単語家族 和語編

【体】

<み>              中身

身                  み
  禊                みそぎ          =身そそぎ
  自                みずから        =身つから
  蛻                もぬけ          =身脱げ
  幹                みき            =身木
  孤児              みなしご        =身無し子
実                  み
  実る・稔る        みのる          =実成る
耳                  みみ            顔についている実のような形のもの
  木菟・角鴟        みみずく        =耳付く。耳のような羽毛があることから。
空しい・虚しい      むなしい        =実無し
骸・躯              むくろ          =みから(身幹)
みすぼらしい        みすぼらしい    =身+すぼむ+らしい。身が細くて貧弱。
のみ                のみ            =~の身。そのこと一つに限る意を表す助詞。「学生のみ」等。



<から>            外殻

殻                  から
体                  からだ
亡骸                なきがら
空                  から            外側だけで、中身は空
  空っぽ            からっぽ
軽い                かるい          からになって、軽くなる
  軽やか            かろやか
  軽んずる          かろんずる
枯れる              かれる          死んで、からになる
  枯らす            からす
  殺す              ころす          「枯らす」の転
  木枯・凩          こがらし
  尽れる・末枯れる  すがれる        草木の葉先や梢が、冬が近づいて枯れ始める。
涸れる              かれる          乾燥して、からからになる。
  辛い              からい          のどが涸れるような味。
    鹹い            からい          塩からい
    辛子・芥子      からし
    辛うじて        かろうじて
    からがら        からがら        かろうじて。「命からがら」など。
嗄れる              かれる          声が嗄れる。
  嗄れる            しわがれる      しわ(唇)かれる(嗄)
  しゃがれる        しゃがれる      しわがれるの転。
おから              おから          =御殻
柄                  がら            からだ(体)の転。骨格をなすもの→本来そなわる性格。
                                    着物の柄というときは、着物の骨格となる模様のこと。
カラカラ            からから
  カラリ            からり
  ガラガラ          がらがら
ガラン              がらん
  がらんどう        がらんどう      =がらん(空)どう(空洞)。



<しわ>            唇

しわぶる            しわぶる        口に入れてなめる。
  しゃぶる          しゃぶる        =しわぶる
咳く                しわぶく        しわ(唇)ふく(吹)
  咳                しわぶき



<くち>            口

口                  くち
唇・脣              くちびる        =口べり(縁)
轡                  くつわ          =口輪
靴・沓・履          くつ            足に食いつくもの。他の説では「く(木)つ(つっかけ)」



<した>            舌

舌                  した
簧                  した            リード。オーボエ、クラリネットなどの楽器の板状薄片。



<は>              生え出ているもの

葉                  は
歯                  は
  食む              はむ            =歯む
    馬銜・羽目      はみ・はめ      =食み。馬に噛ませる轡(くつわ)。「はめをはずす」等。
    食み出す        はみだす
  はむかう          はむかう        =歯向かう
  はにかむ          はにかむ        =歯に咬む。歯が不ぞろいに生える→歯をむき出す。
  牙                きば            =切歯
  鯖                さば            =小歯。歯が細かく小さい魚。
羽                  は・はね
  羽ばたく          はばたく
  育む              はぐくむ        =羽包む。親鳥がその羽で雛をおおいつつむ。
  蝿                はえ            =は(羽)はえ(延)。羽をふることから。
  蜂                はち            =は(羽)ち(霊)
    蓮              はす            「蜂の巣」の転。蓮根の穴が蜂の巣に似ているから。
    似我蜂          じがばち        ジガジガと鳴く蜂。
  矧ぐ              はぐ            =羽ぐ。竹に羽をつけて矢を作る。
刃                  は              前歯が物を切るようすから。
  刃                やいば          =焼き刃
  刀                かたな          =片の刃
  斧                おの            =お(小)な(刃)。
    手斧            ちょうな・ちょんのう
                                    =ておの。材木を欠き取る大工道具。
  鍔・鐔            つば            =とめ(留)は(刃)。刀の柄につける板。
  切羽              せっぱ          =添え刃。刀のつばを留める金具。「切羽詰まる」等。
  鍬                くわ            =く(掻)は(刃)
    企てる          くわだてる      畑にくわを立てて仕事を始める
                                    別説)くひびす(かかと)立つ
生える              はえる          葉が出る
  生やす            はやす
  林                はやし          =生やし
  囃し              はやし          生える→勢いを付ける
    囃す            はやす
    囃す            そやす          そそのかし、はやす。「誉め囃す」等。
  萩・芽子          はぎ            =はえき(生芽)。毎年古い木から芽を出す習性があるから。
    おはぎ          おはぎ          萩のもち。煮た小豆でくるむと萩の花を散らしたように見えるから。
映える・栄える      はえる          光が出る
  映え・栄え        はえ            映え:照り輝く、引き立つ。「夕映え」等。
                                    栄え:立派に見える、栄光。「栄えある勝利」「見栄えがする」等。
  面映い            おもはゆい      顔を見るのがまぶしい→はずかしい。
  こそばゆい        こそばゆい      こそ=こそこそくすぐる、はゆい=耐え難い。
速い・早い          はやい          勢いを付け、速い。早い=時間。速い=速度。
  速まる・早まる    はやまる
  速める・早める    はやめる
  はや              はや            「はや半年」等。
  素早い            すばやい
  すばしこい        すばしこい      =す+速し+こい
  敏い・捷い        はしこい        =速し+こい。すばしこい。
  最早              もはや
  隼                はやぶさ        =速翼。ハヤブサは速く飛ぶ。
  隼人              はやと          =速人。古代、薩摩・大隅に居住した人々。
  鮠                はや・はえ      =はや(速)。泳ぐのが速い魚。
逸る                はやる          速く行こうとする気持ちになる。
流行                はやり          勢いに乗る。
  流行る            はやる
端                  は              生え出たものの先端。
  半端              はんぱ
辺                  へ              は(端)と同系。
  下手              へた            端にいる→巧みでない。
  縁                へり            =へ(辺)り
  縁                ふち            =へち(辺所)
幅・巾              はば            =端端。端から端まで。
  憚る              はばかる        =幅かる。幅があって入りかねる→遠慮する。
    憚り            はばかり        言うのを憚る場所。トイレ。
  阻む              はばむ          =幅む。幅のあるもので妨げる。
  拒む              こばむ          =こわ(強)はばむ(阻)
初                  はつ            =端つ
  夙に              つとに          =はつと(初時)に。早くから。「夙に有名」等。
    努める・勉める  つとめる        朝早くから努力する。「完成に努める」等。
    勤める・務める  つとめる        朝早くから勤務する。
                                    勤める:勤務。「会社に勤める」等。
                                    務める:任務。「議長を務める」等。
    勤まる・務まる  つとまる



<はな>            突き出ているもの

端                  はな
鼻                  はな
  餞・贐            はなむけ        =鼻向け。旅立つ人の馬の鼻を行く方向に向けてやる。
  洟                はな            鼻水。「洟も引っ掛けない」等。
花・華              はな            花:一般的。「花も実もない」「花の都」等。
                                    華:形容的。「華やか」「華々しい」等。
  華やか            はなやか
  華やぐ            はなやぐ
  橘                たちばな        =立花。目立つ花。
    酢橘            すだち
    枳・枸橘・枳殻  からたち        「唐たちばな」の略。
  英                はなぶさ        =花房
  はんなり          はんなり        =花なり。華やかだが落ち着いた。
塙                  はな
  塙                はなわ          山の差し出た場所。小高いところ。
甚だ                はなはだ        =はなはな。突き出して目立つ→程度が大きい。
  甚だしい          はなはだしい



<はし>            両側

端                  はし            棒の両側
  はしたない        はしたない      =端た無い。どっちつかず。
  端折る            はしょる
  端くれ            はしくれ        くれ=小さな塊
  端                はした          中途半端。端金(はしたがね)、端女(はしため)等。
  端無くも          はしなくも      これといったきっかけなく。思いがけず。
橋                  はし            両側の川岸を結ぶもの
  桟                かけはし        =掛け橋
箸                  はし            両側からご飯を挟むもの
柱                  はしら          屋根と土台を結ぶもの
挟む・挿む          はさむ          両側からものを挟む
  挟まる            はさまる
  鋏                はさみ          両側から挟んで切るもの
  鋏む・剪む        はさむ          挟みで切ること。
間・狭間・迫間      はざま          挟まれた場所
  硲                はざま          谷間。
始まる              はじまる        端から始まる
  始める            はじめる
  始め・初め        はじめ          始め=開始。初め=最初。
  初めて            はじめて
嘴                  はし
  嘴                くちばし        口についている挟む部分
梯子                はしご          =上側と下側を結ぶもの。
足・脚・肢          あし            体の端。
                                    足:足首から先。脚:腿から下。肢:股から分かれた部分。
  跡・痕・址        あと            =足所。跡:痕跡、相続。「車輪の跡」「父の跡を継ぐ」等。
                                    痕:傷あと。址:建物のあと。
  後                あと            跡の意味の拡張。足跡がうりろに出来ることから。後:うしろ。
  歩く              あるく          =足りく。
  歩む              あゆむ          =足ゆむ。
    歩み            あゆみ
  馬酔木            あしび          =足痺
  家鴨・鶩          あひる          =あしひろ(足広)
  銭                あし            銭が足があるように世の中をめぐるから。
艀                  はしけ          =端け。陸と停泊中の本船との間を、乗客や貨物を乗せて運ぶ小舟。
端・傍              はた            はし(端)と同源。
  辺・際・畔        ほとり
    程              ほど            ほとり(辺)の転。
    殆ど            ほとんど        「ほとほと」の転。近いところまで。
  果たす            はたす          端(最後)まで行う。
    果てる          はてる          限界に行きつく→おわる、なくなる。
    果て            はて            遠くの端。
    果して          はたして        思っていたとおり。ほんとうに。「果して、どうなるか」等。
    ばてる          ばてる          「はてる」の転。力がつきる。
  働く              はたらく        「果たす」の転。仕事を果たす。
  僅か              わずか          はつか(端所)
  解れる            ほつれる        はつる(端)の転。端から解ける。
  蔕                へた            =はた(端)
  削る              はつる          =端つる。端から少しずつ削る。
恥                  はじ            =はじ(端)。末端にいる劣等感。
  恥じる・羞じる・愧じる・慙じる
                    はじる
  恥らう            はじらう
  恥ずかしい        はずかしい
  辱める            はずかしめる



<め>              開いて出るもの

芽                  め
  芽ぐむ            めぐむ          =め(芽)ぐむ(含)。芽を出す。
  萌える            もえる          =芽える。芽が出る。
  萌やす            もやす
  萌やし            もやし          「萌やす」の名詞形。芽がでたばかりのもの。
  籾                もみ            =萌える実
目・眼              め・ま
  見る              みる            =目入る。一般的にみる。
    見える          みえる
    見せる          みせる
    見える          まみえる
    視る・観る      みる            視る=調査。観る=見物。
    診る・看る      みる            診る=診察。看る=世話。
    店              みせ            =見せ。客に見せる棚に由来する。
    醜い            みにくい        =見にくい
    認める          みとめる        =見留める
    惨め            みじめ          =見じ目。見ることができない目にあう。
    土産            みやげ          =見上げ
    南              みなみ          =皆見
    皆              みな・みんな    =見並。並んでいるすべてのもの。
    貢ぐ            みつぐ          =見継ぐ。見守り続ける→面倒をみる→金品をおくる。
    見付ける        みつける
      めっけ物      めっけもの      =見つけ物。掘出し物。
    みっともない    みっともない    =見たくも無い
    見なす          みなす          =見成す
    見事            みごと          見るべき事。きわだってすぐれていること。
    瞳・眸          ひとみ          =人見
    眉目            みめ            =見目。見た目。容貌。
    見栄・見得      みえ            =見え。他人を意識して見せる。
    ミスミス        みすみす        =見す見す。目の前にあるのに。「みすみす取り逃がす」等。
  眼                まなこ          =目の子
  眦                まなじり        =目の尻
  目尻              めじり
  めくじら          めくじら        =目く尻
  瞼                まぶた          =ま(目)ふた(蓋)
  眉                まゆげ・まゆ    =目上毛
    繭              まゆ            形が眉毛に似ているから
    黛              まゆずみ        =眉墨
  睫                まつげ          =目つ毛
    松              まつ            葉が睫に似ているから
  眼間・目交        まなかい        =目の交い。目と目との間。
  眼差              まなざし
  瞬く              またたく        =ま(目)たたく(叩)
  瞬く              まばたく        =ま(目)はたく(叩)
  瞬ぐ              まじろぐ        =ましりぞく(目退)
  微睡む            まどろむ        =目とろむ
  盲・瞽            めくら          =目暗
  眩暈              めまい          =目舞
  眼鏡              めがね
  目覚める          めざめる
    目覚しい        めざましい
  眩い              まばゆい        =目映い
    眩しい          まぶしい        「まばゆい」の転。
  紛う              まがう          =目交う。入り混じって見分けにくい。
    紛れる          まぎれる
    紛らす          まぎらす
    紛らわす        まぎらわす
    紛らわしい      まぎらわしい
    紛らかす        まぎらかす
    紛れ            まぐれ          見分けにくい中で当たる→偶然。
    まやかす        まやかす        「まぎらかす」の転。
    めまぐるしい    めまぐるしい    =目+紛う+しい
    マゴマゴ        まごまご
    まごつく        まごつく
  正                まさ            =目さ。「さ」は方向。目の向く方向。
    正に・将に・当に  まさに
    正しく          まさしく
    まさか          まさか          =正か。本当か→いくらなんでも。
    柾              まさ            木材の木目が、まっすぐに通っているもの。
  恵む              めぐむ          =目苦む。見る目も苦しいので憐れむ。
    愛し            めぐし          =目苦し。かわいくいとおしい。
    めんこい        めんこい        「めぐし」の音転。かわいい。
  召す              めす            =目す。目の前に来させる。
    飯              めし            召し上がる物。
  前                まえ            =ま(目)へ(方)。目が向いている方。
  窓                まど            =目戸
  目合              まぐわい        =目食合い。目と目を合わせて心を通じる。
  妾                めかけ          =目掛け。目を掛ける者→正妻以外の養う女。
  目処              めど
  的                まと            =目処
  目星              めぼし
    目ぼしい        めぼしい        =目星い
  目一杯            めいっぱい      はかりの目盛一杯まで→精一杯努力して。
  目張り            めばり          目=隙間。物の隙間を紙などで張りふさぐこと。
  眼張              めばる          目が張り出た魚。フサカサゴ科の海産の硬骨魚。
  鮪                まぐろ          =目黒。目の黒い魚。
  鮫                さめ            =さめ(狭目)
  蚯蚓              みみず          =目見ず。目のない虫。
  マジマジ          まじまじ        =目じ目じ。「まじまじと見る」等。
  メッキリ          めっきり        =目きり。目立っているさま。



<ひた>            正面

直                  ひた
額                  ひたい          =ひた(直)ひ(日)。日に当たるところ。
頓・只管            ひたすら
  直走る            ひたはしる      ひたすら走る。
頓                  ひたぶる        =ひた(直)ぶる。一途なさま。
直向                ひたむき
鐚                  びた            =ひた(直)。ただの銭。質の悪い銭。
浸す・漬す          ひたす
  浸る・漬る        ひたる
直と・頓と          ひたと
ピタッと            ぴたっと
ピタリ              ぴたり
ピッタリ            ぴったり



<ほ>              ふくらんだもの

穂                  ほ
  秀でる            ひいでる        =穂出でる
  褒める・誉める    ほめる          秀と関連。秀でていることをほめる。
  誉                ほまれ          褒められるべき名誉。
頬                  ほほ・ほお
  微笑む            ほほえむ        =頬笑む
    微笑ましい      ほほえましい
  頬張る            ほおばる
  鬼灯・酸漿        ほおずき        =頬付。口に含んで鳴らす頬の様子から。
髭                  ひげ            =ひ(秀)け(毛)
  髭                くちひげ        =口ひげ
  鬚                あごひげ        =顎ひげ
  髯                ほおひげ        =頬ひげ
骨                  ほね            =ほ(秀)ね(根)
  骨っぽい          ほねっぽい
矛・戈・鉾          ほこ            =ほ(秀)こ(木)
蔓延る              はびこる        =ほ(秀)びこる



<たま>            まるいもの

玉・球・珠・瑶      たま            玉:一般的。球:ボール、電球等。珠:真珠等。
弾                  たま            弾:弾丸。
頭                  あたま
霊・魂              たま
  魂                たましい
  魂消る            たまげる        =魂消える
  けたたましい      けたたましい    =消え魂
  木霊              こだま          こだまは、木の精の声と思われていた。
卵                  たまご          =玉子
だま                だま            「たま」の音転。「セーターのだま」等。
回む・廻む          たむ            めぐる。まわる。



<かお>            顔

顔                  かお            =け(気)ほ(表)
顔                  かんばせ        =顔馳せ。顔つき→面目。



<くび>            首

首・頸              くび
  首っ丈            くびったけ      =首丈。足から首までの高さ。首まで浸かっている→夢中。
縊る                くびる          首を絞めて殺す。
  縊れる            くびれる        首をくくって死ぬ。
括れる              くびれる        首のように中ほどが細い。
踵                  きびす          =くびす。「くび」は足首、「す」は末。かかと。



<うな>            くび

項                  うなじ          くびすじ
頷く・肯く          うなずく        くびを縦に振る
促す                うながす        くびを向けさせる
うな垂れる          うなだれる      くびを垂れる



<て>              手

手                  て・た
腕                  うで            =上手
  腕尽く            うでずく        腕力によりおこなう。
取る                とる            =手る。一般的にとる。
  取れる            とれる
  採る              とる            採取、採用する。
  執る              とる            執り行う。
  摂る              とる            養分を摂取する。
  録る              とる            録音、録画する。
  撮る              とる            写真を撮影する。
  盗る              とる            ぬすむ。
  獲る              とる            鳥獣、魚介を捕らえる。
  穫る              とる            穀物を刈り取る。
  捕る              とる            とらえる。
  捕らえる・捉える  とらえる        =取らえる。
                                    捕らえる:取り押さえる。「犯人を捕らえる」等。
                                    捉える:把握する。「文章の要点を捉える」等。
  捕われる・囚われる  とらわれる
  捕まえる          とらまえる
  虜                とりこ          =取りこ
  砦                とりで          =取り出。本城から取り出して築かれた小城。
  取り敢えず        とりあえず
  取り巻く          とりまく
  取分け            とりわけ
尋ねる              たずねる        =手綱る。手で綱を持ち手がかりを探し求める。
                                    尋ねる:捜し求める。問う。「道を尋ねる」等。
  訪ねる            たずねる        訪ねる:訪問。「知人を訪ねる」等。
  訊ねる            たずねる        訊ねる:問いただす。「証人に訊ねる」等。
袂                  たもと          =手本。袖の下の袋のようになった所。
頼る                たよる          =手寄る
  便り              たより          =手寄り
頼む・恃む・憑む    たのむ          =た(手)のむ(祈)
  頼もしい          たのもしい
  為                ため            =たのめ(頼)
盥                  たらい          =手洗い
掌                  てのひら        =手の平
掌                  たなごころ      =手の心。手の裏。てのひら。
互い                たがい          =手交え
違う                たがう          =手交う
  違う              ちがう
  違える            ちがえる
  間違う            まちがう
  間違える          まちがえる
辿る                たどる          =手取る
  たどたどしい      たどたどしい    辿るような
手向ける            たむける
峠                  とうげ          =手向(たむけ)。通行者が道祖神に手向けをする場所。
巧み・匠・工        たくみ          =手組み
  巧む              たくむ
  企む              たくらむ
逞しい              たくましい      =たくま(手組)しい。手を組み腕の筋肉を盛り出したさま。
手繰る              たぐる
  打っ手繰る        ぶったくる
携える              たずさえる      =た(手)+つ+さえる(支)
  携わる            たずさわる
楽しむ・愉しむ      たのしむ        =手伸しむ。手を伸ばして喜ぶ。
  楽しい            たのしい
  楽しがる          たのしがる
手伝う              てつだう
届く                とどく          =て(手)つく(付)。手がたどり着く。
  届ける            とどける
  届                とどけ
整う・調う          ととのう        =て(手)て(手)なう。手でそろえる。
                                    整う:乱れないよう整理、整備。「隊列を整える」「調子を整える」等。
                                    調う:過不足なく調達、成立。「嫁入り道具が調う」「費用を調える」等。
  整える・調える    ととのえる
梃子                てこ            =手木
  梃摺る            てこずる        梃子が使用中に時々ずれて、うまくいかない。
方便・活計          たずき・たつき  =手付き手がかり。生活の手段。生計。
てんでに            てんでに        =手に手に。各自の手に。めいめいに。
  てんでんばらばら  てんでんばらばら  めいめいが勝手気ままにふるまうさま。
  てんやわんや      てんやわんや    「てんで」と「わや」(無茶苦茶の意)。
                                    めいめいが勝手に騒ぎ立てるさま。


<つめ>            指先

爪                  つめ            指先にある爪
  躓く              つまずく        =爪突く
摘む・抓む          つむ            指先でつむ
摘む・抓む・撮む    つまむ          指先でつまむ
  掻い摘む          かいつまむ      掻き摘むの音便。要約する。
詰める              つめる          指先でつめる
  詰む              つむ
  詰まる            つまる
  つまらない        つまらない      心に詰めることができない→意に満たない。おもしろくない。
  詰り              つまり          詰めた結果→結局。
抓る                つねる          =つめる
冷たい              つめたい        =爪痛い。冷たくて指先が痛い。
端                  つま            爪は手の端なので、はしの意。
  妻・夫            つま            男女ペアの片端。元は男女に用いられたが、現在は女性のみ。
  褄                つま            長着の裾の左右両端。「辻褄」等。
蹄                  ひづめ          =平爪
劈く                つんざく        つめ(爪)さく(裂)の転。



<かた>            中心から離れた

肩                  かた            体の中心から離れた部位。
  担ぐ              かつぐ          肩に乗せる。
片                  かた            中心から離れた所。
敵・仇              かたき          二人で一組の一方→てき。
頑な                かたくな        =片曲な
傾く                かたむく        =片向く
  傾ける            かたむける
  傾げる            かしげる
偏る                かたよる        =片寄る
傍・側・旁          かたわら        =片わら
  がてら            がてら          =かたわら。一つのことをするついでに他のことをする。
且つ                かつ            =片。もう一方。
帷                  かたびら        =かた(片)ひら(枚)。裏をつけない衣服。
片付く              かたづく
  片付ける          かたづける
  片す              かたす          =片付ける



<むね>            水平に張っている

棟                  むね・むな      水平に張っている家屋の棟木
胸                  むね・むな      棟木のように胸骨の張っている所
旨・宗              むね            家の大切な棟木のような物事の筋
概ね                おおむね        =大旨
噎ぶ・咽ぶ          むせぶ          =胸塞ぶ
  噎せる・咽せる    むせる          =むせぶ



<せ>              背

背                  せ・せい
背く・叛く          そむく          =背向く
  背ける            そむける
退く                そく            =背く。しりぞく。
反る                そる            背後に弓なりになる
  反らす            そらす
  逸れる            それる          進路が弓なりになる
    御見逸れ        おみそれ        会ってそれと気づかない。相手を見直した時にも使う。
  空                そら            上空が弓なりの反っているから
    空言            そらごと
    諳ずる・誦ずる  そらんずる      そらでおぼえる。
    空空しい        そらぞらしい    知って知らないふりをする。真心がない。
  橇・艝・轌        そり            =反り。底が反っているから。雪上を滑らす乗り物。
そびれる            そびれる        機会がそれてしまう。
園・苑              その            =その(背野)
畝                  せ              =背。境界の盛り土を背と見たもの。
兄人                せうと          =せ(背)ひと(人)。姉妹からその兄弟を呼ぶ称。



<ほぞ>            へそ

臍                  ほぞ            語源不明。「臍を噛む」等。
臍                  へそ            =ほぞ
蔕                  ほぞ            瓜や果実のへた。
ほぞ                ほぞ            木材など二つの部材を接合するとき、一方の材端につくる突起。



<また>            二つになる

叉                  また            一つの本から二つに分れているところ。
股・胯              また            胴体から二つ脚へ分かれているところ。
俣                  また            川筋や道のわかれめ。
又・復・亦          また            二つになる→再び。
跨ぐ                またぐ
  跨る              またがる
又候                またぞろ        またしても。またもや。



<しり>            後

尻                  しり
後                  うしろ
  後ろめたい        うしろめたい    =うしろ(後)め(目)いたい(痛)。やましいことがあって、気がとがめる。
  後方              しりえ
退く                しりぞく        =しり(後)ぞく(退)。
  退ける・斥ける    しりぞける
尻尾                しっぽ
殿                  しんがり        =しりがり(後駆)
退る                すさる          =しり(後)さる(去)。「後退り」等。
退る                しさる・しざる  =しり(後)さる(去)。あとへひきさがる。
  ざり蟹            ざりがに        =しざりがに。後方にしざる性質があるから。
びり                びり            「しり」の転。



<はだ>            肌

肌・膚              はだ
裸                  はだか
裸足・跣            はだし          =肌足
開ける              はだける        肌がでる。
肌・膚              はだえ          =肌上。人や獣類の体の表面をおおう皮。

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【男女】   → 解説

<むす>            発生する

苔す                むす            こけが発生する
蒸す                むす            蒸気が発生する
  蒸れる            むれる
  蒸らす            むらす
虫                  むし            「むす」の転。自然に発生する生き物。
  蛆                うじ            「虫」の転。
    ウズウズ        うずうず        蛆のうごめく様子から。
  蝕む              むしばむ        =虫はむ
  蝮                まむし          =真虫
  田虫・頑癬        たむし          =肌虫
  虫唾              むしず          =虫酸。口中に逆出する胃液。「虫唾がはしる」等
結ぶ                むすぶ          生産のために結ぶ、男女の結婚
  掬ぶ              むすぶ          手のひらを組んで水をすくい飲む。
息子                むすこ          =むす(産)こ(子)。産まれた男子。
娘                  むすめ          =むす(産)め(女)。産まれた女子。
襁褓                むつき          =むつ(産)きぬ(衣)。うぶぎ。
  おむつ            おむつ          御襁褓の略。おしめ。



<ち>              命の元

霊                  ち              自然の威力。「いのち」「いかづち」の「ち」
  大蛇              おろち          =おろ(大)ち(霊)
血                  ち              命の元となる液体
  誓う・盟う        ちかう          =血交う
  力                ちから          =血から
  因む              ちなむ          =血並む。血の縁に並ぶ。
乳                  ちち・ち        命の元となる液体
唾                  つ              「つ」は「ち」の転。血、乳のように身から出るもの。
  唾                つば            =つばき。つ(唾)はく(吐)の転。
  噤む              つぐむ          =つ(唾)ふくむ(含)。口を閉じて唾を含むようにする。
  鶇・鶫            つぐみ          夏至を過ぎると口をつぐんで鳴かなくなる鳥。
父                  ちち            命を授けた人
  爺                じじ            =ぢぢ
    爺さん          じいさん
  叔父・伯父        おじ            =小父
  父                とと            「ちち」の音転。
    父さん          とうさん
  親父              おやじ          =おやちち。
    野次馬          やじうま        =おやじうま。老いた雄馬が若い馬の後にくっついて歩くことから。
                                    役立たずで、騒ぐだけの人。
    弥次る・野次る  やじる          野次馬から。騒ぎ立てる。



<はは>            母

母                  はは
婆                  ばば
  婆さん            ばあさん
叔母・伯母          おば            =小母
嚊・嬶              かか・かかあ    「はは」の音転。
  母さん            かあさん
乳母                うば            「おば」の音転。
姥・媼              うば            老女。



<お>              男

男                  お
牡・雄              お・おす
夫                  おっと          =男人(おひと)
甥                  おい            =お(男)おい(生)
雄々しい            おおしい



<め>              女

女                  め
牝・雌              め・めす・めん
妻                  め
  夫婦・娚          めおと          =め(妻)おっと(夫)
  娶る              めとる          =妻取る
姪                  めい            =め(女)おい(生)
女々しい            めめしい
  みみっちい        みみっちい      =女々しい。
乳母                めのと          =め(妻)おと(乙女)。生母にかわって子に乳を飲ませる女。



