おかしい人。
2
飛び出してきたものに目がまんまるになっちまった。
いや、だってデカいし。なんだってこんな勃ってんだよ?!

あんまり釘付けになってしまっていたからか、視線に気づいたサンジがにやりと笑った。
いつものサンジにこんな笑いかけられ方、したこと無い。下品でヤらしい。

「なに、驚いちゃってるの?お前のに比べたらデカいから?」
「…それともコレカラの事考えて怯えちゃってる?」
「なんかアレだな、お前、犯されそうな処女みてェな顔してるぜ。」
もっとも紳士の俺はンなえげつねェことしたことないけど。

“犯されそうな処女”!!
なんかスッゲー侮辱。ムカついて視線を逸らした。
俺チョー弱い。今すげェ弱い。すげェくやしい。

「あー、拗ねんなよお前。」
「こっち向けよ」
片手で顎を掴んで向きを変えさせる。
熱っぽくてうっとりした目で俺を見つめてくるサンジ。
今さらながらコイツっていい顔してると再認識。パーツが整ってて、華奢っぽいけど男らしい顔。
そんな顔にウットリされてみろよ。
困ったことに悪い気がしねェの。
熱くて少しカサついた唇が近づいてきて
俺の口にねっとりとした感触。
唾液と煙草の匂い。
肌に感じる息遣い。

「な?俺とおかしくなろ…」
キスの合間に囁くそれは呪いの言葉。
だってほんとにおかしくなってきちまうんだもん。

微妙なタッチで俺のををいじくる手に耐えられず身を捩る。
自分でもねだるみてぇに腰をサンジの腕に押し付けてるってわかるけど、止められない。

「なぁ、態度じゃなくて言葉にしてよ。」

耳を舐りながら囁く。甘い声で囁かれる。

「ん、ん、ん」

いくら頭がぼおっとしてるからってそこまでは。
イカせてくれなんて仲間に言うのってどうなんだよ。

「…ダメなの?」

顔中に唇を押し当てては言葉をねだる。
コイツの為に俺、言わなきゃダメ?

「俺もっとオカシクなりそう。」
おそるおそる言葉を発しかけた俺の口を再び覆い、またサンケツになりそうなぐらい吸ってくる。
「……っ…!」
有り得ないところにサンジの手を感じて多少正気に戻る。
???どうしてンなとこ触ってんだ?!
そんな疑問符もぶっ飛んでしまうような熱い、甘いキスが降り注ぐ。
また俺はそれに夢中になって、頭が真っ白になって…
サンジの指の差し込まれた、ケツの穴がなんでだかグチャグチャ言ってるのも気がつかなかった。

「ああ、気持ち良さそうだなあ」
キスの合い間にそう呟く。
「ッ…な、にが…?」
ちゅる、と舌を絡めながら会話を紡ぐ。
さっきから俺のチンコにサンジの手は触れてないけど、今にも弾けそうなくらい感じたままだ。
脳みそが蕩けそうなくらい、と言ってもいいほどすげえ気持ちいい。
なんていうか、もうどうでもいいぐらい気持ちよくて、仲間の前でとかそういう恥ずかしさもなんも無くなっていた。
このまま、もっと何かが欲しかった。
「んん、サンジ、触って…くれよォ」
自然と口をついて出た言葉。
「ルフィ…はァ、マジたまんねェ、可愛いよお前」
そう言っていつしか差し込んでいた指と、片手の指も添え中をグリと掻き回した。
「っ?!」
な・何だ?!
言い様のない感覚が腰から全身を駆け巡る。
大きな衝動にぐらりと地面が揺らいだ様な気がした。
尚も指を蠢かされ、徐々にその感覚が快感であると思い知らされる。
俺のはもらした様に汁でベトベトで、これでもかというくらいデカくなっていく。
「なァ、ルフィ、もっと気持ちよく、なりてー…?」
いつもより数段低く、かすれ気味な声が囁いてくる。

こんな状態になってる俺に愚問じゃねえの?
「ウッン、なりてぇ、ヨッ」
おかしいのは俺かもしれない。
狂いそうなくらいの快感。はちきれそうなソレをどうにかして欲しくて。もどかしい快感。早くピリオドが欲しい。

