しろい しろい世界
何もないっていい

そう思うのに

手にはペンキのついた刷毛を持っていて

片方は赤で

片方は黒

なにを したいのか

赤で塗りつぶすのか 黒で塗りつぶすのか

それとも

ただ 
 
持っているだけ?






プラトニック 8   













胸やけがして目を覚ました
今日の飯の肉がつっかえてる感じだ

俺だってまだまだ育ち盛りの食欲旺盛な年頃。
特に吐くほど食ったわけじゃなし、なんでこんなもたれちまってんだろうな。
なんか急にジジイになったみてぇと心の中でぼやきながら水を飲みに部屋を出る。
コップ一杯の水を一気に煽って一息ついた。
水の味ってのは体調によって変化するらしい。元気な時には甘く感じて、具合悪い時には苦く感じる。
いま現在酷く不味い。
最近の俺の料理と一緒。

味覚はなんとか取り戻した、と思う。食べてて辛いとかしょっぱいとか甘いとか酸っぱいとかまろやかとかなんだとか
細かい味ってのまで今まで通りわかって調節も効くようになった。
けれどもそれを上回って自分の口の中が苦い感じがするんだ。
どんな美味い飯食っても入れるとこがそれだから全部ダメって感じだ。
みんなに変なモン食わせる心配はなくなったが俺一人食事が楽しくないまま。くそくらえだ。

ポーカーフェイスの肉体は誰もいない一人の空間になるとぎしぎしと軋みだす
動くのさえ億劫だと言うように

体を丸めて縮こまってじっとしていたい


やっとのことで近くの椅子に座りこむ。
テーブルにぺったりと突っ伏して目を瞑った。
今日はここで眠ろう…

固いテーブルの感触

それと対称的な


柔らかい体




ここで毎日のように触っていた


ああ あの体あの匂い

あの頃はとても幸せだった

目が合う度に愛し合っていることを実感していた
纏い付く体が愛しかった
抱きしめ返す腕が嬉しかった

大事だった


何も知らずにただただ信じて穏やかに幸せに過ごしていたかった


だけどあいつは裏切った


俺は踏みにじられて心がズタズタになった


あれから疲れて何をするにも緩慢で

ああ あの頃に戻れたら



その日は幸せな夢を見た

仲睦まじく過ごしていた偽りの幸せの日々の夢を…



早朝の浅い眠りの中で背中に誰かの手がつたう。
触れるか触れないかの微かな感触。
それはあやしているような、いたわっているような、微力ながらも心地よい優しい温もりだった。
もっと、と思ううちにそれは離れていく。
誰だろう。目を開けなくては。
思いに反して睡魔は中々解けてくれず、まどろみの中温かな手は去っていってしまった。
夢の中で思考を巡らす。どこかで見た、光景に似ていたような。

目が覚めて座ったまま寝て固まってしまった体を叱咤しなんとか起き上がると条件反射の様にキッチンに向かい朝の仕込みを始めた。
何か思い出さなきゃいけないことがあった気がしていたが、朝の夢などおぼろげなもの。
料理を仕上げていくうちにすっかり忘れてしまった。

「サンジはちゃんと寝てるのか?」

顔を合わせたくないのにしっかり捕まって正面に対峙する我らが船長に問い詰められた。
いつもはおちゃらけて遊んで騒いでばっかのくせに、こういう時はしっかり船長らしいのもムカつくんですけど?

「おれわかるぞ!隠したってサンジぜってぇ元気ねぇって!!昨日だって夜中に男部屋からどっか出てっちまっただろ?!」
こんなことで怒られ口調で言われるのも子供みたいで、バツが悪くて顔を背ける。
こないだだってメシがまずいだろとか変なこと言うし、隠したってダメだからな!と俺が肯定するまで退かない、という姿勢でルフィはさらに詰め寄ってくる。

