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山崎哲
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茶房ドラマを書く/作品紹介



エッセイ

期待通りの教室だったのに

深谷巖



二千一年の十二月、新宿朝日カルチャーセンターから連絡があった。
私が参加していた「ドラマ教室」が新年度からなくなるという。
何と言うことだ、寒い日が続き福島から行くのも億劫なので、私は勝手に三月まで冬休みにしていた。
だがこれでは講師の山崎先生、受講生仲間の皆さんとも、
もう一生会いなくなるのかとあわてて一月期に顔を出した。
閉鎖ときまったのだから仕方ないが教室無くなるのは何とも心残りだ。
そこで同じ思いの方々と学習を続けることになった。
場所は新宿駅より京王線で四つめ下高井戸で降り、駅より二分、受講生仲間嶋田さん方パスタ店の皿皿である。
野口さんと久保さんが世話役になって会費、各係りを決め、新たな教室が発足した。
顔ぶれは新宿時代からの七名と新加入正会員の方、随時何名かの方の自由参加があり賑やかに楽しくなった。
年齢も作品内容もさまざまで、犯罪者や勧善懲悪物、人間解放を主題としている作品までさまざまで、
実社会の反映そのものだ。
単細胞の私にはなかなか読みこなせない作品もあるが、
作品を通して話し合うことで相互理解が深まるのは楽しい事である。
私は一九九四年七月からドラマ教室に参加している。
生きる姿を研究し、人生のあるべき姿を探りたいと考えている。
そのために日常の生活も創作に重きをおいてきた。
この生活を始めてから悔いのない期待どおりの楽しい生活だった。
いつかは納得のいく作品を書き上げたいと思いつつ十年が過ぎた。
わが人生は勝ち負けにあらず生きることにあり、と思いつつも
実らぬもがきに洩れるのは寅さんの歌、

奮闘努力の甲斐もなく、今日もー涙の日が暮れる、
ひがーくーれるウー
サラサラさんのお世話になりながら
下高井戸教室では山崎先生に時には厳しいご指導にしょんぼりし
「もう、意地悪テッチャンには見せて上げないからアー」
などとつぶやきながらも充実した時間を過ごせた。
先生には毎回必ず心に残る一言がある。
この前の、『創作するうえで体験しか描けないのはさびしい。喋らない間』などはなるほどと感じ入った。
その頼りの山崎先生が病に倒れられたという。
驚いた、これからが勝負だ、と意気込んでいる私には困る、早く回復していただきたい。
今休んでいる本山さんも何時か教室で発表したいと創作を続けておられるそうです。
もう一度きびしーいご指導を、いえ、もう決して「意地悪テッチャン」とは申しませんから。