「お前のココ、トロトロんなっててスゲー熱くて」
指を出し入れしている器官をより一層弄る。
「オレの入れたらサイコウに気持ちいいだろうなあ」
急に指が引き抜かれ、思わず声をあげる。その行動を非難するような不満そうな声。
刺激を与える物の無くなったソコはまたもやじれったい快感に支配され、次の快感を求めてヒクヒクしてる。
体の求めるまま催促を口に出そうとしたら、何か暖かいものがソコにあてがわれた。

「え…?」
朦朧としながらその正体を確かめようと目を開くと、ギンギンに張り詰めてるサンジのチンコがその先っちょでヒクつく俺の穴をつついてる光景に出くわした。

「っ…?!」

カアと頭が熱くなる。
今サンジがしようとしている行為の意味が俺の頭にある知識と結びついたから。

何コイツ…俺とセックスしようとしてるのか?!

体は相変わらず熱かったが頭は一気に冷却された。
だってそれって男と女でするモンだろ。
最初は好きな奴同士がするもんだと思ったけど最近は好きじゃなくてもやろうと思えば出来ちまうってわかったけど。

男と男でセックス?俺は聞いたことない。
でもこれってそうだよな。入れる穴があってまさにそこに入れようとしてるし。
散々俺にヤラシー事したのもコレという目標があったからであって。
ていうか最初からコイツがしてたのはセックス。

「ん?どうしたルフィ…?」
今さらながらこの行為の意味に気づいて頭がチカチカして固まってしまった俺を見て優しくサンジが問う。
今日はずっとおかしい奴だと思ってたけどその欲に浮かされた熱っぽい眼差しの中に何か想いの篭った暖かい感情が垣間見えた気がした。
いやホント、気がしただけなんだけど。
ただ溜まったモンどうにかしたくて俺を当たったのかもしれないし。
でも嬉しかった。

サンジが俺を求めて欲情してる。
俺が悦び感じて醜態晒しても興奮してくれるようなおかしいサンジ。
今もヤラシくヒクヒクしてる穴の入り口をデッカいモノで浅く突付いてる。
それを見つめる尋常じゃない視線がいかにも夢中ですよということを物語っている。

おかしいのは俺の方かもしれない。

だってそれが嬉しい。
コイツが俺に夢中なんだって。
いっつも女のケツばっか追っかけてるコイツが俺とセックスしたいんだって。

俺もいきなりなもんでよくわからない。
これが好きってことなのか。
独占欲を満たしてもらったただの満足感なのか。

心の整理もつかないままに体はどんどん追い上げられていく。
欲しくてたまらなかった。入り口でウロついてるその熱い塊が。
「イヤ、だ・サンジッ・・早く欲しいッ…」
俺が急に発した言葉にサンジの動きが一瞬止まる。
「止まんナよォッ、入れて、奥まで…ッ」
ごくりと嚥下する音が聞こえ、次いでルフィ、と小さく囁くと、熱い体が覆い被さってきて一気に貫かれた。

「ヒ、アァッ!!」
他人が入ってくる衝撃はこれまた何ものとも比べようがない。
痛いとかそういうのは無い。でもきっと普通のヤツだったら痛いに違いない。
俺のゴム質の器官が相当伸びてるっぽいから。伸びなきゃ切れて血が出ると思う。こういう時にはベンリかもな、俺の体。
思う様その熱の塊を味わう。俺の体の中でどんどん質量を増していく。
しばらくジっとしていたかと思うとゆっくりと出て行こうとする。
「ン、やァ…」
抜けていく感触により締め付けを強くするとフ、と辛そうな息を吐かれた。
「ちょっと、動かさせてくれよ…」
耳元で囁かれた。かと思うと言葉どおり大きなソレが戻ってくる。そしてまた、出て行く。
その行為が続くうちにまたしても張り詰めていくソレ。
サンジの息も荒く熱くなっていく。
「ク、マジたまんねえ…お前の中、スゲェ…」
気持ち良さそうに息を吐くその表情に俺も興奮してしまう。
サンジの全てが欲しくなった。
頭を掻き寄せて首に腕を絡める。
サンジも俺を抱き締める。熱い吐息と共にねっとりとキスを交わして、無意識に名前を呼んだ。
突然に体に再び衝撃的な快感が駆け巡る。
「フ、あっ?!」
ジンジンする俺の先端からまたビュク、と液体が溢れ出す感触がした。
サンジが二、三度出し入れを繰り返して再び同じ箇所に先が触れたかと思うとまた、痺れるような快感が走った。
快感の束を鷲掴みされたような、ちんこ握られるよりも凄い衝撃。
「アアッ!な・何だ?!」
思わず声が洩れた。するとサンジがにやりと笑った。
「あー、俺見つけちゃったみたいだなぁ、ルフィのイイとこ。」
そう言ってそのスゴイ場所に先っちょをグイグイと押し付けてくる。
「あん、ダメだッ…そこやったラ、出…ッ」
ひっきりなしにヘンな声が出てしまう。あまりの快感に涙が滲んできた。
「いいんだぜ、出して。イクとこ見せてくれよ?」
俺のに突付かれてイクとこ見せてくれよ。
耳元でまたいやらしいセリフを吐かれて一層熱が上がる。
「なぁ、ココ押してやるとスッゲ締め付けてくるぜ?」
嬉しそうなサンジの声。言われながらもまたギュとそこを刺激されてまた張り詰めたチンコから液が飛び出す。
「やめ、ヘンなこと言うなッ」
「ヘンじゃなくて事実だろ?あ、ホラ、またギューってなってる。」
「ッ!フッあっ、あ―ッ」
何度目かの刺激を感じて俺は一気に頂点まで上り詰めてしまった。