ああ イライラする

体調管理は必然事項だよな。なのに最近の俺は確かに眠れなかったり飯もまずい気がして食欲ねェし健康診断でもやったら確実アウトだろうよ。
でもなんていうかさ、お前にそんな、自分でわかりきってること注意されんのって余計なお世話なんだけど。
年下のガキのくせに母ちゃんみたいな心配してくんじゃねぇよ。
お前に俺を心配なんてする権利あると思うか?
よりによってお前に。

無性に腹が立つ。

「おい!答えろよ!」

胸倉掴んで睨んでくるルフィに溜まってた感情が一気に爆発する。

「うるせぇんだよ」

掴んでいた手を掴み返して握ったまま至近距離から腹を蹴りあげた。

「ぐあっ」

突然の攻撃に何の防御もしていなかったルフィの体はモロに衝撃を食らったようで、俺の手を振り払いよろけて床に伏せてしまった。
苦渋の表情を浮かべるその顔に暗い感情が湧き出してくる。

俺の苦痛なんか それどころじゃねえよ

そうだ お前も味わうといい

心配してくれるぐらいならこの感情を共有してくれればいいんじゃねえ?

床に転がる体を躊躇することなく再び蹴り上げた。
軽い体は簡単に宙に舞い、重力に従ってドスン、と鈍い音をしてまた床に落ちる。
同じ場所を狙ったから相当ダメージもデカいだろう。実際ルフィは声も出ないほど、苦痛に顔を歪めて悶えている。
ああ でもゴムだし、普通の人間に比べたら大したことねェかも。残念だな。

まだまだ足りないよ

きっとお前の裏切りを知った瞬間の俺は もっと酷い顔をしていた筈だから。

少しのたうつその体を眺めた後で俺はまたおもむろに脚を上げる。
わかってくれるかな

こんなに苦しい 俺の気持ち

わかってほしい わかってほしい
苦しいんだとても、胸が、頭が潰れそうなんだ

反撃するにも最初に油断しすぎたんだろうな、ルフィ。
そんなボロボロじゃ俺には勝てねえよ。
俺は敵じゃないしお前を殺す気でもないから大丈夫。

わかってほしい だけだから

蹴って蹴って打ってくる弱いパンチを受けとめながら殴り返して。
久々に体が熱く興奮してくるのがわかった。
脈が打ち自分が生きてる感じがした。
だんだんその興奮は高まっていって、俺は股間をまさぐり暴力行為で猛った己を取り出すとルフィの衣服をちぎるように脱がせて抵抗もできないその体にぶち込んだ。

「あああぁあ!」

一層悲痛な顔をして身もだえるルフィ。
久々のルフィの中はあつく、キツクて。異物を追い出そうときゅうきゅうと収縮していた。
入口は容量を超えて挿入された肉棒に耐え切れず血を流しナカも擦れて俺の方も痛いくらいだ。
やがて切れて溢れた血液にまみれて挿入も楽になり俺は快楽に溺れた。
楽しくなって笑いがこみあげてくる。

「ハ、ハハハッ!」
笑いながらルフィを犯す。
始終ルフィは苦しさに、痛さに、顔を歪めていた。

なあわかってくれたか?

お前は俺に心をくれずに体だけくれた。
俺に体だけ押し付けられるのって 痛いだろう?

足を開かせ二つ折りにしてより深いところへと自身を突き刺す。
激しい抽挿の中で前立腺を掠めるのか、ルフィはウ、と何度か小さく呻くと萎えてたものを少しずつ膨らませていった。

「こんな痛ぇだけみてえなセックスで感じてんのか?変態だな」

その言葉にキツい視線で反抗する。もう、目ぐらいしか動かせるとこねぇんだな、かわいそうに。

「もっと痛がれよ」
笑いのとまらないニヤけた表情のままさらに罵り罵倒する。
信じられないと言うかのように見開いた瞳。
その瞳に見つめられるのが堪らなくなって頬を張った。
突然の行為に食いしばれなかった口から血が流れる。
どんどんボロボロになっていくルフィに心がスッとしてきた。

なあルフィ
これで俺とお前は

同罪?


おなじ罪を分かち合う二人に なれたかな