2.燃焼炉を清掃する

 ヒーターのケースの中に入っているものから手を入れていきましょう。このヒーターの作業前の現状把握から。
ケースの中身 これがヒーターの中の主要な部品。右が燃焼炉、左がブロアモーター。ケースの中ではこの二つがくっついて収まっています。尚、真ん中はたまたま置いてしまったフューエルレギュレーター。稼動していたとはいえ、30年も動いていたヒーターの中身はどうなっているのでしょう。
汚いプロアモータ プロアモータの回りには油と埃が混じった泥が表面にびっしりとこべりついていました。思わず触ってしまい綺麗になった部分と比べるとその汚れは一目瞭然。
排気口燃焼炉の排気口。すすが一面びっしりとついています。この炉に限って言うと、このすすは結構油分を吸っていて、ワイヤーブラシで磨いてみてもなかなか落ちない強力なものでした。もしかしたら、燃焼しないままガソリンが垂れ流されたのかも。
ノズル部分 ノズルが張り付いていて取れなかったのを思い出す。たぶんすすと燃えなかったガソリンで接着されたに違いない。作業を始める前にノズルの入っているユニオンボルトを炙って、メガネレンチでかませた後、一撃加えて回しました。

 いろいろ試してみた結果、燃焼炉の清掃は2ストロークのバイクのチャンバーを綺麗にする方法で綺麗にするのが一番のようです。
振る まずは、力いっぱい振る!
叩く 次にプラハンで軽く叩く。力加減に注意。軽く当てる感じでいいです。
あぶる そして、ガスバーナーなどで炙る。作業時には必ず軍手ではなく耐熱の手袋をして作業してください。それでもずっと同じところを持つのは危険なので、常に持ちかえるようにします。
更に炙る すすが見えるところは直接火を当ててすす自体を燃やしたり、見えないところでは外側からゆっくりと炙り、中のすすを燃やすようにします。
 振って、叩いて、炙ってという作業を数回繰り返します。なお、画像では振って叩くところでは手袋をしていませんが、炙った後の炉はものすごく熱いので手袋を必ずしましょう。
燃える すすを燃やすのがうまくいくとこのように煙があがります。
 取れたすすを全て捨てたら仕上げます。
 チャンバークリーナー
 仕上げには2ストロークエンジンのバイク用品にあるチャンバークリーナーを使います。このチャンバークリーナー、馴染みのない方もいると思いますが、バイクのチャンバーに溜まったエンジンオイルの混ざったすすを取り除くためのケミカルです。バイク用品店、またはバイク用品も扱うカー用品店で入手できます。
 今回はデイトナ製のチャンバークリーナーを使います。理由はそれしか売っていなかったからなのでそんなにこだわりはありません
 すすの取れ方としては炎で炙り焼いてしまうのが一番効果的ですが、やる以上は徹底的にということで細部に回ったすすはこれで取り除きましょう。
 尚、これだけで内部に溜まったすすを取ることはお勧めしません。ヒーターによっては不燃焼のガソリンが雷おこしのような堆積物になっている場合があり、これの除去には前述の方法が効果的です。
作業中2 チャンバークリーナーを吹く。この時に薬液が皮膚につかないように注意しましょう。
作業中 開口部という開口部からチャンバークリーナーを吹きます。チャンバークリーナーは吹き付けると泡状になって部材に残りすすを部材から強力に引き剥がします。薬液が直接かからない所には燃焼炉を動かして薬液が行き渡るようにします。このまま数分間放置しておきましょう。
すすぎ 汚れた薬液をある程度出したら燃焼炉を水ですすぎます。細かいところまで薬液が回っているはずなので、念入りにすすぎましょう。
 すすぎ終わったら天日で充分乾かします。
 チャンバークリーナーを吹き付けるとその臭いで気がつく方もいると思いますが、実はチャンバークリーナーの成分はガスケットリムーバーと同じなのです。すすを取るという性能ではガスケットリムーバーの方が強力です。
 しかしながら流動性はチャンバークリーナーの方が上。ということは、水ですすぐにはチャンバークリーナーの方が作業が楽です。あまりにも酷い汚れの場合はガスケットリムーバーの使用もいいと思いますが、その際には圧の高い水流が必要となります。そのような設備が使える人にはお勧めしますが、筆者を含むアマチュアレストアラーの皆様にはあまりお勧めできません。