お願い・・・。誰か私を助けて・・・。 お願い。 白い翼を持った少女が祈っている。 強く、はかなげに。 その姿が余りにも美しく、清らかで、アリオスは思わず手を延ばそうとした。 少女はその瞬間、ニコリと微笑むと、光と共に消えていった。 ----- そこでアリオスはまた、目覚めた。 「また同じ夢かよ・・・」 アリオスは乱れた髪をかきあげながら、上半身だけをベッドから起こす。 「目、覚めたの?」 隣にいた艶やかな女が、彼を楽しそうに見つめた。 「ああ。みんなの所に戻る」 「そう」 身軽にベッドから下り、ソファに脱ぎ捨ててあった自分の衣服を、アリオスは拾い上げると、それらを手早く着込み始める。 「出発、今日だったけ?」 「ああ」 女は、身支度をするアリオスを眺めながら、淡々とつぶやく。 彼女にも判っているのだ。 彼にとって二人の関係はこの程度なのだと。 「大変ね? とレジャーハンター家業も」 「まあ、好きでやってるしな」 「そうね…」 身支度を整える彼を見つめながら、女は笑うだけで何も訊かない。 ”今度いつあえる”などとは。 「またな?」 身支度を整えたアリオスは、女の頬に軽く口付ける。 「またね」 ふたりはそこで笑顔で別れた。 お互いに深入りしない関係と割り切っているから。 仲間たちが待つ宿に向かいながら、アリオスは今朝見た夢のことを思い出していた。 なぜ、最近頻繁にあんな夢を見る・・・ 「また朝帰りですか…。アリオス」 宿屋の前では、仲間一の常識人で、堅物のエルンストが待ち構えていた。 その眼差しはどこか非難めいている。 「よ? エルちゃん、お仕事ご苦労さん」 やはり、アリオスと同じように夜遊びに出ていたオスカーが、時を同じくして戻ってきた、 「全く、お二人とも遅いです!船に積み込む食料はチャーリーが値切りにいってくれています。船の様子はゼフェルが見にいってくれていますから、あなたがたはそのお手伝いをして下さい!!」 二人は渋々頷き、チャーリーとゼフェルの応援に当たることとなった。 あの人達なら、”私”を探し出してくれるかもしれない・・・。 特にあの銀の髪の男性なら・・・。 少女は、彼らのやり取りをじっと見ていた。 確信を持ったまなざしを向け、彼らに希望を見出だす。 きっと・・・。 少女は、彼らに気付かれないように、ゆっくりと後を付けた。 「遅いやん! アリオス、オスカー!!」 「遅せーよ! おっさん! もう準備は出来ちまってるぜ!」 二人は、すっかり準備を整えており、少しご立腹だ。 「こいつはちっとも役に立たねえしよ!」 「何か言ったかい?」 涼しげな顔をして出てきたのはセイラン。 宇宙を彷徨う吟遊詩人の彼は、いつの間にか仲間になっていた、不思議な存在だ。 「さて、出発準備をしましょう。今回は長旅ですから」 あくまで冷静なエルンストは、機会的に言い、仲間たちを促した。 彼らは宇宙をまたに掛けて活躍する”トレジャーハンター” このような、個性的な面々がそろっているが、彼らのチームワークはとても素晴らしく、この微妙なコンビネーションゆえに、”宇宙一のトレジャーハンターチーム”と呼ばれさえしていた。 それぞれに持ち場に付いて宇宙廷か今出発しようと言う時だった。 「ここに17、8の娘が来なかったか!?」 血相を変えた男が、突然、船の中に乗り込んできた。 「そんな女の子は出星手続きを踏んじゃいません!」 係員の制止を振り切り、男は船の中をくまなく探し始めた。 「・・・幽霊め! 出てこい!」 「何をなさるんですか!?」 エルンストの制止を振り切って、男は船内を傍若無人に嗅ぎ回る。 「オスカー、おまえはあの男を取り押さえろ! 俺は船の中に不審者がいないか探す」 アリオスの的確な判断に、オスカーも同意した。 実行部隊の二人が俊敏に動き始める。 アリオスは地下に降り、まずはキッチンから探り始める。 「美人だったら、大歓迎だけどな?」 パラライザーを片手に、アリオスは神経を研ぎ澄ませる。 ぴくり。 背後に気配を感じ、彼は振り向いた。 「誰だ!?」 「良かった、気がついてくれて・・・」 可愛らしい声が響き、冷蔵庫の影から、少女がひょっこりと姿を現した。 「おまえは・・・」 少女の姿に、アリオスは少なからず驚く。栗色の髪、大きな青緑の瞳、愛らしい姿。 それら全てが、夢に出てきた少女、そのもので。 「ずっと探していました・・・。”トレジャーハンター”アリオスさん」 決意を含んだ、リンとした言葉に、アリオスは怪訝そうに目を細める。 「探してたって…、おまえいったい誰だ…!? 俺の夢に出てきた…」 少女は深く頷く。 「あなたに協力を仰ぎたくて、私の意識をあなたの意識に何度も飛ばしました…」 アリオスの表情は益々険しくなり、少女を見つめる。 「何でそんな手の込んだことをしたんだ? 最初からこうやって忍び込めばよかったんじゃねえか」 彼の不機嫌さに、少女は少し怯えながら、潤んだ眼差しを探るように向けた。。 「それは…、あなたに気付いて欲しかったから…」 「なぜ!?」 「見つけたぞ!!」 鋭い声がして、振り返るとそこに、先ほどの男が邪悪な雰囲気を漂わせて近づいてきた。 「----探したぞ!! アンジェリーク!!!」 男は彼女に向ってパラライザーを向ける。 それを見たアリオスが瞬時のうちにパラライザーと構えた時---- 「私を護らないで!!!」 少女は壮絶に叫ぶと、銃口に飛び込んでいった----- その瞬間。 アリオスは驚愕の余り息を飲んだ----- |
コメント
アリXアンのSF開始です。
この物語を書くきっかけは、一通のメールでした。
トモ様がご覧になった、アリXアンの夢をメールに書いてくださり、それをもとにして創作をさせていただくことになりました。
快諾していただきましたトモ様。
本当に有難うございました。