<に>              兄

兄                  あに
兄さん              にいさん
嫂                  あによめ        兄の妻。



<ね>              姉

姉・姐              あね
姉さん・姐さん      ねえさん



<おちる>          下へ

落ちる              おちる
  落とす            おとす
  陥る              おちいる        =落ち入る
  陥れる            おとしいれる
  貶める            おとしめる      =落としめる
  落人              おちゅうど
  おちおち          おちおち        落ち着いて。「おちおちしていられない」等。
降りる・下りる      おりる
  降ろす・下ろす    おろす          下ろす:上から下へ。
                                    降ろす:乗り物、地位から。
                                    卸す:問屋から小売店へ売り渡す。
  卸す              おろす
    卸し            おろし          問屋。
  堕す              おろす          堕胎
  颪                おろし          山地から吹きおろす風。
  澱                おり            =降り。液体に沈んだ物。
衰える              おとろえる
老いる              おいる          体力が衰える。
  老いらく          おいらく        年をとること。老年。
  親・祖            おや            「老ゆ」の名詞形
    親不知          おやしらず      =親知らず。孤児。遅く生える奥歯。
劣る                おとる
おと                おと            年劣る→若い。
  弟                おとうと        =おとひと。年劣る人
  男                おとこ          =をと(若)こ(子)。若い男子。
  乙女・処女        おとめ          =をと(若)め(女)。若い女子。
  乙姫・弟姫        おとひめ        年若い姫。
置く・措く・擱く    おく            「それはさて措き」「筆を擱く」等。
                                    「措」は、手で物を据えることから、取り計らう意。「措置」等。
  於いて            おいて          =置いて
  掟                おきて          =置きて。あらかじめ計画する(置く)→きまり。
  補う              おぎなう        =置き縫う。衣服の破れに布を置いて縫う。
  囮                おとり          =置き鳥。鳥を誘い寄せて捕まえるための同類の鳥。



<いも>            妹

妹                  いも
妹                  いもうと        =いもひと(妹人)



<な>              人

女                  おんな          =ヲミナ。ヲ=小、ミ=女、ナ=人。
  女郎花            おみなえし      美人をも圧す意。オミナエシ科の多年草。
嫗・媼              おうな          =オミナ。オ=大、ミ=女、ナ=人。おばあさん。
翁                  おきな          オ=大、キ=男、ナ=人。おじいさん。
                                    キはイザナキのキ。ミはイザナミのミ。
大人                おとな          オト=大、ナ=人。
  大人しい          おとなしい
  大人びる          おとなびる
  大人ぶる          おとなぶる
  大人っぽい        おとなっぽい



<しゅう>          舅

舅                  しゅうと        =きゅう(舅)と(人)
姑                  しゅうとめ      =しゅうと+め(女)

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【時】

<ひ>              火

火                  ひ・ほ          火:火炎。「火が燃える」等。
  灯                ひ              灯:照明。「灯がともる」等。
  火照る            ほてる
  蛍                ほたる          =火垂る
  炎・焔            ほのお          =火の穂
  炎・焔            ほむら          =火群
  灰                はい            =はて(果)ひ(火)
  仄か              ほのか          =火の微。はっきりしない。
    小火            ぼや            ほ(仄)や(焼)。小さな火事。
    雪洞            ぼんぼり        「ほんのり」の転。紙張りの覆いのある小さい行灯。
    ホンノリ        ほんのり
    ホノボノ        ほのぼの
    仄めく          ほのめく
    仄めかす        ほのめかす
    ほろ            ほろ            「ほの」の転。少し。「ほろ苦い」「ほろ酔い」等。
  星                ほし            =ほ(火)し(白)
  熱り              ほとぼり        =ほ(火)とぼり(点)。「ほとほる」の名詞形。
  ひょっとこ        ひょっとこ      =ひおとこ(火男)。火を噴くような口をしているから。
  檜                ひのき          =火の木。火を起こしやすいから。
  榾                ほた・ほだ      =ほ(火)た(立)。火をかき立てる物→焚火する木の切れ端。
  火屋              ほや            ランプやガス灯などの火をおおうガラス製の筒。
光                  ひかり          「ひ(火)」の家族語。
  光る              ひかる
  ひけらかす        ひけらかす      =ひか(光)らかす。光るようにする→自慢する。
  ピカリ            ぴかり          一瞬光る様を表す擬態語。
  ピカピカ          ぴかぴか        光っている様を表す擬態語。
  ピカッ            ぴかっ
日・陽              ひ・か
  昼                ひる            =日る
  干る              ひる            =日る
    干す・乾す      ほす
    干              ひ
      干乾          ひぼし
      干上がる      ひあがる
      干乾びる      ひからびる      =ひ+かれる+びる
  今日              きょう          =けふ。け=この、ふ=日。
  昨日              きのう          =きのふ。き=過ぎ、ふ=日。
  暦                こよみ          =日読み
  聖                ひじり          =日知り。こよみをよく知っている人→聖人。
  東                ひがし          =日向かし
  左                ひだり          =日出り。南を向いたとき日の出る方
  庇・廂            ひさし          =日差し。日差しを加減するもの。
  久しい            ひさしい        =日去しい。多くの日が去った。
  日向              ひなた          =日な方
  日和              ひより          =日寄り。天気がいいほうに寄る。
  閃く              ひらめく        =日らめく。瞬間的に光る。
  彦                ひこ            =ひ(日)こ(子)。立派な男子。
  姫・媛            ひめ            =ひ(日)め(女)。立派な女子。
  向日葵            ひまわり        =日周り。いつも日に向いていると思われていた。
  終日              ひねもす        =日の経も過がら
  暇・閑・隙        ひま            =日間
  雲雀              ひばり          =日晴。晴れた日に鳴く鳥。
  燥ぐ              はしゃぐ        =日しゃぐ。乾燥する→うかれさわぐ。
  旱                ひでり          =日照り
  稗                ひえ            =日得。日ごとに盛んに茂ることから。
    鵯              ひよどり        =ひえ鳥。ひえを主食とする。



<よ>              時間の区切り

世                  よ
代                  よ
夜                  よ・よる        一日の区切り
夕                  ゆう
  夕べ              ゆうべ          =ゆう(夕)べ(方)
宵                  よい            =夜日
  今宵              こよい          =この宵
齢                  よわい          =よはい(世延)
夜鍋                よなべ          =夜延べ。鍋は当て字。
夜もすがら          よもすがら      =夜も過ごしながら。夜通し。



<あさ>            朝

朝                  あさ
朝・旦・晨          あした          朝の意。
明日                あす
明日                あした          元は朝の意。「明日の朝」より明日の意。
明後日              あさって        =あすさりて
今朝                けさ            け=この、さ=朝。「け」は「今日=けふ」の「け」
漁る                あさる          =朝る。朝に巣を出て食を求める。
  漁る              いさる          =いそ(磯)あさる
    漁火            いさりび
旭                  あさひ



<とし>            年

年・歳              とし・とせ      時と同系。または、疾し
今年                ことし          =この年

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【色】   → 解説

<いろ>            色

色                  いろ
  色めく            いろめく
  色めかす          いろめかす
    めかす          めかす          「色めかす」の略。「おめかし」等。化粧する。
  色っぽい          いろっぽい
  色々              いろいろ
彩る                いろどる



<あか>            明るい

赤                  あか
  赤い              あかい
  赤らむ            あからむ
  赤らめる          あからめる
  真っ赤            まっか
  赤っぽい          あかっぽい
朱                  あけ
明るい              あかるい
  明るむ            あかるむ
  明らむ            あからむ
  明らか・昭らか・顕らか
                    あきらか
  明り・灯り        あかり
  明く              あく            明く:ひらいて見える。
  明ける            あける
    有明            ありあけ        月がまだ有りながら、夜が明けてくる頃。
  明くる            あくる
  明かす            あかす
  あからさま        あからさま      =明ら様。
空く・開く          あく            空間ができて明るい
                                    空く:からになる。開く:ひらく。
  空ける・開ける    あける
  欠伸              あくび          =開く+び。口を開ける動作。
  あっけない        あっけない      =あけ(開)ない(甚)。口が大きく開くほど驚く。
  あっけにとられる  あっけにとられる  驚いて心がとられる。
  あっけらかん      あっけらかん    驚いてぽかんとする。
証                  あかし
翌                  あくる
秋                  あき            草木が赤くなる季節。食物が充分実る季節。
  飽きる・厭きる・倦きる
                    あきる          食物を充分食べて飽きる。
    飽かす          あかす
    飽きっぽい      あきっぽい
  飽く迄            あくまで        あきるまで→いやになるほど十分に→徹底的に
  諦める            あきらめる      もう充分と感じてやめる。
  商う              あきなう        秋の収穫時に物を交換する。
    商い            あきない
    商人            あきんど・あきうど
    贖う・購う      あがなう        =商(あ)買(が)う
  あきず            あきず          =秋つ虫。トンボの古名。
藜                  あかざ          =赤草。若葉の基部が赤いから。
茜                  あかね          =赤根。根から赤色の染料が取れる。
柿                  かき            =赤木。赤い実のなる木。
木通・通草・山女    あけび          =開け実。
                                    「木通・通草」は、蔓の中が空洞だから。
                                    「山女」は、実が開いたさまが女性の陰部ににているから。
暁                  あかつき        =明時(あかとき)。明け方。
曙                  あけぼの        =明け+ほのか
東                  あずま          =あけ(明)つま(端)
朗らか              ほがらか        =ほのか+明らか



<くろ>            暗い

黒                  くろ
  黒い              くろい
  黒っぽい          くろっぽい
暗い                くらい
  暗がり            くらがり
暮れる              くれる          暗くなる
  暮らす            くらす          暗くなるまで時間を過ごす→生活する
  呉                くれ            日の暮れる西方の国の意。昔、日本で中国をさして呼んだ呼び名。
眩む                くらむ          目の前が暗くなる
晦ます              くらます        「姿を晦ます」等
玄人                くろうと        =黒人(くろひと)
黒子                ほくろ          =ふ(斑)黒
厨                  くりや          =黒屋。台所。煙ですすけていることから。
栗                  くり            黒い色の木の実。
  蛤                はまぐり        =浜栗。栗に形が似ている貝。
    ぐれる          ぐれる          はまぐり→ぐりはま→ぐれはま→ぐれ→ぐれる。
                                    (はまぐりの貝殻を逆に重ねると合わないことから)
                                    物事がくいちがう。転じて、非行化する。
    やさぐれ        やさぐれ        「やさ」は「鞘」が転じたもので「家」の意。
                                    「ぐれ」は「合わない」意。合わせて「家出する」意。
                                    転じて、「投げやりな態度」の意。
涅                  くり            水底に淀んだ黒い土。



<しろ>            はっきりしている

白                  しろ・しら      はっきりした色
  白い              しろい
  白む              しらむ
  白ける            しらける
  白々しい          しらじらしい
  白っぽい          しろっぽい
知る                しる            はっきり分かる。
  知らせる・報せる  しらせる
  知らせ・報せ      しらせ
  不知火            しらぬい        =知らぬ火。夜間の海上に多くの光が点在し、ゆらめいて見える現象。
  知ったかぶり      しったかぶり
  しらばくれる      しらばくれる    知らない振りをする。
  白を切る          しらをきる      知らない振りをする。
  知らん振り        しらんぷり      知らない振り。
  知ろしめす        しろしめす      お知りになる。お治めになる。
  そ知らぬ          そしらぬ        =それ知らぬ。
領る                しる            はっきり物を自分のものにする。
  城                しろ            しる(領)の転。
  痴れる            しれる          「領る」の受身形で「支配される」意。「酔い痴れる」等。
示す                しめす          =知見す。知らせ見せる。
印・標・徴          しるし          はっきりさせる印。
  験                しるし          きざし。けはい。ごりやく。
  印す・標す・記す  しるす          印を付ける
著しい              いちじるしい    =いと(甚)しるし(はっきり)。大変はっきりしている。
標・導              しるべ          はっきりさせる標識。「道標」等。
調べる              しらべる        不明点をはっきりさせる
  調べ              しらべ
代                  しろ            かわりのもの(しるしとなるもの)
素人                しろうと        =白人(しろひと)
面白い              おもしろい      =面著し。顔面に出る顕著な表れ
  面白がる          おもしろがる
虱                  しらみ          =白虫
白髪                しらが
素面                しらふ          =白風
白粉                おしろい        =お白い



<あお>            ぼんやりしている

青                  あお
  青い・蒼い        あおい
  真っ青            まっさお
  青っぽい          あおっぽい
藍                  あい
  紅                くれない        =呉藍
淡い                あわい          色が薄い
  粟                あわ            味が淡いことから。
仰ぐ                あおぐ          青い空に向く
  仰向け            あおむけ
  葵                あおい          =あおい(仰)草。日を仰ぐ草。
  呷る              あおる          仰向いてぐいぐいと飲む。
石蓴                あおさ          鮮やかな緑色をしている海藻。

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【干支】

<ね>              鼠

鼠                  ねずみ          =根住み
子                  ね              「ねずみ」の十二支での表記。時刻は夜十二時、方角は北。



<うし>            牛

牛                  うし
丑                  うし            「うし」の十二支での表記。時刻は午前二時、方角は北北東。
艮                  うしとら        =丑寅。東北の方角。



<とら>            虎

虎                  とら            恐ろしくて捕らえられない獣。
寅                  とら            「とら」の十二支での表記。時刻は午前四時、方角は東北東。



<うさぎ>          兎

兎                  うさぎ
卯                  う              「うさぎ」の十二支での表記。時刻は午前六時、方角は東。



<たつ>            竜

竜                  たつ            =立つ。身を立てて上っていく。
辰                  たつ            「たつ」の十二支での表記。時刻は午前八時、方角は東南東。
巽                  たつみ          =辰巳。南東の方角。



<へび>            蛇

蛇                  へび            へ(這)み(身)の転。
巳                  み              「へみ」の略。「へび」の十二支での表記。時刻は午前十時、方角は南南東。
蟒蛇                うわばみ        うわへみ(大蛇)の転。
蝮                  はみ            マムシの古名。
鱧                  はも            「はみ」の転。蛇のような魚。
波布                はぶ            「へび」の転。沖縄に生息する毒蛇。



<うま>            馬

馬                  うま・ま        馬(バ)の音転。
  午                うま            「うま」の十二支での表記。時刻は正午、方角は南。
駒                  こま            =小馬
牧                  まき            =馬城
右手                めて            =馬手。馬の手綱を持つ手。
秣                  まぐさ          =馬草
厩                  うまや          =馬屋



<ひつじ>          羊

羊                  ひつじ
未                  ひつじ          「ひつじ」の十二支での表記。時刻は午後二時、方角は南南西。
坤                  ひつじさる      =未申。南西の方角。



<さる>            猿

猿                  さる            ざれる動物。他の説では、頭のまさる動物より。
申                  さる            「さる」の十二支での表記。時刻は午後四時、方角は西南西。



<とり>            鳥

鳥・禽              とり            「飛び翔けり」の中略
  酉                とり            「とり」の十二支での表記。時刻は午後六時、方角では西。
  鶏冠              とさか          =と(鳥)さか(冠)
  鴻・鳳・鵬        おおとり        =大鳥



<いぬ>            犬              鳴き声から

犬・狗              いぬ            いぬる(往)の転。遠くからでも飼い主の元へ帰るから。
戌                  いぬ            「いぬ」の十二支での表記。時刻は午後八時、方角は西北西。
乾                  いぬい          =戌亥。北西の方角。
狆                  ちん            =ちいぬ(小犬)。イヌの一品種。



<い>              猪

猪                  い
猪                  いのしし        =猪(い)の獣(しし)。しし=肉。
亥                  い              「い」の十二支での表記。時刻は午後十時、方角は北北西。



<えと>            干支

干支                えと            =え(兄)と(弟)
甲                  きのえ          =き(木)のえ(兄)
乙                  きのと          =き(木)のと(弟)
丙                  ひのえ          =ひ(火)のえ(兄)
丁                  ひのと          =ひ(火)のと(弟)
戊                  つちのえ        =つち(土)のえ(兄)
己                  つちのと        =つち(土)のと(弟)
庚                  かのえ          =か(金)のえ(兄)
辛                  かのと          =か(金)のと(弟)
壬                  みずのえ        =みず(水)のえ(兄)
癸                  みずのと        =みず(水)のと(弟)



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【こそあど】   → 解説

<こ>              近い

此・是・之・惟      これ
此の・是の          この
此処・茲            ここ
此方                こちら
此方                こっち
此方                こなた          =そのかた。
此奴                こいつ          =こやつ。
こんな              こんな
斯う                こう
去年                こぞ            =こ(この)ぞ(あいだ)。去年。今夜。
交々                こもごも        =これもこれも。互いに入れかわって。入りまじって。「悲喜交々」等。
こら                こら            =これは。注意の呼びかけ。
遠近・彼方此方      あちこち        遠い所と近い所。あちらこちら。将来と現在。



<か>              近い            「こ」の古い形

斯く・是く          かく            こう。「斯くなる上は」「かくして」等。
斯かる              かかる          こんな。こういう。
斯様                かよう          このよう。こんなふう。
斯程                かほど          これほど。これくらい。
斯許り              かばかり        こんなにも。これほど。



<あ>              遠い

彼                  あれ
彼の                あの
彼所                あそこ
彼方                あちら
彼方                あっち
彼方                あなた          =あのかた。
貴方                あなた          =あのかた。
あんた              あんた          「あなた」の音便。
彼奴                あいつ          =あやつ。
あんな              あんな
ああ                ああ
あべこべ            あべこべ        =彼辺此辺。あちらへこちらへ。



<か>              遠い            「あ」の古い形

彼                  かれ
彼の                かの
彼処                かしこ
彼方                かなた
方                  かた            彼方(かなた)の略
  味方              みかた          =御方。本来は天皇の軍、官軍。自分の仲間。
彼奴                きゃつ          =か(彼)やつ(奴)。あいつ。
彼此・彼是          かれこれ



<そ>              特定(話し手と聞き手が共通に知っている)

其・夫              それ
其の                その
其処                そこ
  そこそこ          そこそこ        だいたい。「50そこそこで死ぬ」等。
其方                そちら
其方                そっち
  そっちのけ        そっちのけ      そっちへのける。のけ者にする。ほうりだす。
其方                そなた          =そのかた。
其奴                そいつ          =そやつ。
そんな              そんな
然う                そう
然して・而して      そして          =そうして
抑抑                そもそも        「其も」を重ねた語。
其其                それぞれ
おいそれと          おいそれと      呼びかけ「おい」+指示語「それ」+助詞「と」。
                                    簡単に事に応じるさま。
某                  それがし        =それがぬし。
そこはか            そこはか        =そこ+は+か(彼)。そこはこうである→確かに。はっきりと。
  そこはかとなく    そこはかとなく  はっきりとした理由なく。
そこばく            そこばく        =そこばかり。いくらか。おおよそ。
そんじょそこら      そんじょそこら  =その所そこら



<さ>              特定            「そ」の古い形

然                  さ
  然したる          さしたる        これというほどの。
  然程              さほど          それほど。
  然も              さも            そのように。いかにも。
  然様・左様        さよう          そのとおり。
    左様なら        さようなら      それでは。別れる時にいう挨拶。
  然る              さる            そのような。ある。
    然らば          さらば          それでは。別れる時にいう挨拶。
    然りげ          さりげ          そのような様子。
    然りげ無い      さりげない      そんな様子がない。なにげない。
    然れど          されど          けれども。しかし。
    然りとも        さりとも        そうであっても。
    然り乍ら        さりながら      そうであるが
    然りぬべし      さりぬべし      そうしてもよい。適当だ。
    然る程に        さるほどに      そうしているうちに。やがて。
    猿股            さるまた        =さる(然)また(股)。股に当てる然るべきもの。
                                    男子が用いる腰や股をおおう短いももひき。
  嘸                さぞ            「さ(然)」に強めの助詞「ぞ」の付いたもの
    嘸かし          さぞかし        「かし」は強めの終助詞
    嘸や            さぞや          「や」は終助詞
  宛ら              さながら        =さ(然)ながら。「そのままに」の意。
  様                さま            =さ(然)まま(儘)
    様・態          ざま            「さま」の音転。「ざまみろ」等。
    様々            さまざま
  扨                さて            =さ(然)て(ありて)。そうして。話題を出すときの接続詞。
  さあ              さあ            =さ(然)は。
  すわ              すわ            =さ(然)は。
然                  しか            「し」は「さ」と同義の副詞、「か」は接尾語。
  然し・併し        しかし          そうではあるが
  然も・而も        しかも          そうのように。その上に。
  然り              しかり          そうだ。
  然らば            しからば        そうであるならば。
  然して・而して    しかして・しこうして
                                    そうして。
  相・性            さが            しか(然)の転。もって生れたもの。
    さがない        さがない        性格がよくない。
    しがない        しがない        「さがない」の転。もって生れたものがない→とるに足りない。
  流石に            さすがに        「しか(然)するからに」の転。そのようであっても。
                                    「流石」は当て字。小石が躊躇するように流れることから。
  しかつめらしい    しかつめらしい  =然り+つべく+らしい。もっともらしい→真面目ぶってる。
  然然・云云        しかじか        こういうように。
  しかのみならず    しかのみならず  それだけでなく
  しからしめる      しからしめる    そうさせる
  しからずんば      しからずんば    そうでないなら



<ど>              不特定(疑問、不定)

何                  どれ
何の                どの
何処                どこ
何方                どちら
何方                どっち
何方                どなた          =どのかた。
何奴                どいつ          =どやつ。
誰                  だれ
  黄昏              たそがれ        =誰ぞ彼。人の見分けが難しい時刻。
どんな              どんな
如何                どう
  どうか            どうか
  どうにか          どうにか
  どうせ            どうせ          なにせ。
  どうぞ            どうぞ          どうにか。
  どうも            どうも          どうしても。
どっこい            どっこい        「どこへ」の変形。相撲の掛け声。
  どっこいしょ      どっこいしょ    しょ=掛け声。
  どっこいどっこい  どっこいどっこい  双方が掛け声を出して相撲をする。優劣がない。



<い>              不特定          「ど」の古い形

何れ・孰れ          いずれ
何処                いずこ
  いずくんぞ        いずくんぞ      =いずこにぞ。なぜ。
何時                いつ
  何時か            いつか
  何時も            いつも
如何                いか
  如何に            いかに
  如何              いかん          「いかに」の音便
  如何が            いかが          「いかにか」の音便
  如何わしい        いかがわしい    どういうわけで→疑わしい。
  如何様            いかさま        いかにもそのようなもの→偽物。
  如何程            いかほど
  豈                あに            「いかに」の転。反語の助字。どうして…しようか。
  玉筋魚            いかなご        カマスと区別がつきにくいので、いかなこ(如何子)と呼んだ。
幾                  いく
  幾ら              いくら
  幾つ              いくつ
  幾年              いくとせ
  幾許・幾何        いくばく        =いく(幾)ばか(許)。「幾許もない」等。



<なに>            何

何                  なに・なん      何(ナン)の音転。
何故                なぜ            =何ぜ
謎                  なぞ            =何ぞ
詰る                なじる          「なぞ」の転。問い詰める。
等                  など            =何と
何等                なんら
某・何某            なにがし



<わ>              第1人称

我・吾              われ・わ・あ
  我々              われわれ
  我が              わが
  我儘              わがまま
私                  わたくし・わたし
儂・私              わし            「私」の転。



<な>              第2人称

汝                  なれ
汝                  なんじ          =な(汝)むち(貴)

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【数】

<ひと>            はっきり分かれているもの

一つ                ひとつ          はっきり分かれている一つ
一人・独り          ひとり
  一人ぼっち        ひとりぼっち    =一人法師
等しい・均しい・斉しい
                    ひとしい        同一である
人                  ひと            はっきり分かれている個人
  棺・柩            ひつぎ          =人木。人を入れる木のおけ。
  獄                ひとや          =人屋。囚人を入れる部屋。
  人も無げ          ひともなげ      人を人とも思わない勝手な振舞いをするさま。
単・襌              ひとえ          =一重。裏をつけないで仕立てた衣類。「十二単」等
偏に                ひとえに        =一重に。ただそのことだけをするさま。



<ふた>            ニ              「ひと」の母音を変えて倍数にした。

二・双              ふた            二:「二重」「二目」等。
                                    双:「双子」「双葉」等。
二つ                ふたつ
二人                ふたり
二日                ふつか
再                  ふたたび        =二度
二十                はと
  二十日            はつか          =はとか。は=二、と=十、か=日
  二十歳            はたち
  二十重            はたえ



<み>              三

三つ                みっつ
三日                みっか
三十                みと・みそ
  晦日・三十日      みそか          =みとか。み=三、と=十、か=日。月末。大晦日は年末。
  三十路            みそじ



<よ>              四

四つ                よっつ
四日                よっか
四十                よそ
四方                よも            =よ(四)おも(面)
  四方山            よもやま        =よもやも(四方八方)。さまざま。雑多。



<いつ>            五

五つ                いつつ
五日                いつか
五十                いそ・い
  五十日            いか
  五十鈴            いすず
五百                いお
  五百箇            いおち・いおつ



<む>              六              「み」の母音を変えて倍数にした。

六つ                むっつ
六日                むいか



<なな>            七

七つ                ななつ
七日                なのか
斜め                ななめ          昔の時刻の「七つ」から。日が斜めに傾く午後4時。



<や>              八              「よ」の母音を変えて倍数にした。

八つ                やっつ
八日                ようか
八十                やそ
  馬陸              やすで          =やそで(八十手)。足が多い虫。
八百                やお            多い
  八百屋            やおや          多くの品を揃えた店。青物屋。
  八百長            やおちょう      八百屋の長兵衛が碁にわざと負けてやったことから。
御八つ              おやつ          八つ時(午後3時)に食べることから。午後の間食。
弥                  いや・や        たくさん、とても
  愈々・弥々        いよいよ
  藪                やぶ            =や(弥)ふ(生)
  涎                よだれ          =いよ(弥)たれ(垂)
  弥立つ            よだつ          =いよ(弥)たつ(立)。身体の毛が立つ。「身の毛が弥立つ」等。
  脂                やに            =や(弥)ぬれ(滑)
    やんちゃ        やんちゃ        =やにちゃ(脂茶)。やにのように扱いにくい子。
  稍・漸            やや            =弥弥。相当に。いくらか。時間が短い。
    稚・児          やや            =やや(漸)。生まれて間もない子→赤ん坊。
    漸く            ようやく        =やや(稍稍)く。
  漸っと            やっと
  ややこしい        ややこしい      =弥弥+かしい
  動もすると        ややもすると    =稍もすると。どうかすると。
  香具師            やし            =弥四郎。弥四郎は薬売りの元祖。露天商。香具は香道に用いる器具。



<ここ>            九

九つ                ここのつ
九日                ここのか
幾許                ここら・ここだ  こんなに多く。こんなに甚だしく。



<とお>            十

十                  とお
十日                とおか



<もも>            百              「諸々」より

百                  もも
百日                ももか
百足                むかで          =もかて(百箇手)。足が多い虫。
九十九              つくも          =つぐもも(次百)
百磯城・百敷        ももしき        広い敷地→皇居。宮中。



<ち>              千

千                  ち
千代                ちよ
千鳥・鵆            ちどり          数多く群をなして飛ぶから
千千                ちぢ



<よろず>          万              「や・いよ(弥)」より

万・萬              よろず
万屋                よろずや        何でも屋
八百万              やおよろず

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【オノマトペ】

<うろ>            うろうろ

ウロウロ            うろうろ
狼狽える            うろたえる
うろつく            うろつく



<がさ>            がさがさ

がさつ              がさつ
がさつく            がさつく
ガサガサ            がさがさ



<きし>            キシキシという音

軋む                きしむ          キシキシ音がする
競う                きそう          =き添う。軋むように添う。
  気負う            きおう          「きそう」の変化形。
キシキシ            きしきし
ギシギシ            ぎしぎし
ギシッ              ぎしっ
ギッシリ            ぎっしり



<きち>            余裕がない、遊びがない

キチキチ            きちきち
ギチギチ            ぎちぎち
キチン              きちん
キッチリ            きっちり
きつい              きつい



<きら>            きらきら

煌く                きらめく
きらびやか          きらびやか
きららか            きららか
雲母                きらら          「うんも」の古称。
キラリ              きらり
ギラリ              ぎらり
キラキラ            きらきら
ギラギラ            ぎらぎら
キラッ              きらっ
ギラッ              ぎらっ
ギロリ              ぎろり
キンキラ            きんきら



<くね>            曲がる

くねる              くねる
クネクネ            くねくね
クニャクニャ        くにゃくにゃ
クニャリ            くにゃり
グニャグニャ        ぐにゃぐにゃ
グニャリ            ぐにゃり



<こて>            多く盛っているさま

コテコテ            こてこて
コッテリ            こってり
ゴテゴテ            ごてごて
ごてる              ごてる          ぐずぐずと文句や不平を言う。



<す>              スーという息を吸う音。

吸う                すう            「吐く」と対。
啜る                すする
スースー            すうすう
スヤスヤ            すやすや
スパスパ            すぱすぱ



<は>              ハーという息を吐く音。

吐く                はく            「ハー」の音から。「吸う」と対。「吸う」は「スー」の音から。
吠える・吼える・咆える
                    ほえる          「吐く」からの転。
ハーハー            はあはあ
ハキハキ            はきはき
ハッキリ            はっきり



<さら>            すべるさま

サラサラ            さらさら
ザラザラ            ざらざら
簓                  ささら          さらさらと音がするから。日本の民俗楽器。
粗目                ざらめ          「ざらざら」の延。結晶のあらい砂糖。



<じろ>            見るめるさま

ジロジロ            じろじろ
ジロリ              じろり



<ずぶ>            浸かっているさま

ズブズブ            ずぶずぶ
ずぶの              ずぶの          =ずぶずぶの。「ずぶのしろうと」等。



<たぷ>            量が多いさま

タップリ            たっぷり
タプタプ            たぷたぷ
ダブダブ            だぶだぶ
だぶつく            だぶつく



