ライン収縮を起こさないラインの探求。(一部重複掲載部が有ります。)
私のライン収縮は熱収縮と薬品汚染収縮が重なった特殊な急激に収縮するライン汚染です。通常は熱収縮のためにDyneemaでも夏の暑い時期に取り扱いに注意するか細いボトムラインを頻繁に交換すれば解決できると考えております。ただし、点検は怠ってはいけません。
 私の場合、Dyneemaラインが収縮を起こすのでp-Aramidのみで出来ているコンペラインでテストしてみたが、NEW!!_「コンペラインは収縮するか?」で御解りのように短時間でワックスの薬品汚染で軟化収縮して使用不能となった。
 次に収縮の酷いスタビライザーボトムラインをグライダーデザイナーとのメールによりP-Aramidで一番パララインに適しているテクノーララインで作成してテストした。

テクノーラの収縮

下の写真は左がVeruex26スタビライン1ヶ月使用で収縮したものである。右の未使用ラインと比較して黒ずんでいる事が観察できる。左上はラインの被覆のみを1m位づつ切断して被覆を緩めて計測したものである。計測の結果ライン長は伸びて初期の値となり被覆の収縮がライン収縮の原因と判明した。Veruex26スタビライン1ヶ月使用ラインの収縮。(暗色に変色)

テクノーラライン1.2mmライン表値608.5cm(初期値0kgf--607cm)。

1)kgf---601cm(-1.2%)                 被覆切断  

2)kgf---601cm(-1.2%)-----------------akgf---607cm-0.25%)

被覆収縮の原因を究明する必要があります。

収縮の原因はポリエステル被覆が薬品汚染により収縮した為の様である。
収縮の過程は下のアニメーションの通です。



薬品汚染の場合はテクノーラでラインを作成しても収縮してしまう為にチジミ処理が必要である。
ラインの強度はNEW!!「重量法によるライン強度比較」で材料強度を求めライン_Test値を推定して十分な強度のラインを使用した。

材質名 比重(g・cm3) 強度(kgf/mm2)
Dyneema60 0.94 350
テクノーラ 1.39 350
ポリエステル 1.38 115
ライン名 ライン径mm 被覆orライン 素材重量g/m 断面積mm2 推定強度kgf 材質 備考
1.3テクノーラ 1.3 ライン 0.45 0.324 113 テクノーラ フラットライン(4エレメント)

材料データーはメーカー資料による。
実測ライン径は1.2mmφで80kgf-testラインで強度的には問題のないラインである。
ループ縫い糸は専用コーティングポリエステル糸を使用して縫いの長さも十分なループを作成した。

参考資料

ラインループの構造
NOVAとプロデザインを例にあげますがライン縫製部の両端をそれぞれの方法で強化してあります。ライン破断試験でループが壊れる為に対策として強化したものと考えられます。縫い糸が切れて一気に破断することを防止しています。縫いしろもNOVAは6cm、プロデザインは7cm位でNOVAは縫い糸をライン径が変わっても同じ糸で縫っていますが、プロデザインではライン径によって縫い糸を換えているようです。ループ長は5cmで両社とも同じです。これは一例ですがメーカーによって色々工夫しているようです。
縫いはミシンで縫いますが丸いものを二個縫い合わせる為、裏表共に所定の位置を真直ぐ縫うのは可也熟練がいるようです。細いラインほど縫製は困難になるようです。単時間にたくさんのラインを正確に作成するのは困難です。メーカーのラインでも表は上手く行っていても裏は酷いのが時々見られます。糸の強度はポリエステルやナイロンですからp-アラミドの1/2から1/3ですがラインが二重になり細かく長く縫われているので可也の強度が有るようで、NOVAやプロデザインの様に強化して縫製すれば縫製部からの破断は無くループ下での破損となるようです。捩れがこの部分へ寄って来て集中するからでしょうか多くがループ下で切れます。又、縫い部分が詰まっていて硬いものでないとテンションが掛かると中のラインが動いて円弧状に変形してしまいライン長が変わったりライン破損が起こり易くなる為注意が必要です。

ライン縫い糸。
NOVA及びプロデザインのライン縫い糸はポリエステルのようです。見た限りではコートしてないポリエステル糸でテンションを掛けて縫っているようです。(伸びのある糸の様です。)
糸の引張強度は ナイロン6_100kg/mm2、ポリエステル_115kg/mm2、テクノーラ_350kg/mm2、Dayneema_350kg/mm2
ラインの縫製用の糸の写真を以下に載せます。(専門家にサンプルを提供していただきました。)

ナイロン糸。 コートして有るようです。(糸は伸びが大きいがコートにより伸びを小さく出来ます。同様にパラのコンペラインも伸びを小さくする為にコートして有ります。)

ポリエステル糸。コートしてある糸と、していない糸が有ります。コートしていない糸は可也の伸びが有ります。


設計者とのメールでチジミ処理を提案して問題ないようなのでラインを作成して見ました。

対策ラインは写真のように見かけ上は普通のラインです。

薬品汚染の中現在までの間ではほとんど収縮はないようです。
現在テスト中です。
試験の一部
A)油性成分暴露試験(長期試験で問題ないようです。)
長期の暴露試験で収縮がなければ薬品汚染ほど急激に収縮する現象はないので問題が解決となります。