6−2 それ以後の現れ

トマスへの現れ


紀元33年 エルサレム
ヨハネ20:24-29

十二弟子のひとりで、デドモと呼ばれているトマスは、イエスがこられたとき、彼らと一緒にいなかった。
ほかの弟子たちが、彼に「わたしたちは主にお目にかかった」と言うと、
トマスは彼らに言った、「わたしは、その手に釘あとを見、わたしの指をその釘あとにさし入れ、また、わたしの手をそのわきにさし入れてみなければ、決して信じない」。
八日ののち、イエスの弟子たちはまた家の内におり、トマスも一緒にいた。戸はみな閉ざされていたが、イエスがはいってこられ、中に立って「安かれ」と言われた。
それからトマスに言われた、「あなたの指をここにつけて、わたしの手を見なさい。手をのばしてわたしのわきにさし入れてみなさい。信じない者にならないで、信じる者になりなさい 」。
トマスはイエスに答えて言った、「わが主よ、わが神よ」。
イエスは彼に言われた、「あなたはわたしを見たので信じたのか。見ないで信ずる者は、さいわいである 」。


【動画】見ないで信ずる者は,さいわいである


弟子たちへの現れ
大漁[奇跡]


紀元33年 ガリラヤの海
ヨハネ21:1-14

そののち、イエスはテベリヤの海べで、ご自身をまた弟子たちにあらわされた。そのあらわされた次第は、こうである。
シモン・ペテロが、デドモと呼ばれているトマス、ガリラヤのカナのナタナエル、ゼベダイの子らや、ほかのふたりの弟子たちと一緒にいた時のことである。
シモン・ペテロは彼らに「わたしは漁に行くのだ」と言うと、彼らは「わたしたちも一緒に行こう」と言った。彼らは出て行って舟に乗った。しかし、その夜はなんの獲物もなかった。
夜が明けたころ、イエスが岸に立っておられた。しかし弟子たちはそれがイエスだとは知らなかった。
イエスは彼らに言われた、「子たちよ、何か食べるものがあるか」。彼らは「ありません」と答えた。
すると、イエスは彼らに言われた、「舟の右の方に網をおろして見なさい。そうすれば、何かとれるだろう 」。彼らは網をおろすと、魚が多くとれたので、それを引き上げることができなかった。
イエスの愛しておられた弟子が、ペテロに「あれは主だ」と言った。シモン・ペテロは主であると聞いて、裸になっていたため、上着をまとって海にとびこんだ。
しかし、ほかの弟子たちは舟に乗ったまま、魚のはいっている網を引きながら帰って行った。陸からはあまり遠くない五十間ほどの所にいたからである。
彼らが陸に上って見ると、炭火がおこしてあって、その上に魚がのせてあり、またそこにパンがあった。
イエスは彼らに言われた、「今とった魚を少し持ってきなさい」。
シモン・ペテロが行って、網を陸へ引き上げると、百五十三びきの大きな魚でいっぱいになっていた。そんなに多かったが、網はさけないでいた。
イエスは彼らに言われた、「さあ、朝の食事をしなさい」 。弟子たちは、主であることがわかっていたので、だれも「あなたはどなたですか」と進んで尋ねる者がなかった。
イエスはそこにきて、パンをとり彼らに与え、また魚も同じようにされた。
イエスが死人の中からよみがえったのち、弟子たちにあらわれたのは、これで既に三度目である。