サンジが白濁した液を出すソコに手を絡めて搾り取るように射精を促すと、俺のに汚れたその手をペロリと舐める。
「…お前、自分でしょっちゅう抜いたりしてねェだろ。」
味わうように飲み込んで、お前らしいと笑った。
「まあこれからは俺が適度にたくさん出させてやるから心配すんな!」
にたりとされて荒い息の合い間に「どーいうことだ」と文句を入れる。

「好きだ」

「お前が好きでおかしくなっちまう」

いきなり真正面から言われた言葉に目を逸らせなくなった。
言葉を紡ごうとした所に、急激にサンジが突き上げてくる。
「あっ、待っ…!」
息を整える暇も無く容赦ない突き上げにどうしようもないくらい熱が渦巻く。

何も考えられないような激しい動き。
でもその中で俺はひとつの答えに行き着いていた。

好き。
サンジがおれを好き。

おれも、サンジが好きだ。

おれを好きだからサンジはおれにセックスを持ちかけた。

おれもサンジが好きだから、それを受け入れればいいんだ。

やっぱりセックスは好きな奴同士でやるもんなんだなと思った。


やがてさっきイってしまったあのポイントに狙いを定めてサンジが入ってきて、俺のも一度達したばかりだというのに張り詰めてきて、また駆け上がろうとした。
「ルフィ、ルフィ、も、少し待ってくんねェ?」
乱れた息の合い間からサンジが切羽詰った声を出してきた。
「ッ…んでっ?も、ガマンできね…ッ」
俺は本当に限界が来ていた。さっきよりもサンジを感じて体も心もどうにかなりそうで。
「一緒に、一緒にイキたい…っ」
うわごとのように俺の耳元に囁いてきた。
ああ、それ、なんかスゴイ気持ち良さそう…
「ワカッタ、から、早く…ッ」

よりサンジの動きが激しくなる。中のあの場所に激しく突き付かれて俺も狂ったようにサンジの動きに合わせて腰を振っていた。

「ああっも、ダメ…―」

とうとう達してしまった。
すると間を置かずにサンジも絶頂をむかえたようで。
腹の中にじわりと熱いものが広がった。
「ふあ、あ、ン…」
あまりの快感に身を捩ると、逃がすまいとサンジの手が俺の腰を捕らえて最後の一滴までその熱を注ぎ込む。

「はぁ、ルフィ、すげ、イイ…」

強く強く抱き締められ、サンジの熱さとか匂いとかにまた体が沸騰する。
時の経つのも忘れるほど、ずっとずっと抱き合っていた。




「おれ、も、お前のがウツッタかも。」
長い行為の後、身を繕ってから入った寝床の中でそう告げた。
サンジは一瞬目を丸くしたけど、照れて紅くなった俺を見てにんまりと意地悪い笑いを浮かべて言った。
「俺な、このおかしいの治す方法知ってるぜ。」
予想がつきそうな前置きをして。
「これはもうおかしくなくなるまで確かめ合うしかないよな!まあ、二人一緒ならずっとこのままでも俺は気にしねーけど。」
そう言ってにじり寄ってくるサンジを足蹴にしながら、
人を好きになったってここまでしてくるのはやっぱりおかしいのではないだろうかと
少し思い直したりした。


                                                  終