<でぷ>            体重が多いさま

デップリ            でっぷり
デブ                でぶ



<ちゃん>          しっかりしているさま

チャンと            ちゃんと
丁度                ちょうど        「ちゃんと」の音転。



<つん>            冷たい態度

ツン                つん
聾                  つんぼ          聞き入れず、つんとしている坊。



<てく>            あるくさま

テクテク            てくてく
てくる              てくる          てくてく歩く。



<どき>            緊張するさま

ドキドキ            どきどき
ドッキリ            どっきり



<どよ>            どよどよ

ドヨドヨ            どよどよ
ドヤドヤ            どやどや
響動む              どよむ・とよむ  鳴り響く。大声で騒ぐ。
響動めく            どよめく



<とろ>            とろとろ

トロトロ            とろとろ
ドロドロ            どろどろ
薯蕷                とろろ
泥                  どろ
  へどろ            へどろ
  鯲・鰌・泥鰌      どじょう        =泥つ魚。
塗                  みどろ          =み(水)どろ(泥)。まみれ。「血みどろ」「汗みどろ」等。
蕩ける              とろける
  蕩かす            とろかす
トロ                とろ            とろけるようなやわらかさ。マグロのあぶらの多いところ。



<に>              微笑んだときの口の形が「に」を言うときに似ているので、
                    笑う系統の擬音語に用いられる。

ニコニコ            にこにこ
ニッコリ            にっこり
にこやか            にこやか
ニタニタ            にたにた
ニタリ              にたり
にたつく            にたつく
ニヤニヤ            にやにや
ニヤリ              にやり
にやつく            にやつく



<のぺ>            凹凸が無いさま

ノッペリ            のっぺり
のっぺらぼう        のっぺらぼう



<ぱく>            食いつくさま

パックリ            ぱっくり
パクパク            ぱくぱく
ぱくる              ぱくる



<ばら>            ばらばら

散                  ばら
  散散              ばらばら
ばらす              ばらす
  ばれる            ばれる
散蒔く              ばらまく
散ける              ばらける
童                  わらわ          ばらばら→わらわら→わらわ。
                                    髪の毛を束ねずばらばらのまま垂らすこと→子供の髪型→子供。
  童                わらべ          わらわ(童)べ(女)の転。子供の女→子供。
  妾                わらわ          童のように未熟な者だと謙遜して使う女性の第1人称代名詞。
  大童              おおわらわ      大人が髪を結ばずばらばらに垂らした姿が大きな童に
                                    見えたことから、髪を乱して奮闘するさま。
藁                  わら            バラバラになるわら。
  俵                たわら          =束ね藁
  草鞋              わらじ          藁で作った靴。「わらず」の名詞形
滅びる              ほろびる        ばらばらになって無くなる。
  滅ぼす            ほろぼす
  滅ぶ・亡ぶ        ほろぶ
襤褸                ぼろ            ばらばらになりそうな状態。劣悪。卑劣。
  襤褸糞            ぼろくそ        劣悪なものをののしっていう語。
  ぼろい            ぼろい          元手や労力にくらべて利益が甚だ多い。
  ぼろ儲け          ぼろもうけ      わずかな元手・労力で、過大な利益を得ること。
  ぼろ負け          ぼろまけ        ひどく負けること。完敗。
  ボロボロ          ぼろぼろ
ほろろぐ            ほろろぐ        ばらばらにする。
  幌・母衣・袰      ほろ            柔らかにほろろげた布。



<びく>            驚くさま

吃驚                びっくり        擬態語。
ピクリ              ぴくり
ビクリ              びくり
ビクっと            びくっと
ビクビク            びくびく
びびる              びびる          =びくびくする



<ふと>            思い出すさま

ふと                ふと            擬態語。「不図」と当て字。
ふとした            ふとした



<ぺちゃ>          平らになるさま

ペチャン            ぺちゃん
ぺちゃんこ          ぺちゃんこ



<ぺた>            張り付くさま

ペタペタ            ぺたぺた
ペタリ              ぺたり
へたり込む          へたりこむ
へたばる            へたばる
へたる              へたる
ベタベタ            べたべた
べた褒め            べたほめ



<ほか>            あたたかいようす

ホカホカ            ほかほか
ポカポカ            ぽかぽか
ホクホク            ほくほく
ホッコリ            ほっこり
  日向ぼっこ        ひなたぼっこ    =ひなたぼこり。ひなたでほっこりすること。



<ぽく>            折れる音

ポクポク            ぽくぽく
ポックリ            ぽっくり        物が折れる音から、元気な人が突然死ぬこと。
                                    歩くときの音から、女児用のくり下駄。



<ぽしゃ>          つぶれる音

ポシャ              ぽしゃ
ポシャる            ぽしゃる        つぶれる。

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【接尾語】

<つ>              数に付ける接尾語。
                    ひとつ、ふたつ、いくつ等。
                    「はたち」の「ち」、「みそじ」の「じ」は「つ」の変形。

ずつ                ずつ            =つつ。「ひとつ」「ふたつ」の「つ」を重ねた。



<か・こ>          所を表す接尾語。


此処                ここ
其処                そこ
彼所                あそこ
何処                どこ
何処                いずこ
在り処              ありか
住処                すみか



<す>              鳥を表わす接尾語。

鶯・鴬              うぐいす        「うぐい」は鳴き声。
烏・鴉              からす          「から」は鳴き声。
杜鵑・霍公鳥・時鳥  ほととぎす      「ほととぎ」は鳴き声。
懸巣                かけす          「かけ」は鳴き声。巣を樹に懸けないので「懸巣」は当て字。
雉子                きぎす          きじ(雉)の古名。「きぎ」は鳴き声。
百舌・鴃・鵙        もず            「も」は「もも(百)」。
                                    様々な鳥の鳴き声を真似るのがうまいので、
                                    舌を百枚持つと考えられた。



<め>              鳥を表わす接尾語。むれ(群)の転。

雀                  すずめ          「すず」は鳴き声。
燕                  つばめ          =つばくらめ。つば=つや、くら=黒。黒い光沢の鳥。
鴎                  かもめ          かも=鴨。鴨に似た鳥。



<めく>            擬音語、擬態語等から動作、状態の動詞を作る接尾語。

呻く                うめく          「う」と声を出す。
喚く                わめく          「わ」と大声を出す。
騒めく              ざわめく        「ザワザワ」と音を出す。
犇く                ひしめく        「ヒシヒシ」と音を出す。
響く                どよめく        「ドヨドヨ」と音を出す。
煌く                きらめく        「キラキラ」する。
蹌踉めく            よろめく        「ヨロヨロ」する。
さざめく            さざめく        「ザワザワ」する。
色めく              いろめく        色がはっきりしてくる。
蠢く                うごめく        絶えず動く。
艶めく              なまめく        若々しくみえる。
仄めく              ほのめく        ほのかに見える。
めかす              めかす          「めく」の他動詞形。「おめかし」等。



<つく>            擬音語、擬態語等から動作、状態の動詞を作る接尾語。

むかつく            むかつく        「ムカムカ」する。
がさつく            がさつく        「ガサガサ」する。
うろつく            うろつく        「ウロウロ」する。
ぎらつく            ぎらつく        「ギラギラ」する。
がたつく            がたつく        「ガタガタ」する。
ばたつく            ばたつく        「バタバタ」する。
粘着く              ねばつく        「ネバネバ」する。
ぐらつく            ぐらつく        「グラグラ」する。
ぶらつく            ぶらつく        「ブラブラ」する。
どたつく            どたつく        「ドタドタ」する。
びらつく            びらつく        「ビラビラ」する。



<ける>            擬音語、擬態語等から動作、状態の動詞を作る接尾語。

だらける            だらける        「ダラダラ」する。
蕩ける・盪ける      とろける        「トロトロ」になる。
蹌踉ける            よろける        「ヨロヨロ」する。
散ける              ばらける        「バラバラ」になる。



<ない>            甚だしいことを表す(「無い」ではない)。

忙しない            せわしない      =せわしい(忙)ない(甚)。とても忙しい。
幼気ない            いたいけない    =いたい(労)け(気)ない(甚)。いたわる気を起こす幼さ。
忝い・辱い          かたじけない    =かたし(難)け(気)ない(甚)。有り難く感じる。
おっかない          おっかない      =おおけ(大気)ない(甚)。
                                    「おおけ」は分不相応に大きい意。おおげさだ→こわい。
  おっかながる      おっかながる
切ない              せつない        「切」は差し迫る意(切迫)。
                                    胸が圧迫されたような思いでつらい。
ぎこちない          ぎこちない      =き(気)こつ(骨)ない(甚)。
                                    ごつごつ骨ばっている→滑らかさがない→不器用



<かましい>        ひどく悪い意の形容詞を作る。

囂しい              かましい        やかましい。
  喧しい・囂しい    かまびすしい
喧しい              やかましい      =いや(弥)かましい。
  ガヤガヤ          がやがや
姦しい・囂しい      かしましい      =かましい+かましい。やかましい。
厚かましい          あつかましい
烏滸がましい        おこがましい    =おこ(痴)がましい。
差し出がましい      さしでがましい
当て付けがましい    あてつけがましい
押し付けがましい    おしつけがましい
恩着せがましい      おんきせがましい
未練がましい        みれんがましい
晴れがましい        はれがましい    あまり表立ってきまりが悪い。今ではいい意味で使われる。



<もじ>            文字詞。文字詞とは、物の名を直接言うことを避け単語の語頭音節だけを残し、
                    「文字(もじ)」という言葉を添えたもの。

ひもじい            ひもじい        「ひだるい」の文字詞。腹がすいて食物がほしい。
杓文字              しゃもじ        「杓子」の文字詞。飯をよそう道具。

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【その他】

<あう>            合う

合う                あう            物が合う。
  合わす            あわす
  合わせる          あわせる
会う・逢う・遭う・遇う
                    あう            人が会う。
                                    逢う:巡り会う。
                                    遇う:偶然に会う。
                                    遭う:好ましくないことに偶然に会う。
  会わす・逢わす    あわす
  会わせる・逢わせる  あわせる
併せる              あわせる        合わせる:一致。併せる:一緒。
饗う                あう            会って、もてなす。
  饗                あえ            もてなし。
和える・韲える      あえる          まぜ合せて調理する。
  和え              あえ            あえもの。
敢て                あえて          =合えずして。無理に。
  喘ぐ              あえぐ          無理をして息を切らす。
  敢え無く          あえなく        無理することなく→あっけなく。
相                  あい
  あいこ            あいこ          =相こ
間                  あいだ
袷                  あわせ          二枚合わせの衣。裏地のある着物。
鮑・鰒・蚫          あわび          =合わぬ身
相生                あいおい        一つの根から2本の幹が相接して生え出ること。
匕首                あいくち        =合口。鍔(つば)がなく、柄口(つかぐち)と鞘口(さやぐち)とが
                                    よく合うように造った短刀。
逢瀬                おうせ          =あう(逢)せ(瀬)。男女がひそかにあうこと。
あいなし            あいなし        =あい(合)なし。調和がとれない。見当外れ。しっくりしない。
あしらう            あしらう        =あえ(合)しらう。
牙婆・数間・仲      すあい          売買の仲買をすること。



<あおぐ>          扇ぐ

扇ぐ                あおぐ
扇                  おうぎ
煽る                あおる          あおいで動かす



<あがる>          上がる

上がる・揚がる・挙がる・騰る
                    あがる          揚がる:ふわっと上がる。高まる。
                                    挙がる:示される。
                                    騰がる:値段が上がる。
  上げる・揚げる・挙げる
                    あげる
  上がったり        あがったり      「あがる」は終わる意。商売や仕事がうまくいかない。
驕る                おごる          自分を上位にみなして偉そうにする。
奢る                おごる          自分を上位にみなして贅沢する→金を出して人にふるまう。
厳か                おごそか        高貴な状態。
崇める              あがめる        上位のものを尊ぶ。
論う                あげつらう      =挙げ釣らう。声をあげ、論じる。



<あざ>            どぎつい

痣                  あざ            肌のどぎつい模様。
鮮やか              あざやか        痣のように、どぎつく現れる
欺く                あざむく        痣をつけるような行為をする
嘲る                あざける        どぎつくバカにする
  嘲笑う            あざわらう      どぎつく笑う。
あざとい            あざとい        やりかたが、どぎつい。



<あさい>          浅い

浅い                あさい
  浅ましい          あさましい
  浅む              あさむ          驚きあきれる意。
    薊              あざみ          トゲが多いのを浅む。
  浅蜊・蜊・鯏      あさり          海岸の浅いところにいる貝
褪せる              あせる          色が薄くなる
アッサリ            あっさり
薄い                うすい          浅い→薄い(厚さがない状態)
  薄まる            うすまる
  薄める            うすめる
  薄らぐ            うすらぐ
  薄れる            うすれる
ウッスラ            うっすら
忘れる              わすれる        「わ」は「う」の音転。記憶が薄れる。
  忘れっぽい        わすれっぽい
失う・喪う          うしなう        存在が薄らぐ→うしなう。
  失せる            うせる
浅はか              あさはか        =浅量。考えが足りない。
葦・蘆・葭・芦      あし            水の浅い所に生えるので「あさ(浅)」の転。
  葦                よし            「悪し」を避けて「良し」とした。
似非                えせ            「あさ(浅)」の転。にせもの。本物と違って底が浅い。



<あじ>            味

味                  あじ
味わう              あじわう
鯵                  あじ            味が良い魚



<あず>            預かる

預かる              あずかる
預ける              あずける
与る                あずかる        あずかる→物を受ける→分け前をいただく。



<あせ>            汗

汗                  あせ
汗ぐむ              あせぐむ
汗ばむ              あせばむ
汗疹                あせも          =汗物



<あだ>            徒              表面だけで実の無いこと。

徒                  あだ
あどけない          あどけない      =あだ(徒)け(気)ない。邪心がなくかわいらしい。
侮る                あなどる        =あだ(徒)つる。相手を実のないものとして、ばかにする。



<あつ>            集まる

集まる              あつまる
  集める            あつめる
厚い                あつい
  厚かましい        あつかましい    「かましい」は「ひどい」意。
  椿                つばき          =あつばき(厚葉木)
篤い                あつい          人情、病が厚い。
梓                  あずさ          =あつふさ(厚房)
旋毛                つむじ          「つむ」は集まる意。毛が集まるところ。
  辻                つじ            「つむじ」の転。つむじのように道が集まるところ。
  旋風              つむじかぜ      つむじのように渦巻く風。
紫陽花              あじさい        =あつ(集)さき(咲)。小さな花が集まり咲くから。
花鶏                あとり          =あつとり(集鳥)。群がって行動する鳥。



<あつ>            あつい

熱い・暑い          あつい          暑は日のあつさ、熱は火のあつさ。
  熱がる・暑がる    あつがる
  羹                あつもの        =熱物。菜・肉などを入れて作った熱い吸物。
温かい・暖かい      あたたかい      温かい:冷たいの対語。一般的。
                                    暖かい:寒いの対語。気温。
  温まる・暖まる    あたたまる
  温める・暖める    あたためる
  温か・暖か        あたたか
  あったかい        あったかい      「あたたかい」の促音化。
夏                  なつ            あつ(暑)の音転。
  夏越・名越        なごし          =な(夏)ごし(越)。毎年6月晦日に行われる大祓の神事。
炙る・焙る          あぶる          =あつ(熱)ふる(触)
アツアツ            あつあつ



<あてる>          当てる

当たる・中る        あたる          当たる:一般的。中る:命中、毒気にやられる。
  当てる・中てる    あてる
充てる              あてる          充てる:充当。
宛てる              あてる          相手に当てるようにして渡す。宛てる:向ける。
  宛て              あて
  宛がう            あてがう        故障部分や穴に当てて支える。
仇                  あだ            ぴたりと向かい合って敵対する者
値・価              あたい          物に当てた数値。
                                    値:値打ち、数値。価:価格。
能う・適う          あたう          自分に身についている能力。
恰も・宛も          あたかも        =適うかも
与える              あたえる        相手に当てるようにして渡す。
辺り                あたり          身の回りにくっつくようにしてある所。
あてずっぽう        あてずっぽう    =当て寸法。根拠やめあてなしに事を行う。



<あな>            穴

穴・孔              あな            あく(開)の転。
穴子                あなご          海底の砂の穴に住む。
蟻                  あり            =穴入り



<あびる>          浴びる

浴びる              あびる
浴びせる            あびせる
浴む                あむ            あぶ(浴)の転。「湯浴み」等。



<あふれる>        溢れる

溢れる              あふれる
  あぶれる          あぶれる        「あふれる」の転。「仕事にあぶれる」等。
油・脂・膏          あぶら          溢れるように出てくる物。
                                    (あぶると出るからという説もある)
                                    油:液体状。脂:固体状。膏:肉のあぶら。
  脂ぎる            あぶらぎる



<あま>            天、広大

天                  あま・あめ      広大な空。
雨                  あめ・あま      天から降る大水。
海                  あま            天のように広大な海。
  海人・海女・海士・蜑・塰
                    あま
  浜                はま            =端あま
海馬・葦鹿・海驢    あしか          =あま(海)しか(鹿)
天邪鬼              あまのじゃく    あまのさぐめ(天探女)の転。
数多                あまた          天に満ちるほど多い。
余る                あまる          多くあって残る。
  余す              あます
  余                あまり
  あんまり          あんまり
遍く・普く・周く    あまねく        =あま(天)ねし。広く行き渡る。
剰え                あまつさえ      「あまりさへ」の転。そればかりか。そのうえに。



<あまい>          甘い

甘い                あまい
  甘える            あまえる
  甘やかす          あまやかす
  甘んずる          あまんずる
  甘ったるい        あまったるい
飴                  あめ            甘いもの
  水黽              あめんぼ        飴のような臭いのする虫
  粗目              ざらめ          =ざらあめ。ザラザラした飴
旨い・美味い        うまい          甘いものは旨い
  まんま            まんま          「うまうま」の転。食事のこと。
  飯事              ままごと        食事をまねた子供の遊び
巧い・上手い        うまい



<あみ>            網

網                  あみ
編む                あむ            網をあむ
網代                あじろ          網の代り。竹や木を網状に編んだもの。
簣                  あじか          =あじろこ(網代籠)。土・草・野菜などを運ぶのに用いる具。
投網                とあみ



<あや>            非常に美しい

文・綾              あや            美しい模様。糸で作った模様。
  あやなす          あやなす        美しい模様で飾る。
  操る              あやつる        糸で吊って操作する。
  綾取り            あやとり        糸で模様を作る遊び。
菖蒲                あやめ          =あやめ(文目)。葉にきれいな文目模様があることから。
怪しい・妖しい      あやしい        美し過ぎて、この世のものと思えない。
                                    怪しい:一般的、不気味、不審。妖しい:なまめかしい。
  怪しむ            あやしむ
危うい              あやうい        怪しくて、危険。
  危める・殺める    あやめる        危害を加える。殺す。
  危ぶむ            あやぶむ
  危うがる          あやうがる
  危ない            あぶない        =あやぶ(危)ない(甚)
  危ながる          あぶながる
過ち                あやまち        間違って危険な状態。
  過つ              あやまつ
誤る・謬る          あやまる        間違う。
  誤り              あやまり
謝る                あやまる        間違いの許しを求める。
あやふや            あやふや        =あやふむ(危)+や



<あゆ>            鮎

鮎                  あゆ            =あゆる(落ちる)。秋は川上から落ちる。
鮎並                あいなめ        鮎に似ているから。



<あら>            きれい

新た                あらた          きれいな状態。
  新しい            あたらしい      「た」と「ら」の音が入れ替った。
  新しがる          あたらしがる
改める              あらためる      きれいにする。
  改まる            あらたまる
  革める            あらためる      革命
  検める            あらためる      点検
洗う                あらう          きれいにする。
御手洗              みたらし        =みてあらい。神社の手や口を洗い清める所。



<あら>            粗悪

粗い・荒い          あらい          粗い:粗雑、大雑把。荒い:勢いが激しい。
  粗・荒            あら
荒れる              あれる
  荒らす            あらす
荒っぽい            あらっぽい
あらまし            あらまし        =粗まし。概略。
嵐                  あらし          =あら(荒)し(気)
霰                  あられ          空から振る荒い氷粒
  霙                みぞれ          =水あられ
争う                あらそう        =荒ら添う。荒れるように添う。
争う・抗う・諍う    あらがう        荒れるように、言い争う。
爛れる              ただれる        =ただ(徒)荒れる
  蓼                たで            ただれ(爛)の転。辛くて舌先が爛れる草。
粗方                あらかた



<あばら>          荒れている

荒                  あばら
暴れる              あばれる        周りを荒らす
暴く・発く          あばく          秘密をずたずたにして、あらわにする。



<ある>            存在

有る・在る          ある            有る:所有。在る:存在、所在。
  在り処            ありか
  ありったけ        ありったけ      =有るだけ。
或る                ある            物を特定せず、存在することだけに漠然と言及する。
或いは              あるいわ        =或るものは
表す・現す・顕す    あらわす        存在を明らかにする。
                                    表す:表現。現す:出現。顕す:善行を知れわたらせる。
  表れる・現れる・顕れる
                    あらわれる
著す                あらわす        書物を存在させる。
露・顕              あらわ          存在がはっきりする。
有らゆる            あらゆる        =有る+ゆる。あるものすべて。
有り触れた          ありふれた      どこにでも有り、触れてくる→珍しくない。
灼                  あらたか        =あら(現)た(立)か。神仏の霊験がいちじるしい。
予め                あらかじめ      =有るが初め。
あられもない        あられもない    =有る+れる(可能の助動詞)+もない。あるはずもない。
也                  なり            「に、あり」の略。
非ず                あらず          =有らず
とてもかくても      とてもかくても  「とありても、かくありても」の略。いずれにしても。
  迚も              とても          「とてもかくても」の略。どんなにしても。たいへん。
  兎角              とかく          「とてもかくても」の略。いろいろ。何にせよ。
                                    兎の角は、あり得ないものの例で、当て字。
  兎も角            ともかく        「とてもかくても」の略。何にせよ。…は別として。
  兎に角            とにかく        同上
在り来たり          ありきたり      これまで存在して来た状態のまま→変化がない



<あわれ>          哀れ

哀れ                あわれ
  哀れむ・憐れむ    あわれむ
  哀れがる          あわれがる
  哀れっぽい        あわれっぽい
天晴れ・遖          あっぱれ        哀れ→強い感動を表す



<い>              井              居(い)と同語源

井                  い              水の集まる所。
井守                いもり          井の中に住む



<い>              寝

夢                  ゆめ            =い(寝)め(目)
床                  ゆか            =い(寝)か(処)
家                  いえ            =い(寝)へ(戸)
庵・菴              いおり



<いい>            飯

飯                  いい
  糒                ほしいい        =干飯
歪                  いびつ          =いいびつ(飯櫃)。楕円形→形がゆがんでいる。
疣・肬              いぼ            =いい(飯)ぼ。飯粒の大きさ。
糧                  かて            =かれいひ(乾飯)て



<いう>            言葉を出す

言う・云う・謂う    いう
祝う                いわう          祝いの言葉を言う。
曰く                いわく
所謂                いわゆる        一般に言われている
謂れ                いわれ          古くから言われていること
雖も                いえども        そうは言っても
言わば              いわば
況んや              いわんや        言うまでもなく。
許婚・許嫁          いいなずけ      =言い名付け



<いえる>          癒える

癒える              いえる          音読みのユから。または、息+える。
癒やす              いやす



<いか>            内部の力が充実し、外側に角ばって現れる

怒る                いかる
  怒る              おこる
  怒りっぽい        おこりっぽい
碇・錨              いかり          中身が詰まっていて重いもの
厳つい              いかつい        角ばっている感じがする
  厳しい            いかめしい
  厳つめらしい      いかつめらしい
烏賊                いか            三角頭でいかめしいから
                                    「烏賊」は、いかがカラスに墨を吹き付けてたと
                                    考えられていたから。
雷                  いかずち        =いか(厳)つ(助詞)ち(霊)
啀む                いがむ          =いか(厳)む。かみつくようにどなりたてる。
毬                  いが            =いかかわ(厳皮)
斑鳩・鵤            いかる          鳴き声が、いかっているように聞こえることから。
いがらっぽい        いがらっぽい



<いき>            息

息                  いき
  息む              いきむ
  息吹              いぶき
  鼾                いびき          息引き、息響き
生きる・活きる      いきる          息をしている
  生ける            いける          「花を生ける」など
  生かす・活かす    いかす
  生                き              生きの略。
  生地              きじ            生(手をくわえない)地(もと)
行く・往く          いく・ゆく      生命活動を行う。
                                    行く:一般的。往く:目的地へ向かう。逝く:人が死ぬ。
  いける            いける          =行ける。うまい、よいという意味。
  いけない          いけない        =行けない。ダメという意味。
  逝く              いく・ゆく      あの世へ行く→死ぬ。
  行方              ゆくえ
  行き成り          いきなり        行ったままの状態で。突然。
  裄                ゆき            =行き。背中心から手首までの寸法。
  経緯              いきさつ        =行き沙汰。
去ぬ・往ぬ          いぬ            「行く」と同系
  古                いにしえ        =往にし方。過ぎてしまった過去。
  西                にし            「いにし」から「い」が欠落した形。太陽が去る方角。
床しい              ゆかしい        「行く」より。床は当て字。心がひかれて、行きたいと思う。
入る                いる            「行く」と同系
  入れる・容れる・淹れる
                    いれる
  入る              はいる          =這い入る。
  要る              いる            入用である。必要。
  鋳る              いる            =火入る。金属をとかして鋳型に流し込み、固めて器物を造る。
  煎る・炒る        いる            =火入る。水気のなくなるまで煮つめる。乾いた物を鍋で熱する。
  圦・杁            いり            土手の下などに樋を埋めて、水の出入りを調節するもの。水門。
  閖                ゆり            「いり」の転。水門。
命                  いのち          =息の霊(ち)。<ち>の項を参照。
憩う                いこう          =息う。ほっと息をつく。
  憩い              いこい
池                  いけ            =生け。魚を生かせておくところ。
嘆き                なげき          =長息。長いため息をつく。
  嘆く・歎く        なげく
  嘆かわしい        なげかわしい
起こす              おこす          「おこ」は「いき」の変形。息づくようにさせる。
                                    起こす:発生、起立。興す:盛んになる。熾す:火をおこす。
  起こる            おこる
  起きる            おきる
  興す              おこす
  興る              おこる
  熾す              おこす          「火を熾す」等。
  熾・燠            おき            「起こし火」の略。薪が燃えたあとの赤くなったもの。
  行う              おこなう        「起こす」と同系。
  興し              おこし          米を炒って膨らませたおかし。
勢い                いきおい        息がはずむ状態。
憤る                いきどおる      =息とどこおる
噯気                おくび          =息吹き。いきぶき→おくぶき→おくび。げっぷ。
イキイキ            いきいき



<いき>            意気

意気                いき            心にあふれる元気。
意気地              いくじ          いきじの音転。
意固地              いこじ          意気地の転。意地を張る。
粋                  いき            =意気
  粋がる            いきがる
熱る                いきる          =いき(気)る。むし熱さ。「熱り立つ」等。



<いさむ>          勇

勇む                いさむ
  勇ましい          いさましい
諫める・諌める      いさめる        勇気をもって忠告する。
勲・功              いさお          勇気をもって行ったことへの手柄
諍う                いさかう        勇敢にけんかする。
いざこざ            いざこざ        =いさく+さ。いさかうこと。
潔い                いさぎよい      =いさ(勇)きよい(清)。勇気があってよい



<いし>            石

石                  いし
  碑                いしぶみ        =石文
  礎                いしずえ        =石据
磯・礒              いそ            石の多い海岸
岩・磐・巌          いわ
  岩魚              いわな
  窟                いわや          =岩屋
  巌                いわお          =岩穂。高く突き出た大きな石。
砂子                いさご
  真砂              まさご          =ま(真)いさご(砂子)
岸                  きし            =切り石。岸壁。
  鱚                きす            きし(岸)の転。岸に多くいる魚。



<いじ>            触る

弄る                いじる
弄くる              いじくる
弄う                いらう
苛める・虐める      いじめる



<いそぐ>          急ぐ

急ぐ                いそぐ
忙しい              いそがしい      急ぐ用事がある。
  忙しがる          いそがしがる
勤しむ              いそしむ        忙しく働く。
イソイソ            いそいそ



