BODY AND SOUL

CHAPTER 1


 お願い・・・。誰か私を助けて・・・。
 お願い。

 白い翼を持った少女が祈っている。
 強く、はかなげに。
 その姿が余りにも美しく、清らかで、アリオスは思わず手を延ばそうとした。
 少女はその瞬間、ニコリと微笑むと、光と共に消えていった。

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 そこでアリオスはまた、目覚めた。
「また同じ夢かよ・・・」
 アリオスは乱れた髪をかきあげながら、上半身だけをベッドから起こす。
「目、覚めたの?」
 隣にいた艶やかな女が、彼を楽しそうに見つめた。
「ああ。みんなの所に戻る」
「そう」
 身軽にベッドから下り、ソファに脱ぎ捨ててあった自分の衣服を、アリオスは拾い上げると、それらを手早く着込み始める。
「出発、今日だったけ?」
「ああ」
 女は、身支度をするアリオスを眺めながら、淡々とつぶやく。
 彼女にも判っているのだ。
 彼にとって二人の関係はこの程度なのだと。
「大変ね? とレジャーハンター家業も」
「まあ、好きでやってるしな」
「そうね…」
 身支度を整える彼を見つめながら、女は笑うだけで何も訊かない。
 ”今度いつあえる”などとは。
「またな?」
 身支度を整えたアリオスは、女の頬に軽く口付ける。
「またね」
 ふたりはそこで笑顔で別れた。
 お互いに深入りしない関係と割り切っているから。
 仲間たちが待つ宿に向かいながら、アリオスは今朝見た夢のことを思い出していた。

 なぜ、最近頻繁にあんな夢を見る・・・

「また朝帰りですか…。アリオス」
 宿屋の前では、仲間一の常識人で、堅物のエルンストが待ち構えていた。
 その眼差しはどこか非難めいている。
「よ? エルちゃん、お仕事ご苦労さん」
 やはり、アリオスと同じように夜遊びに出ていたオスカーが、時を同じくして戻ってきた、
「全く、お二人とも遅いです!船に積み込む食料はチャーリーが値切りにいってくれています。船の様子はゼフェルが見にいってくれていますから、あなたがたはそのお手伝いをして下さい!!」
 二人は渋々頷き、チャーリーとゼフェルの応援に当たることとなった。

 あの人達なら、”私”を探し出してくれるかもしれない・・・。
 特にあの銀の髪の男性なら・・・。

 少女は、彼らのやり取りをじっと見ていた。
 確信を持ったまなざしを向け、彼らに希望を見出だす。

 きっと・・・。

少女は、彼らに気付かれないように、ゆっくりと後を付けた。
「遅いやん! アリオス、オスカー!!」
「遅せーよ! おっさん! もう準備は出来ちまってるぜ!」
 二人は、すっかり準備を整えており、少しご立腹だ。
「こいつはちっとも役に立たねえしよ!」
「何か言ったかい?」
 涼しげな顔をして出てきたのはセイラン。
 宇宙を彷徨う吟遊詩人の彼は、いつの間にか仲間になっていた、不思議な存在だ。
「さて、出発準備をしましょう。今回は長旅ですから」
 あくまで冷静なエルンストは、機会的に言い、仲間たちを促した。
 彼らは宇宙をまたに掛けて活躍する”トレジャーハンター”
 このような、個性的な面々がそろっているが、彼らのチームワークはとても素晴らしく、この微妙なコンビネーションゆえに、”宇宙一のトレジャーハンターチーム”と呼ばれさえしていた。
 それぞれに持ち場に付いて宇宙廷か今出発しようと言う時だった。
「ここに17、8の娘が来なかったか!?」
 血相を変えた男が、突然、船の中に乗り込んできた。
「そんな女の子は出星手続きを踏んじゃいません!」
 係員の制止を振り切り、男は船の中をくまなく探し始めた。
「・・・幽霊め! 出てこい!」
「何をなさるんですか!?」
 エルンストの制止を振り切って、男は船内を傍若無人に嗅ぎ回る。
「オスカー、おまえはあの男を取り押さえろ! 俺は船の中に不審者がいないか探す」
 アリオスの的確な判断に、オスカーも同意した。
 実行部隊の二人が俊敏に動き始める。
 アリオスは地下に降り、まずはキッチンから探り始める。
「美人だったら、大歓迎だけどな?」
 パラライザーを片手に、アリオスは神経を研ぎ澄ませる。
 ぴくり。
 背後に気配を感じ、彼は振り向いた。
「誰だ!?」
「良かった、気がついてくれて・・・」
 可愛らしい声が響き、冷蔵庫の影から、少女がひょっこりと姿を現した。
「おまえは・・・」
 少女の姿に、アリオスは少なからず驚く。栗色の髪、大きな青緑の瞳、愛らしい姿。
 それら全てが、夢に出てきた少女、そのもので。
「ずっと探していました・・・。”トレジャーハンター”アリオスさん」
 決意を含んだ、リンとした言葉に、アリオスは怪訝そうに目を細める。
「探してたって…、おまえいったい誰だ…!? 俺の夢に出てきた…」
 少女は深く頷く。
「あなたに協力を仰ぎたくて、私の意識をあなたの意識に何度も飛ばしました…」
 アリオスの表情は益々険しくなり、少女を見つめる。
「何でそんな手の込んだことをしたんだ? 最初からこうやって忍び込めばよかったんじゃねえか」
 彼の不機嫌さに、少女は少し怯えながら、潤んだ眼差しを探るように向けた。。
「それは…、あなたに気付いて欲しかったから…」
「なぜ!?」
「見つけたぞ!!」
 鋭い声がして、振り返るとそこに、先ほどの男が邪悪な雰囲気を漂わせて近づいてきた。
「----探したぞ!! アンジェリーク!!!」
 男は彼女に向ってパラライザーを向ける。
 それを見たアリオスが瞬時のうちにパラライザーと構えた時----
「私を護らないで!!!」
 少女は壮絶に叫ぶと、銃口に飛び込んでいった-----
 その瞬間。
 アリオスは驚愕の余り息を飲んだ-----  

コメント

アリXアンのSF開始です。
この物語を書くきっかけは、一通のメールでした。
トモ様がご覧になった、アリXアンの夢をメールに書いてくださり、それをもとにして創作をさせていただくことになりました。
快諾していただきましたトモ様。
本当に有難うございました。