BODY AND SOUL

THE LAST CHAPTER


 呆然としているアンジェリークを、アリオスは包み込みながら囁く。
「アンジェ、終わったんだ・・・。この後の処理を考えよう」
「うん・・・」
 彼女はコクリと頷くと、彼に華奢な身体をさらに押しつけた。
「ここに通信機があるから、宮殿に連絡するわ」
「ああ」
 アリオスに見守られるように通信機を立ち上げ、アンジェリークは、女王にしか知り得ないパスワードを何回か押して、レイチェルにアクセスを試みる。
 しばらくして、画面が切り替わった。
「アンジェ!!!」
 出てくるなり、レイチェルは思い切りアンジェリークの名前を呼んだ。
「ようやく帰ってこれたの!!! 身体も見つかって、”ラ・ガ”も退治することができたの!!!」
 嬉しそうに頬を紅潮させるアンジェリークを、レイチェルは涙ぐんで見ている。
「よかった!!!」
 レイチェルは、そこで言葉を切り、アンジェリークの横にいる銀の髪の青年に視線を這わせた。
「アンジェ、隣の・・・」
 その瞬間、アンジェリークは照れくさそうな何とも言えない表情をする。
「身体を探すのを手伝ってくれたアリオスさん。
 ”ラ・ガ”を倒すのも助けてくれた
・・・その・・・私の大切な人・・・」
 真っ赤になった彼女に、レイチェルはぴんときた。
「おい、あんたが補佐官さまか、話は後だ。
 フェルディナントのおっさんが”ラ・ガ”に全てを吸い尽くされて、使いものにならなくなっちまってる。
 部下も含めての処理と、女王陛下を迎えにきてやってくれ」
 横にいる青年の適格な要求に、レイチェルは頷く。

 アンジェの身体を探し出して、”ラ・ガ”を倒したんだから、有能には違いないわね。

「判ったわ! すぐにでもそちらに行かせるわ」
「頼んだ」
「じゃあ、アンジェ、迎えに行くから!」
「うん」
 そこで通信が切れ、アンジェリークは、まるで名残惜しい夢かのように溜め息を一度吐く。
「良かったな? 補佐官殿が元気そうで?」
「うん・・・」ア
 ンジェリークは涙ぐみながら頷くと、アリオスに身体を預け、甘えた。
「ったく泣き虫だな、おまえは」
 苦笑いしながらも、アリオスはアンジェリークをしっかりと抱き寄せる。
「アリオス限定よ?」
 泣き笑いをするアンジェリークに、アリオスはそっと口づける。
「あなたなら、感情に素直になれるから」
「いつでも、泣く場所ぐらい貸してやるよ?」
「ありがと・・・」
 二人は、そこでふたりきりではないのに関わらず、いちゃついていた。
「ほんま〜ええもん見せてもろうたわ〜! ちゅーしてんで、ちゅー!!」
 チャーリーはドアの隙間から覗きながら、嬉しそうに笑ってる。
「ホント生キスたぜ」
 オスカーもとても嬉しそうで。
「おい、俺にも見せろよ!!」
「やめてください」
 ゼフェルはジャンプをして見ようとし、それをエルンストは嗜めている。
 とても明るい雰囲気がある。
「絵になるね。詞に出来そうだ」
 セイランも憎らしいほどの良い笑顔を二人に向けていた。

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 しばらくして、レイチェルが手配してくれた騎士団員たちがいっせいにやって来て、処理を始めた。
「女王陛下!」
 近衛騎士団長であるウ゛ィクトールが、走ってやってきてくれる。
「近衛騎士団長、ご苦労様でした」
「お話は、補佐官様から聞きました。皆さんが乗れるように、エア・カーを準備致しました。こちらへ」
 ウ゛ィクトールへの神々しい態度に、アリオスはアンジェリークが女王であることを感じずにはいられない。
「皆さん、宮殿に向かいましょう。そこにはレイチェルも待っているそうですから。
-----ね、エルンストさん」
 アンジェリークの念押しに、エルンストは真っ赤になってしまう。
「その補佐官とやらは、別嬪さんか?」
「ええ。とっともね!!」
 チャーリーの言葉に対するアンジェリークの満面の笑顔に、エルンストはさらに真っ赤になった。
「みっ皆さん! 油売ってないで、行きましょう!」
 エルンストの言葉に笑いながら、彼らはエア・カーに乗り込んだ。
「アンジェ!!!」

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 宮殿の車止めに着くと、レイチェルが嬉しそうに駆けてきた。
「レイチェル!!!」
 親友の顔を見ると、アンジェリークもまた駆け寄っていく。
 二人がしっかりと抱き合う様子を、アリオスたちは微笑ましく見ている。
「妬けるな?」
「まあな」
 オスカーとアリオスは穏やかに笑い合っているが、エルンストだけはかちかちだった。
「レイチェル、とても素晴らしい方々を紹介するわ?
 皆さん、私の身体を探すのを手伝ってくれて、”ラ・ガ”の消滅にてを貸してくれた方たち」
 レイチェルは頷くと、彼らに深々と礼をした。
「今回は、私たちの惑星のために手を貸して下さって有り難うございました」
「レイチェル、皆さんを紹介するわね? 銀の髪をしているのがアリオス・・・」
「アナタの大切な大切な人ね」
 レイチェルのツッコミに、アンジェリークが真っ赤になる。
 アンジェリークは、レイチェルに、一人一人を丁寧に紹介していった。
 -----そして。
 最後に、とっておきの人物を残しておいた。
「レイチェル、この方はエルンストさん。あなたと一緒で化学者のトレジャーハンター」
 この一言で、怜悧なレイチェルははっとした。
「まさか、あなたがあのエルンスト!?」
 「レイチェル・ハート博士!」
 二人は見つめ合ったまま、動こうとしない。
「これはあれだな」
「そうね?」
 アリオスとアンジェリークも嬉しそうに笑っている。
「皆さん、お疲れでしょう? お部屋で休憩を取られて下さいね? その後、内輪で夕食会をひらきましょう!」
 アンジェリークの計らいでメイドたちがやってきて、彼らをそれぞれの部屋へと案内した。
 残ったのは、エルンスト、アリオスとアンジェリークだけ。
「私たちも私の部屋へ・・・」
「ああ」
 二人は、レイチェルとエルンストを見守りつつも、しっかりと手をつなぎ、アンジェリークの部屋のに向かった。