<いた>            心身に強く感ずる

痛い                いたい          身に強く感ずる。
  痛ましい          いたましい
  痛む・傷む        いたむ          痛む:痛苦。傷む:損傷、腐敗。悼む:哀悼。
  悼む              いたむ          心痛する→人の死を悲しむ。
  痛める・傷める    いためる
  痛々しい          いたいたしい
  痛がる            いたがる
炒める              いためる
撓める              いためる        革を鉄鎚かなづちで打ち固める。
労わる              いたわる        痛みを思いやる。
  労しい            いたわしい
幼気ない            いたいけない    =いたい(労)け(気)ない(甚)。いたわる気を起こす幼さ。
厭う                いとう          痛みを嫌がる→嫌がる。
  厭わしい          いとわしい      いやで、避けたいことである。
愛おしい            いとおしい      「厭う」から派生。気の毒だ→かわいらしい
  愛しい            いとしい        =いとおしい
  愛おしむ          いとおしむ
  愛おしがる        いとおしがる
従兄弟              いとこ          =いとおしき子
甚                  いと            心に強く感ずる→とても。「いとおかし」等。
  甚く              いたく          はなはだしく
  営む              いとなむ        =甚なむ。尽力する。
  挑む              いどむ          =甚む。尽力する。
  暇                いとま          =甚間。尽力したあとの休み。
  甚振る            いたぶる        =いた(甚)ふる(振)。激しくゆさぶる→脅し取る。
  至る・到る        いたる          極限に到達する。
    至って          いたって        きわめて。
    致す            いたす          到るの他動詞形。「する」の謙譲語。
  頂                いただき        最終到達地点。頂上。「山の頂」等。
    頂く・戴く      いただく        もらい物を大切なものとして頭の頂上に乗せる→もらう、食べる。
                                    「ご飯を頂く」等。



<いね>            稲

稲                  いね・いな      =命の根、または、いい(飯)たね(種)。
米                  よね            「いね」の音転。
蝗                  いなご          =稲子
稲妻                いなずま        古代、稲妻が稲穂を実らせると考えられた。
稲荷                いなり          =いねなり。稲をならせる神。
田舎                いなか          =いな(稲)か(処)。稲の栽培地。
鯔                  いな            =い(稲)な(魚)。稲の茎が腐ったものがこの魚になると思われていた。
                                    ボラの幼魚。
  鯔背              いなせ          魚河岸の若者が鯔の背のようなまげをしていたことから、威勢のよいさま。
値                  ね              「いね」の「ね」。昔は米が価値の基準になっていたため。
  値引き            ねびき
  値打ち            ねうち



<いま>            今

今                  いま
未だ                いまだ
まだ                まだ            「未だ」の略
未だしも            まだしも        まだそれでも。
今際                いまわ          =今は限り。死に際。



<いむ>            触れてはならないもの、避けるべきもの

忌む                いむ
  忌まわしい        いまわしい
  忌々しい          いまいましい
戒め                いましめ        禁止事項に触れないよう注意する。
  戒める・誡める    いましめる
いみじくも          いみじくも      禁忌として決して触れてはならないと感じられる→極度に甚だしく。
忌忌しい・由由しい  ゆゆしい
努                  ゆめ            =忌め。決して。「努々疑うことなかれ」など。



<いぶかる>        うたがう

訝る                いぶかる
訝しい              いぶかしい
訝しがる            いぶかしがる



<いぶす>          煙が出る

燻す                いぶす
燻る                いぶる
  いびる            いびる          「いぶる」の転。しいたげ苦しめる。


<いや>            きらう

否・嫌・厭          いや
  嫌らしい          いやらしい
  嫌がる            いやがる
  嫌みたらしい      いやみたらしい
  否応なく          いやおうなく    否(不承知)応(承知)関係なく。無理やりに。
  いやに            いやに          妙に。
卑しい・賎しい      いやしい        嫌われるもの
  卑しむ・賎しむ    いやしむ
  卑しめる・賎しめる  いやしめる
  苟も              いやしくも      最低の存在であっても。仮にも。
否                  いな            「いや」など否定するときに発する声
  否む・辞む        いなむ
いえ・いいえ        いえ・いいえ
いさ                いさ            否定的な気持で軽く受け流そうとするときの応答の語。
                                    「いざ知らず」等。
  いざよう          いざよう        否んで進まない。ためらう。
  十六夜            いざよい        ためらうこと。陰暦16日の月は、満月よりもおそく、
                                    ためらうようにして出てくるので、こう書く。



<いら>            とげ、かど

苛・刺              いら            草木の刺(とげ)
苛苛                いらいら        とげが刺さって不快感。
甍                  いらか          =いら(苛)か(処)。高く尖っているから。
刺草                いらくさ        葉にとげのある草。



<う>              鵜

鵜                  う
  鵜呑み            うのみ
嗽                  うがい          =鵜飼。鵜飼の鵜が飲んで吐き出すように、水で口やのどをすすぐ。
石斑魚・鯏・鰔      うぐい          =鵜食い。鵜が食べる魚。



<うえ>            上

上                  うえ
上・浮              うわ
  浮つく            うわつく
  浮気              うわき
  噂                うわさ          =うわ(浮)さた(沙汰)
  囈語・譫言        うわごと        =うわ(浮)ごと(言)。熱に浮かされて発する言葉。
浮く                うく
  浮き              うき
  浮かぶ            うかぶ
  浮かべる          うかべる
  浮かす            うかす
  浮かれる          うかれる
  うかと            うかと
  ウキウキ          うきうき
  ウカウカ          うかうか
  ウッカリ          うっかり
鴨                  かも            =浮かも。浮かぶ鳥。
  かものはし        かものはし      =鴨の嘴。鴨のような口ばしを持った動物。
筏                  いかだ          =浮く板。



<うえる>          植える

植える              うえる
  植わる            うわる
据える              すえる
  据わる            すわる
座る・坐る          すわる
陶                  すえ            「すえもの」の略。机などに据える焼き物。
末・季              すえ            =すえ(据)



<うお>            魚

魚                  うお
鱗                  うろこ          =魚小
筌                  うけ・うえ      うお(魚)いえ(家)の略。魚を捕らえる竹具。漏斗状の入り口。



<うける>          受ける

受ける              うける          受ける:一般的。請ける:請け負う。享ける:天から授かる。
  受かる            うかる
請ける              うける          仕事を受ける。
享ける              うける          天から受ける。
承る                うけたまわる    =受け賜る
肯う                うけがう        承知する。引き受ける。



<うごく>          動く

動く                うごく
  動かす            うごかす
蠢く                うごめく
ウゴウゴ            うごうご



<うそ>            中身のない

嘘                  うそ
  嘯く              うそぶく
遊ぶ                あそぶ          他の説では「あそ」は「阿蘇山」の「あそ」、
                                    「浅間山」の「あさ」、「有珠山」の「うす」と同源。
                                    噴火のような行為。
  遊ばす            あそばす
  弄ぶ・玩ぶ・翫ぶ  もてあそぶ      =持て遊ぶ



<うち>            内側

内                  うち
  俯く              うつむく        =内向く
  うつぶす          うつぶす        =内伏す
家                  うち
裏                  うら
浦                  うら            海の裏がわ
占う                うらなう        事の裏を知る
伺う・窺う・覗う    うかがう        うち(内)の変形「うか」。内側を見る。
心                  うら            人の内面
  心悲しい          うらがなしい    心がかなしい
  心淋しい          うらさびしい    心がさびしい
  うら恥ずかしい    うらはずかしい
  うらぶれる        うらぶれる      心がしおれる
  嬉しい            うれしい        =うれ(心)いし(良)。心がよい。
    嬉しがる        うれしがる
  裏腹              うらはら        うら=心、はら=腹の表面。心とうわべが全く逆。
  恨む・怨む・憾む  うらむ          =心む。心の内に潜む感情。
    恨めしい        うらめしい
    恨めしがる      うらめしがる
  憂う              うれう          =心う。心の内に沈む悲しみ。
    憂える・愁える  うれえる
    憂い・愁い      うれい
    憂い            うい
    憂さ            うさ            「憂さ晴らし」等。
    憂き            うき            「憂き目」等。
  羨む              うらやむ        =心病む
    羨ましい        うらやましい



<うつ>            打つ

打つ                うつ            打つ:一般的。討つ:武器で殺す、討伐。撃つ:射撃、攻撃。
  打ち勝つ          うちかつ
  打って付け        うってつけ      釘を打って付けたように、ぴったり。
撃つ                うつ
討つ                うつ
拍つ                うつ            手のひらをうつ。
歌・唄・唱・詩      うた            拍子を打って歌う。
                                    歌:一般的。唄:邦楽。民謡。
  歌う・謡う・唄う  うたう
  謳う              うたう          ほめたたえる。明確に文章で表現する。
  謡                うたい
宴                  うたげ          =打ち上げ
疑う                うたがう        =歌交う。自分の思うところを曲げずに差し挟む。
  疑る              うたぐる
  疑わしい          うたがわしい
訴える              うったえる
打つ・撃つ・撲つ    ぶつ            「うつ」の転。
  ぶつける          ぶつける        =打ちつける。
  ぶつかる          ぶつかる
  打ち毀す          ぶちこわす
  ぶっきらぼう      ぶっきらぼう    =打ち切り棒。
団扇                うちわ          =打ち羽
槌・鎚              つち            =打ち。物を打ち叩く工具。「金槌」等。
鞭                  むち            =打ち



<うつ>            場所を移す

移る・遷る・写る・映る
                    うつる          移る:移動。
                                    遷る:首都がうつる。
                                    写る:写真、文書、絵をうつす。
                                      「書類を写す」「写真を写す」等。
                                    映る:映写、反映。
                                       「スクリーンに映す」「鏡に姿が映る」等。
  移す・遷す・写す・映す
                    うつす
  移ろう            うつろう        状態が変化してゆく。
現                  うつつ          目に映る→目が覚めている状態。現実。
  現し・顕し        うつし          現実にある。現に生きている。
  現人              うつせみ        =現し身。この世に現存する人間。
うつつ              うつつ          「夢うつつ」と続けていうところからの誤用で、夢心地の意。
  転寝              うたたね        =うつつ(現)寝
  ウットリ          うっとり
  ウツラウツラ      うつらうつら
  ウトウト          うとうと
おうつり            おうつり        =お映り。感謝の気持ちを映したもの。物をもらったときに、
                                    その入れ物に入れて返す、お返し。
  お釣り            おつり          「おうつり」の転。釣銭。「釣」の字は当て字。
                                    釣り合わせるものという説もある。



<うつ>            空虚

虚ろ・洞ろ・空ろ    うつろ
虚・洞・空          うろ            「うつろ」の略。「虚覚え」等。
器                  うつわ          内側が空いている。
  兵                つわもの        =うつわもの(器物)。原義は兵器のこと。後に兵の意味。
疎い                うとい
  疎む              うとむ
  疎ましい          うとましい
偽る                いつわる        =うつ(空)はる(張)
空け・虚け          うつけ          =うつ(空)け
  空ける・虚ける    うつける
悪戯                いたずら        =いとつら。いと=とても、つら=うつら(空)。意味ないこと。
徒に                いたずらに      =いとつらに。とてもむなしく→意味もなく。
泡沫                うたかた        =うつ(空)かた(形)。水の上に浮ぶ泡。儚いことのたとえ。
空蝉                うつせみ        蝉の抜け殻。魂がぬけた虚脱状態の身。
靫・空穂・笂        うつぼ          =うつぼ(空穂)。矢を入れて持ち歩く具。
飢える・餓える      うえる          「うつろ」と同系。腹が空虚になる。



<うつくしい>      かわいい

美しい              うつくしい
慈しむ・愛しむ      いつくしむ      かわいいものを慈しむ
厳・稜威            いつ



<うね>            畝

畝                  うね
うねる              うねる
ウネウネ            うねうね



<うむ>            産む

産む・生む          うむ            生む:一般的、誕生、作り出す。産む:出産、産卵。
生まれる            うまれる
産・初              うぶ
  産着              うぶぎ
  産声              うぶごえ
  初                うい
  初心              うぶ            生まれたままの飾りけのない心。
麻呂・麿            まろ            うまれ(生)の転。一人称代名詞。
おぼこ              おぼこ          =うぶこ(産子)。生まれたての子。処女。
  坊や              ぼうや          ぼう=おぼこ。



<うめる>          埋める

埋める              うめる
  埋まる            うまる
  埋もれる          うもれる
埋まる              うずまる
  埋める            うずめる
  埋もれる          うずもれる
独活                うど            =うづ(埋)。土に埋まっている若い芽を食用とする。
芋・薯・藷          いも            古名は「うも」。=埋も。
鶉                  うずら          =うずみ(埋)ある(有)。草むらに埋まるように住むことから。



<うや>            礼儀

敬う                うやまう
恭しい              うやうやしい



<うら>            末

末                  うら            はし。すえ。特に、上端。
うら若い            うらわかい      =末若い。草木の末が若くみずみずしい。
末成り              うらなり        草木の末端の方に成った実。青白くて弱弱しく見える人。
木末                こぬれ          =こ(木)のうれ(末)。木の若い枝先。梢。



<うる>            手に入れる

得る                うる
売る                うる            品物や権利の代わりにお金を得る
  売れる            うれる
得る・獲る          える            得る:一般的、入手。獲る:鳥獣を捕獲。
得手                えて            得意とするところ。
獲物                えもの          =得物
諾う                うべなう        =う(得)べ(可)なう。もっともであると思う。同意する。
宜う                うべなう        =う(得)べ(可)なう。もっともなことに。なるほど。



<うる>            水水しい

潤う                うるおう
  潤す              うるおす
  潤む              うるむ
  ウルウル          うるうる
麗しい              うるわしい      水水しい感じ
  麗らか            うららか
  ウラウラ          うらうら
閏                  うるう          閏年など(水が余分にあるように、日数が余分にある)
漆                  うるし
粳・粫              うるち          =うるしね。うる=潤、しね=稲。ねばりけの少ない米。
瓜                  うり            =うるみ(潤実)
  胡瓜              きゅうり        =黄瓜



<うれる>          熟す

熟れる              うれる
膿む                うむ
  膿                うみ
倦む                うむ            熟れるほど、同じことを長く続けて嫌になる。
倦む                あぐむ          =あき(厭)うむ(倦)
五月蝿い・煩い      うるさい        熟れると同系。行き届いた状態→その度が過ぎて嫌になる。
  煩がる            うるさがる
ウンザリ            うんざり        倦むと同系。



<え>              枝

柄                  え
枝                  えだ
江                  え              海が陸地に枝のように入り込んでいるように見えるから。
榎                  えのき          枝の多い木だから。



<えい>            魚のエイ

海鷂魚              えい
鰈・鰔              かれい          =かれ(枯)えい。痩せ枯れたえい。



<えむ>            笑む

笑                  え
笑む                えむ
笑顔                えがお
靨                  えくぼ          =笑窪



<えらぶ>          選ぶ

選ぶ・択ぶ・撰ぶ    えらぶ
  選る              える・よる
偉い・豪い          えらい          選ばれた
  偉がる・豪がる    えらがる



<お>              細長く伸びたもの

尾                  お
緒                  お
  縅                おどし          =緒通し。鎧の札さねを糸または細い革でつづること。
麻・苧              お              「あさ」の古名。細く長い麻ひも。
  苧環              おだまき        花の形が麻糸を巻きつけたものに似ているから。
  桶                おけ            =を(麻)け(笥)。績んだ麻を入れる器→木で作った入れ物。
織る                おる            =を(緒)る。細長い繊維から布を作る。
丘・岡              おか            =をか(尾処)。尾根の場所。
  陸                おか            陸地。
  傍                おか            かたわら。局外。
    傍目            おかめ          他人のしていることをわきから見ている。



<おう>            負う

負う                おう
  負                おんぶ          =おぶう(負)
覆う・被う・蓋う・蔽う・掩う
                    おおう          背に負うようにかぶせる。
仰せ・諚            おおせ          言葉を負わせる。目上の人の言いつけ。
  仰る              おっしゃる      =仰せある
背負う              せおう
  背負う            しょう          「せおう」の転。
  わっしょい        わっしょい      =和背負い
笈                  おい            =負い。用具などを入れて背負う竹製の箱。



<おお>            大きい、多い

大きい              おおきい
  大                おお
  大きな            おおきな
  大いに            おおいに
  大まか            おおまか        こまか(細か)に対する語
  大らか            おおらか
多い                おおい
生い                おい            「生い立ち」など。成長して大きくなる。
凡そ                おおよそ・およそ
                                    =大余所
臣                  おみ            =おお(大)み(身)
御                  おん・お        =おおみ(大)



<おかす>          定められた範囲を超えて踏み込む

犯す                おかす          人を害する。「過ちを犯す」等。
侵す                おかす          土地や権利を奪う。「領空を侵す」等。
冒す                おかす          向こう見ずに進む。「危険を冒す」等。



<おく>            後から

送る・贈る          おくる          後から物を届ける
                                    送る:送達、送別、過ごす。贈る  贈与。
  諡                おくりな        =送り名。死んだ人に付ける名。
遅れる・後れる      おくれる        後から付いて行く。
                                    遅れる:時間、速度。「完成が遅れる」「会合に遅れる」等。
                                    後れる:物事の後先。「気後れする」「後れ毛」等。
  遅らす            おくらす
遅い・鈍い・晩い    おそい
怠る・惰る          おこたる        後回しにする
呉れる              くれる          「贈る」の「お」が落ちた形。物を与える意。呉は当て字。
晩生・晩稲          おくて          =おくれ手。植物の成熟が遅いもの。転じて、成熟が遅い人。



<おく>            奥

奥                  おく            奥の慣用音(オク)から。
  奥床しい          おくゆかしい    =奥行かしい。奥が深い→上品だ。
沖                  おき            海の奥



<おこ>            おろかなこと

痴・烏滸            おこ
  痴がる            おこがる
  烏滸がましい      おこがましい    =おこ(痴)がましい。「かましい」は「ひどい」意。
可笑しい            おかしい        =おこ(痴)しい。
  可笑しがる        おかしがる
虎魚                おこぜ          =おこ(痴)し(魚)。可笑しい顔の魚。



<おさ>            長

長                  おさ
治める              おさめる        長が統治する。→整理、管理する。
                                    混乱している事物を安定した状態にする。
  治まる            おさまる
修める              おさめる        事物を整った状態にする。学問や行いを身に付ける。
  修まる            おさまる
納める・収める      おさめる        物事を落ち着けるべき所に落ち着ける。
                                    収める:散在したものを一か所にまとめる。
                                    納める:倉や容器にいれる。
  納まる・収まる    おさまる
幼い                おさない        =長無い



<おしい>          惜しい

惜しい              おしい
惜しむ・愛しむ      おしむ
惜しがる            おしがる
惜しげ              おしげ
惜しむらく          おしむらく



<おす>            力を加える

押す・圧す・捺す    おす            押す:力を加える。
                                    圧す:重みを加える。
                                    捺す:印を押す。
                                    推す:推薦、推測。「会長に推す」「推して知るべし」等。
  押さえる          おさえる        押さえる:物理的におさえる、確保。
                                    抑える:抑制、抑止。
抑える              おさえる
推す                おす
教える・訓える      おしえる
  教わる            おそわる
襲う                おそう
煽てる              おだてる        =押し立てる



<おそれ>          恐れる

恐れる・怖れる・懼れる
                    おそれる        恐れる・怖れる:こわがる。
                                    懼れる:心配。「遅刻する懼れがある」等。
                                    畏れる:かしこまる。「師を畏れ敬う」等。
畏れる              おそれる        恐れて、かしこまる。
恐ろしい            おそろしい
恐らく              おそらく        恐れることは→間違っていたらと不安ですが→多分。
                                    「恐らく午後には晴れるだろう」等。
虞                  おそれ          良くないことへの不安。「失敗する虞がある」等。
戦く・慄く          おののく        恐れると同系。
怯える・脅える      おびえる        恐れると同系。
  脅かす            おびやかす
  夥しい            おびただしい    =怯える+湛える+しい。怖いほど多い。
怖じる              おじる          「物怖じしない」等
  怖気              おじけ
  怖じける          おじける
  いじける          いじける        「おじける」の音転。
  ウジウジ          うじうじ        「おじおじ」に音転。
  オメオメ          おめおめ
悍しい              おぞましい



<おと>            音

音                  おと            「落とす」と同系。物を落としたときに音がする。
おとなう            おとなう        音をたてる。
訪れる              おとずれる      音を立てる→人をたずねる。
琴・箏              こと            =こおと(小音)



<おどる>          踊る

踊る                おどる          踊る:舞踊、揺れ動く。「踊らされて動く」「盆踊り」等。
                                    躍る:跳躍、躍動。「馬が躍り上がる」「胸が躍る」等。
  踊り              おどり
躍る                おどる



<おど>            身の縮むような状態

驚く・愕く          おどろく
  驚かす            おどろかす
おどろおどろしい    おどろおどろしい
脅す・嚇す・威す    おどす
  脅かす            おどかす
オドオド            おどおど



<おの>            自分

己                  おのれ
各                  おのおの        =己己。各自各自。
俺                  おれ            「おのれ」の略。
  おいら            おいら          =俺等
自ずから            おのずから      =己つから
自ずと              おのずと        =己つと
自惚れ              うぬぼれ        =うぬ(己)惚れ
花魁                おいらん        =おいら(己等)。姉女郎をオイラと呼んだことによる。



<おび>            帯

帯                  おび
帯びる              おびる
佩びる              おびる          腰に下げる。



<おぼ>            ぼんやり

朧                  おぼろ
溺れる              おぼれる        =朧惚れる。ぼんやりと気を失った状態になる。
幻                  まぼろし        =ま(目)おぼろ(朧)し



<おも>            表面

面                  おも            頭の表側
  面                も              「おも」の略。「水面(みなも)」等。
  表・面            おもて          表:表面、戸外、うわべ。「裏と表」「表で遊ぶ」「表向き」等。
                                    面:顔、正面。「面を上げる」「矢面に立つ」等。
赴く・趣く          おもむく        =おも(面)向く。顔を向けて行く。
趣                  おもむき        顔を向けている興味あること
面影・俤            おもかげ
阿る                おもねる        =おも(面)ねる(練)。顔を左右に向ける→へつらう、こびる。



<おもい>          重い

重い                おもい
  重し              おもし
  重たい            おもたい
  錘・重り          おもり
  重んずる          おもんずる      =重くする
  重々しい          おもおもしい
思う・想う          おもう          心に重いものを感じる
  思す              おぼす          思うと同系。「思し召す」など。
  慮る              おもんばかる    =思い量る
  思わく            おもわく        思うところ。
  喪                も              「おもう」の「も」。死者を思う。
    殯              もがり          =喪あがり。葬儀の準備が整うまで亡骸を安置すること。
覚える・憶える      おぼえる
  覚束ない          おぼつかない    =おぼし付かない。思う付くことがない→どうなるかわからない。
主                  おも            最も重要なこと
母                  おも
  母屋・母家        おもや・もや    =おも(主)や(屋)
徐                  おもむろ        =おもぶる。重々しい風をする→ゆっくりと。



<およ>            手が届く

及ぶ                およぶ          手が届く
  及び              および
  及ぼす            およぼす
泳ぐ                およぐ          水中で手を届かせる
  泳がす            およがす
追う                おう            手が届く距離を保つ。
同じ                おなじ          =おやじ。2つのものの状態が互いに及んでいる。



<おる>            居る

居る                おる
  居る              いる
檻                  おり            居させる場所
藺                  い              =居。畳表にするいぐさ。
いらっしゃる        いらっしゃる    =居らせらる



<おる>            折る

折る                おる
折れる              おれる
折                  おり            時の折り目→時期、機会。「暑さの折」「折をみて」等。
  折柄              おりから        ちょうどその時。「折柄の雨」等。
  折しも            おりしも        ちょうどその時に。


<おろ>            不十分、不完全

愚か                おろか
疎か                おろそか
オロオロ            おろおろ



<おわる>          終わる

終わる              おわる
  終わり            おわり
終える              おえる



<か>              香り

香                  か
香り                かおり
香る・薫る・馨る    かおる          薫る:比ゆ的、抽象的。「風薫る」等。
                                    香る:一般的、具体的。「茶の香り」等。
嗅ぐ                かぐ
  案山子            かかし          =嗅がし。田畑が鳥獣に荒らされないよう嫌な匂いのものを置く。
芳しい              かんばしい
香ばしい            こうばしい
芳しい・香しい・馨しい
                    かぐわしい
桂                  かつら          =かづら(香出)。香りが出る木材。



<か>              蚊

蚊                  か              蚊の飛ぶ音から。
大蚊                ががんぼ        =蚊の母。蚊に似た大きな虫。
浮塵子・雲霞        うんか          =雲蚊。大群をなして移動するのが雲のように見えることから。
蝙蝠                こうもり        =かはほり。蚊をは(食)ほる。
蚊帳                かや            =蚊屋



<か>              鹿

鹿                  しか・か        =せ(夫)か(鹿)。元は雄の鹿。め(女)か(鹿)の対。
  麋                おおじか        大形のシカ。
海豚・鯆            いるか          =いを(魚)か(鹿)。



<かう>            飼う

飼う                かう
蚕                  かいこ          =飼い子
  桑                くわ            =こ(蚕)は(葉)
  沙蚕              ごかい          =ご(沙)かい(蚕)。砂の中にいる蚕に似た虫。



<かう>            交う

交う                かう
  交わす            かわす
買う                かう            物を交換する
躱す                かわす          「交わす」と同源。身をひるがえして避ける。
為替                かわせ          =かわ(替)せ(為)。替わりにするもの。お金の替わりにする手形等。
通う                かよう
角                  かど            =か(交)ど(処)。二面が交わる所。
  廉                かど            =角。数え立てるべき箇条。
門                  かど            =か(交)ど(処)。人が出入りして交わる所。
  帝                みかど          =御門。天皇の居所→天皇。
  首途              かどで          =門出。門を出て出発する。



<かえる>          変える

変える              かえる
  変わる            かわる
代える・替える      かえる          物を変える。
                                    代える:代理、代表、交代。
                                    替える:AをやめてBにかえる。
                                    換える:AとBを交換。
  代わる・替わる    かわる
換える              かえる          配置を変える
  換わる            かわる
帰る・返る          かえる          方向を変える。帰る:人。返る:物事。
  帰す・返す        かえす
還る                かえる          返還
顧みる・省みる      かえりみる      =返り見る。顧みる:振り返る。省みる:反省する。
覆る                くつがえる      =崩返る
  覆す              くつがえす
翻る                ひるがえる      =ひらりと返る
  翻す              ひるがえす
孵る                かえる          卵から変化する
  孵す              かえす
蛙                  かえる          姿を変える生き物。
  楓                かえで          =蛙手。葉が蛙の手の形。
却って・反って      かえって        逆に。
甲斐                かい            「替え」の音転。ある行為に値する。甲斐の字は当て字。
  甲斐甲斐しい      かいがいしい    期待に値する結果を出す→てきばきとした動作。
相変らず            あいかわらず



<かが>            屈む

屈む                かがむ
  屈まる            かがまる
  屈める            かがめる
屈む                こごむ
屈まる              くぐまる
縢る                かがる          =かが(屈)る。糸を互いに組んで編む。「縢り縫いをする」等。
拝む                おがむ          =おれかがむ(折屈む)




<かく>            指、手の動作   → 解説

掻く                かく            指で皮膚を掻く。
  足掻く            あがく
  痒い              かゆい          掻きたくなる状態。
  かなぐり          かなぐり        =掻きなぐり。身に着けているものを掻き取るように脱ぎ捨てる。
  奏でる            かなでる        =かい(掻)なづ(撫)。または、かいな(腕)いづ(出)
欠く                かく            指で削り取って欠ける。
  欠ける・闕ける    かける
  欠片              かけら
書く                かく            指で土器の表面を削って模様を書く。
  描く・画く        えがく・かく    =絵書く
掛ける              かける          手で物を取って別の物の上にのせる。
  掛かる            かかる
  掛かり            かかり
懸ける              かける          手で物を取ってある場所にぶら下げる。
  懸かる            かかる
架ける              かける          2つの物の間に物を架け渡す。
  架かる            かかる
係る                かかる          二つの物が付く→つながりを持つ。
  係り              かかり
  係わる・関わる・拘わる
                    かかわる
  かかずらう        かかずらう      =かか(係)つら(連)う。関係し続ける。
繋ける              かける          ひもで物をつなぐ。繋留(けいりゅう)。
  繋かる            かかる
賭ける              かける          金品で関係を持つ→賭博。
罹る                かかる          病気とつながる→病気にかかる。
舁く                かく            物を肩にかけて運ぶ。「かごを舁く」等。
抱える              かかえる        手で持って胸に抱える。
  腕・肱            かいな          かかえ(抱)ね(根)の転。
    かったるい      かったるい      =かいなだるい。
掲げる              かかげる        =かき上げる。手で持って上に掲げる。
扱く                こく            「掻く」の転。打ちつけたり、狭い所を通したりして、
                                    付いているものをむしり取る。「扱使う」等。
  扱ぐ              こぐ            「扱く」の転。「稲を扱ぐ」等。
櫂                  かい            手で扱う舟を進める道具。
梶・舵・楫          かじ            手で扱う舟の進路を変える道具。
  面舵              おもかじ        おも(主)な方向=右。船のへさきを右へ向ける時の舵のとりかた。
  取舵              とりかじ        船のへさきを左へ向ける時の舵のとりかた。
漕ぐ                こぐ            「掻く」の転。「船を漕ぐ」等。
鍵                  かぎ            指を曲げたような形のもの。
鉤                  かぎ            指を曲げたような形のもの。
釘                  くぎ            指を曲げたような形のもの。
牡蠣・蠣・硴        かき            掻き取り貝
崖・垳              がけ            「欠け」の転。山の欠けた所。
鉋                  かんな          =かきな(掻刀)
筧                  かけい          =掛け樋(とい)
削る                けずる          「け」は「か(掻)」の音転。
梳る                けずる          =くしけずる。髪の毛をとく。
カリカリ            かりかり
ガリガリ            がりがり
  がり              がり            がりがりとかむから。熱湯に通し甘酢につけ薄切りしたショウガ。
踵                  かかと          =かか(掛)と(所)。体重が掛かる所。



