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「大運天中殺の過ごし方」 若年期に回る場合
大運天中殺とは人生の不自然融合の時です。そのため、希望と異なる方向に運勢が進みやすいのですが、人生が思うようにいかない場合と、逆に思った以上に伸びてしまう場合とがあります。いずれの現象に出るか、この判別は非常に難しいものですが、例を用いて考察してみましょう。
ベッカム | 10 | 己 | 卯 | ||||||
1975,5,2 | 20 | 戊 | 寅 | ||||||
戊 | 庚 | 乙 | 30 | 丁 | 丑 | ||||
寅 | 申 | 辰 | 卯 | 40 | 丙 | 子 | |||
卯 | 50 | 乙 | 亥 | ||||||
牽牛星 | 天恍星 | 60 | 甲 | 戌 | |||||
鳳閣星 | 貫索星 | 牽牛星 | 70 | 癸 | 酉 | ||||
天胡星 | 鳳閣星 | 天南星 | 80 | 壬 | 申 | ||||
サッカーのベッカム選手です。10才〜30才の20年間、大運天中殺が回ります。
少年時代から非凡さを見せ11才の時サッカーのコンテストで全国優勝します。14才で練習生、17才でプロ契約を結び、19才でトップチームでデビューを果たしますその後の活躍はご承知の通り今や世界的スターの座に登りつめました。(現在28才) これは典型的な大運天中殺での成功の形です。(彼の成功には他にも様々な要因がありますが、ここでは大運天中殺に的を絞って説明します。
一般に大運天中殺で飛躍するには次の条件が必要です。
1.最初の5年で波に乗る事
2.肉親に大きく運勢を伸ば している者がいない事
3.動乱の環境にいる事
4.家庭的に幸せでない事
1.については、運勢が不自然な時であるため積極的に動くと異常なスピードが出せます。スピードを最高まで上げるには大運天中殺の始めからダッシュをかけることです終わる頃に動いても加速できません。(彼のように11才でコンテスト優勝というのはピッタリのタイミングです。
2.については、肉親の運勢がむしろ下がっている方が本人の運勢は加速できます。一家全体が低迷しているのに自分だけ伸びるというのは、まさに不自然な姿だからです。
3.は、動乱の世界の方が異常な伸び方をしやすいからです。スポーツ選手・芸能人・政治家・実業家等、安定を約束されない職業の方が大成功の可能性があります。つまり、公務員やサラリーマン等安定志向の生き方では異常性を発揮する場がないため大きく伸びることができません。
4.は、仕事は動乱・家庭は平和と考えるため、仕事は飛躍する可能性があるが、本来平和である家庭は乱れやすいのです。つまり大運天中殺で成功すると家庭が不幸になるのですが、逆に言うと家庭が不幸な方が仕事は成功するということになります。(ベッカムの両親は昨年離婚しましたが、少年時代から幸せで安定した家庭だと大運天中殺で成功しにくくなります。)
彼の場合は、以上の条件に適合するため若くして大成功しましたが、実は決して良いことではないのです。4つの条件を活かして成功し、太く短く生きるのも一つの人生かも知れませんが、算命学では決して勧めていません。
まず、大運天中殺で波に乗ってしまうと、運勢の休息ができず、「生き急ぎ」となってしまうからです。その後、運勢が「息切れ」を起こし、それまでの生き方を持続できなくなるばかりか、何らかの状態で人生が行き詰まりますまた、家庭が不幸になり、離婚・死別・子供の運勢が犠牲等のいずれかが起こります。
土光 敏夫 | 8 | 戊 | 戌 | ||||||
(元経団連会長) | 18 | 己 | 亥 | ||||||
M29,9,15 | 28 | 庚 | 子 | ||||||
辛 | 丁 | 丙 | 38 | 辛 | 丑 | ||||
戌 | 未 | 酉 | 申 | 48 | 壬 | 寅 | |||
亥 | 58 | 癸 | 卯 | ||||||
牽牛星 | 天将星 | 68 | 甲 | 辰 | |||||
貫索星 | 玉堂星 | 78 | 乙 | 巳 | |||||
天堂星 | 天禄星 | 88 | 丙 | 午 |
私が知る中で、最も見事に大運天中殺を活かしたのが、この土光さんです。この方も若くして大運天中殺が回りますが、若い時は「失敗と挫折の連続」と本人も語る通り、4度も受験に失敗し、卒業後石川島造船所に入社します。
大運天中殺は運勢を休息させ、力をためるべき時です。それには失敗しては学び成果を求めないことです。
その後、経営難の石川島等を再建、85才で中曽根首相から請われて臨調会長に就任92才で天寿を迎えました。
何故、大運天中殺で入社した石川島で活躍できたのか。
それは「無欲」で過ごしたからに他なりません。そしてその土台には大運天中殺での失敗と苦労があります。
造船疑獄で逮捕されるも、検察が「実に立派な人だ」と言って不起訴となることや、政財界との夜の宴会を断り続け、経団連会長時には収入の大半を寄付し毎年100万円しか残らずそれで生活していた等々逸話が多々あります。
この年代に大運天中殺が回る人は、いやでも社会に出なければならないでしょうが、社会に対して無欲であれば何も問題はありません。そのため、この年代に大運天中殺が回る人は無欲の人生が求められているということです。
ベッカムのように大成功した場合は、異常に伸び過ぎた分をなくす必要があります。それには、まず引退するのが一番ですが、人間成功を味わってしまうと人生観を変えることができず、何らかの禍が起こることによって伸ばしすぎた運勢を減らすしかなくなることが多いです。
算命学では「天中殺には勉強しろ」と言いますが、この勉強とは「己を高める」ことであり、決して利益や学歴のためのものではありません。
無欲でさえいれば、天中殺で入社した会社で出世しても大丈夫ですし、大運天中殺で結婚しても恐くはないのです。
朱学院副校長 佐藤直樹
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