 部屋にはいり、アリオスはやはり女王の部屋だと思う。
 天蓋つきのベッドは、必須アイテムと言ったところだろうか。
「…今夜から、一緒にこの部屋を使ってっていったら怒る?」
 はにかみながら言う彼女が、アリオスにはとても愛しい。
「怒らねえに決まってるだろ?」
「・・・んっ!」
 そのまま深い口付けを交わし、アンジェリークはアリオスにベッドへと押し倒されてしまった-----

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 晩餐は滞りなく行われた。
 アンジェリークは、アリオスに買ってもらったあの白いドレスを着、アリオスはグレーのタキシード姿だ。
「綺麗だぜ・・・?」
「うん、有難う・・・」
 涙ぐみながら彼に寄りかかるアンジェリークは、本当に可憐で美しい。
 それを支えるアリオス。
 二人はもう離れられないほどしっくりときている。
 誰もが判っていた。
 彼らの旅はここで終わるということを-----
「俺はおまえたちに言うことがある」
 食事の席でアリオスは改めて、仲間たちを見た。
「-----俺たちもな? ここで、解散式をしよう!」
 オスカーの提案に、ぜフェル、チャーリー、セイラン、そしてエルンストも頷いている。
「みんな・・・」
 アリオスが立ち上がると、他のメンバーたちも立ち上がり、テーブルの前に集まる。
 もちろん、アンジェリークも、レイチェルも。
 自然と円になり、全員がそれぞれの手を重ねて、集いあう。
「------宇宙と我々の未来のために!」
 アリオスの声で、全員の心が一つになる。
「解散!!!!」
 その瞬間、彼らの手はそれぞれに離れていった。
 仲間たちの楽しげな様子を見ながら、アンジェリークは少し切なく感じる。

 この旅を、私は永久に忘れない。
 この青春のひと時が、私の人生のなかで、宝物になるのは間違いない・・・

「アンジェ」
 旅よりも自分を選んでくれたアリオスが隣に立ってくれている。
「来い」
「・・・ん」
 手を取られて、言われるままに、アンジェリークはアリオスとともにバルコニーへと向かった。
 外に出ると、心地よい風が髪を撫でてくれている。
「おどらねえか?」
「うん!」
 嬉しそうに無邪気に笑うアンジェリークに、フッと笑うと、アリオスは手を差し伸べた。
「お手をどうぞ? 女王陛下?」
 くすりと笑って、アンジェリークはアリオスの手を取った
 二人は闇の中に溶け合うかのようにゆっくりゆっくりと踊り始める。
 愛のワルツを-----

 もう絶対に離さない・・・

 もう二度と離れないから・・・

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 オスカー…………惑星アルカディアの”炎竜騎士団”団長に就任し、活躍。
             現在、ホテルでおねえちゃんと豪遊中に石鹸に脚を取られて滑って転び、三ヶ月間の入             院生活中。
 ゼフェル…………惑星アルカディア、科学技術庁長官となり科学に礎を築く。
             相変わらずロボット開発に忙しい。
 チャーリー………惑星アルカディアで商売をはじめ大成功を収める。
            ただ値切るのが上手いせいで、仕入れ業者は泣いている。
 セイラン…………惑星アルカディアで詩歌芸術アカデミーを創設。
            今日もどこかにこもって、独自の芸術を紡ぎ出している。
 エルンスト………惑星アルカディア、科学研究院初代長官を務め、多くの実績を上げる。
            女王補佐官レイチェルと結婚し、今日もラブラブながら尻に敷かれている。
 アリオス…………めでたく、惑星アルカディアの女王アンジェリークと結婚し、その手腕を買われて、大公と            して辣腕を振るう。女王とはあいも変わらずラブラブで、子供は現在四人。夫妻は、宇宙の            記録に挑戦しているらしい・・・。


 これは誰も知らないフェアリーテール。
 遠い、遠い宇宙の出来事。

SFと私

ようやく、「アリ×アンSF」が完結いたしました。
はじめたのは、確か、夏コミ前。
今はいつでしょうか(笑)
元来私はSF映画が凄く好きで、何時も見ています。
今回はその興奮を少しでもSTORYに反映できたらと想い、書かせていただきました。
途中、申しわけないことに更新が停まってしまったりしましたが、
無事大団円を迎えることが出来ました。
ありがとうございました。
トモ様のメールから始まった物語。
トモ様本当に有難うございました。
またここまでつたない創作を辛抱強くお読みいただいた皆様。
本当に有難うございました。

2002年2月26日 21:52:22 tink