<かげ>            明暗

影・陰・蔭・翳      かげ            影:物の形、光をさえぎってできる黒い形。「障子に影が映る」等。
                                    陰・蔭・翳:隠れてみえない、光があたらない。「山の陰」等。
陰る                かげる
輝く・耀く・赫く    かがやく
  輝かす            かがやかす
  輝かしい          かがやかしい
  カッカ            かっか          光り輝くさま。
鏡                  かがみ          =影見
  鑑                かがみ          手本。模範。
  鑑みる            かがみる        =影見る
  鑑みる            かんがみる
陽炎                かげろう
蜻蛉                かげろう        陽炎のようにひらめく虫
赫夜姫              かぐやひめ      =かがやかしい(赫)よ(夜)ひめ(姫)
篝                  かがり
  篝火              かがりび



<かこむ>          かこむ

囲む                かこむ
  囲う              かこう
隠す・匿す          かくす          囲んで隠す。
  隠れる            かくれる
  匿う              かくまう
垣                  かき            囲いをつける。
  垣間見る          かいまみる
  籬                まがき          =ま(間)がき(垣)。隙間のある垣。
限る                かぎる          囲いをつけて限定する。
  限                きり
  ギリギリ          ぎりぎり



<かさ>            上に乗る

重なる              かさなる
  重ねる            かさねる
傘・笠              かさ            頭の上に乗せるもの
  傘                からかさ        =唐傘
嵩・量              かさ            積み重なった量。水嵩(みずかさ)など。
  嵩む              かさむ
  嵩張る            かさばる
瘡                  かさ            皮膚の上に重なるもの。瘡蓋(かさぶた)など。
カサカサ            かさかさ
飾る                かざる          重ねて飾る
  飾                かざり
  錺                かざり          金属製のかざり



<かしこ>          敬う

賢い                かしこい        敬うことのできる
  賢がる            かしこがる
畏まる              かしこまる      敬っている
傅く                かしずく        =かしこみつく。人に仕えて守り、世話をする。



<かす>            少なく弱い

微か・幽か          かすか
霞む・翳む          かすむ
  霞                かすみ
掠る・擦る          かする          弱く触れる
  掠める            かすめる
  掠れる・擦れる    かすれる
飛白・絣・綛・纃    かすり          所々かすったように文様を織り出した織物。
コソコソ            こそこそ
  コッソリ          こっそり
  こそどろ          こそどろ        こそこそした泥棒
  狡い              こすい          =こす(コソコソ)い。ずるい。
くすねる            くすねる        「くす」は「こそこそ」の意。



<かず>            数

数                  かず
数える              かぞえる
御数                おかず          数々の取り合わせ。



<かせ>            綛

綛                  かせ            紡ぎ糸の巻き取り器。
稼ぐ                かせぐ          「かせ」のように立ち働いて休まない。



<かぜ>            風

風                  かぜ・かざ
風邪                かぜ            =風が起こす病気



<かた>            固い

固い・堅い・硬い    かたい         固い:ゆるいの対語。広く一般に使う。
                                       「団結が固い」「地盤が固い」等。
                                   堅い:もろいの対語。人や物の性質に使う。
                                       「堅い守り」「口が堅い」等。
                                   硬い:軟らかいの対語。物の状態や人の態度に使う。
                                       「表情が硬い」「硬い文章」等。
  固まり・塊        かたまり
  固まる            かたまる
  固める            かためる
  鰹                かつお          =堅魚
  樫                かし            =堅し
  柏・槲            かしわ          =かたしは(堅葉)
    膳              かしわ          飲食の饗膳。柏の葉を食器に用いたことから。
    黄鶏            かしわ          鶏の羽毛が柏の葉の色に似ていることから。鶏肉。
    拍手            かしわで        拍(うつ)を間違って、柏(かしわ)と読んだことによる。
                                    神を拝む時、手のひらを打ち合せて鳴らすこと。
  枷                かせ            =樫。樫の木で作った刑具。
型                  かた            土を固めて作った型。
                                    型:手本、パターン、タイプ。形:姿かたち、フォーム。
形・容              かた・かたち    固くしっかりした形。
  象る・模る        かたどる        =形取る
姿                  すがた          =素形
難い                かたい          固い→壊すのが難しい→難しい
  有り難う          ありがとう      =有り難い。
  忝い・辱い        かたじけない    =かたし(難)け(気)なし(甚)。有り難く感じる。
    忝がる・辱がる  かたじけながる
潟                  かた            潮が引いたあとのかた(形)のあるところ
固唾                かたず          =かたつば
鍛える              きたえる        =かた(堅)える
気質                かたぎ          =形木。模範となる手本→身分、職業、年齢により独自に形成された気性。
カチカチ            かちかち
ガチガチ            がちがち
カチン              かちん
ガチン              がちん
カチリ              かちり
ガッチリ            がっちり
カンカン            かんかん



<かどう>          誘拐する

勾引う・拐う        かどう
勾引す・拐す        かどわす
勾引かす・拐かす    かどわかす



<かに>            蟹

蟹                  かに            =殻丹、甲丹
ずわい蟹            ずわいがに      =すわえ(楚)蟹。楚は細長い小枝。足が細長いから。
要                  かなめ          =かにのめ(蟹目)。扇の根元にはめた金属。かにの目に似ている。



<かね>            自分のいる範囲以外にも及ぶ

兼ねる              かねる
適う                かなう          =兼ね合う
  適える            かなえる
叶う                かなう          「適う」と同じ。「願いが叶う」等。
悲しい・哀しい      かなしい        気を使って他者の気持ちを推し量る
                                    悲しい:(一般的)心が痛む。
                                    哀しい:切ない。むせぶような。
  悲しむ            かなしむ
  悲しがる          かなしがる
予ねて              かねて          将来を推し量って
  予予・兼兼        かねがね        かね(兼)と重ねた語。以前から。



<かね>            金

金                  かね・かな
鐘・鉦              かね            鐘はお寺の釣鐘。鉦は金属の打楽器。
黄金                こがね
銀                  しろがね
銅                  あかがね・あか
鉄                  くろがね
鋼                  はがね          =刃金。刀に使う硬い金属。鉄と炭素との合金。
鉱・礦              あらがね        =粗金
鍛冶                かじ            =金打
鎹                  かすがい        =かな(金)すがい(次)。すがう=つぐ(次)。
矩尺・曲尺          かねじゃく      =金尺。直角に曲ったものさし。



<かび>            黴

黴                  かび
気触れる            かぶれる        漆などにかぶれる
麹・糀              こうじ          「かびたち」の転。



<かぶ>            塊になっている

株                  かぶ
蕪                  かぶ・かぶら
  鏑                かぶら          木の根で蕪の形に作り、中を空にし、
                                    数個の孔を穿って矢の先に付けるもの。
瘤                  こぶ
姓                  かばね          かぶな(株名)の転。同じ家系(株)から生まれた一族。



<かま>            釜

釜                  かま            かしぐ(炊)ま(間)の略。
窯                  かま            釜のように、物を熱する施設。
竈                  かまど          =釜処
おかま              おかま          尻(釜の丸い形から)。男色(尻で性交することから)。



<かみ>            上にあるもの

上                  かみ
髪                  かみ            身体の上部にある毛
  頭・首            こうべ          =かみ(髪)へ(辺)
  簪                かんざし        =髪挿し
  鬣                たてがみ        =立て髪
  鬘                かつら          =かみつら(髪蔓)
  剃刀              かみそり        =髪剃り
神                  かみ・かん・こう
                                    天上にいる神
  神々しい          こうごうしい
  雷                かみなり        =神鳴り
  熊                くま            「かみ」の音転。神としてあがめられた動物。
    羆              ひぐま
  狼                おおかみ        =大神
  神楽              かぐら          =かむくら(神座)
  神主              かんぬし
頭                  かしら          =かみしろ(髪代)
君・公              きみ            かみ(上)の転。人のかみに立って支配する者。
  公達              きんだち        =きみたち。王家の一族。
翳す                かざす          =上差す
裃                  かみしも        =かみ(上)しも(下)。肩衣と袴が同じ生地の式服。
女将                おかみ          =御上。料理屋・旅館などの女主人。



<かむ>            噛む

噛む・咬む          かむ
齧る                かじる
構える              かまえる        =噛み合える
  構う              かまう
  蝦蟇              がま            身構えるような姿勢のかえる。
醸す                かもす          古代は穀類を噛んで発酵させた。
酒                  き              かみ(醸)の音転。さけ(酒)の古名。「おみき(御神酒)」
しがみつく          しがみつく      =強いる+噛む+つく。強く噛み付く→強くすがりつく。



<からむ>          絡む

絡む                からむ
  絡まる            からまる
  絡める・搦める    からめる
  絡げる・紮げる    からげる
揶う                からかう        相手にからんで、冗談を言う。
絡繰・機関          からくり        =絡め繰る。糸に絡めて操るもの→装置。
こんぐらがる        こんぐらがる    =こん(接頭辞)からまる。



<かりる>          借りる

借りる              かりる
貸す                かす
仮                  かり
  仮名              かな
  必ず              かならず        =仮ならず
  仮初              かりそめ        仮に初める。その時限りであること。
託つ                かこつ          =かこと(仮言)。口実とする。
  託ける            かこつける      =かことつく(仮言付)。言いわけにする。



<かわ>            外側

側                  かわ・がわ
皮・革              かわ            外側にあるもの。
                                    皮:一般的なかわ。革:なめしたかわ。
  被る              かぶる          =皮ぶる
    被せる          かぶせる
    被さる          かぶさる
    被る・蒙る      こうむる
    被る・冠る      かむる
    冠              かんむり・こうぶり
                                    「被る」の転
    兜              かぶと          「被る」の転
  樺                かば            =皮
  庇う              かばう          =皮う
  膠                にかわ          =煮皮



<かわ>            川

川・河              かわ            川:一般的なかわ。河:大きなかわ。
河岸                かし            「かわぎし」の略
河原・川原          かわら          「かわはら」の略
河童                かっぱ          「かわわらわ」の略
河馬                かば            「かわば」の略
河鹿                かじか          かえるの一種。鹿が鳴く声に似ている。
鰍・鮖              かじか          =河鹿。河鹿が鳴く声がこの魚のものと間違われていたため。
厠                  かわや          -川屋。トイレ。昔は川のそばにあり、川に便を流していた。
蛙                  かわず          =かわ(川)ず(虫)。かえる。



<かわく>          乾く

乾く                かわく
  乾かす            かわかす
渇く                かわく          喉が乾く



<かわいい>        原義は「かわいそう」、後に「かわいい」に転義。

可愛い              かわいい        =かおはゆし(顔映)。顔を向けていられない。
可愛そう            かわいそう
可愛らしい          かわいらしい
可愛がる            かわいがる



<き>              木

木・樹              き・こ          「いき(生」)の「い」が脱落した。
  木の葉            このは
  木の実            このみ
茎                  くき
  薄・芒            すすき          =すくすくのびる茎
草                  くさ
  叢                くさむら        =草群
  種                くさ            草の種の略。物事を起すたね。もと。材料。「仕種」「質種」等。
茸                  きのこ          =木の子
果物                くだもの        =木の物
梢                  こずえ          =木末
樵る                きこる          =木切る。たきぎをとる。
  樵                きこり          =木切り
啄木鳥              きつつき        =木突き
苔                  こけ            =木毛
木っ端              こっぱ          木の削り屑
黄                  き・こ          木の色
  黄色い            きいろい
  黄粉              きなこ
  黍・稷            きび            =黄実
薪                  まき            つま(爪)き(木)の転。
真木・槙            まき            純粋な木の意。スギの古名。ヒノキの美称。
木目・肌理          きめ            =もくめ(木目)。「肌理細かい仕事」等。
柿・木屑            こけら          「木削り」の転。「ら」は添える語。「柿落し」等。
  小芥子            こけし          =こけら(木片)し(子)。



<き>              ねぎ

葱                  き              「ねぎ」の古名。
葱                  ねぎ            =ね(根)き(葱)。
菜葱・水葱          なぎ            =な(菜)ぎ(葱)。ミズアオイの古名。
  椥・梛・竹柏      なぎ            葉が水葱に似ているから。マキ科の常緑高木。
分葱                わけぎ          =分か葱。ユリ科の多年生葉菜。ネギの一変種。
                                    株分け法によって鱗茎から発芽する。



<きえる>          消える

消える              きえる
消す                けす
貶す                けなす          =け(消)な(做)す。手柄を消すように言う。悪口を言う。



<きく>            感じ取る

聞く・聴く          きく            音や声を感じ取る。
                                    聞く:一般的にきく。聴く:注意してきく。
  聞こえる・聴こえる  きこえる
利く・効く          きく            手ごたえを感じ取る
                                    利く:役に立つ。効く:効き目がある。
  利かす            きかす
訊く                きく            様子を聞く→尋ねる。
声                  こえ・こわ      「聞こえ」の転。



<きた>            北

北                  きた
汚い・穢い          きたない        北の暗いイメージ



<きめる>          決める

決める・極める      きめる
決まる・極まる      きまる



<きよい>          清い

清い・浄い          きよい          =気良い
  清まる            きよまる
  清める            きよめる
  清らか            きよらか
潔い                いさぎよい



<きる>            切る

切る・斬る・截る・伐る・剪る
                    きる            切る:一般的。斬る:刀で人をきる。伐る:樹木をきる。
                                    截る:布・紙をきる。剪る:枝・葉・花をきる。
  切れる            きれる
  途切れる          とぎれる
  桐                きり            =切り。切ってもすぐ芽が出て大きく成長するから。
  錐                きり            =切り。切る道具。
  布                きれ            切った布。
  千切る            ちぎる
刻む                きざむ
  ギザギザ          ぎざぎざ
傷・創・瑕・疵      きず            切ったすじ。
嫌う                きらう          感情的に切り捨てる→好まない。
  嫌い              きらい
刈る                かる            植物を切り、取り入れる。
  鎌                かま            =刈刃
    蟷螂            かまきり        =鎌切り
  茅・萱            かや            =刈り屋。刈って屋根をふく物。
    茅              ちがや          =ち(千)かや(茅)。群がって生えるかや。
    茅              ち              「ちがや」の略。
    粽              ちまき          =ち(茅)まき(巻)。
  狩る・猟る        かる            「刈る」の動物への転用。
    狩・猟          かり
    狩人            かりうど
  駆る              かる            「狩る」の転用。動物を追い立てる→走らせる。
    駆ける・駈ける  かける          走る。
    翔る            かける          鳥などが空高く飛ぶ。
    魁              さきがけ        =先駆け
遮る                さえぎる        =支え切る
切っ掛け            きっかけ        =切り掛け
刮ぐ                きさぐ          削りおとす。
  刮げる            こそげる        「きさぐ」の転。けずってそぐ。
キリキリ            きりきり
キレギレ            きれぎれ
キリリ              きりり



<きる>            着る

着る                きる
  着せる            きせる
衣                  ころも          =きるもの(着物)
衣                  きぬ            =きぬの(着布)
  絹                きぬ            =きぬ(衣)。衣をつくるもの。
  砧・碪            きぬた          =きぬいた(衣板)。槌で布を打つのに用いる木の台。



<きわ>            際

際                  きわ
  際どい            きわどい
  際やか            きわやか
極める              きわめる        際に至る。
                                    極める:極度、極限。「極めて優秀」等。
                                    窮める:突き詰める。「進退窮まる」等。
                                    究める:探求、追究。「学問を究める」等。
  極めて            きわめて
  極まる            きわまる
  極み              きわみ
  極む              きわむ
窮める              きわめる
  窮まる            きわまる
  窮む              きわむ
究める              きわめる
  究む              きわむ
険しい・嶮しい      けわしい
ケバケバ            けばけば        「際やか」の転。
  毳毳しい          けばけばしい
  けばい            けばい
キッパリ            きっぱり        際をはっきり



<くいる>          悔いる

悔いる              くいる
悔やむ              くやむ
悔しい              くやしい
悔しがる            くやしがる



<くう>            食う

食う・喰う          くう
  食らう            くらう
  食らわす          くらわす
銜える・啣える・咥える
                    くわえる        口でつかむ。
加える              くわえる        口から取り入れる→つけたす。
  加わる            くわわる
詳しい・精しい・委しい
                    くわしい        説明を加える。
杭・杙              くい            地面に食い込むもの。



<くさる>          朽ちる

腐る                くさる
  腐れる            くされる
  腐らす            くさらす
  腐す              くさす          けなす
  腐す              くたす          くさらせる
臭い                くさい          腐って悪臭を発する
糞・屎              くそ            臭い物
癖                  くせ            臭いもののように、人に嫌がられる性癖
曲                  くせ            「癖」と同源。正しくないこと。
  曲瀬              くせ            川瀬の曲がったところ。
  曲者              くせもの
朽ちる              くちる
くたばる            くたばる
草臥れる            くたびれる
クタクタ            くたくた
  グダグダ          ぐだぐだ
  グッタリ          ぐったり
芥                  あくた          =あ(接頭語)+くた(朽)。ごみ。
  我楽多            がらくた        「がら」は物の触れて鳴る音。「くた」は芥。



<くし>            刺す物

串                  くし
櫛                  くし            髪の毛に差し込む道具
楔・轄              くさび          「串合い」の略。
梳る                くしけずる      髪を梳(と)かす
御髪                おぐし          くしけずるもの→髪の毛。



<くす>            不思議

奇しい              くすしい
奇しくも            くしくも
薬                  くすり          不思議な効果があるもの。
  薬玉              くすだま        薬や香料をなどを錦の袋に入れ、五色の糸を垂らした魔よけ。
楠                  くすのき        奇しい木。薫り高いため。
くすむ              くすむ          =奇む。神妙→まじめ→目立たない



<ぐず>            のろのろ

愚図る              ぐずる          「愚図る」は当て字。
グズグズ            ぐずぐず



<くだ>            形をこわす

砕く                くだく
  砕ける            くだける
崩す                くずす
  崩れる            くずれる
屑                  くず            壊れたもの
寛ぐ                くつろぐ        姿勢を崩して楽にする。
下る・降る          くだる
  下す              くだす
  下さい            ください
  くだらない        くだらない      =下らない。下り物(上方製)でない粗悪品。
  件                くだん          =下り



<くだ>            管

管                  くだ
くだ                くだ            糸車の管状の軸。
諄い                くどい          糸車のくだを巻く音が、ぶうぶうと音を立てることに結びつけて、
                                    とりとめのない事をくどくどと言う。「管を巻く」とも言う。
  あくどい          あくどい        =あく(飽)+くどい。程度をすぎていやみである。
くだくだしい        くだくだしい    繁雑でわずらわしい。
クドクド            くどくど
グダグダ            ぐだぐだ
グデングデン        ぐでんぐでん



<くに>            国

国・邦・那          くに
陸                  くが            くにが(国処)の略。陸地。
  徒                かち            くがち(陸地)の略。歩いてゆくこと。
櫟・椚・橡・櫪・椢・椡・栩
                    くぬぎ          くにき(国木)の転。景行天皇がクヌギの地を見て
                                    御木の国と言ったことから。



<くぼ>            窪

窪・凹              くぼ
窪み                くぼみ
窪む                くぼむ
窪まる              くぼまる
窪める              くぼめる



<くむ>            組む

組む                くむ
  組                くみ
酌む・汲む          くむ            水と組みする行為
蒲                  がま            「組む」の転。葉や茎で筵を組むから。
  蒲鉾              かまぼこ        蒲の穂。昔、竹串を芯として筒形に造り、その形が蒲の穂に似ていたから。
  蒲魚              かまとと        蒲鉾(かまぼこ)を魚(とと)かと聞くこと。知らないふり。
  叺                かます          =蒲簀。(古くは蒲で造った)穀物・石炭などを入れる袋。
  梭魚・梭子魚      かます          口が大きいことから、叺に見立てた。カマス科の硬骨魚。
与する              くみする        =組をする。かかわる
拱く                こまねく        =こまぬく。「組貫く」の転。腕を組む。「手を拱いている」は
                                    腕組みして傍観している意。(待ち構える意ではない)
菰・薦              こも            植物の名。葉を組んでむしろを作る。



<くも>            隠れているところ    黒と同系。

雲                  くも            空が隠れているところ。
  曇る              くもる
  曇                くもり
隈                  くま            隠れたすみ。
  隈無く            くまなく        隠れる所がなく→すみずみまで。



<くら>            すわる所

鞍・座              くら
  胸座              むなぐら
倉・蔵・庫          くら            物を座らせる所。
                                    倉:一般的、穀物等の倉庫。蔵:古風、家財等の土蔵。
  校倉              あぜくら        =あざ(交)倉。木材を交互に組んで作った倉。
位                  くらい          =座居
胡坐                あぐら          =足座
櫓                  やぐら          =矢倉
祠                  ほこら          =ほ(秀)くら(倉)。高い構造だから。
枕                  まくら          =間座。頭の隙間を支える。
峅                  くら            鞍のようにへこんだ土地。谷間。
塒                  とぐろ          と(所)くら(座)の転。蛇が体を渦巻状に巻くこと。「塒を巻く」等。



<くる>            まわる

狂う                くるう          くるくる回っているおかしな状態
  狂おしい          くるおしい
  狂わしい          くるわしい
苦しい              くるしい        狂うほど、苦しい。
  苦しむ            くるしむ
  苦しめる          くるしめる
車                  くるま          くるくる回るもの
  俥                くるま          人力車
踝                  くるぶし        =くる節。くるくる回る関節。
包む                くるむ          回転させて、つつむ。
括る                くくる          ひもを回転させて、まとめる。
銜む・含む          くくむ          口に含む。
  くぐもる          くぐもる        つつまれる。内にこもる。
  茱萸・胡頽子      ぐみ            =くくむみ(含む実)。実を口に含み皮を出すから。
                                    グミ科の落葉または常緑低木の総称。
クルクル            くるくる        回転するさま。
グルグル            ぐるぐる
クルリ              くるり          回転するさま。
グルリ              ぐるり
クルル              くるる
クラクラ            くらくら
グラグラ            ぐらぐら
眩く・転めく        くるめく        物がくるくると回る。目が回る。
  目眩く            めくるめく
水母・海月          くらげ          =くるげ(輪笥)
曲輪・郭・廓        くるわ          城・砦など、一定の区域の周囲に築いた土や石のかこい。
ぐる                ぐる            くるむ→ぐるみ→ぐる。仲間。



<くる>            繰る

繰る                くる
  繰れる            くれる
比べる・較べる・競べる
                    くらべる        繰り寄せて合わせる。
呉呉                くれぐれ        「繰る」を重ねた形。念をいれるさま。



<くる>            来る

来る                くる
  来る              きたる
  来たす            きたす
頃・比              ころ            =こ(来)ろ
こんこん            こんこん        =来む来む。「雪やこんこん」等。



<くる>            穴をあける

刳る                くる
  刳れる            くれる
抉る・剔る          えぐる          =えり(彫)くる(刳)
えぐい              えぐい          「えぐる」の転。のどをえぐるように刺激する。
抉る                くじる          くり(刳)にじるの略。えぐる。
抉る                こじる          隙間に物を入れてねじる。「抉開ける」等。
  こじつけ          こじつけ        こじ=無理やり、つける。
拗れる              こじれる        ねじれて、もつれる→やっかいな状態になる。
  拗らす            こじらす
挫く                くじく
  挫ける            くじける
しくじる            しくじる



<け>              体の周りをとりまく

毛                  け
  毛羽              けば
気                  け・き
  気配              けはい          周りをとりまく雰囲気
  気持ち            きもち          周りをとりまく心情
  気障              きざ            気障りの略。相手の動作が気に障る。
    気障っぽい      きざっぽい
  気さく            きさく          =気がさくい。さくい=淡泊である。
  気取る            けどる          気づく。
景色・気色          けしき
厳しい              きびしい        =きみ(気味)し。気持ちが激しく強い。
  キビキビ          きびきび
霧                  きり            き(気)の延。
  狭霧              さぎり          =さ霧。「さ」は接頭語。
兆す                きざす          =気差す。
  兆                きざし
萌す                きざす          芽が出る。
獣                  けもの・けだもの
                                    =毛もの
ゲジゲジ            げじげじ



<け>              うつわ、入れ物

笥                  け              食物を盛るうつわ。入れ物。
  桶                おけ            =を(麻)け(笥)。績んだ麻を入れる器→木で作った入れ物。
食                  け              =け(笥)。食事。別の説では「食う」の変形。
  朝食・朝餉        あさげ          朝食。
  夕食・夕餉        ゆうげ          夕食。
  片食              かたけ          1日2度の食事のうち1回の食事。



<け>              異常な、特別な

嗾ける              けしかける      =怪しかける。「ケ」は怪の呉音。
怪しからぬ          けしからぬ      =怪しくあらぬ。「ぬ」は打ち消しにならず、「怪し」を強調する。
吝嗇                けち            =け(怪)じ(事)。縁起が悪いこと。金品を必要以上に惜しむこと。
                                    「けちをつける」など。
  ケチる            けちる
  けちん坊          けちんぼう
けなるい            けなるい        =け(異)なり。うらやましい。
健気                けなげ          =け(異)なり+け。子供、弱い者がけんめいに努めるさま。



<けが>            汚す

汚す・穢す          けがす
汚れる・穢れる      けがれる
汚らわしい          けがらわしい
怪我                けが



<けむ>            煙

煙                  けむり
煙る                けむる
煙い                けむい
煙たい              けむたい
煙がる              けむがる
煙たがる            けむたがる



<ける>            蹴る

蹴る                ける
螻蛄・螻            けら            足で土を蹴る虫



<こ>              小さい

小                  こ・お
  小人              こびと
子・児・仔          こ
  稚児              ちご            =乳子
  孫                まご            =間子。間を空けた子。
  曾孫              ひまご          =ひ(隔)孫。孫の子。
  玄孫              やしゃご        =や(弥)しば(数)ご(子)。曾孫の子。
細かい              こまかい
  細か              こまか
  細やか・濃やか    こまやか
  細切れ            こまぎれ
  こましゃくれる    こましゃくれる  =こま(細)しゃくれる(顎を突き出す)。顎を突き出してしゃべる。
粉                  こな・こ
  熟す              こなす          粉にする。物事を消化する。
  熟れる            こなれる        粉になる。物事が消化される。
  捏ねる            こねる          =こ(粉)ねる(練)。粉に水を混ぜて練る。
  ごねる            ごねる          「こねる」の転。捏ねるように、不平を言う。
  鏝                こて            =こねて(捏手)
米                  こめ            =小実(生命力を「籠める」からという説もある。)
  蟀谷              こめかみ        米を噛むと動くところ
利                  このしろ        =子の代。貸金の利息。
鮗                  このしろ        =子の代。子供がよく死ぬ家で、子供の身代わりとして
                                    この魚を埋めることから。
蘖                  ひこばえ        =ひこばえ(孫生)。 伐った草木の根株から出た芽。



<こ>              海の軟体動物

海鼠                なまこ          =生こ。生きている軟体動物。
海参・煎海鼠        いりこ          =煎りこ。ナマコの腸をとり去り、ゆでて干したもの。
海鼠腸              このわた        「こ」は「なまこ」。「わた」は内臓。
蛸・鮹・鱆          たこ            「た」は手、「こ」は「なまこ」の「こ」。
                                    多股という説あり。
  凧                たこ            紙の尾を垂らして揚がる姿が蛸に似ているから
  胼胝・胝          たこ            表皮の堅く厚くなったもの。蛸のいぼに似ているから。



<こう>            求める

請う・乞う          こう            請う:自分がすることの許可を願う。
                                    乞う:相手にしてもらいたいことを頼む。
恋                  こい            異性を求める
  恋う              こう
  恋しい            こいしい
  恋しがる          こいしがる
媚びる              こびる          =恋ぶる
好む                このむ          =乞い望む
  好ましい          このましい
乞食                こじき
拵える              こしらえる      「請いしらう」の転。諭す→取り繕う。
希う・冀う          こいねがう      =乞い願う



<こえる>          超える

超える・越える      こえる          超える:数量、基準、限度を上回る。
                                    越える:場所、時間、点を通り過ぎる。
  超す・越す        こす
肥える              こえる
  肥やす            こやす
  肥やし            こやし
  肥                こえ
零す・溢す          こぼす          容器の限界を超えて、あふれさせる。
  零れる・溢れる    こぼれる
鯉                  こい            =こえ(肥)。身が肥えているから。
輿                  こし            =越し。地に置かず手越しにする具。
  神輿              みこし
こよなく            こよなく        =越ゆなく。これを超えるものがない→最高に。