【動画】わたしの羊を養いなさい


羊を養いなさい


紀元33年 ガリラヤ
ヨハネ21:15-19

彼らが食事をすませると、イエスはシモン・ペテロに言われた、「ヨハネの子シモンよ、あなたはこの人たちが愛する以上に、わたしを愛するか 」。ペテロは言った、「主よ、そうです。わたしがあなたを愛することは、あなたがご存じです」。イエスは彼に「わたしの小羊を養いなさい 」と言われた。
またもう一度彼に言われた、「ヨハネの子シモンよ、わたしを愛するか 」。彼はイエスに言った、「主よ、そうです。わたしがあなたを愛することは、あなたがご存じです」。イエスは彼に言われた、「わたしの羊を飼いなさい 」。
イエスは三度目に言われた、「ヨハネの子シモンよ、わたしを愛するか 」。ペテロは「わたしを愛するか」とイエスが三度も言われたので、心をいためてイエスに言った、「主よ、あなたはすべてをご存じです。わたしがあなたを愛していることは、おわかりになっています」。イエスは彼に言われた、「わたしの羊を養いなさい。
よくよくあなたに言っておく。あなたが若かった時には、自分で帯をしめて、思いのままに歩きまわっていた。しかし年をとってからは、自分の手をのばすことになろう。そして、ほかの人があなたに帯を結びつけ、行きたくない所へ連れて行くであろう 」。
これは、ペテロがどんな死に方で、神の栄光をあらわすかを示すために、お話しになったのである。こう話してから、「わたしに従ってきなさい 」と言われた。

【解説】
イエスが3回も「わたしを愛するか」と言われたのは、ペテロが3回、イエスを知らないと言ったことがあったからである。
(関連 5−5「ペテロ、イエスの知己であることを否定する」
(参考 「わたしの兄弟ペテロ」

ヨハネが身を変えられるとの教え


紀元33年 ガリラヤ
ヨハネ21:20-23,教義と聖約7:1-8

ペテロはふり返ると、イエスの愛しておられた弟子(ヨハネ)がついて来るのを見た。この弟子は、あの夕食のときイエスの胸近くに寄りかかって、「主よ、あなたを裏切る者は、だれなのですか」と尋ねた人である。
ペテロはこの弟子を見て、イエスに言った、「主よ、この人はどうなのですか」。
主はヨハネに言われた。「わたしの愛するヨハネよ、あなたは何を望むか。あなたの欲することを求めれば、授けられるであろう。」
そこで、ヨハネは主に申し上げた。「主よ、わたしが生き長らえて、人々をあなたのみもとに導くことができるように、死を制する力をお与えください。」
すると、主はヨハネに言われた。「まことに、まことに、あなたに言う。あなたがこれを望んでいるので、わたしが栄光のうちに来るときまであなたはこの世にとどまり、もろもろの国民、部族、国語の民、民族の前で預言するであろう。」
そしてこのために、主はペテロに言われた。「わたしが来るときまで彼がこの世にとどまっていることを、わたしが望んだとしても、それがあなたに何の関係があろうか。彼は人々をわたしのもとに連れて来ることを望んだが、あなたはわたしの王国においてわたしのもとに速やかに来ることを望んでいるからである。
わたしはあなたに言う。ペテロよ、これは善い望みであった。しかし、わたしの愛する者はそれ以上のこと、すなわち、彼がこれまで行ってきたことよりもさらに大いなる業を人々の中で行うことを望んだ。
まことに、彼はさらに大いなる業を引き受けた。それゆえ、わたしは彼を燃える火のようにし、また仕える天使とする。地上に住んでいる救いを受け継ぐ者のために、彼は仕えるであろう。
また、わたしはあなたを、彼とあなたの兄弟ヤコブのために仕えさせよう。そして、わたしはあなたがた3人に、わたしが来るときまでこの力とこの務めの鍵とを授けよう。
まことに、わたしはあなたがたに言う。あなたがたは2人とも、望みどおりに与えられるであろう。あなたがたは2人とも、望んだことを喜びとしているからである。」

