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「ひ、ひでぇな。こりゃ…」
 現場に着いた京の最初の感想である。
「通報から10分と経ってないのに、もうこの有り様や…」
 拳崇がつぶやく。
 現場の建物は、ほとんどが全壊に近い状態であり、怪我をしている人々も
かなり多い。
「私と拳崇は、怪我をしている人達の治癒にあたります。京さんとキムさん
は例の二人組を探してください。まだ、そんなに遠くには行ってないでしょ
う」
「わかった」
 アテナの指示に了解するキム。
「ったく、八神の野郎は何やってんだか…」
 京が愚痴をこぼす。
 そんな彼にキムが肩を叩く。
「確かに八神君も気になりますが、今は仕事が優先です。行きましょう!」
「ああ、わかってる」
 京とキムはその場を後にする。

 その頃、例の二人組であるチャンとチョイは、まだ街を暴れ回っていた。
「ワッハハハ、気分爽快だぜ! なぁ、チョイ!」
「そうでヤンスねぇ。こんなに気持ちいいのは久々でヤンス!!」
 その時だった。
「キャッ!!」
 女性が足をつまづいて転んでしまった。それを逃さないチョイ。
「ウキィ〜ッ、あんたも切り裂きチョイの餌食になるでヤンス〜!!」
 チョイが空中から女性を襲う。
「だ、誰か〜!!」
 女性の叫びがこだまする。
 チョイの攻撃が当たる寸前であった。
「飛燕斬!!」
「ウオッ!!?」
 間一髪でクリーンヒットを避けるチョイ。
「やっぱりあんたか、チョイ!!」
「け、KOFレンジャー!!」
 チャンとチョイの前に現れたのは、京とキムであった。
「大丈夫ですか? お嬢さん…」
「ええ、何とか…」
 女性の答えに安堵するキム。
「相変わらず、無抵抗な女性しか襲わないなんて、てめぇも進歩がないな」
「うるさい! それがあっしのやり方でヤンス!!」
 京とチョイのやりとり。
「てめぇだけは、きっちりカタつけねぇとな!!」
 京が変身する。
 例の赤のバトルスーツに身を包む。
「今度は逃さねぇぜ!!」
 京がチョイに向かって行く。
「ウキッ!」
 チョイがジャンプする。
「馬鹿め、格好の的だぜ! 百式・鬼…」
「危ない! 京君!!」
 キムが叫ぶ。
「な!?」
 チャンの鉄球が京の足を襲う。
 まともに喰らい、地に叩きつけられる京。
 そこにチョイの爪が襲いかかる。
「死ぬでヤンス〜!!」
「空砂塵!!」
 間一髪でキムの援護が入る。
「グベェッ!!」
 今度はまともに喰らったチョイだが、すぐに立ち上がった。
「さすがに鉄球の方が、ダメージがでかいでヤンスね」
「連係プレーか。思ったより厄介だ」
「クックック。これがあっしらの最大の持ち味でヤンス」
「それよりどうする? そっちの相棒は使い物にならねぇぜ!」
 さすがのキムとはいえ、二対一では圧倒的に不利。しかもチームワークが
完全にかみあっている。
「ならば、貴様らを分断させるまでだな…」
 キムの背後で声が聞こえた。
「八神君!?」
「八神、てめぇ…」
「ハッハッハ! 無様だな、京。そんなデカブツの一発で、もうくたばると
はな!」
 庵が京に近づく。
「このまま俺が息の根を止めてやろうか?」
「ざけんな!!」
 京が炎を庵に向かって放つ。それを弾き飛ばす庵。
 京は何とか立ち上がった。
「フン、まだ立ち上がれるではないか。立てない振りなどしおって…」
「てめぇ…」
「京、貴様は小さいのを狙え。俺はあの鉄球男を相手する」
「八神君…」
 キムがつぶやく。
「貴様はあの女をどこか安全な場所に連れてってやれ! 邪魔者がいるとか
なわん!」
「わかった。私もすぐに戻る!」
「フン、それまでには終わってると思うがな…」
 キムは女性を安全な場所に連れて行く。
 それを見送ったと同時に、庵が口を開く。
「さて、邪魔者は消えたか。本当なら貴様らを殺してやるところだが、邪気
だけを落とせ…と上に伝えられているのでな。不本意だが、俺も変身とやら
をしてやる」
 紫炎が庵の体を包む。
 変身が終わり、そこには黒のバトルスーツ姿の庵が現れた。
「ケッ、若造が! そうそう思い通りに行くかってんだ!!」
「言いたいことはそれだけか?」
 バトルスーツ越しにチャンを睨む庵。視線は相手に見えているようだ。
「ならば、すぐ楽にしてやる!!」

 それぞれの対決が今、始まる。
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