<こおる>          かたまる

凍る・氷る          こおる
  氷                こおり          凍ったもの
凍える              こごえる
凝る                こる            堅くなる
  凝らす            こらす
  凝る              こごる
  塊                くれ            =こり(凝)。土などの小さいかたまり。「土塊(つちくれ)」等。
    あらくれ        あらくれ        =粗塊。
  濃い              こい            =こる(凝)。
  コリコリ          こりこり
  ゴリゴリ          ごりごり
    鮴              ごり            川底をごりごりとさらって獲るから。
    ごり押し        ごりおし        ゴリゴリ押し通す。
懲りる              こりる          失敗して体が硬くなる(恐縮する)
  懲らす            こらす
  懲らしめる        こらしめる
  コリゴリ          こりごり
堪える・怺える      こらえる        体を固くして堪える。
痼・凝              しこり          =し(しし=肉)+こる(凝)。肉が固まった部分。
郡                  こおり          村の集まり。
心                  こころ          「凝る」の同系語。心臓が肉の固まりのようだから。
  志す              こころざす      =心指す
    志              こころざし
  試みる            こころみる      =心見る
  快い              こころよい      =心良い
  心地              ここち
心太                ところてん      こころぶと→こころてい→ところてん。
                                    「こころ」は凝固の意。「てん」は天草の意。
                                    天草の煮汁を冷却・凝固させた食品。



<こげ>            焦げ

焦げ                こげ
焦げる              こげる
焦がす              こがす
焦がれる            こがれる
コンガリ            こんがり



<こす>            濾す

濾す・漉す          こす
滓                  かす            濾した残り。
粕・糟              かす            酒を濾した残り。



<こと>            事

事                  こと
言葉・詞・辞        ことば          言葉が事を作る。
諺                  ことわざ        言業
異なる              ことなる        特別な事である。
殊に                こと            特別な事に。
  殊更              ことさら        更に特別に。わざわざ。わざと。故意に。
毎                  ごと            「事々」の転。
ごっこ              ごっこ          「ごと」の音転。ある物事のまねをする遊戯。
誠・真・実・信      まこと          =真事。
  実しやか          まことしやか
語る                かたる          =事る。話して、事を作る。
  語らう            かたらう
  騙る              かたる          嘘を話して、だます。
答える・応える      こたえる        =事える。事に対処する。
                                    答える:返答。
                                    応える:働きかけに応じ、報いる。
                                    堪える:我慢して耐える。「持ち堪える」等。
  答                こたえ
  堪える            こたえる        苦難に応ずる→耐える。
断る                ことわる        事を割る→壊す。
理                  ことわり        事を割る→分析する。
如し                ごとし          =事し。同じ事。
  如                ごと            「ごとし」の略。
寿ぐ                ことほぐ        =こと(言)ほぐ(祝)
  寿                ことぶき        ことほぎ(言祝)の転。
託る・言付かる      ことづかる      =ことづけられる。依託される。
悉く・尽く          ことごとく      =事事く。この事もあの事も。みな。



<こむ>            中に入る

込む                こむ
  込める・籠める・篭める
                    こめる
混む                こむ            中にいっぱい入って、密度が高まる。
困る                こまる          =込まる。中に入ったままで、取り出せなくて困る。
籠る・篭る・隠る    こもる          中に入ったままになる。
  室                むろ            「こもる」の転。
    風呂            ふろ            むろ(室)の音転。
    諸味・醪        もろみ          =室実。醸造して、まだ粕をこさない酒または醤油。
  コンモリ          こんもり
籠                  こ              中に物を入れる道具。
  籠・篭            かご            =かき(構)こ(籠)。
  駕籠              かご            籠から。乗り物のかご。
  旅籠              はたご          =はてこ(泊籠)。旅の食料を入れる籠。
    旅              はた            「旅籠」の略。
  箱・函・筥・匣・筐・篋
                    はこ            =ふた(蓋)こ(籠)
    運ぶ            はこぶ          =はこ(箱)ぶ。箱にいれて移動する。
    十八番          おはこ          =御箱。台本を箱に入れ秘蔵したことによる。とっておきの芸。
  畚                もっこ          =持籠。土石などの運搬具。
塵・芥・埖          ごみ            「散り込み」の略。



<ころ>            転がる

転ぶ                ころぶ
  転がる            ころがる
  転がす            ころがす
  転げる            ころげる
  転ばす            ころばす
  転                ころ
賽子・骰子          さいころ
コロコロ            ころころ
コロリ              ころり
ゴロゴロ            ごろごろ
ゴロリ              ごろり
ゴロ                ごろ            球がゴロゴロ地面を転がる。
破落戸              ごろつき        =ころ付き。ごろごろして働かない者。
ごろ太              ごろた          丸太。
ゴタゴタ            ごたごた        「ごろごろ」の転。ひどく入り混じるさま。
                                    僧侶の兀庵普寧が難解な講釈を行ったこと
                                    からという説もある。
  ゴチャゴチャ      ごちゃごちゃ    「ごたごた」の転。
  ごった返す        ごったがえす    ひどく混雑する。
  ごった煮          ごったに        さまざまの材料をまぜて煮たもの。


<こわい>          固い

強い                こわい          「おこわ(硬いご飯)」の「こわ」
怖い・恐い          こわい          怖くて体が硬くなる。
  怖がる・恐がる    こわがる
強張る              こわばる
強面                こわもて
ゴワゴワ            ごわごわ



<こわす>          壊す

壊す・毀す          こわす
  壊れる・毀れる    こわれる
毀れる              こぼれる        くずれる。
  毀す              こぼす
  毀つ              こぼつ



<さ>              神稲

早乙女              さおとめ        田植をする女
早苗                さなえ          苗代から田へ移し植える頃の稲の若苗
五月・皐月          さつき          =早月。早苗月。
  皐                さつき          「さつきつつじ」の略。6月(旧暦5月)頃に花が咲く。
五月雨              さみだれ        サはサツキ(五月)のサ。ミダレは水垂。
さ庭                さにわ          斎み清めた場所。神おろしを行う場所。
早苗饗              さのぼり・さなぶり
                                    =早上りの転。田植を終えた祝い。
里・郷              さと            =さ(稲)と(処)。稲作が行われる所。人家のある所。
  阜                こざと          =小里。阜偏(こざとへん)。「降」「陸」などの偏。
  邑                おおざと        =大里。邑旁(おおざとつくり)。「部」「郡」などの旁。



<さか>            逆              「下がる」と同系。

逆                  さか
逆さ                さかさ
逆らう              さからう
逆様                さかさま
遡る・溯る          さかのぼる      =逆上る
月代                さかやき        =さかあき(逆明)。髪を頭の中央にかけて半月形に剃り落したもの。
坂・阪              さか



<さがる>          下がる

下がる              さがる
  下げる            さげる
提げる              さげる          手からぶら下げる→手に持つ。
  杓                ひさこ          =ひ(引)さげ(提)こ(子)。水を汲む道具
    瓢              ひさご          ヒョウタン・トウガンなど。実を半分にして水を汲む道具にする。
    柄杓            ひしゃく        「ひさこ」の転。
  鬻ぐ・販ぐ        ひさぐ          =ひき(引)さぐ(提)。物を提げて売る→あきなう。
蔑む・貶む          さげすむ        =下げし見る、または、下墨む
  下墨              さげすみ        柱などの傾きを見るために大工が墨糸を垂直にたらして見定めること。
                                    物事をおしはかること。見積ること。
縋る                すがる          下がりつく



<さき>            突き出た部分

先・前・尖          さき
  先                さっき          「さき」の促音化
  先んずる          さきんずる
崎・埼・岬          さき            突出した陸地。
  岬                みさき          「み」は接頭辞。
  防人              さきもり        =崎守。古代、九州北部の沿岸を守る兵士。



<さく>            花が咲く

咲く                さく
栄える              さかえる        花がいっぱい咲いて栄えている
盛り                さかり          花盛り
  盛ん・壮ん        さかん
  盛る              さかる
幸い                さいわい        =さきはひ。花が咲くようにしあわせ
  幸                さち            「さき」の音転。
  幸先              さいさき        「幸先良い」等。
酒                  さけ・さか      気持ちが高揚する飲み物
  肴                さかな          =酒菜。酒を飲むときに食べるもの
  魚                さかな          =酒菜。主に魚が多いため魚の意。
  杯・盃            さかずき        =さか(酒)つき(坏)
桜                  さくら          =咲くら
  桜ん坊・桜桃      さくらんぼう
榊                  さかき          =栄える木



<さく>            物を分ける

裂く・割く          さく            裂く:破る、引き裂く。「布地を裂く」等。
                                    割く:切り分ける、割り振る。「魚を割く」「紙面を割く」等。
  裂ける・割ける    さける
さくい              さくい          もろい。こわれやすい。淡泊である。きさくである。
避ける              さける
  流離う・流う      さすらう        =さ(避)しらう(合)
離る                さかる          はなれる。「遠離る」等。
裁く                さばく          乱れた物を解き分ける。
捌く                さばく          手で解き分ける。
  サバサバ          さばさば
さばけた            さばけた        物分りが良い。
叫ぶ                さけぶ          裂けるほど、大きな声を出す。
境・堺・界          さかい          分けへだてる所。
  月代              さかやき        =さか(境)あき(開)。生え際を広く開けて半月形に剃りあげる。
鮭                  さけ            肉が裂けやすい魚。
鉞                  まさかり        =まさかり(真裂)
気さく              きさく          =気裂く
賢しい              さかしい        「さく(割)」の発展形。理解する意から。
  賢しら            さかしら        賢そうにふるまう。
ささくれ            ささくれ        =さ(小)さく(裂)れ。小さく裂ける。



<さくる>          溝状に掘る。すくうようにして上げる。

決る                さくる
決る・抉る・刳る    しゃくる
しゃっくり          しゃっくり



<さぐる>          探る

探る                さぐる
  探す・捜す        さがす          探す:欲しいものを。捜す:見えなくなったものを。
弄る                まさぐる



<ささ>            すこし

些細                ささい
細やか              ささやか
囁く                ささやく
ささめく            ささめく
さざめく            さざめく
細波・漣            さざなみ
細小                いささ
  些か・聊か        いささか        すこし。
笹・篠・小竹        ささ            小さい竹
  篶・篠            すず            細い竹。
細雪                ささめゆき
細石                さざれいし
栄螺・拳螺          さざえ          殻のトゲを小さな柄と見て、ささえ(小柄)の転。



<さす>            腕をまっすぐ伸ばす

刺す                さす            刺す:突き刺す。
  刺さる            ささる
差す・指す          さす            差す:一般的。指す:指でさす。
  物差し            ものさし        二点間を差し渡し、長さを測る。
挿す                さす            挿す:さし込む。
射す                さす            射す:光がさす。
注す・点す          さす            加え入れる。
                                    注す:注ぐ、加える。「水を注す」「口紅を注す」等。
                                    点す:少し垂らす。「目薬を点す」等。
鎖す                さす            戸口・錠・栓などを閉ざししめる。「門を鎖す」等。
緡                  さし            銭の穴に通し、幾つもの銭をたばねる細いひも。
捧げる              ささげる        =指し上げる
  捧ぐ              ささぐ
  大角豆            ささげ          さやが反り返るようすが、捧げ持つ形に似ているから。
  楸                きささげ・ひさぎ
                                    さやがササゲのように垂れているから。
                                    ノウゼンカズラ科の落葉高木。
支える              ささえる        =指し合える
竿・棹              さお            =刺す+を(緒)
  棹さす            さおさす        棹を水底につきさして、舟を進める。
蠍                  さそり          人を刺す習性から。



<さず>            授かる

授かる              さずかる        =さ(下)づく(付く)
授ける              さずける



<さだ>            定

定か                さだか
定まる              さだまる
定める              さだめる



<さとる>          悟る

悟る・覚る          さとる
諭す                さとす          悟るようにする
聡い・敏い          さとい



<さぶらう>        じっとそばで見守り待機する

候ふ・侍ふ          さぶらう        =さ(接頭辞)もら(守)う(反復)
侍                  さむらい        =さぶらい。主君のそば近く仕える者。
候                  そうろう        =さぶらう。「ございます」の意。



<さぶ>            古びて荒れる

寂しい・淋しい      さみしい・さびしい
                                    心が古びる
  寂れる            さびれる
  寂び              さび
錆びる              さびる          金属が古びる
  錆・鏥・銹        さび



<さむい>          弱い、程度が小さい

寒い                さむい          温度が小さい。
  寒がる            さむがる
冷める              さめる          温度が小さい。
  冷ます            さます
覚める・醒める      さめる          眠りが弱まる。めざめる。
  覚ます・醒ます    さます
褪める              さめる          色が弱まる。いろあせる。
サメザメ            さめざめ



<さや>            きよい

清か                さやか
冴える              さえる
  冴え              さえ
爽やか              さわやか
さやぐ              さやぐ
けざやか            けざやか
サヤサヤ            さやさや
サッパリ            さっぱり



<さる>            去る、取り除く

去る                さる
笊                  ざる            「湯去る」の転。
浚う・渫う          さらう          底にたまった土砂を掘りあげて除く。
攫う                さらう          奪い去る。「人攫い」等。
復習う・復う        さらう          勉強漏れを取り除く→おさらいする。
新・更              さら            悪いものを取り除く→新しい。
曝ける              さらける        隠すものを取り除く→何もかも隠さずに出す
  晒す・曝す        さらす
  晒                さらし          さらして白くした綿布または麻布。



<ざれ>            機転がきく、風流

戯れる              ざれる          機転を利かせて戯れる→ふざける
戯れる              じゃれる
洒落                しゃれ
  洒落る            しゃれる
  洒落臭い          しゃらくさい    にせ洒落者。生意気。こしゃく。
じゃらつく          じゃらつく
猿                  さる            ざれる動物。
あざる              あざる          =あ(強調の接頭語)さる。



<さわ>            騒がしい

騒ぐ                さわぐ
  騒がしい          さわがしい
ザワザワ            ざわざわ
  騒めく            ざわめく        「ザワザワ」と音を出す。
  騒く              ぞめく          =ざわめく。
囀る                さえずる        話し声が騒がしい
喋る                さべる・しゃべる



<さわる>          触る

触る                さわる
  触り              さわり          琴線に触る→一番の聞かせどころ。
障る                さわる          体に触って邪魔になる。



<し>              死

死ぬ                しぬ
撓る                しなる
撓う                しなう
撓垂れる            しなだれる
嫋やか              しなやか
萎びる              しなびる
萎れる              しおれる
しおらしい          しおらしい
シオシオ            しおしお
悄気る              しょげる
ションボリ          しょんぼり
  ショボショボ      しょぼしょぼ
  しょぼい          しょぼい
竹刀                しない          しなう(撓)の転。
篠                  しの            しなう(撓)の転。小竹。
東雲                しののめ        =篠の目。篠竹を編んだ目。
                                    住居の明り取り→東の空がわずかに明るくなる頃。
撓る                しわる          圧力をうけてしなう。たわむ。
皺む                しわむ
  皺                しわ            しわむの語幹。
  皺くちゃ          しわくちゃ
  吝い              しわい          額にしわよせケチる。
  吝ん坊            しわんぼう      けちん坊
屍                  しかばね        =死皮骨
  屍                かばね
しばく              しばく          しば(しなの転)+く。鞭や細い枝などでたたく。



<し>              風

時化                しけ            =し(風)け(気)
東風                こち            =こ(小)ち(風)。「ち」は「し」の転。
疾風                はやて          =はや(速)て(風)。「て」は「し」の転。
蔀                  しとみ          =し(風)とみ(止)。飛沫・光線を防ぐための戸。



<しいる>          強いる

強いる              しいる          =し(する)いる(続ける)。し続けるのは嫌なことなので。
誣いる              しいる          こじつける。事実を曲げて悪く言う。
虐げる              しいたげる



<しお>            海の水

潮・汐              しお            海の水
塩                  しお            海の水から生成したもの
塩っぱい            しょっぱい      =塩っぽい
潮・汐              うしお          =海しお
一入                ひとしお        =一汐。染物を染液に1回ひたすこと→ひときわ。



<しか>            確か

確か・慥か          たしか          =た(手)しか(しっかり)
確かめる            たしかめる
確と・聢と          しかと          =たしかと
蓋し                けだし          =け(気)だし(慥)。たしかに。もしかしたら。
シッカリ            しっかり        =確り
シックリ            しっくり        「しっかり」の転。
ジックリ            じっくり



<しく>            平らに広げる。

敷く・布く・鋪く    しく
如く・若く・及く    しく            対等に並ぶ。「百聞は一見に如かず」等。
  如かず・若かず    しかず          およばない。



<しげる>          茂る

茂る・繁る          しげる
芝                  しば            =茂り葉。芝草。
  芝生              しばふ
  芝居              しばい          芝生に座ってみる演劇。
柴                  しば            =茂り葉。雑木の小枝。
鴫・鷸              しぎ            しげ(繁)の転。羽音の繁き意。
柵                  しがらみ        =しき(繁)からみ(絡)。水をせき止める竹の絡み→身を束縛するもの。
頻りに              しきりに        =しきる(頻)。頻繁に。「繁る」の家族語。
  一頻り            ひとしきり      一時盛んな様子。



<しし>            肉

肉・宍              しし            にく。特に、食用の獣肉。
獣・猪・鹿          しし            肉の意より転。けもの。野獣。



<しず>            落ち着く

沈む                しずむ          =し(下)づむ(積)
  沈める            しずめる        沈める:水の中へ落とす。
鎮まる・静まる      しずまる
  鎮める・静める    しずめる        鎮める:乱れ、痛みを。静める:物音、気持ちを。
静か                しずか
淑やか              しとやか        しずやか(静)の転。
シズシズ            しずしず
黙・静寂            しじま          =しず(静)ま(間)



<しめ>            緊密

締める・〆る        しめる          緊密に結ぶ。
                                    締める:一般的。「帯を締める」等。
  締まる            しまる
絞める              しめる          絞める:首を。「首を絞める」「鳥を絞める」等。
  絞まる            しまる
閉める              しめる          緊密に口を閉じる。
                                    閉める:閉じる。
  閉まる            しまる
占める              しめる          自分のところに緊密に集める→占有。
  注連縄            しめなわ        =占め縄。神事の場に不浄なものの侵入を禁ずる印として張る縄。
  せしめる          せしめる        =せ(為)しめる(占)。うまく立ち回って自分のものとする。よこどりする。
  しめしめ          しめしめ        自分のところにくる→自分の思い通りになる
仕舞う・終う・了う  しまう          閉めて止める。仕舞は当て字。おわる。やめる。
  おしまい          おしまい
  仕舞屋            しもたや        =しまったや。商売をやめた家。
縛る                しばる
  しばれる          しばれる        しばられるような寒さ。
絞る・搾る          しぼる          絞る:一般的。「タオルを絞る」等。
                                    搾る:製造。「牛乳を搾る」等。
  絞り・纐          しぼり          布のところどころを糸で絞って染めたもの。
萎む・凋む          しぼむ
暫し                しばし          時間が緊密につまっている
暫く                しばらく
屡                  しばしば
瞬く                しばたたく・しばたく
                                    =しば(屡)たたく(叩)。またたく。
扱く                しごく          =締め+掻く
蘂・蕊              しべ            「締め」の転。花の中心に密集しているもの。
                                    「おしべ」「めしべ」の「しべ」。



<した>            下

下                  した
従う・随う・順う    したがう        強力な者の下に屈服する
  従える            したがえる
羊歯                しだ            「したる(下垂)」の転。
雫・滴              しずく          =下付く
賤                  しず            =し(下)づ(付)。身分の低い者。
慕う                したう          =下追う
  慕わしい          したわしい
親しい              したしい        「慕う」の形容詞形。
  親しむ            したしむ
茵・褥              しとね          =したのべ(下延)。敷物。
下                  しも            =し(下)も(身体)
  僕                しもべ          =下部



<したた>          手ぬかりない

健か・強か          したたか        手ぬかりなく、手堅い
認める              したためる      手ぬかりなく、準備する



<しの>            我慢する、気持ちを抑える

忍ぶ                しのぶ
  忍ばせる          しのばせる
偲ぶ・慕ぶ          しのぶ          気持ちを抑えて、ひそかに思う。
凌ぐ                しのぐ          我慢して、困難を乗り越える。
鎬                  しのぎ          刃と峰の境界にある稜線。



<しぶ>            しびれる

痺れる              しびれる
渋い                しぶい          舌を痺れさせる
  渋る              しぶる          麻痺して、動かない
  渋                しぶ
シブシブ            しぶしぶ        動きにくいさま
怯む                ひるむ          しびる(痺)の転。
  蛭                ひる            ひるむ(痺)虫。



<しま>            島

島・嶋・嶌・陦      しま
縞                  しま            南洋諸島から渡来したものの意。
                                    縞織物(2種類色の糸を交互に編んだもの)



<しみ>            染みる

染み                しみ
  染みる・沁みる・浸みる
                    しみる
  染める            そめる
  染まる            そまる
  シミジミ          しみじみ
  シンミリ          しんみり
凍みる              しみる          寒さが体に染みる。
  凍む              しむ
  霜                しも
初める              そめる          「書初め」「見初める」等。
湿る                しめる
  湿す              しめす
  湿っぽい          しめっぽい
  御湿・襁褓        おしめ          湿布。おむつ。
  しめやか          しめやか        もの静かなさま。「―な雨」
  ジメジメ          じめじめ
湿る                しとる          しめる
  シトシト          しとしと
  シットリ          しっとり
  ジットリ          じっとり
滲みる              しみる          色がまわりに染みていく
  滲む              にじむ          =にび(鈍)じむ(染)
衣魚・紙魚          しみ            =しめむし(湿虫)。衣類や紙が湿っぽくなると現れて食べる虫。
しみったれ          しみったれ
湿地・占地          しめじ          湿地に出る茸。



<じらす>          焦らす

焦らす              じらす
焦れる              じれる
焦れったい          じれったい
ジリジリ            じりじり



<す>              巣、定住

巣                  す
  巣くう            すくう          巣を作って住む。
住む・棲む・栖む    すむ
  住まう            すまう
  住まい            すまい
  住処              すみか
澄む・清む          すむ            浮遊物が沈んで静止し液体が透明になる
  澄ます            すます
  濯ぐ・洒ぐ・滌ぐ・漱ぐ
                    すすぐ          =すすぐ(澄澄)
    雪ぐ            すすぐ          汚名を除き払う。
    漱ぐ            くちすすぐ      =口すすぐ
    濯ぐ            そそぐ          =すすぐ
    雪ぐ            そそぐ          =すすぐ
  鱸                すずき          身が白く、すすいだようにきれいな魚。
済む                すむ            静まって落ちつく
  済ます            すます
済みません          すみません      謝罪、感謝の言葉。
育つ                そだつ          =巣立つ
  育てる            そだてる
州・洲              す              川の中の人の住む所



<す>              酸

酢                  す
酸っぱい            すっぱい
酸い                すい
寿司・鮨            すし            =酢飯
茄子                なす            =なすび。中酢実。または、夏の実。
饐える              すえる          腐って酸っぱくなる。
酸茎                すぐき          酢茎菜(すぐきな)の漬物。



<すき>            好き

好き                すき
  好く              すく
数寄屋・数奇屋      すきや          =好き屋
助平                すけべえ        =すき(好)べえ(兵衛)。好き者。
総スカン            そうすかん      =総+好かぬ



<すぎる>          過ぎる

過ぎる              すぎる
  過ごす            すごす
  すがら            すがら          =過ぎながら。途中。
清清しい            すがすがしい    過ぎていってしまう→滞りがない→すっきりしている。
  菅                すげ・すが      すが(清)の転。祓い清めの具に使う草。スゲ属の草。
直ぐ                すぐ            過ぎた程度。時間、距離をおかない。曲がらない。
  真っ直ぐ          まっすぐ        全く曲がらない。
    驀地            まっしぐら      =まっすぐら。はげしく進みかかるさま。
  筋                すじ            =すぐぢ(直路)
杉・椙              すぎ            =すぎき(直木)。すくすくと生える木。
凄い                すごい          すぐ(直)の形容詞化
  凄む              すごむ
  凄み              すごみ
時雨                しぐれ          =すぐる(過)。短い間に過ぎ去る雨。
優れる・勝れる      すぐれる        過ぎた才能。優秀。
  選る              すぐる          優秀なので選ばれる。



<すく>            間が開いていて光が通る

透く・空く          すく
  透かす            すかす
  透ける            すける
  透かさず          すかさず        間をあけず
隙                  すき
  隅                すみ            「すま(隙間)」の転。
  角                すみ            隅と同じ
鋤・犂・耜          すき            粒子をほぐし、隙を作る道具。
  鋤く              すく
漉く                すく            透けるように紙を平らに伸ばす
梳く                すく            髪の毛に隙をつくる。「髪を梳く」等。
少ない・尠い・寡い  すくない        少ないので、透いている。
  少し              すこし
  頗ぶる            すこぶる        =少し+ぶる。原義は「少し」、転じて「とても」の意。
砂・沙              すな            「少ない」と同系。
  漁る              すなどる        =すな(砂)とる(取)。砂浜で魚を取る。
簀                  す              「透く」の関連語。 篠竹・葦または割竹であらく編んだむしろ。
  簾                すだれ          =簀垂れ
  簾                す              =すだれ。
  簀子              すのこ
賺す                すかす          心に隙を生じさせる。機嫌をとる。「宥め賺す」等。
酸模                すかんぽ        中が空っぽの茎。酸葉。
スカ                すか            はずれ。あてがはずれること。
スカスカ            すかすか
スカタン            すかたん        はずれた人。まぬけ。



<すく>            硬直

竦む                すくむ          硬直して動かなくなる。
  竦める            すくめる
健よか              すくよか        硬く、しっかりしている。
  健やか            すこやか
スクスク            すくすく        しっかり進む、成長する。
スック              すっく          「すっくと立つ」等。



<すけ>            援助

助・佐              すけ
  助っ人            すけっと
  介党鱈            すけとうだら    =すけっと(助人)たら(鱈)。加工に人手を要するため。
助ける・佐ける      たすける        =た(手)すけ(助)る
  助かる            たすかる
  襷                たすき          たすくの名詞形。和服で作業しやすいように手元をくくりあげるもの。
救う                すくう
掬う・抄う          すくう          「水を手で掬う」等。



<すさむ>          荒む

荒む                すさむ
荒ぶ                すさぶ
凄まじい            すさまじい



<すず>            すずしい

涼しい              すずしい
  涼む              すずむ
  涼やか            すずやか
鈴                  すず            涼しい音がする。
錫                  すず            色の涼しい金属。
蘿蔔・清白          すずしろ        =涼白。大根の異名。
菘                  すずな          =鈴菜。鈴の形。かぶの異名。



<すすむ>          進む

進む                すすむ          「すす」は前進するときのすり足の擬音。
  進める            すすめる         進める:前進、進行。「時計を進める」等。
勧める・奨める      すすめる         勧める・奨める:勧誘、奨励。「入会を勧める」等。
薦める              すすめる         薦める:推薦、推挙。「候補者として薦める。」等。
速やか              すみやか        「進みやか」の転。
漫ろ                すずろ
  漫ろ              そぞろ          「すずろ」の転。何となく心のすすむさま。「気も漫ろに」等。



<すてる>          捨てる

捨てる・棄てる      すてる
廃れる              すたれる
  廃る              すたる



<すべ>            全

総て・全て・凡て・渾て
                    すべて
統べる・総べる      すべる
  統ばる            すばる          集まって一つになる。
  昴                すばる          いくつかの星が集まっているから。
皇                  すめら          =すべら
スッカリ            すっかり
スッキリ            すっきり
スッパリ            すっぱり
  すっぱ抜く        すっぱぬく      =すっぱりぬく。
スッポリ            すっぽり
  すっぽかす        すっぽかす      =すっぽりほったらかす。



<すみ>            墨

炭                  すみ
墨                  すみ
  硯                すずり          =墨すり
  刺青              いれずみ        =入れ墨
  鯣                するめ          =すみ(墨)むれ(群)。墨を吐き群をなすから。
菫                  すみれ          =墨入れ。花の形が墨つぼに似ているから。
煤                  すす            =巣炭。巣のようになった炭。



<する>            擦る

摩る・擦る・磨る・擂る
                    する            摩る:こする。使い果たす。「競馬で摩る」等。
                                    擦る:こする。「マッチを擦る」等。
                                    磨る:すりみがく。「墨を磨る」等。
                                    擂る:すりつぶす。「ごまを擂る」等。
  擦れる            すれる
  鑢                やすり          =や(弥)すり(擦)
刷る・摺る          する            刷る:印刷する。「名刺を刷る」等。
                                    摺る:手でする。「版画を摺る」等。
掏る                する            すり寄って、金品を盗む。
  掏摸・掏児        すり
スルスル            するする
スルリ              するり
ソロソロ            そろそろ        「擦る」を重ねた語。床に足を擦るように歩くさま。
スラスラ            すらすら
スラリ              すらり
スンナリ            すんなり        「すらり」の音転。
摩る                さする
擦る                こする
  擦れる            こすれる
擦る                なする
剃る                そる
揃える              そろえる        =剃り合える。大きさを切りそろえる
  揃う              そろう
滑る・辷る          すべる          擦るように進む。
  スベスベ          すべすべ
擽る                くすぐる・こそぐる
                                    =こすりけずる。皮膚を刺激する。
  擽ったい          くすぐったい
鋭い                するどい        =する(擦)と(尖)い。
擦れっ枯らし        すれっからし    世間ずれして悪賢い。



