6.ヒーターケースの付属部品を組み立てる

最初にコントロールダンパーを組み立てます。コントロールダンパーがケースの穴を塞ぐ位置にあると車内に温風が送られ、穴が開いた状態になるとエンジンルーム内に温風が吹き込みます。
つめ コントロールダンパーが入るケースに画像のようなつめがあります。この爪よりもケースの穴側にコントロールダンパーを通します。
挿入済み コントロールダンパーを通した状態のヒーターケース。この状態で上部からコントロールダンパーを留めているシャフトを通します。コントロールダンパーの出っ張りとシャフトのくぼみを合わせて仮組みします。
シャフト通し済み 仮組したコントロールダンパーをエンジンルームに温風を流す方向にしてシャフトとコントロールダンパーを2本のビスで留めます。
ビス留め済み ビス留めしたコントロールダンパーです。手動でシャフトを動かし、円滑に可動するか確認してください。
スプリング取り付け スプリングを画像のように取り付けます。スプリングを留める可動部分が円滑に動かない場合は手で動かした後、グリスアップするなどして円滑に動くようにしてください。この部分に余分な力がかかるようですと、スイッチのオンオフでのワイヤーコントロールで動作が確実にできないからです。この際、スプリングが入る穴には決してグリスアップしないでください。
金具とめ 最後にコントロールワイヤーを留める金具をビスで留めます。

サーモスイッチ 次にサーモスイッチの取り付けです。下部の棒部分が燃焼炉の中に入ります。棒の内部にはアルミナの棒があり、熱するとこの中身が膨張し、上部のスイッチを作動させます。取り付けの際には中央部のナットで燃焼炉のボルト部に留めます。スイッチのボディにはんこで押されている数字は、このまま読めばスイッチが作られた時期と思われます。ヒーターのセットが作られた時期の有力な手がかりになるかもしれません。
取り付け前にブレーキクリーナーなどで清掃します。
スイッチ取り付け スイッチの取り付け位置はケースにある楕円形の穴の上部。丸い穴の下のボルト部にスイッチについているナットで留めます。

取り付けが済んだらスイッチの導通を確認します。テスターの一方をcommonに、もう一方をnormaly openのねじ穴に当てます。導通を確認したら右端の調整ビスを締めこみます。その際には締めこんだ回数を数えてください。「カチッ」と音のする位置を求めた後、commonとnormaly closeのねじ穴との間で導通を確認します。確認したら、締めこんだ回数分だけ調整ビスを戻します。なお、完成後には性能が以前よりも上がりますので、この時点でスイッチ調整をしても無駄になります。

エマージエンシースイッチ バイメタルスイッチを組み立てます。このスイッチはヒーターの温度が異常に上昇した際に、ヒーターの機能を自動的に止めるためのスイッチです。このスイッチが機能しないと、最悪車が炎上ということになりかねませんので、組み立ては丁寧に行ってください。このスイッチに使う部品はヒーターの解体時に組み立てる順番などがきちんとわかるように慎重に外してください。それができているのが前提で進めていきます。
裏面 スイッチボディの裏面、ビス穴の周りの塗装を空研ぎペーパーなどで磨いてスイッチボディの地金を出します。
大切 ここで大切なのは、同時にバイメタルの板が接する部分も少しでいいので磨いておきます。
バイメタル取付 バイメタルの板のついている部品を画像のように取り付けます。スイッチボディの表側は、裏から出ているねじにナットやワッシャーを外したときの順番で組み立てます。組立てたらバイメタルの先にあるポイント部分と、スイッチボディのねじ穴の地金が出ている部分との間で導通があることを確認してください。
もう一方 もう一方、ベークライトを含む部品を取り付けます。この時、ポイント部分同士が揃うように組立てることを忘れないでください。ここの部品は部品点数が多いので、どんなに時間が経っても組立て時にわかるように心がけて分解してください。

組みあがりましたら導通の確認です。後からつけた部品のポイント部分とスイッチボディの地金が出ている部分は絶縁されていないといけないので、テスターを当てて導通がないことを確認してください。
次にこのポイント部分とポイントを止めているねじとの間に導通があることを確認します。
調整ビス スイッチボディに空いている穴に芋ねじを入れてバイメタルの板を動かし、ポイントギャップの調整をします。ポイントギャップは常温で1.1ミリです。シックネスゲージでポイントギャップを測り調整します。調整を終えたらナットで位置を決め動かないようにします。
ボディ側 一方、ヒーターケース側のねじ穴の回りも磨いて地金を出しておきます。
取り付け 鉄板ビスでヒーターケースに取り付けます。スイッチボディは三箇所の鉄板ビスで留まっていますが、とりあえず上の二箇所は仮留め程度の締め具合でとどめておいて結構です。

取り付けが終わったら画像にある右側の端子と以前磨いて地金を出しておいたヒーターケースのステー部との間にテスターを当てます。ここは導通があることを確認してください。次に左の端子とステーとの間にテスターを当てて、導通がないことを確認できればできれば作業は完了です。導通がある場合はどこかで余分に電気的なつながりがあることを示していますので、もう一度やり直しです。