BEAUTIFUL THAT WAY

LASTCHAPTER


 アルヴィース医院の朝は早い。
 正確には、長男の嫁であるアンジェリークの朝が早いのだ。
 今日も彼女は、洗濯をしながら、医院を軽く掃除機を掛けて、その後、兄弟全員の朝食作りにかかる。
 てきぱきと家事をこなす姿は堂に行っている。
「えっと、ミニかつはみんな好きだから入れてと…、レイチェルは美容に気を使ってるから繊維物をたくさん、アリオスとオスカーお兄ちゃんはバランス弁当、ゼフェルはお肉いっぱいで、マルセルは鳥のから揚げは嫌いだから入れない…で、アリオスのご飯ははあと」
 一気に、自分の分を含めたお弁当を六人分を作り上げている上に、微妙に全員のお弁当の内容が違うのだ。
「えっと、出来たと」
 手早くお弁当を包みに包んだ後は、今度は朝食の準備。
 これも彼女は手を抜かない。
 簡単な栄養たっぷりのサラダを作った後、全員分のパンを焼きながら、プレーンオムレツを作るのだ。
 そうしているうちに、ばたばたとみんなが起き始める。
 やはり最初はアリオスだ。
「おはよう、アンジェ」
「おはようアリオス」
「お、今日のサラダは…、と」
 手を出そうとして、彼はアンジェリークに手を出す。
「うん…っ!」
 深いおはようのキスをした後、彼女ははにかみながら呟く。
「手伝ってくれる?」
「ああ」
 出来上がった料理を、彼は両手にいっぱいダイニングのテーブルに運ぶ。
 最近、ふたりがあまりにもキッチンでいちゃいちゃするものだから、兄弟たちは早く起きてこなくなった。
 気を使っているのだ。


 前任が時間を見計らってダイニングにやってくる。
 最後にアンジェリークが席について、騒がしくも朝食が始まる。
「いただきます」
 アリオスの号令の元、全員が手を合わせていただきますをする。
 その後は…、又戦争である。
「あ〜、ゼフェルがぼくのサラダ取った!」
「だって、おまえが残してるからだろ?」
「美味しいものは最後にとっておくの〜」
 いつもの騒がしさに、アンジェリークはくすりと笑った。


 朝食が終わって、再び戦争だ。
 アンジェリークは食器を食器荒い乾燥機に入れて、スタートボタンを押して、テーブルなどを吹き、綺麗に片付けてから、エプロンを外す。
 その間にも、同じ学校組の、ゼフェル、レイチェル、マルセルの準備は整う。
「アンジェ、お姉ちゃん行くよ?」
「待って」
 レイチェルに声を掛けられて、アンジェリークはばたばたと玄関に向かう。 
「じゃあ、行ってくるね? アリオス」
「ああ、気をつけてな?」
「お昼ご飯のお弁当は、冷蔵庫だから」
「サンキュ!!」
 この瞬間、先に兄弟たちが気を使って、出てくれる。
 二人は甘いキスを交わして、それぞれの学校と仕事身出てゆく
 妹と弟を見送った後、アリオスは椅子に座ると、満足げに煙草を吸い始めた。
 こうして、一家の一日は始まる。
 以前にもましてとても幸せな朝の光景だった-----



メロドラマと私

アンジェリーク版「ひとつ屋根の下」も大団円を迎えることが出来ました。
ここまで読んでくださいまして誠に有難うございました。
これを書くにあたり、アドバイスを下さいましたLynne Sawamura様
どうも有り難うございました。
何とか完結することが出来てほっとしております。
あ〜よかった。
オリジナルキャラが出てきましたが、書いてて楽しかった。
心残りは、兄弟の絆の表現が甘かったことです。
では、ここまでお読みいただいた総ての皆様に深い感謝をさせていただきたいと思います!!
2001年6月13日 水曜日 21:36:56 tink