<する>            おこなう

する                する
術                  すべ
須く                すべからく      =すべくあるらく。なすべきこととして。
仕                  し              「する」の連用形「し」の当て字。
  仕事              しごと
  仕方              しかた
    仕方がない      しかたがない
  仕様              しよう
    しょうがない    しょうがない    =仕様がない。もうやり方がない。
    しょうもない    しょうもない    =仕様もない。つまらない。
    しょうことなし  しょうことなし  =仕様事無し。しかたがない。
  仕種・仕草        しぐさ
  仕業              しわざ
  幸せ              しあわせ        =仕合せ。つじつまがあう。ふさわしい状態になる。めぐりあわせ。幸運。
  仕付け            しつけ          縫い目を正しくするために仮に糸で縫い抑える。
    躾              しつけ          人を正しくするために教育する。
    躾る            しつける
    しつこい        しつこい        =しつけ+濃い
  仕合・試合        しあい          =し合い
  為来り・仕来り    しきたり        して来たこと→以前からのならわし。慣例。
  したり顔          したりがお      =し(する)たり(完了)かお。うまくやったという顔。
  設う              しつらう        =し(する)つ(作)らう。設備する。飾りつけする。
  しでかす          しでかす        =し(する)でかす(出来)。大掛かりな悪いことをする。
為                  せ              「する」の未然形。
  為ん方無し        せんかたなし    なすすべがない。
  為ん術無し        せんすべなし    なすすべがない。



<ずる>            ずらす

ずらす              ずらす
  ずれる            ずれる
  辷る              ずる            「辷り落ちる」等
狡い                ずるい
ずらかる            ずらかる
ズルリ              ずるり
ズルズル            ずるずる



<せ>              狭い

狭い                せまい
  狭まる            せばまる
  狭める            せばめる
  狭がる            せまがる
迫る・逼る          せまる          人との間を狭める
攻める              せめる          人との間を狭めて攻撃する
鬩ぐ                せめぐ          互いに争う。
責める              せめる          人との間を狭めて責任を追及する
せめて              せめて          物事に迫って心をつくす→少なくともこれだけは
強む                せがむ          責め迫る。
瀬                  せ              水の狭いところ→川の浅いとろこ。
  瀬戸              せと            =せ(狭)と(門)。幅の狭い海峡。「瀬戸際」等。
  細流              せせらぎ        =瀬瀬らぎ
堰く・塞く          せく            通路を狭めて止める
  堰                せき            水路を狭めて水流を調整するところ
  関                せき            道を狭めて警戒する所
  咳き              せき            のどを狭めて咳きをする
  せこい            せこい          息がつまるように細かいことに執着する。
急く                せく            気が堰き止められて、早く通したい。
  急かす            せかす
  せからしい        せからしい
  責付く            せつく
  せっかち          せっかち        =急きがち
  セカセカ          せかせか
忙しい              せわしい        =せ(急)わしい
  忙しない          せわしない      =忙しい+ない(甚)。とても忙しい。
嘖む・苛む          さいなむ        =さきなむ。「せき(迫)いなむ(否)」の転。
谷・迫・逧          さこ            =さ(狭)こ(処)。山あいの小さな谷。
さもしい            さもしい        =さ(狭)もしい。あさましい。
勢子                せこ            =せ(迫)こ(子)。狩のとき鳥や獣をかりたてる人。
瀬古                せこ            =せ(狭)こ(処)。両側から山の迫った集落。
せせこましい        せせこましい    =せせ(迫)こま(細)しい。非常に狭くて窮屈。度量が狭い。
せせる              せせる          =せり(迫)せる(迫)。つつく。ほじる。
  嘲笑い・冷笑い    せせらわらい    =せせり(迫)わらい(笑)。あざけり笑う。



<せる>            競る

競る・糶る          せる
  競り・糶          せり            競り合って売買する。
焦る                あせる          =足競る
芹                  せり            一つ所に競り合って生えるから
台詞                せりふ          =競り言う



<そ>              衣

袖                  そで            =そ(衣)で(手)
裾                  すそ            =すえ(末)そ(衣)
麻                  あさ            =あお(青)そ(衣)



<そぐ>            削ぐ

削ぐ・殺ぐ          そぐ
  削げ              そげ            斜めに削ったようになった細い木片。
刮ぐ                こそぐ
損なう・害う        そこなう
  損ねる            そこねる
謗る・誹る          そしる
嫉む                そねむ



<そぐう>          似る

そぐう              そぐう          似合う。「そぐわない」等。
そっくり            そっくり



<そそ>            落ち着きの無い

そそる              そそる          心をうきたたせる。感情・欲望を起させる。「食欲をそそる」等。
                                    高く上がる。「そそり立つ山」等。
唆す                そそのかす
そそくさ            そそくさ
そそっかしい        そそっかしい    =そそくさ+しい



<そなえる>        そろえる

供える              そなえる        そろえて、さしあげる。
                                    供える:人物、貴人に差し上げる。
備える・具える      そなえる        そろえて、置いておく。
                                    備える:準備、設備。具える:能力、才能。
  備わる            そなわる



<そば>            斜面、角

傍・側              そば            斜めにそれた所→直ぐ近く。
添う・沿う・副う    そう            近くに位置する。
                                    添う:付き添う、連れ添う。
                                    沿う:流れ、道に続く。方針に従う。「川沿いの家」等。
                                    副う:希望にかなう。「期待に副う」「趣旨に副う」等。
  添える            そえる
  誘う              さそう          =さ(早)添う。添うようにする。
  酘                そえ            =添え。清酒を醸造する時、一定日数後に酒母に加える蒸米と
                                    麹こうじと水との称。
蕎麦                そば            蕎麦の実が三角形をしているため
  雀斑              そばかす        =蕎麦滓
稜                  そば            物のかど。
岨                  そば・そわ      山の切り立った斜面。
聳える              そびえる        山の斜面→高く立つ
  聳やかす          そびやかす      聳えるようにする。
  欹てる            そばだてる      そびえたたせる。一端をあげて傾かせる。
  峙つ・聳つ        そばだつ        そびえたつ。



<そよ>            静かにゆれる

戦ぐ                そよぐ
そよめく            そよめく
微風                そよかぜ
そよ吹く            そよふく
ソヨソヨ            そよそよ



<た>              田

田                  た              手と同系。手を使って働く場所。
田圃                たんぼ          =田の辺
耕す                たがやす        =田返す
畑・畠              はた・はたけ    =は(火)た(田)
蒲公英              たんぽぽ        =たなほほ。古名は「たな(田菜)」「ほほ」は頬毛のような綿毛。
  たんぽ            たんぽ          たんぽぽの綿のような似たもの。綿を布で包んで丸めたもの。
佃                  つくだ          =作り田。耕作する田。
民                  たみ            =田部。田を作る人々。



<たえる>          堪える

堪える              たえる          =た(手)ふ。手で支え続ける。
                                    堪える:できる、値する。「任に堪える」「鑑賞に堪えない」等。
耐える              たえる          耐える:持ちこたえる。「風雪に耐える」等。
窘む                たしなむ        =たえ(堪)しのぶ(忍)。窮して苦しむ。
  窘める            たしなめる      「窘む」の他動詞形。苦しめる→叱る。
  嗜む              たしなむ        窘んで好む。苦労して好きな事にうちこむ。



<たか>            高い

高い                たかい
  高まる            たかまる
  高める            たかめる
  高                たか
  高ぶる・昂ぶる・亢ぶる
                    たかぶる
  高らか            たからか
岳・嶽              たけ            高い山
丈                  たけ            高さ
  だけ              だけ            高さすべて→限度。「これだけ食べた」等。
茸                  たけ            高くなるもの
竹                  たけ            高くなるもの
  筍                たけのこ
鷹                  たか            高く飛ぶ鳥
滝                  たき            高い崖から流れる水
  滾る              たぎる          滝のように水がほとばしる。
湛える              たたえる        =たた(高高)える。いっぱいに充満
称える・讃える      たたえる        =たた(高高)える。いっぱいに充満→言葉をいっぱいにしてほめる。
堆い                うずたかい      =うず(珍)たかい(高)。「うず」は「いつ(厳)」と通じる。
長ける・闌ける      たける          高くなる。真っ盛りになる。
  酣・闌            たけなわ        真っ盛り。
猛る                たける          勇猛に行動する。
  猛し              たけし
  猛猛しい          たけだけしい
哮る                たける          声高く叫ぶ。
  雄叫び            おたけび



<たく>            束ねる、集める  「高い」と同系。高く積み上げる→集まる。

集る                たかる          集まる。虫が食べもに集まる→金品に集まる→金品を出させる。
宝                  たから          集めたもの。「田から」という説あり。
貯える・蓄える      たくわえる      集め貯める。
たくしあげる        たくしあげる    束ねてあげる。
類・比              たぐい          同じものの集まり。
  比う・類う        たぐう
綰ねる              たがねる        集めて一つにまとめる。
  箍                たが            まとめて固く締め付けるもの。



<たく>            焚く

焚く・薫く          たく
炊く                たく
薪                  たきぎ          =焚き木
松明                たいまつ        =焚き松



<だく>            抱く

抱く                だく
抱く・擁く・懐く    いだく
だっこ              だっこ          =抱きこ



<ただ>            まっすぐ

直ちに              ただちに        まっすぐに来る→すぐに。
正しい              ただしい        まっすぐなこと→ただしい。
  正す・匡す        ただす
  質す              ただす          問うてたしかめる。
  糾す・糺す        ただす          罪過の有無を追及する。
徒・常・只・唯・啻  ただ            まっすぐに→何ともないこと。特別でないこと。無料。
  たった            たった          「ただ」の音転。「たったこれだけ」等。
但し                ただし          まっすぐにつく→先行の事項について補説する。



<たたく>          叩く

叩く・敲く          たたく          =た(手)た(手)く
戦う・闘う          たたかう        =叩交う。
                                    戦う:戦争、競技。「敵と戦う」等。
                                    闘う:対立する二者が。障害、困難と。「病気と闘う」等。
叩く                はたく          「たたく」の転。
  叩き              はたき          室内または道具類の塵をはたき払う道具。
疥                  はたけ          痒くて掻きはたくから。皮膚病の一種。
畳む                たたむ          =叩み。叩いて折り重ねる。
  畳                たたみ          むしろを厚く重ねたことによる
  甃                いしだたみ
  畳まる            たたまる



<たつ>            断つ

断つ・裁つ・截つ    たつ            断つ:具体的、一時的。続けていたもの。「退路を断つ」等。
                                    裁つ:布、紙を刃物で。「生地を裁つ」等。
絶つ                たつ            絶つ:抽象的、永続的。続いていたもの、つながりを。
                                          「命を絶つ」「縁を絶つ」等。
  絶える            たえる
    妙              たえ            =絶え。細く切れそうで切れない美しさ→不思議なまでに優れている。
  絶やす            たやす
  途絶える          とだえる
  悶える            もだえる        =身絶える
  もがく            もがく          =悶え+掻く
  偶に              たまに          =絶え間に。機会が乏しい→偶然に。
    偶々            たまたま
    偶              たまさか
太刀                たち            断つ物
  殺陣              たて            太刀打ちすること
鏨                  たがね          =断つ金
たって              たって          理を断って。無理に。「たってのお願い」等。



<たつ>            立つ

立つ・起つ          たつ            立つ:一般的。起つ:決起する。
  立てる            たてる
建つ                たつ            建つ:建物。
  建てる            たてる
  館・舘            たち・たて      =たち(建)。やかた。
発つ                たつ            立ち上がって出発する。
経つ                たつ            月が立つ(満ち欠けが一巡する)→時間が過ぎる。
縦・竪・経          たて            立った方向
盾・楯              たて            立てて使う物。防具。
忽ち                たちまち        =立ち待ち。立って待っている間の短い間。
佇む                たたずむ        じっと立っている。
  佇まい            たたずまい
盾突く              たてつく
質                  たち            「生い立ち」の「たち」
伊達                だて            「立つ」から。人目につくように形を表す。
たじろぐ            たじろぐ        「立ち動く」の転。
鯱                  しゃちほこ      たちおこ(立尾魚)の転。
  鯱                しゃち          =しゃちほこ。
  鯱張る            しゃちほこばる
立ち所に            たちどころに
点てる              たてる          湯気を真っ直ぐに立ちのぼらせる。「お茶を点てる」等。
  点前              たてまえ・てまえ
                                    茶道での所作・作法・様式。おてまえ。
  野点              のだて          野外で茶をたてること。
祟る                たたる          神仏が立ち現れて災いする。
竜                  たつ            =立つ。身を立てて上っていく。
譬える・喩える      たとえる        =立て問う。対立物を立てて問い比べる。
  例える            たとえる        =立て問う。例を立てて説明する。
  譬                たとえ
  譬う              たとう



<たな>            水平

棚                  たな            水平の板を設置したもの。
店                  たな            棚を設けて商品を陳列したから。
七夕                たなばた        =たな(棚)はた(機)。棚すなわち横板のついた織機。
                                    棚機姫の祭り。「七夕」は七月七日の夕方に行うから。
棚引く              たなびく        水平に長く広がって漂う。
棚曇る              たなぐもる      雲が一面にひろがってくもる。
たな知る            たなしる        (一面に広がることから「十分に」の意)よく知る。



<たば>            束

把・束              たば
把                  わ              たばねたものを数える語。
束ねる              たばねる
束子                たわし



<たまう>          あたえる

賜う・給う          たまう
  賜る・給わる      たまわる
  賜える・給える    たまえる        いただく。
  賜物              たまもの        =賜り物
食べる              たべる          =たまえる。いただく。
旅                  たび            あたえる→場所を移す→移動する。
  足袋              たび            旅にはく靴。
  度                たび            旅の回数→回数。
    度々            たびたび



<たる>            足りる

足る                たる
  足りる            たりる
  足す              たす
  足らす            たらす
鱈                  たら            =足ら。腹が膨れているので、満ち足りている。
                                    まだら模様の体からという説あり。
  鱈場蟹            たらばがに      鱈の漁場にいる蟹。
矢鱈                やたら          =や(弥)たら(足)。「矢鱈」は当て字。
鱈腹                たらふく        =足る+膨らむ。
                                    「鱈腹」は鱈のように腹が膨れているという当て字。



<たれる>          垂れる

垂れる              たれる
  垂らす            たらす
滴る                したたる        =下垂る
垂れる              しだれる        =下垂れる
  垂・四手          しで            シ(垂)ヅの連用形から。玉串・注連縄などに垂れ下げるもの。
  椣                しで            =四手。木の名。花穂を垂らした姿が四手に似る。
怠い・懈い          だるい          からだが垂れるほど疲れる。
  饑い              ひだるい        =干怠い。空腹である。
  気怠い            けだるい
  間怠い・目弛い    まだるい        手間どっておそい。じれったい。
弛む                たるむ
  弛む              たゆむ
  揺蕩う            たゆたう        =たゆむ+たう
  穏やか            おだやか        「おだやむ(小弛む)」の転。
だれる              だれる
  だらける          だらける
  だらし無い        だらしない
タラタラ            たらたら
  タラリ            たらり
  ダラダラ          だらだら
  ダラリ            だらり
雪崩                なだれ          =ななめたれ
  雪崩れる・傾れる  なだれる        「傾れ込む」等。
谷・渓・谿・壑      たに            =たり(垂)。水の垂れ集まる所。
  壁蝨              だに            背が窪んで谷のようだから。



<たわ>            柔軟に曲がる

撓む                たわむ
撓                  たわわ          枝がたわむほど多く実る
嫋やか              たおやか
手弱女              たおやめ        =たおや女。たおやかな女。
撓・垰・嵶・乢      たわ・たお      山の尾根などのたわんだところ。鞍部。
矯める              ためる          =たわめる。竹や木を曲げたり伸ばしたりする。
  試す・験す        ためす          竹や木の強さを曲げてみたりして、確かめる。
  例・様            ためし          試した後→先例。「そんな事は聞いた例がない」等。
戯け                たわけ          心を曲げる→ふざけること。ばか者。
  戯言              たわごと
  戯れる            たわむれる
  たわい無い        たわいない



<ち>              道・方向

道                  ち
  此方              こっち          =このち(道)
  其方              そっち          =そのち(道)
  彼方              あっち          =あのち(道)
  何方              どっち          =どのち(道)
道・路・途・径      みち            =御道
  道程              みちのり        =道のり(法)。道の距離
  陸奥              みちのく        =道の奥
  陸奥              むつ            「みちのく」の転。
路                  じ
  小路              こうじ
因み                ちなみ          =道並。道に並んで→それに関して。
巷・岐・衢          ちまた          =道股。道の分かれる所→町通り→世間
導く                みちびく        =道引く。道を引いて行く。
町・街・区          まち            =間道。田を道で区画分けしたもの→区画分けされた街。
                                    町:地域、行政区画。街:街路。
  区々              まちまち        区画分けされた→別々
  襠                まち            衣服の区切り→衣服の境目の布。



<ちい>            小さい

小さい              ちいさい
  ちっこい          ちっこい
  ちっちゃい        ちっちゃい
  ちっぽけ          ちっぽけ
縮む                ちぢむ          =ちいぢいむ
  縮まる            ちぢまる
  縮める            ちぢめる
  縮れる            ちぢれる
  縮らす            ちぢらす
  縮こまる          ちぢこまる
蹙む                しじむ          「縮む」の転。
約まる              つづまる        =ちぢまる
  約める            つづめる
  約やか            つづまやか
ちび                ちび
  ちびる            ちびる
  チビチビ          ちびちび
一寸                ちょっと        =ちいと。
  ちっとも          ちっとも
  ちょこっと        ちょこっと
  猪口才            ちょこざい      ちょこっとした才能。生意気な。
  ちょっかい        ちょっかい      =ちょと+かい(掻)。猫がちょっと手を出すようすから。
  ちょび            ちょび          「ちょびひげ」等。
  ちょぼ            ちょぼ          小さく打った点。
ちょろっと          ちょろっと
  ちょろまかす      ちょろまかす    =ちょろっと、ごまかす。
  ちょろちょろ      ちょろちょろ
  ちょろい          ちょろい        弱い。
  ちょろける        ちょろける
近い                ちかい          =ち(小)か(処)い。距離が小さい。
  近づく            ちかづく
顰める              しかめる        「縮み屈める」の転。顔の皮を縮める。
  しかめっ面        しかめっつら
短い                みじかい        「み(身)ちぢみ(縮)やか」の転。
縮緬                ちりめん        =ちぢれめん。布面に細かく皺をたたせたもの。
チラチラ            ちらちら
チラホラ            ちらほら
蜆                  しじみ          =縮み。煮ると実が縮むことから。
萵苣                ちしゃ          =縮む葉。葉が縮んでいる野菜。レタス。
ちんちくりん        ちんちくりん    衣服が体に比べて小さい様子。
ちんぴら            ちんぴら        =ちん(小)ぴら(平)。小さい木屑のような男。
ちんぽ              ちんぽ          =ちん(小)ぽ(鉾)。男の子の性器。



<ちゃ>            いいかげんなこと

茶る                ちゃる          ふざける。「茶」は当て字。
茶化す              ちゃかす        からかう。
茶々                ちゃちゃ        じゃまする。「茶々を入れる」等。
ちゃら              ちゃら          でたらめを言うこと。差し引きゼロにすること。
ちゃらかす          ちゃらかす
ちゃらける          ちゃらける
チャッカリ          ちゃっかり
チャランポラン      ちゃらんぽらん  「ちゃらほら」の音転。



<ちる>            散る

散る                ちる
  散らす            ちらす
  散らかる          ちらかる
  散らかす          ちらかる
  散らばる          ちらばる
  散りばめる        ちりばめる
塵                  ちり
鏤める              ちりばめる      =ちり(散)はむ(食)。
チリヂリ            ちりぢり



<つい>            次第に減る

費やす              ついやす
  費える・潰える・弊える
                    ついえる
  費え              ついえ          無駄な出費。
終                  つい            最終的に。「ついの住みか」等。
  遂に・終に        ついに          次第に減ってなくなる。



<つきる>          尽きる          「つい(終)」と同系。

尽きる              つきる
  尽くす            つくす
  尽かす            つかす
疲れる              つかれる        体力が尽きる
  疲らす            つからす
熟々                つくづく        =尽く尽く
尽                  ずくめ          同じもので覆う。「黒ずくめ」等。



<つか>            掴む

柄                  つか            掴む所
掴む                つかむ
捕まえる            つかまえる
  捕まる            つかまる
束                  つか            一つかみしたたば
  束ねる            つかねる
  束の間            つかのま        手でつかむほどの長さ→ごくわずかの時間。
  不束者            ふつつかもの    =太束者。太い→ごつごつして不恰好



<つく>            突く、建築      「付く」と同系。

突く                つく
  突く              つつく
  突っ込む          つっこむ
衝く・撞く          つく            「鐘を撞く」等。
  衝立              ついたて        =つきたて。
小突く・小衝く      こづく          指先で軽く突く。
搗く・舂く          つく            「餅を搗く」等。
築く                つく
  築く              きずく
吐く                つく            「嘘を吐く」等。
作る・造る・創る    つくる          作る:小規模、無形。「米を作る」「規則を作る」等。
                                    造る:大規模、有形。「船を造る」「庭園を造る」等。
                                    創る:新しく、始めて。「画期的な商品を創り出す」等。
  旁                つくり          漢字を作る構成要素。漢字の右側の部分。
繕う                つくろう        「作る」の転。
  設える            しつらえる      し(為)つくろう(繕)の転。設置する。
塚                  つか            土を盛って突いて作った小高い所
  司・官・長・寮    つかさ          小高い所→最上、主要なもの
  司・掌る          つかさどる
仕える              つかえる        =突き合える
  仕る              つかまつる      =つかえまつる。お仕えする。
  使う・遣う        つかう          「仕える」の他動詞形。
                                    使う:一般的。
                                    遣う:気、心を。工夫して使用。「心遣い」「仮名遣い」等。
  遣わす            つかわす        「使う」の尊敬形。
  使い・遣い        つかい          遣わされた人。
  扱う              あつかう        =あ(接頭辞)使う。
ど突く              どつく          「突く」の転。
角                  つの            突くもの
  角ぐむ            つのぐむ        角のように芽を出す。
杖                  つえ            =つき(突)え(枝)
支える・閊える      つかえる        =突く+える。突かれて邪魔になる。
  痞える            つかえる        「咽に痞える」等。
  差し支える        さしつかえる
啄む                ついばむ        =つき(突)はむ(食)
つわる              つわる          「衝き張る」の略。「芽ぐむ」「きざす」の意。
  悪阻              つわり          子供の兆し。
土筆                つくし          =突くし。土を突いてでてくる。
ツンツン            つんつん        「突く」の転。
ズキズキ            ずきずき        「突く」の転。



<つく>            付く            「突く」と同系。

付く・附く          つく            付く・附く:付加。「墨が顔に付く」等。
  付ける            つける
  御御御付け        おみおつけ      ご飯に付ける汁物。
着く                つく            着く:到着。「東京に着く」等。
  着ける            つける
就く・即く          つく            就く・即く:就任、身を置く。「職に就く」「床に就く」等。
  就ける            つける
  就いて            ついて          ~に関して
憑く                つく            霊が憑依する。
点く                つく            点灯する。「明かりを点ける」等。
漬ける・浸ける      つける          液体に付ける。
  漬かる・浸かる    つかる
続く                つづく          付いたままで行く。
  続ける            つづける
綴る                つづる          複数の紙を付けてまとめる。
常・恒              つね            付いたまま
机                  つくえ          =つく(付)え(枝)。枝(足)が付いた板。
償う                つぐなう        =つく(付)なう。欠けたものを付ける。
くっ付く            くっつく        =食い付く
引っ付く            ひっつく        =引き付く
津                  つ              「付く」の転。ふなつき。
挿げる              すげる          「着ける」の転。「挿げ替える」等。
ズケズケ            ずけずけ        =付け付け



<つぐ>            つなげる        「付く」と同系。

継ぐ・接ぐ          つぐ            継ぐ:継続、継承。「布を継ぐ」「後を継ぐ」等。
                                    接ぐ:接続。「骨を接ぐ」等。
  番                つがい          =継ぎ合い。つながっている二人。「蝶番(ちょうつがい)」等
次                  つぎ
  次ぐ              つぐ            次ぐ:連続、順位。「事件が相次ぐ」「富士山に次ぐ山」等。
  序で              ついで          =つぎ(次)て。順序。あることを併せてするよい機会。「ついでに」等。
  次いで・尋いで    ついで          続けて。
  次う              すがう          「次ぐ」の転。すぐ後に続く。「通り次がり」「追い次がう」等。
月                  つき            「次」から。太陽の次に明るい天体。
  朔日・一日        ついたち        =月立ち
  晦・晦日          つごもり        =つきごもり(月隠)。月末。
注ぐ                つぐ            容器に液体をそそぎ入れる。
  杯                つき            =注ぎ。飲食物を注いで盛る器。
告げる              つげる          言葉をつなぐ。



<つた>            つながっている

蔦                  つた            伝わって伸びる草。
伝える              つたえる        つたのように長い先に伝わる
  伝わる            つたわる
  伝う              つたう
  伝                つて
拙い                つたない        =つた(伝)ない。伝える価値がない。
綱                  つな
  繋ぐ              つなぐ
  繋がる            つながる
  繋げる            つなげる
  手綱              たづな
絆                  きずな          =引綱。馬を縛って引くつな→人をつなぐ義理・人情。



<つち>            土

土                  つち
培う                つちかう        土で育てる。
犯土・椎・槌        つち            陰陽道で、土を犯してはならないとする日。



<つつ>            囲む

筒                  つつ
包む                つつむ
堤                  つつみ          洪水を包む。
慎む・謹む          つつしむ        包んで隠す。
                                    慎む:抑制。「酒を慎む」「言葉を慎む」等。
                                    謹む:かしこまる。「謹んで祝意を表する」等。
  慎ましい          つつましい      包んで隠した状態
  倹しい            つましい        「つつましい」の転。
  慎ましやか        つつましやか
苞                  つと            =つつ(包)。わらを束ねて物を包んだもの。「納豆の苞」等。
銃                  つつ            拳銃。銃の筒の部分から。
  熕・大筒          おおづつ        大砲。
躑躅                つつじ          =つつ(筒)じ。筒状の花が咲く木。



<つつ>            さしさわる

障む・恙む          つつむ          さしさわる。さしつかえる。
恙                  つつが          病。
  恙無い            つつがない      つつむ(恙)は病気になる意の動詞。病気がない→問題ない。
  恙虫              つつがむし      病をもたらす虫。ツツガムシ科のダニの総称。



<つぶ>            丸いもの

粒                  つぶ            丸い粒
潰れる              つぶれる        角がとれて丸くなる
  潰す              つぶす
呟く                つぶやく        ぶつぶつ言う
  ぼやく            ぼやく          「つぶやく」の音転。
円ら                つぶら          まん丸な
具に・備に          つぶさに        円のように欠けることなく
礫・飛礫            つぶて          =粒打て。小石を投げること。
委曲                つぶつぶ        こまかなさま。
  委曲              つばら          くわしいさま。
  詳らか・審らか    つまびらか      「つば(委曲)ひらか」の転。くわしいさま。
頭                  つむり          「つぶり」の転。まるい頭。「おつむ」等。



<つぼ>            口が小さい

壷                  つぼ            口と底がつぼまっている
窄む                つぼむ
  窄める            つぼめる
  窄める            すぼめる        =つぼめる
蕾・莟              つぼみ
坪                  つぼ            壷のように囲まれた一区画の土地。
坩堝                るつぼ          =鋳る壷。物質を灼熱するための耐火性のつぼ。
局ぬ・搾ぬ          つぼぬ          しきる。かこむ。
  局                つぼね          =つぼねた所。しきり隔てて設けた部屋。



<つむ>            積む            「集まる」と同系。

積む                つむ
  積もる            つもる
  積り              つもり          前もって考えが積み重なったもの。「行ったつもり」等。
罪                  つみ            悪事の堆積
紡ぐ                つむぐ          糸を重ねていく
  紬                つむぎ
  錘                つむ            糸をつむぐ機械
富む                とむ            財産を積む
  富                とみ
  豊                とよ            「富む」の転。



<つゆ>            水分

露                  つゆ
  梅雨              つゆ            露を帯びる時節。
液・汁              つゆ            しる。
艶                  つや            水分を帯びて光る。
  艶っぽい          つやっぽい
  艶やか            つややか
  ツヤツヤ          つやつや



<つよい>          強い

強い・勁い          つよい
  強まる            つよまる
  強める            つよめる
  強がる            つよがる
槻・欟              つき            =つよき(強木)。木の名。ケヤキの古名。



