俺の隣にはいつでも君がいて
そこで笑っていてくれる
とても満ち足りた生活
でも最近思うんだ
こんな都合のいいこと
もしかしたらただの夢なんじゃないかって?
プラトニック 3
煙草の量はセックスと比例する。
そんなことをぼんやり考えながらまた一箱封を開け火を点けた。
なんていうか、最近それしかない。
吸ってないとやってられないのだ。
何もしないでいるとルフィのことばかり思い浮かんでヤりたくて仕方なくなる。
アイツと二人しかいない場所だったら何も考えずひたすら抱き合えるがここではそうも行かない。
無理に毎晩抱いてるがハッキリ言って足りゃしない。
なんでだろう、始めの頃は余裕を持ってしていたのに今の俺には明らかに余裕が無い
ルフィへの気遣い思いやりを忘れたワケじゃない。
好きな奴が喘いだり気持ち良さそうにしてたり、俺のでイったりするのってスゴい興奮する。
だから一生懸命サービスして、反応確かめてビクビクしてたり。
これって気遣いでいいんだよな?
俺が起こすアクションにいいリアクションが返ってくるのを見たくて見たくて
ってこれは、思いやり…ではないような…
やっぱり最近の俺はちょっとおかしいかも。
毎日の様に、ではなく確実に毎日繰り返す行為。
前はルフィから誘って来る事がほとんどだったが、今や俺の方から先にアポを取ったりして。
だって不安なんだ。
こんなに体も心も欲しがってんのに「ごめん今日はちょっと」とか言われたら立ち直れない。
だからあらかじめ約束しといて、それを楽しみに夜まで過ごす。
その少しの間ですらもどかしくてこうして一服して落ち着いてみたりするんだが。
なんでだろう。いつから自分はこんなにのめり込んでるんだ?
いや、のめり込んでいるというよりも必死でルフィを止めてるというか。
愛し合ってるはずなのに繋ぎ止めようと必死なんてなんかヘンだよな…?
どうしてこんな気持ちになるのか…思い出してはいけない気もする。
だけど煙を肺に溜めてくうちに頭は冷静になってきて。
ああ
こないだのルフィのあの態度だ。
と思い当たった。
二人の仲を公表したっていい、いや、すべきだと思う俺と何故だかひた隠しにしたそうなルフィ。
バレちゃうかなって言っただけであそこまで青ざめるなんてあの時はショックだったが今ではなんだか腹立たしい。
お前だって俺のこと凄く好きなくせに。
嘘がつけないようなお前がどうして隠すの?
仲間に白い目で見られるのを気にしてるのかとふと思い立ったがアイツがそんなこと気にするとは思えないし。
もしかして俺がそんな目に遭うのが可哀想とか?
いや、それこそあり得ないだろ。でも仮にそうだとしたら相当嬉しいけど。…つかそうなのかな。
消去法で行くとソレしかないかな。
やべえ、俺相当愛されてる?
結局煙草を吸ってたのに落ち着くどころか、想像に興奮してまた体は熱くなってしまった。
だけど最近感じてた焦りは消えた。
そうか、そういうことだったか。
俺はスッキリして晩飯の支度に取り掛かったのだった。
「…話さなきゃいけないのか?」
またしても曇るルフィの顔。
行為を終えて床に布一枚敷いただけの簡易的な寝床でうつぶせになりため息を吐く。
この態度では俺がみんなに敬遠されるのを心配してた説はかなり薄そうだ。
せっかく晴れた気持ちがまたショボんでくのを感じる。
それと同時に湧き上がる苛立ち。
「いや、てかさ、そっちのが意味わかんねぇんだけど」
少しムっとしてしまったルフィを体ごと引き寄せてその顔を覗き込む。
「お前、俺のこと好きだろ?」
「…ん…そうだけど、さ」
困ったように答えて黒い瞳がゆらめく。
少し視線を彷徨わせてからしっかりと俺を見た。
「でも…まだ。」
真正面に対峙した双眸。
思わず息を飲んだ。
圧倒的とさえ言える眼差しに逆らえる者などいるだろうかと思うほど。
その瞳は強く、美しかった。
「あ、ああ」
どんなに可愛くて
どんなに俺の下で喘いだって
コイツはやっぱり俺らの船長で。
絶対的な命令とさえ思える凛とした態度に、俺は呆気なく引き下がるしかなかった。
ルフィはルフィなりにこの船での俺ら二人の行く末を考えてるのかもしれない。
俺をも魅了したその大きな懐の考えあってのことならばそれに従うのが努めってものだろう。
でもなんだか淋しくて
ルフィの体を全身で抱きこんだ。
「どうしたんだ?」
急に甘えるようにしがみつく俺の頭をあやすように撫ぜる手。
それはとても優しく、いつも俺に擦り寄ってくる可愛い恋人の手。
拒絶と抱擁を一遍に味わったような感覚にされて困惑する。
ああでも、こうやってルフィの温もりの中にいるとどうでも良くなってくるような。
久々に満たされた気持ちになり、そのまま深い眠りに就いてしまった。
続>
ルフィにメロメロすぎる。
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