GET TOGETHER PARTV

 Stay With Me On All Christmas Days
PartV


「アンジェ!」
 アリオスは駆けているアンジェリークを手を延ばして掴まえた。
「アリオス・・・」
 彼は泣きながら振り向いた彼女をしっかりと抱き締めると、額にキスをした。
「俺とおまえが結婚するのに変わりがねえ。あいつらは、おまえが好きで堪らなくて、むしろ俺が相手なのが気にいらなくて、あんなことを言ったんだからな? そこは判ってやってくれ・・・」
 さらに彼女を暖かく包んで、アリオスは唇にキスをした。
「帰るぞ、みんなのところに」
「うん・・・」
 アリオスに手を引かれて、アンジェリークは子供のようにとぼとぼと歩いていく。
「アリオス、有り難う・・・」
 小さく呟かれた言葉に、アリオスは応える代わりに、ぎゅっと手を握り締め、微笑みを送った。
 家の前に来ると、兄弟たちが心配そうに玄関で待っていた。
「アンジェ!!!」
 誰もがほっとした様子で駆けてくる。
「皆さん・・・」
 誰もが彼女の姿を見て嬉しくもあった。そのかたわらにいるアリオスを、悔しいが彼女にとっては最も大切な者と認めざるを得ない。
 彼以外、アンジェリークを取り戻すことが出来なかったのだから。
「ただいま」
 アンジェリークは微笑んでそれだけを言うと、家に入っていく。
 ほんの少しだけ、兄弟たちはほっとした。


 その日の午後、アリオスに連れられて、アンジェリークは指輪を見にいった。
 アリオスの意見を元に選んだそれは、彼女の瞳と同じアクアマリンにダイヤがちりばめられたもの。
 結婚指輪も、彼女の希望通りにシンプルなものにし、二つのサイズ直しを頼んだ。
「アリオス・・・」
 アンジェリークは嬉しくて堪らなくて、アリオスに泣き付く。
 ここが宝石店だとか、そんなことはどうでも良かった。
「幸せにする」
「うん・・・。私もあなたを幸せにするわ・・・」
 二人はお互いを見つめ合い、手をしっかりと握り合う。
 そこには愛が溢れ、誰もが羨ましがった。

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 兄弟ぷらすわんたちは、アンジェリークの為に、一肌脱ごうとしていた。
 彼らの合い言葉は”アンジェリークの笑顔の為”-----
 どうせいずれは、彼女がアリオスの妻になるのは判っていた。
 それが少し早くなったのが悔しいだけ。
 オスカーを筆頭に、セイラン、ゼフェル、マルセル、レイチェルは、アンジェリークにとって最高のことをと、色々考えてみる
「やっぱり兄貴に相談するか」
 全員の意見をまとめて、オスカーは仕事をしているアリオスの元に向かった。
「兄貴、相談がある」


 その頃、アンジェリークは、会社に退職の手続きをしていた。
 アリオスが既に電話で話をしてくれており、アンジェリークは他の事務的手続きに追われている。
 アルウ゛ィース家からの契約満了は、会社にとっては損害だが、アンジェリークの性格の良さで、会社も認めてくれた。
「あなたは本当に有能なハウスキーパーだから、残念ですが、おめでたいことですからね」
「ありがとうございました、ディアさん」
 ディアの口添えで円満的にことを運べたこともあって、アンジェリークは彼女に深々と頭を下げた。
「幸せになってね?」
「有り難うございました。幸せになります」
 温かなディアのまなざしに見送られて、アンジェリークは会社を後にする。
 少し清々しい気分だった。


 マーケットで買い物をした後、アンジェリークは家に戻った。
 リビングに入ると、レイチェルとマルセルが密談しているようだ。
「ただいま」
 アンジェリークの顔を見るなり、彼らはさっと話すのを止めた。
「あ、おかえり〜」
 二人とも何か後ろ暗いことがあるかのように挨拶すると、こそこそとどこかに行ってしまう。
 少し寂しくなって、アンジェリークはキッチンに入っていった。

 みんな、急に冷たくなったな・・・。

 彼女は肩を落とすと、夕食作りに没頭した。


「ごちそうさん」
 食事を素早く終えて、真っ先にゼフェルが席を立った。
 その後を、レイチェル、セイラン、マルセルと続く。
 オスカーは仕事が遅くなるため食卓にはおらず、残ったのは、アリオスとアンジェリークだけだった。
 元気なく箸を置くアンジェリークが気になり、アリオスは食事一式を持って、彼女のとなりに座った。
「どうした?」
「・・・ん、みんな最近冷たいな・・・」
 本当に深刻に悩んでいる彼女を見て、アリオスは誰にも見せない穏やかなまなざしを彼女に送る。
「みんな、おまえが好きだ。じゃなきゃ、こんなに綺麗にメシは食わねえだろ?」
 ふと、彼らが食べた後を見ると、何も残ってはいなかった。
 それを見ると、アンジェリークはふっと笑う。
「そうね・・・」
「飯食ったら、コーヒー飲んでゆっくりしような?」
「うん」
 アンジェリークは少し気を取り直して、アリオスとの夕食を楽しんだ。

