MEET THE NEKOSENNINPart3)<BACK>

 

 いづれの御時にか、教師生徒あまたさぶらひたまひけるなかに、いとやむごとなききはにはあらぬが、すぐれてときめきたまふありけり。そのものこそ算術師ネコ仙人。

 私、しもまっちと、相棒ちかぴゅうは、ネコ仙人に会うべく、妖怪どもの跋扈する岩手山麓を歩きつづけている。

 さて、今回は最終回。2人はうまくネコ仙人のもとにたどり着けるだろうか。

 

 サイコロ大王との戦いにも勝ち、私、しもまっちと相棒ちかぴゅうはネコ仙人のもとに向かって足取りも軽く、まっしぐらに歩いていった。ところが、しばらくいくと、4本の分かれ道にぶつかった。これが我々に待ち受けていた最後の難関だった。

 4本の道のうち、1つがネコ仙人の住処への道である。どの道がそうなのかは、その分岐点にいるモンスターに聞かなければわからない。で、そこにいるのはうそつきモンスター「うそぴょん」と正直モンスター「まじぽん」である。2人のどちらかに、YESNOで答えられる質問を2回して、道を当てなければならないという。もちろん姿を見ても、どちらが「まじぽん」なのか「うそぴょん」なのか全くわからない(笑)。

さあ、どうすればいいのだろう。

「他の道に行ったらどうなるのだろう。」

私が心配して言うと、ちかぴゅうが近くにある立て札を見て

1本は『進学指導ばりばりコース』と書いてあるだに。」という。

「どれどれ。ほほう。もう1本は『数学やめて出世コース』とかいてあるぞ。あと1本は『数学やめてのんびりコース』か。」うーん。他の道にしよっかな。私は一瞬心が動いたが、我々はネコ仙人のもとにいく鉄の意志でもってここまでたどり着いたのだ、と思い出し我に返ったのだった。

 

相棒ちかぴゅうが一生懸命考えてつぶやいている。

「例えば出てきたモンスターに、『あなたはうそぴょんで、なおかつA,Bの一方がネコ仙人の道、であるか、または、あなたはまじぽんで、C,Dの道の一方がネコ仙人の道かのどちらかですか』と聞くのはどうだにか……。ねえ、すもまっち。」

ちかぴゅうは私を「すもまっち」と訛って呼ぶほど不安だったのだろう。しかし、私、しもまっちは、ちかぴゅうの不安を横目で見ながら、むふふとほくそえんでいたのだった。

「我に策あり。実はこの問題は、私が高校生のときに、中公新書から出版された、「ネコ仙人の師」ともいわれるあの野崎先生著の「詭弁論理学」でハマッたパズルだったんよ。あれを読んで数学の道を目指そうと思ったものさ。」

 

勝ち誇ったように私はいばった。確かこの本によると(P.138ケネディの問題)、道が2本で質問が1回のときは、(一方の道を指さしながら)『あなたはこの道がネコ仙人の道かと聞いたとき、はいと答えますか』といえば良かった。

 うん。これはうまい質問だ。もし、その道が本当にネコ仙人の道で、出てきたモンスターがまじぽんだったら、もちろん「はい」と答えるだろう。また、出てきたのがうそぴょんのときは、『この道がネコ仙人の道か』と聞かれたとき、必ずうそを答えるから「いいえ」というはず。ということは、さっきの質問に「いいえ」と答えれば本当のことをいったことになるので、「はい」とうそを言わざるを得ない。だから、どちらのモンスターがでてきても「はい」のときは、その道がネコ仙人の道なのだ。同じように考えて、「いいえ」のときはその道がネコ仙人の道ではないことになる。さて、今は道が4本で、質問が2回だから、道を2つに分割して最初の質問でA,BC,Dのどちらかにあるかを決定し、次に残った2本の道についても同様の質問をすればよい。

 

私、しもまっちと相棒ちかぴゅうは、難なく質問をこなし、見事にネコ仙人への道を突き止めた。しばらく歩くと、山の頂付近に、大きな建物がそびえたっているのが見えた。あれがネコ仙人の住処だ!

 

 やったぜい。我々はついにネコ仙人のもとへ到達した。入り口のドアを見ると、そこには「ネコ仙人の住処」という貼り紙がある。ところがその脇に小さな文字が書かれていた。「岩手大学小宮山研究室」。

「あれ」

「あれ」

2人から同時に言葉が漏れた。トントン。ドアをノックする。「はあい。どうぞー」

「あれれ」

なんと、聞きなれた小宮山先生の声じゃあないか。ドアを開けると……

「あれれれ」

「やあ下町さん遅かったじゃないの」エドワード宮本だ。「今日は来ないと思っていましたよ」若手の下河原・Aがいう。

「あれれれれれ」

なんでサークルの皆がいるの。「私も今アメリカから駆けつけたところです」火の玉佐々木が笑っている。デビュー間近の川村氏や「全国区」の大内氏、冬になると現れる高屋敷氏もみんなソファにくつろいでいる。そして、その真中に鎮座しているのはネコ仙人。

「あれれれれれれれれ」

どんあっているの?「じゃあ、しもまっちが来たところで始めようかの。最初は下河原Aの3次曲線と幾何総集編複素数バージョンPART7からじゃ。」ネコ仙人がいう。

なんてこったい。ん?ちょっと待て。誰か足りないぞ。そうだ。ザビエル伊藤がいないじゃん。……ザビエル伊藤はどこへ行った?……でも、いないのにこの自然さはなんなんだ。……むむ。そうか。するってえとネコ仙人っていうのはもしかして……。

(完)

 

というわけで、3回の細切れ連載でしたが、私ことしもまっちがいいたかったのは、実はサークル活動の楽しさにつきます。私は今、凄まじい進学指導の中にいますが、そんな中、我を見失わないための軸足の1つとして、サークル活動が大きな糧となっています。

 皆さんの周りにもサークル活動がありますか。もし無かったら作りましょう。そして、私たちの杜陵サークルと交流してみませんか。

 

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