君を手にいれたとしよう
その一時は例えようもない幸せに包まれるだろう
でも知ってる
そんな瞬間は決して永遠ではない事を





プラトニック   







少しの不安はあった。
アイツの方が俺よりもちょっとだけ早く出会ってる。
だから先に目をつけて手に入れちまってるんじゃねえかって。

「え?」

如何に俺がカッコ良くて料理なんか超一流の腕前で頭のキレるいい男でも。

「だから、いいって。」

俺なりにかなり緊張したんだ。何せ男相手にコクるなんて初めてだし、つうか向こうから言って来ねえかなあとか情けなくも願ってたりしたぐらいだ。
最初に言った通りいくらコイツと俺の仲が順調に良くなって来てるとしてもあの緑頭の筋肉ダルマがジャマになんじゃねえかってちょっとというかかなり心配してたのもあって。

「…マジすか。」

こうもお付き合いの承諾が簡単に降りちまうとはっきり言って拍子抜けって感じだ。
呆ける俺に笑いながら近付いて、唇にキス。
初めてのキスがルフィからとは。

あまりにあっさりな展開に俺としてはもうちょっとムードが欲しかったとこなんだが、始まりとしては悪くないかもしれない。

こうして船に居着いて幾月だか、俺達は晴れて恋人同士となったわけである。



このお子様がそういう仲がどういうモンなのか知ってんだかという不安もあったが、兄弟がいたからなんだかアレやコレやするもんだということも理解してて、体の関係が出来上がるのもそう遅くはなかった。
歳相応に知識はあるという事だろうか。
まあ知識があるというだけで経験は皆無らしく、肌に触れる度に過剰に反応を返すその体はむしろ愛しかったけど。
なんというか、すんなり来すぎて怖いくらいに。
俺達の仲は順風満帆で。

夜になれば厨房に一人残る俺の元へとひっそりやって来て、食い物をねだったり話をしたり、誘ってきたり。
かなり俺にご執心で。俺も俺でそれがめちゃめちゃ嬉しかったりする。
こんなに心が満たされるのは初めてだ。

今日もまた、他愛も無いお喋りからじゃれあいになって、こうして俺に体を預けてしな垂れかかるルフィがいる。
上から見える耳からうなじにかけてのラインにゾクゾクと色気を感じて、そこを指先で撫でながら顎を上向かせ唇を寄せる。
既にルフィの瞳は熱を帯びてとろんとしており、これから始まる情事に期待してるかの様にほんのりと上気していた。
それに合わせるかのように俺も熱い唇をゆっくりと押し付ける。少し吸っては離れて、だんだんと深く口接けていく。
なんというか俺は相当この小僧にいかれてしまっているらしく、大事にしたくて堪らなかった。
だから如何に己の昂ぶりが限界に来ようとも、この愛しい体を充分に慣れさせてやるまでは挿入しようとは思わない。
元々入るように出来ちゃいない器官だ、拒否られないようにといつも細心の注意を払う。
その気遣いに応えるかのように万全に準備を施されて受け入れるルフィは「気持ちいい」と素直に言ってくれる。
互いの熱が溶け合って頂点に達する瞬間は何と形容できるだろうか。
たまに幸福感に涙すら浮かんでくる。

日常ではいつも通りの俺をこなしてるけど気づかないウチにとんだノロケになってたりして…と余計な心配さえする始末だ。
あんまりコイツの事で頭がいっぱいになっちまって他の事に手がつかなくなったらどうしよう。
俺を受け入れ甘い声を出すルフィに見蕩れながらそんなことをボンヤリと思った。

「ああっ」
掠れた声を出してルフィがイった。
キツく締め付けるソコに俺も限界を感じながら目の前の広めの額に口接ける。

ひと息ついて、ルフィの体を引き寄せたままさっき思った事を話す。
「なあお前もそう?俺の事で頭いっぱいか?」
ルフィの前髪を弄びながらふざけた様に聞いてみる。
いつもの様に他愛なく返って来ると思った答えは。
「…え…?」
意外にも相手を困らせる質問だったらしい。
俺をぼんやりと見ていた瞳を2,3度瞬かせて「ああ」と笑みを浮かべた。
「ん、俺もそうだ。」
そう言って頭を摺り寄せて来るのだけれど。

俺は今の間が何故か引っ掛かるのだった。











久しぶりに書いてみました小説。相変わらず、さらに、拙くわかりづらいのではと不安ですがお付き合いいただければとおもいます。
人生山あり谷ありだよね。意味ありげに…