|
PAGE:4
|
「ふぅ、これで終わりね!」 「こっちも完了やで!!」 アテナと拳崇は怪我人達の治癒を終えた。 「あとは、この人達をどこか安全な場所に休ませるだけね…」 「せやけど、ここら辺にあるか? 安全な場所…」 その時だった。大量のオロチの気が感じられた。 「何やて!?」 「こ、これは…」 治癒した人達が一斉に立ち上がり、二人に近づいてきた。 その目は、かつて京の学校を襲った者達と同じものであった。 「ど、どないなってんねん!!」 「おそらく、この人達は最初からオロチに操られてたのよ。私達が気を抜い た時に襲いかかるよう、暗示がかけられてた…」 「じゃあ、怪我をしたってのは…」 「それは本当でしょうね。トラップに引っかかるよう、わざと傷を負った。 そういうところかしら…」 アテナが冷静に分析する。 「でも、どないする? 今のヒーリングでサイコパワーは結構消耗してる で」 「でも、この人達の目を覚まさせなくちゃ!」 「チッ、やるんかいな…。しゃあないな!!」 二人が変身する。 拳崇は黄、アテナはピンクのバトルスーツに身を包む。 「こっちも時間ないさかい! てっとり早く行くで!!」 「もちろん!!」 敵襲が一斉に襲いかかる。 「龍顎砕やぁっ!!」 「サイコソードッ!!」 大量の邪気が消え失せていく。数分と経たないうちに全ての邪気が消滅し た。 「何とか、終わったわね…」 「でも、これで振り出しかいな…」 「そうみたいね…」 二人がサイコパワーを補充し、ヒーリングを終えるまでさらに1時間が経 過した。 ようやく、チャンとチョイの元に向かう二人。 「してやられたわね!!」 「全くや! 間に合うとええがな!!」
チャンとチョイのいた場所からは数キロ離れた場所。キムと女性はここま で避難した。 「これぐらいなら、もう安全でしょう」 「ありがとうございます」 礼を言う女性。 「いやいや。しかし、いつ襲われるかわかりません。どこか民家でも…」 その時だった。 女性の鞄による攻撃が空を切る。 「な!?」 「あなたの言う通り…。いつ襲われるか、わかりませんもんね…」 女性にもオロチの気が感じられた。 「まさか、あなたも操られて…」 「あなた達が来ると同時に一芝居うったの」 「そういうことですか…」 キムの目が変わる。 「なら、あなたもオロチの気から解放してあげねば…」 キムが変身し、青のバトルスーツに身を包む。 「やぁっ!!」 女性の攻撃を受け止めるキム。 「時間稼ぎのつもりでしょうが、それは無理です!!」 キムが強烈な下段蹴りをお見舞いする。 「覇気脚!!」 女性の邪気は消え失せる。 「クッ…」 「申し訳ない。こうでもしなければ、あなたの邪気を出す事はできない…」 この後、キムは女性を近くの病院に連れて行き、そのまま元いた場所に向 かうのだった。
「うお〜〜っ!!」 チャンの強烈な鉄球攻撃をかわす庵。 「フン、あのチビがいなければ貴様はただののろまだな…」 「そう思うか?」 「!?」 庵が近づいてきたところで強引に掴むチャン。 「俺様は鉄球だけじゃないぜ!!」 そのまま何回も何回も庵の頭を地に叩きつけるチャン。 すぐ起き上がる庵。 だが、そこにチャンの腹の攻撃が襲う。 ガードの上からでもかなり吹き飛ばされる。 「終わりだ〜っ!!」 再びチャンの鉄球攻撃。 今の庵の状態では回避不可能。 ドンッ、という音が聞こえる。 「やったか…」 チャンが安心しきったその時であった。 「誰が、やったと?」 「!?」 驚くチャン。 庵は鉄球を両手で掴んでいた。 「ば、馬鹿な!?」 「俺は、京とは違う! 鉄球の一発なんぞで、くたばりはせん!!」 そう言うと庵は炎を両手から出す。 鉄球の鎖を通じてチャンに燃え移る。 「あちぃ〜っ!!」 絶叫するチャン。 「行くぞぉっ!!」 その隙に庵は、体を仰け反り、飛び込んでチャンの頭を掴む。 「おぉぉぉぉぉぉ〜っ!!」 そのまま、鬼焼きで燃やし尽くす。 「うお〜〜〜っ!!」 チャンの邪気はそのまま消え失せた。 着地する庵。 「フン、くだらん…」 チャンに対してそのまま捨てゼリフを残すのみだった。
「ハァ、ハァ…」 京の方は幾分チョイに苦戦していた。 足の事もあったが、それよりもチョイがうまく京の攻撃を読んでいたのだ。 「ウキキッ、無駄でヤンス! これでもKOFレンジャーの事については、 かなり調べたでヤンスから〜」 挑発するチョイ。 「てめぇには負けられっか! ユキの事もあるしなぁっ!!」 「無駄でヤンス!!」 得意のスピードで京を翻弄するチョイ。 「ツォッ!!」 容赦なく京の体がチョイの爪で刻まれる。 そして、ついには倒れる京。 「ウキッ、やったでヤンス! ついにレッドを倒したでヤンス!!」 チョイが安心し、空中からトドメをさす。 「キキッ、これでお前も、切り裂きチョイの餌食の仲間入りでヤンス!!」 チョイが爪をこちらへ向けて、京に急降下してくる。 「キキキキキィッ!!」 その時、京の目がはっきり開く。 驚くチョイ。 「俺を調べただと? だったら、俺のタフさもわかってんだろ!?」 手に炎を集約させる。 「ゲッ!!」 さすがのチョイも、この状態では方向転換ができない。 「喰らい……やがれぇい!!」 京の大蛇薙がチョイをとらえる。 「負けたでヤンス〜!!」 炎に包まれ、チョイから邪気が消える。 立ち上がる京。 「へへっ、燃えたろ?」 息をかけ、炎を消す。 「フンッ、苦戦していた分際で何をほざく…」 庵が横から口出しする。 「るせぇっ! 最後に倒れたのは演技だよ! 演技!!」 「ハッ、果たしてそうか!?」 「てめぇっ!!」 その時だった。 キム、拳崇、アテナの三人が来た。 「おお、大丈夫でしたか!」 「だから言っただろう。戻る時には終わってると…」 「ま、とにかくこいつらはぶっ倒したから安心しな!」 「そうですか」 そう言うとキムは、チャンとチョイを起き上がらせる。 「何を!?」 「彼らには聞きたいことがありますからね。『オロチ』についてとか…。そ の後は、個人的に教育でもしようかと…」 「教育?」 京が聞く。 「彼らは、昔からの犯罪者でね。そういう人達には私の元で更正することに してもらっているんだ」 「ちなみに、キムさんの教育は半端じゃなく厳しいですよ」 「その厳しさたるや、血も涙も出尽くすほどとか…」 アテナと拳崇が茶化す。 京はキムの笑顔を見てぞっとした。とてもそういう人には見えなかったか らだ。だが、これが仮の笑顔だとしたら…ということも想像した。 「なあ、キム。本当に厳しいんなら、実演としてこいつを更正してくれ…」 そう言い、京は庵を差し出す。 「き、京!」 キムは歯をきらりと光らせ、満面の笑顔を浮かべる。 「いいとも。八神君の性格は、実に更正しがいがありそうだからね」 「き、貴様〜!!」 残りの3人は、その光景を見て笑う。
その笑い声が、この場所一帯に響き渡っていた。
|
|
第3章に続く
|
|
|
|
|
|
|
|