 夕食の片付けも済み、アリオスとアンジェリークは、コーヒーを片手に時間を楽しむ。
「アンジェ、婚約指輪が出来てきた。左手を出してみろ?」
 アリオスは、目の前にベルベットの箱を差し出し、アンジェリークに開けて見せた。
「うん」
 アンジェリークも畏まり、少し緊張しながら、左手をそっと差し出し、潤んだ瞳で彼を捕える。
「サンキュ」
 静かに言うと、アリオスは厳かに、彼女の細い指に指輪を填た。
 その瞬間、アンジェリークは胸の奥底から喜びで満たされる。
「アリオス・・・」
 涙が溢れて止まらない。
 その涙は宝石よりも美しく光っている。
「感激するのはまだ早いぜ?」
 甘く囁くと、アリオスはアンジェリークを抱き上げ、ベッドへと連れていった----
 彼女を深く愛するために。

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 クリスマスの日がやってきた。
 今日はアリオス以外は全員出掛けてしまうと言うことで、凝ったものは作らないことになった。
 アンジェリークにはそれが寂しくて堪らない。
昼食と夕食の買い物から帰ってきたとき、彼女をレイチェルが待ち構えていた。
「アンジェ、冷蔵庫に食材入れたらサ、私とエルンストについてきてくれない?」
「いいけど? 昼ごはんは?」
「みんないらないって言ってるから、早く」
 レイチェルに強引に押されて、アンジェリークは、車へと連れていかれる。
「どこに行くの?」
「ナイショ!」
 楽しそうに言うレイチェルを怪訝に思いながら、アンジェリークは車へと乗せられた。


 車は、古びた教会の前で止まり、アンジェリークは、その横の館に連れていかれた。
「願いします!!」
「はい!」
 そこには既に美容師がスタンバイしており、アンジェリークは美容師にまずは、顔のマッサージからされ始めた。
「レイチェル!?」
 戸惑うアンジェリークに、レイチェルは微笑むばかり。
「ほら綺麗にしてっ貰ってきてね!」
 アンジェリークは処置室に消え、フェイスエステ、ヘアセット、メイクと施されていく。
 戸惑いながらも、アンジェリークはそれを受けた。
 そして、化粧が完全に終わった所で、ウエディングドレスが登場し、アンジェリークは息を呑む。
「ドレス…」
 純白のそれは、アンジェリークに良く似合う清楚なもので、白い薔薇があしらわれている。
「私たちからのプレゼントだよ? 受け取ってね?」
 ウィンクしながら笑いかけてくれるレイチェルに、アンジェリークは次の言葉が見つからない。
「有難う…」
 ただそれだけを言って嬉しさの余り泣き崩れるアンジェリークに、レイチェルは苦笑いをしながら支えてやる。
「ほら、折角の花嫁さんが泣かないの? ね?」
「…うん…うん…」
 アンジェリークは、レイチェルに支えられながら、ウエディングドレスに袖を通した----

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「ホワイトクリスマスね? アンジェ」
「うん…。こんな素敵な日に、大好きな人のお嫁さんになれるなんて、凄く嬉しい…」
 雪が深々と降り始め、ロマンティックに演出している。
「時間よ?」
「うん…」
 教会のドアが厳かに開かれるのと同時に、パイプオルガンが鳴り響く。
 音にあわせて赤じゅうたんの先を進めば、拍手をしてくれる、オスカー、セイラン、ゼフェル、マルセル、そしてエルンストの姿が見える。
 さらに先に視線を向わせれば、そこには、アリオスがグレーの燕尾服姿で待ってくれている。
 もう、視界が涙で曇って見えない。
 アンジェリークは、アリオスに向って進み、彼の手を取った。
 アリオスに導かれて、彼女は祭壇へと向う。
 牧師が厳かに先制する。
「アリオス、あなたは病める時も、健やかなる時も、アンジェリークを妻とし、愛しぬくことを誓いますか?」
「誓う」
「アンジェリーク、あなたは病める時も、健やかなる時も、アリオスを夫とし、愛しぬくことを誓いますか?」
「誓います!」
 凛とした声が教会に響き渡る。
 二人は指輪の交換を行い、深い誓いの口付けを交しあった。

 みんな…どうも有り難う…。
 凄く嬉しい…。
 嬉しくて堪らない・・。
 素敵なクリスマスプレゼントをどうも有り難う-----

 アンジェリークは、このとても素敵な贈り物に、生きていた中で、一番の幸せを感じていた----
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 数ヵ月後。
 アンジェリークとアリオスの間に小さな命が芽生えた。
 結婚したとはいえ、相変わらず、アンジェリークを中心とした、アリオスVS兄弟たちのバトルは続いている。
 その上、子供が加われば、益々バトルは白熱しそうである。
 アリオスにとって、また悩みは尽きない-----

コメント

「GET TOGETHERV」です。
今回はクリスマスを絡めながらのお話です。
今回で二人は幸せになりました。
またリクエストがあれば子供を交えて(笑)
皆様のクリスマスが、素敵なものでありますように!