おびただしい人々への現れ


紀元33年 エルサレム
1コリント15:6

そののち、500人以上の兄弟たちに、同時に現れた。

ヤコブへの現れ


紀元33年 エルサレム
1コリント15:7

そののち、ヤコブに現れた。

弟子たちへの現れ


紀元33年 ガリラヤ
マタイ28:16-20,マルコ16:15-18,使徒1:3-8


イエスは苦難を受けたのち、自分の生きていることを数々の確かな証拠によって示し、四十日にわたってたびたび彼らに現れて、神の国のことを語られた。
そして食事を共にしているとき、彼らにお命じになった、「エルサレムから離れないで、かねてわたしから聞いていた父の約束を待っているがよい。
すなわち、ヨハネは水でバプテスマを授けたが、あなたがたは間もなく聖霊によって、バプテスマを授けられるであろう」。
さて、弟子たちが一緒に集まったとき、イエスに問うて言った、「主よ、イスラエルのために国を復興なさるのは、この時なのですか」。
彼らに言われた、「時期や場合は、父がご自分の権威によって定めておられるのであって、あなたがたの知る限りではない。
ただ、聖霊があなたがたにくだる時、あなたがたは力を受けて、エルサレム、ユダヤとサマリヤの全土、さらに地のはてまで、わたしの証人となるであろう」。


さて、十一人の弟子たちはガリラヤに行って、イエスが彼らに行くように命じられた山に登った。
そして、イエスに会って拝した。しかし、疑う者もいた。
イエスは彼らに近づいてきて言われた、「わたしは、天においても地においても、いっさいの権威を授けられた。
それゆえに、あなたがたは行って、すべての国民を弟子として、父と子と聖霊との名によって、彼らにバプテスマを施し、
あなたがたに命じておいたいっさいのことを守るように教えよ。見よ、わたしは世の終りまで、いつもあなたがたと共にいるのである。
全世界に出て行って、すべての造られたものに福音を宣べ伝えよ。
信じてバプテスマを受ける者は救われる。しかし、不信仰の者は罪に定められる。
信じる者には、このようなしるしが伴う。すなわち、彼らはわたしの名で悪霊を追い出し、新しい言葉を語り、
へびをつかむであろう。また、毒を飲んでも、決して害を受けない。病人に手をおけば、いやされる 」。

昇天


紀元33年 ユダヤ、ベタニヤ
マルコ16:19,ルカ24:50-51,使徒1:9-11


それから、イエスは彼らをベタニヤの近くまで連れて行き、手をあげて彼らを祝福された。
イエスは彼らの見ている前で天に上げられ、雲に迎えられて、その姿が見えなくなった。
イエスの上って行かれるとき、彼らが天を見つめていると、見よ、白い衣を着たふたりの人が、彼らのそばに立っていて
言った、「ガリラヤの人たちよ、なぜ天を仰いで立っているのか。あなたがたを離れて天に上げられたこのイエスは、天に上って行かれるのをあなたがたが見たのと同じ有様で、またおいでになるであろう」。

弟子たち、エルサレムに戻る


紀元33年
マルコ16:20,ルカ24:52-53,使徒1:12

彼らはイエスを拝し、非常な喜びをもってオリブという山を下ってエルサレムに帰った。
この山はエルサレムに近く、安息日に許されている距離のところにある。
弟子たちは出て行って、至る所で福音を宣べ伝えた。主も彼らと共に働き、御言に伴うしるしをもって、その確かなことをお示しになった。
そして、絶えず宮にいて、神をほめたたえていた。

ヨハネの結びの言葉


ヨハネ20:30-31,21:24-25

イエスは、この書に書かれていないしるしを、ほかにも多く、弟子たちの前で行われた。
しかし、これらのことを書いたのは、あなたがたがイエスは神の子キリストであると信じるためであり、また、そう信じて、イエスの名によって命を得るためである。
これらの事についてあかしをし、またこれらの事を書いたのは、この弟子である。そして彼のあかしが真実であることを、わたしたちは知っている。
イエスのなさったことは、このほかにまだ数多くある。もしいちいち書きつけるならば、世界もその書かれた文書を収めきれないであろうと思う。

キリストの生涯と教え

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