークは面を食らう。 「ねえ、恥ずかしいから下ろして!?」 「ダメだ。おまえが可愛いから抱きたくなっちまった。おまえの部屋に行くぜ?」 「あ・・・もう・・・」 アンジェリークは、恥ずかしさのあまり、とうとう、アリオスの広い胸に顔を埋めてしまった。 だが、心の中では、これ以上の仲直りの方法はないと思いながら…。 喧嘩しても結局は直ぐに仲直りできるのは、お互いに深く求め合っているから…。 そう感じる二人であった。 |
コメント
50000番を踏んでくださったKAZYーL 様のリクエストで、
「アリオスとアンジェが大喧嘩をした後、人がうらやむほど仲直りをする」です。
…スミマセン…。
上手く書けなくて申し訳ないです!!!!!
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