束の間の幸福だと言い聞かせていても
いつしかそれが当たり前と思うようになって

そして永遠と思うようになって

もしそれが壊れるようなことがあったら

俺の世界は間違いなく崩壊してしまうだろう




プラトニック  2   







今日もルフィは可愛かった。


小さな島に船を泊めて、他のヤツらが出かけた隙に昼間からキッチンで盛りついた。
日の光が差し込む船内で見るルフィの痴態は一層魅惑的で。
温度の高い島の気候と、内面から滲み出る体温の上昇で汗だくのドロドロになりながら何度も何度もその体を貪り、喘がせる。
コイツはいつも逆らわない。
いつも俺にはヤらせ放題だ。
俺からコクったとは言っても、両想いだった、ってヤツか?
もちろん俺だってキツいことはさせてないつもりだし、気持ち良くさせてるつもりだから嫌がる理由もないのかもしれねェ。
足を大きく広げさせられて、そこに俺のギンギンのやつを押し込まれながら大きな黒目を向けて赤い舌をチラつかせて俺を見つめる姿に堪らない気持ちになる。
べとべとになった顔を掴んでその愛らしい唇に噛み付くようにキスをして、口腔に舌を差し入れ思う様弄る。

そんなことを何度やっただろう。
時間というのはこういう時あっと言う間で、気づけば日は傾き始めていた。
セックスと喧嘩じゃ使う体力が違うのだろう、俺よりもグッタリしたルフィの体を整えてやり、皆がいないのをいいことにそのまま姫様ダッコでシャワールームへと連れて行った。
ルフィはされるがまま。ぼんやりした瞳で俺を見上げる仕草にまたしても欲望が頭をもたげ出す。
さすがにこの時間では出かけたクルー達も帰ってくるだろう。
シャワー流しついでに一発なんてやる暇はなさそうだ。
優しく愛撫を加えつつ体を清めてやる。ルフィは気持ち良さそうにしていた。

「これでヨシ、と。証拠隠滅だな」
「ありがとサンジ」

にっこりと笑うその笑顔がまた可愛い。俺だけに向けられてるかと思うと余計に愛しくて。
その言葉にキスで返す。ついばむように二度、三度。
ルフィはくすぐったそうに笑う。
夕食の用意もしなければと思いながらも体が止まらない。
ふわふわと香る石鹸の匂いにふと思ったことを囁いた。

「なあ、2人でフロ上がりって、2人で汗ダクになってるより怪しくね?」
「え?」
「2人で一緒に汗かいてフロ入りましたっつったらバレバレな感じじゃねえかなと思ってさ」

別に俺はみんなにバレても構わないと思い始めてた。
俺のものなんだと主張したかったのだ。
ルフィもこれだけ俺にべったりなんだし、今さらかもしれない。
また言葉を紡ごうとして覗いたルフィの表情は固まっていた。
意外な様子に少し慌てる。少し慌てて、鈍い衝撃を受けている自分がいた。

「い、や、まあ、あいつら鈍いから関係ねぇか!大丈夫だよ!な!」
誤魔化してみたがルフィの眉根は寄ったまま。不安そうな表情、見たことが無かった。
「なぁ、心配すんなよ。こーいう時の言い逃れは俺いっぱい持ちネタあるからさ。な?」
怯えた顔を覗き込んでなるたけ優しく囁いた。
お前がはしゃいで海に落ちたことにしよう、とか、あまりに暑くて先にフロ入ったとか、ああしようこうしようと話す俺に徐々にルフィは落ち着いてきたようだ。
「ごめんなサンジ、おれ、ドーヨーしちゃったみたいだ」
らしくもなく弱い笑みを向けてくるルフィ。
「イヤ俺こそごめんな。そんな驚かせるつもりじゃなかったんだ。」
乾きたての柔らかな髪をくしゃくしゃと撫でた。少し元気がないものの、いつものルフィに戻ったようだ。
俺も安堵のため息を吐いて、キッチンへと2人戻った。

ルフィは元気になったかもしれない、
でも俺は、2人の仲を見せたがらないらしいルフィの態度に内心動揺を抑えられなかった。
ほんの少しの苛立ちと、ほんの少しの猜疑心。

ルフィは俺にゾッコン。日常的な情事でそれは事実の筈なのに。

俺はひどく不安な気持ちになったのだった。













サンジさんは不幸の星に生まれついてるの。みたいな。心配性な人って損な性分だよね…