<つる>            ひも状

釣る                つる            ひもで引き上げる。
吊る                つる            ひも状に垂らす。
  吊るす            つるす
攣る                つる            痙攣する。
弦                  つる
蔓                  つる
  葛・蔓            かずら          =かづら。つる(蔓)草。
    忍冬            すいかずら      =すい(吸)かずら(葛)。水を吸う葛。
  葛                つづら          つる草で編んだ箱。
    九十九折        つづらおり      葛のつるが幾重にも折れ曲がっているのを道のたとえに使った。
  鬘・蘰            かずら・かつら  つる草で作った髪飾り→仮の髪。
  角髪・角子・鬟・髻  みずら        =みみ(耳)つら(鬘)。古代の男子の髪を束ねて両耳に輪を作る結い方。
連れる              つれる
  連なる・列なる    つらなる
  連ねる            つらねる
  連む              つるむ          連れ立つ。連れる。
  交尾む・孳尾む・遊牝む
                    つるむ          牝と牡とが交尾する。
  つれない          つれない        =連れ無し
  ズラリ            ずらり          連なるさま。
  熟々・倩々        つらつら        =連ね連ね。つくづく。よくよく。念入りに。
  徒然              つれづれ        =連れ連れ。つくづく。
氷柱                つらら          吊られた氷。
面                  つら            頬が左右に連なる


<てる>            照る            「当てる」と同系。

照る                てる
  照らす            てらす
  照れる            てれる          恥ずかしい思いをする。女郎が客を「振る」に「降る」を当てた。
                                    「雨が降る」の反対は、「日が照る」だから、振られた側は、
                                    「照れる」というようになった。
衒う                てらう          照らすようにひけらかす。
テカテカ            てかてか



<でる>            出る

出る                でる
出す                だす
  出し              だし            味が汁に出たもの
出しゃばる          でしゃばる
山車                だし            出し物
出来る              できる          出てくる。仕上がる。
出来す              でかす          =でこかす(出来)。仕上げる。
  でかした          でかした        「よくやった」という褒め言葉。
出                  いで
  出る              いずる
  出す              いだす
蝸牛                でんでんむし    =出む出む虫。角を出そうとする虫。かたつむり。



<と>              戸

戸                  と
扉                  とびら          =と(戸)びら(片)
  海桐              とべら          =とびら。節分にこの木を扉に挟んで邪気を払う風習があった。
嫁ぐ                とつぐ          =戸継ぐ
閉じる              とじる
  閉ざす・鎖ざす    とざす
綴じる              とじる
隣                  となり          =と(戸)なみ(並)。戸が並んでいる所。
  隣る              となる
帳・帷              とばり          =戸張り
殿                  との・どの      =戸名
  宿直              とのい          =殿居。宮中・役所などに宿泊して勤務・警戒すること。
  舎人              とねり          =とのいり(殿入)。宮殿に入るのを許された人。御所の雑事をする役人。
蜥蜴                とかげ          =戸陰。戸の陰にいる。
枢                  とぼそ          =と(戸)ほぞ(臍)。開き戸の枢(とまら)を受ける穴。



<と>              そと

外                  そと・と        =そ(背)と(外)
  そっぽ            そっぽ          =そと(外)ほう(方)
外つ国              とつくに        外国
外山                とやま          端の山。人里に近い山。



<と>              呪力のある言葉

唱える・誦える      となえる
称える              となえる
祝詞                のりと



<と>              するどい

利・鋭・疾          と              するどいこと。早いこと。
利し・鋭し・疾し・捷し・敏し
                    とし            するどい。早い。
疾うに              とうに          「とく(疾)に」の音便。早くから。
疾っくに            とっくに        「とく(疾)に」の音便。早くから。



<とう>            聞き出す

問う                とう            =外言う
問                  とい
訪う                とう            安否を聞き出すために訪問する。
  集う              つどう          =つ(津)とう(訪う)。津=人の集まる所。
    問屋            といや・とんや  =つどいや
訪う                とぶらう        =とう(訪)らう。心配して聞く。
弔う                とぶらう・とむらう
                                    =とう(訪)らう。喪にある人を訪ねる。



<とお>            長い距離

遠い                とおい
通る・徹る・透る    とおる          遠い距離を行く
  通す・徹す・透す  とおす
一昨日              おととい・おとつい
                                    =遠つ日
一昨年              おととし        =遠つ年



<とく>            解く

解く                とく            解く:ほどく、取り除く、答えを出す。
                                          「結び目を解く」「包囲を解く」「問題を解く」等。
  解ける            とける
  解かす            とかす
梳く                とく            梳く:髪をすく。「髪の毛を櫛で梳く」等。
溶く・融く・熔く・鎔く
                    とく            溶く:固体を液状にする。「絵の具を溶く」等。
  溶ける・融ける・熔ける・鎔ける
                    とける
  溶かす            とかす
説く                とく            言葉で問題・疑問をばらばらにする。
                                    説く:道理を分かりやすく述べる。
  口説く            くどく
戯ける              おどける        =おおどくる(大解)。緩やかに振舞う。ふざける。
  道化              どうけ          「おどけ」から。人を笑わせるおどけた言語・動作。
解く                ほどく          =ほ(含)とく(得)。結んだものをとく。
  施す              ほどこす        もとをゆるめて、広く散らし行き渡らせる。



<とげ>            とんがっている

棘・刺              とげ
  刺々しい          とげとげしい
咎・科              とが
  咎める            とがめる
尖る                とがる
  尖らす            とがらす
  尖り              とんがり
研ぐ・磨ぐ・砥ぐ    とぐ            とがらす
  砥石              といし          =研ぐ石



<とこ>            場所、時間

所・処              ところ
  ところが          ところが        逆接の接続詞。
床                  とこ            横たわる場所
  底                そこ            とこ(床)の音転。
    ぞっこん        ぞっこん        =そこ(底)こん(根)。根底から。
  とことん          とことん        =床をトンと踏む。最後の足拍子までキチンと踊り終える。
                                    最後の最後まで。「とことん原因を究明する」等。
時                  とき
  時めく            ときめく        よい時期にめぐりあう→期待にわくわくする。
    時めかす        ときめかす
    時めき          ときめき
  時計              とけい
  時折              ときおり
  時偶              ときたま
  時時              ときどき
  斎                とき            =食すべき時。寺で出す食事。
常                  とこ            時は永遠に流れる。
  常盤              ときわ          =とこ(常)いわ(岩)。常にかわらない岩。永久不変なこと。
  常しえ・永久      とこしえ        =とこ(常)し(形容詞)え(上)。長く変らないこと。
    常しなえ・永久  とこしなえ      =とこ(常)し(形容詞)な(の)え(上)。長く変らないこと。
  常夏              とこなつ        いつも夏のようであること。
  永久              とわ            =とこ(常)とは。長く変らないこと。
鬨・鯨波            とき            時を告げる声より。多人数が一度にあげる声。「勝鬨を上げる」等。



<とち>            栃

栃・杤・橡          とち            「と」は十で実が多い木の意。
団栗                どんぐり        =とちくり(栃栗)
栃る                とちる          =栃目る。どんぐり目になる。失敗して驚き目を丸くする。
  とちめく          とちめく        あわてふためく。


<とど>            轟音

轟く                とどろく        とどろ=擬音語。
轟かす              とどろかす



<とぶ>            飛ぶ

飛ぶ・跳ぶ          とぶ            飛ぶ:飛行、飛躍。「鳥が空を飛ぶ」等。
                                    跳ぶ:跳躍。「みぞを跳ぶ」等。
  飛ばす・跳ばす    とばす
  とんだ            とんだ          飛び離れた→思いもよらぬ。
鳥・禽              とり            「飛び翔けり」の中略
鳶・鴟・鵄・鵈      とび
蜻蛉                とんぼ
翼                  つばさ          =とぶさ(飛総)
迸る                とばしる        =飛び走る
  迸る              ほとばしる
  迸り              とばっちり



<とも>            一緒

共                  とも
供                  とも
友・朋・伴・侶      とも
  友達              ともだち
  輩・儕            ともがら        なかま。同輩。
伴う                ともなう
艫                  とも            =とも(供)。船首と供になっているから。舟の後尾。



<ともる>          灯る

点る・灯る・燈る    ともる
点す・灯す・燈す    ともす          =と(手)もす(燃)
灯・燭              ともしび        =灯火



<とむ>            止まる

止まる・留まる・停まる
                    とまる          止まる:一般的。「水道が止まる」等。
                                    留まる:固定、印象に残る。「ボタンを留める」等。
                                    停まる:停止。「車が交差点で停まる」等。
  止める・留める・停める
                    とめる
泊まる              とまる          泊まる:宿泊、停泊。「船が港に泊まる」「宿直室に泊まる」等。
  泊める            とめる
貯まる・溜まる      たまる          水を塞き止めてためる。
  貯める・溜める    ためる
  溜り              たまり          味噌などからしたたり落ちて溜まった液体。
  タンマリ          たんまり
堪らない            たまらない      我慢をためることができない。
  居た堪れない      いたたまれない  その場にじっとしていられない。
樽                  たる            水を貯める容器
躊躇う              ためらう        止まったり歩いたり。
留・止まる          とどまる
  留める            とどめる
滞る                とどこおる
漂う                ただよう
吃る                どもる          「とまる」の転。言葉が止まる。
留処・止処          とめど          =止める所。「止処無くしゃべる」等。



<どん>            大きい、最も

鈍甲                どんこ          =どん(大)こ(頭)。大頭の淡水魚。
どん尻              どんじり        最も最後。
どん底              どんぞこ        一番底。



<な>              味わうもの

菜                  な
肴                  な
嘗める・舐める      なめる          味わう
舐る                ねぶる          「舐める」の転。



<ない>            無い

無い                ない
  無くす            なくす
  無くなる          なくなる
  無くもがな        なくもがな      =なく(無)もがな(願望)。
  なけなし          なけなし        =なけ(無)なし(無)。
亡くなる            なくなる        人がこの世から居なくなる→死亡する。
  亡くす            なくす
蔑ろ                ないがしろ      =無きがしろ(代)の音便。無いも同然の意。
蔑する              なみする        =無みする。さげすんで、その人が居ても居ないように振舞う。
勿れ・莫れ・毋れ    なかれ          「なくあれ」の略。



<なお>            普通の状態

直                  なお
  素直              すなお
直る・治る          なおる          普通の状態に戻す。
  直す・治す        なおす          直す:一般的。「誤りを直す」「機械を直す」等。
                                    治す:病気を。「風邪を治す」等。
  直会              なおらい        =なおりあい。斎戒から普通の生活にもどる。そのとき、
                                    神に捧げた酒食をいただく。祭りの後の酒宴。
猶・尚              なお            引き続いて変らず→やはり、それでも。
  尚更              なおさら
等閑                なおざり        =なお(直)ぞあり。普通にある→気にとめない。



<なか>            中

中                  なか
仲                  なか            人と人の中→人間関係。
  仲人              なこうど
  仲間・党          なかま
  仲立・媒          なかだち
お腹                おなか
半ば                なかば
就中                なかんずく      =中に就く。その中で。特に。
最中                さなか          「さいなか」の転。
なかなか            なかなか        中途半端。「なかなかできない」等。



<なが>            線状に伸びる

流す                ながす
  流れる            ながれる
長い・永い          ながい          流れた後が長くのこる。
                                    長い:一般的にながい。永い:時間がながい。
  長らえる          ながらえる
  長たらしい        ながたらしい
  存う・永らう      ながらう        長く生き延びる。
  轅                ながえ          =長柄。馬車などの前に長く平行に出した2本の棒。
投げる              なげる          流すように遠くにやる
眺める              ながめる        =長目る
薙ぐ                なぐ            流れるように倒す。「なぎ倒す」など。
殴る・撲る・擲る    なぐる          流れるように倒す。
靡く                なびく          =流れ+引く
鉈・屶              なた            =なぎ(薙)たて(断)
  長刀・薙刀        なぎなた
長押                なげし          =ながおし。柱と柱の間をつなぐ横材。
擲つ・抛つ          なげうつ        =投げ打つ。捨てる。惜しげもなく差し出す。
長雨・霖            ながめ          =ながあめ。長く降り続く雨。



<なぎ>            平穏

凪                  なぎ
  和ぐ・凪ぐ        なぐ
和む                なごむ          平穏な状態
  和やか            なごやか
願う                ねがう          平穏な状態を望む
  願い              ねがい
  願わしい          ねがわしい
労う・犒う          ねぎらう        平穏な状態にする
慰める              なぐさめる      平穏な状態にする
  慰む              なぐさむ
  慰み              なぐさみ
巫                  かんなぎ        =神なぎ。神に仕え、神をなだめる人。
強請る              ねだる          =ねぎ(願)とる(取)



<なだ>            おだやか

なだらか            なだらか
宥める              なだめる
撫でる              なでる
  撫子              なでしこ        撫でたくなる可愛い子。
  ナデナデ          なでなで
長閑                のどか



<なま>            未熟、不十分

生                  なま            調理や加工をしていない。
  生々しい          なまなましい    手を加えていない→新しい。
艶めく              なまめく        若々しく見える。
  艶かしい          なまめかしい    不十分に見えながら、よく感じられる。
怠ける              なまける        働きが不十分。
鉛                  なまり          柔らかい金属。硬さが不十分。
鈍る                なまる          動きが不十分。
訛る                なまる          発音が不十分。
生意気              なまいき        未熟な者が意気込む。
憖                  なまじ          中途半端。
  憖っか            なまじっか      中途半端。
鱠・膾              なます          =生しし(肉)。魚貝や獣などの生肉。あえもの。
  齏                なます          あえもの。
鈍                  なまくら        曲がりやすい刀。



<なみ>            並ぶ

並                  なみ            横にならんだ→普通
波・浪・濤          なみ            水のうねりが並ぶ
  名残              なごり          =波残り
  灘                なだ            =波立
  渚・汀            なぎさ          =なみぎわ(波際)
並ぶ                ならぶ
  並べる            ならべる
  並びに            ならびに
  並べて            なべて
ナミナミ            なみなみ



<なめ>            滑らか

滑らか              なめらか
鞣す                なめす          滑らかにする。
鯰                  なまず          滑らかな魚。
蛞蝓                なめくじ        滑らかに動く虫。
滑子                なめこ          粘液で覆われた茸。



<ならう>          同じことを続けて行う

習う                ならう          なんども繰り返して能力を付ける。
  習わす            ならわす
倣う                ならう          繰り返して行い模倣する。
慣れる              なれる
  慣らす            ならす
  慣わし・習わし    ならわし
馴れる              なれる
  馴らす            ならす
  馴染む            なじむ          =馴れ+染む
  馴初              なれそめ        なれはじめ。恋愛関係に入った最初。
  馴れ馴れしい      なれなれしい
懐く                なつく          =馴れ付く
  懐かしい          なつかしい
  懐かしむ          なつかしむ
  懐ける            なつける
  懐ける            なずける        「手懐ける」等。
狎れる              なれる          (礼を欠くほど)なれなれしい
熟れる              なれる          よく熟成する。「熟鮨(なれずし)」等。
均す                ならす          周りと同じにする。
楢・柞・枹          なら            「均(なら)す」の「なら」。平地に自生する木。
                                    コナラ・ミズナラなどの総称。
泥む                なずむ          =な(慣)ずむ。はかばかしく進まない。



<なよ>            弱々しい

萎える              なえる
ナヨナヨ            なよなよ
悩む                なやむ
  悩ます            なやます
  悩ましい          なやましい
  悩ましがる        なやましがる
苗                  なえ・なわ



<なる>            生産

成る・為る・生る    なる
  生業              なりわい        生産活動
  形・態            なり            =なり(成)。「汚い形をした男」等。
  名                な              =なり(成)。人物の成りを言う。
成す・為す          なす            成るの他動詞形
  生す              なす            産む。「子を生す」等。
  情け              なさけ          =為す気。人のために何かを為そうとする気持ち。
済す                なす            返済する。
成る可く            なるべく        =成るようにすべく。
成程                なるほど



<なわ>            縄

縄                  なわ
綯う                なう            縄を作る。
糾う                あざなう        =あざ(交)なう(綯)
縄手・畷            なわて          縄のすじ。あぜ道。まっすぐな長い道。



<に>              丹(赤い土)

丹                  に
匂う・臭う          におう          =丹秀ふ。赤色が鮮やか→においが感じられる。
                                    匂う:良いにおい。臭う:悪いにおい。
  匂・臭            におい
面皰                にきび          =丹黍。赤い黍粒に似ている。
紅                  べに            =頬丹
虹・霓              にじ            =に(丹)すじ(筋)
錦                  にしき          =に(丹)しき(繁)
埴                  はに            =映え丹。黄赤色の粘土。
  埴輪              はにわ
濁る                にごる          =に(丹)ごる(凝)。土泥が混じる。
  濁す              にごす



<に>              荷              ぴったり接合

荷                  に
担う                になう          荷を持つ。
蓑                  みの            み(身)に(担)の転。



<にがい>          苦い

苦い                にがい
苦る                にがる
苦々しい            にがにがしい
苦汁                にがり



<にぎ>            にぎやか

賑やか              にぎやか
賑わう              にぎわう



<にぎる>          握る

握る                にぎる
契る                ちぎる          =手握る
右                  みぎ            にぎ(握)の転。



<にく>            憎い

憎い・悪い          にくい
憎む                にくむ
憎らしい            にくらしい
憎たらしい          にくたらしい
憎しみ              にくしみ
憎がる              にくがる
難い                にくい          困難である。「食べ難い」等。



<にげる>          逃げる

逃げる              にげる
  逃がす            にがす
  逃す              のがす
  逃れる・遁れる    のがれる
免れる              まぬがれる      =ま(間)のがれる(逃)



<にぶい>          鈍い

鈍い                にぶい
鈍る                にぶる



<にる>            似る

似る                にる
  似せる            にせる
  似付く            につく
  似つかわしい      につかわしい    =に(似)つか(付)わしい
  似合う            にあう
偽・贋              にせ
真似る              まねる          =ま(真)にる(似)
  学ぶ              まなぶ          =まね(真似)ぶ。まねることから学ぶことが始まる。
擦る                なぞる          =似する
  準える・准える・擬える
                    なぞらえる
老舗                しにせ          =仕似せ。先祖代々守りつぐこと→代々続く店。



<にる>            煮る

煮る                にる
煮える              にえる
煮やす              にやす
沸・錵              にえ            =にえ(煮)。日本刀の刃と地肌のさかい目に浮き出た雲形の模様。



<にわ>            庭

庭                  にわ
鶏                  にわとり・とり  =庭鳥
場                  ば              には(庭)の転



<ぬく>            抜く

抜く・貫く          ぬく
  抜ける            ぬける
  抜かす            ぬかす
  抜かる            ぬかる
  抜け抜け          ぬけぬけ        「よくぬけぬけと出てきたな」等
  図抜ける・頭抜ける  ずぬける
  ヌッと            ぬっと
貫                  ぬき
  緯                ぬき            =貫糸。横の糸。経=縦糸。
貫く                つらぬく        =連ら抜く。連なったものと突き抜く。
抽んでる・擢んでる  ぬきんでる      =抜きん出る
脱ぐ                ぬぐ
  脱げる            ぬげる
拭う                ぬぐう
主                  ぬし            =抜し。抜きん出た人。
  主                あるじ          =有るぬし(主)
縫う                ぬう            針を布に通し抜く。
盗む                ぬすむ          人の物を抜き取る。
  盗人              ぬすっと



<ぬる>            水分が表面に付く

塗る                ぬる
濡れる              ぬれる
  濡らす            ぬらす



<ぬる>            ゆるい

温い                ぬるい
  温める            ぬるめる
  温む              ぬるむ
温い                ぬくい
  温める            ぬくめる
  温もる            ぬくもる
  温まる            ぬくまる
  ぬくぬくと        ぬくぬくと
ヌルヌル            ぬるぬる
沼                  ぬま            土がぬるぬるになった状態。
  垈・汢            ぬた            =沼田。湿田。
滑る                ぬめる
のめる              のめる          「ぬめる」の転。
絖                  ぬめ            =ぬめり(滑り)。書画をかくときに使う、光沢のある絹布。



<ね>              音

音                  ね
泣く                なく
  涙                なみだ          =なきみずたり(泣水垂)
    涙ぐむ          なみだぐむ
鳴く・啼く          なく
鳴る                なる
  鳴らす            ならす
  屁                おなら          =お鳴ら
  唸る              うなる          「うー」と鳴る
    魘される        うなされる      悪夢を見て唸る
  がなる            がなる          「がー」と鳴る
  怒鳴る            どなる
嘶く                いななく        =いな鳴く。「い」は馬の鳴き声。
水鶏                くいな          くひ=鳴き声、な=鳴く



<ね>              大地に食い込んでいるもの

根                  ね
嶺・峰・岑          みね            =御根
核・実              さね            =真根。果実の中心にある固い所。
  種                たね            さね(実)の転。
    胤              たね            血すじ。また、血統を伝えるものとしての子。
  真葛              さねかずら      種がむき出しななった蔓性低木。
鼠                  ねずみ          =根住み



<ねじ>            ねじる

捻る・捩る          ねじる
捻じれる・捩じれる  ねじれる
螺子                ねじ
拗ける              ねじける        ひねくれる。「心が拗ける」等。



<ねた>            妬む

妬む・嫉む          ねたむ
妬ましい            ねたましい



<ねらう>          狙う

狙う                ねらう
睨む                にらむ          狙うように鋭い目つきで見る



<ねる>            ねばねば

練る                ねる
粘る                ねばる
  ネバネバ          ねばねば
ネトネト            ねとねと
  ネットリ          ねっとり
捻る                ひねる          =引き練る
  捻くる            ひねくる        =捻る+繰る
  捻くれる          ひねくれる



<ねる>            寝る

寝る                ねる
  寝かす            ねかす
眠る                ねむる
  眠い              ねむい
  眠たい            なむたい
閨                  ねや            =寝屋
塒                  ねぐら
合歓木              ねむのき        夜になると小葉が閉じて垂れ下がり、眠っているように見えるから。
猫                  ねこ            =寝る子。猫はよく寝る。他の説では鳴き声から。



<の>              平地

野・埜              の
野火                のび            早春に野山の枯草を焼く火。
野分                のわき          野の草をわけて吹く意。秋から初冬にかけて吹く強い風。
芒・禾              のぎ            =野毛。金箔・銀箔を細長く切った切箔きりはくの一種。



<のく>            他と分けて、そこに置く

退く                のく
  退ける・除ける    のける
退く                どく            「のく」の転
  退ける            どける
仰け反る            のけぞる        =退け反る
  仰け              のっけ          退け反る→上を向く→はじめ。
残る                のこる
  残す              のこす
  遺す              のこす
鋸                  のこぎり        =のく(退)きる(切)
除く                のぞく          =の(退)ぞく(退)。
後                  のち            =の(退)ち(方)。
退っ引きならない    のっぴきならない  退くことができない。



<のぞむ>          目を向ける

望む                のぞむ
  望ましい          のぞましい
臨む                のぞむ
覗く                のぞく



<のたる>          苦しみもがく

のたる              のたる
のたくる            のたくる
のたうつ            のたうつ        =のたる+打つ
のたりのたり        のたりのたり
野垂れ死に          のたれじに



<のびる>          長くなる

伸びる              のびる          空間的に長くなる
  伸ばす            のばす
  伸べる            のべる
  伸びやか          のびやか
延びる              のびる          時間的に長くなる
  延ばす            のばす
  延べる            のべる
述べる・陳べる      のべる          言葉を長く伸ばし広げる。
熨斗                のし            昔はあわびを平らに伸ばして作った。
のさばる            のさばる        =のし(伸)はる(張)
軒                  のき            =伸び木。
芒                  のぎ            =伸び木。イネ科の植物の花の外殻にある針のような突起。
のっぽ              のっぽ          =伸び坊。
ノビノビ            のびのび
ノンビリ            のんびり



<のぼる>          上る            伸びると同系。上へのびる。

上る・登る・昇る    のぼる          上る:一般的。「川を上る」等。
                                    登る:山に、よじのぼる。「山に登る」「木に登る」等。
                                    昇る:日が、勢いよく、高くあがる。「日が昇る」「天に昇る」等。
  上せる            のぼせる
  上す              のぼす
幟                  のぼり          「昇り旗」の略。上に掲げる旗。



<のむ>            飲む

飲む・呑む          のむ
咽・喉              のど            =飲み戸
鑿                  のみ            飲むように食い込むから。穴を開ける刃物。
蚤                  のみ            =血飲み



<のり>            ヌルヌルするもの

海苔                のり
糊                  のり



<のる>            乗る

乗る                のる            乗る:一般的。「馬に乗る」等。
  乗せる            のせる
  乗す              のす
載る                のる            載る:積載、掲載。「自転車に貨物を載せる」「雑誌に広告を載せる」等。
  載せる            のせる



<のる>            神や天皇が意向を表明する

宣る・告る          のる
法・則・矩・典・範・規・憲
                    のり
則る・法る          のっとる        =宣り取る
祈る・祷る          いのる          =い(神聖)のる(宣)
呪う                のろう
詔・勅              みことのり      =み(御)こと(言)のり(宣)
宣う・曰う          のたまう        =宣り給う
祝詞                のりと



<のろ>            鈍い

鈍い                のろい
鈍間                のろま
  頓馬              とんま          「鈍間」を「とんま」と読み間違えたことから。「頓馬」は当て字。
惚気る              のろける
とろい              とろい          「のろい」の音転。
  瀞                とろ            「とろい」の略。河水が深くて流れの静かなところ。
ノロノロ            のろのろ



<はか>            予定した仕事の範囲や量

計る・量る・測る    はかる          仕事の範囲や量を定める→数量を調べて知る。
                                    計る:数、時間。
                                    量る:重さ、容積。
                                    測る:長さ、深さ、面積。
  秤                はかり          重さを量る計器。
  計らう            はからう        仕事の段取りをする。
図る・謀る          はかる          仕事の計画をする。
                                    図る:意図、工夫。
                                    謀る:悪い計画。
諮る                はかる          仕事の良し悪しを検討する。相談する。
捗る                はかどる        仕事が進む。
  捗々しい          はかばかしい
儚い                はかない        =はか無い。仕事の結果がでない→むなしい
  儚む              はかなむ
謀る                たばかる        =た+はかる
許り                ばかり          「計る」と同源。分量・状態・程度などの、おおよその見積りを表す。



<はく>            掃く

掃く                はく            =羽く
刷く                はく
  刷毛              はけ
捌ける              はける
箒・彗              ほうき          =葉掃き



<はく>            身に付ける

穿く                はく            「ズボンを穿く」等。下半身に身に付ける。
履く                はく            「靴を履く」等。足に身に付ける。
佩く                はく            「太刀を佩く」等。腰に身に付ける。
袴                  はかま
帯刀                たちわき・たてわき
                                    =太刀佩き。太刀を帯びること。



<はぐ>            剥ぐ

剥ぐ                はぐ
  剥がす            はがす
  剥げる            はげる
  剥がれる          はがれる
禿げる              はげる
  禿                はげ
逸れる              はぐれる
はぐらかす          はぐらかす



<はげ>            勢いが強い

激しい・烈しい・劇しい
                    はげしい
励む                はげむ
  励ます            はげます



<ばけ>            化ける

化ける              ばける
化かす              ばかす



<はしる>          走る

走る・奔る          はしる
馳せる              はせる
た走る              たばしる        勢い激しく走り飛ぶ。



<はずむ>          弾む

弾む                はずむ
弾く                はじく
弾ける              はじける
爆ぜる・罅ぜる      はぜる          裂けて開く。
沙魚・鯊・蝦虎魚    はぜ            =はじけ(弾)。よく跳ねるから。
爆米・葩煎          はぜ            =はじけ(弾)。もちごめを炒いって爆ぜさせたもの。



<はずす>          外す

外す                はずす
外れる              はずれる



<ばつ>            罰

罰                  ばつ
罰                  ばち



<はなつ>          離れる

放つ                はなつ
  放す              はなす
  放れる            はなれる
放す・離す          はなす          放す:開放、自由。「鳥を放す」等。
                                    離す:分離、距離。「間を離す」等。
  放れる・離れる    はなれる
話す・咄す          はなす          言葉が口から離れていく
  話・噺・咄        はなし
放る                はふる
  屠る              はふる・ほふる  死者を野山に放す
  葬る              ほうむる        「はふる(屠)」の転
  放る・抛る        ほうる          「はふる(放)」の転
  墓                はか            =はふる(葬)か(処)
  省く              はぶく          「はふる」の転。



<はねる>          跳ねる

跳ねる              はねる
撥ねる              はねる
発条・撥条          ばね



<はまる>          嵌る

嵌る・填る          はまる          =は(端)ま(間)る
  嵌める・填める    はめる
筈                  はず            元は弓の両端の弦をはめる所。筈が合うのは当然なので、「当然」の意。



<はり>            針

針・鉤・鍼          はり
茨・棘・荊・蕀      いばら
薔薇                ばら



<はる>            明るい、見通しがいい

春                  はる            晴れやかな明るい季節。
晴れる              はれる
  晴らす            はらす
  晴                はれ
  晴れやか          はれやか
  素晴らしい        すばらしい
張る                はる            平らにし、広々とさせる。
  貼る              はる            紙などを張って貼る→のりなどで付ける。
  磔                はりつけ        =貼り付け
  腫れる            はれる          皮膚が張る
  腫らす            はらす
  頑張る            がんばる        =眼張る。目をかっとむいて努める。
  梁                はり            うつばり(内張)の略。柱上に架する水平材。
墾る                はる            新たに土地を切りひらく。
遥か                はるか
  遥遥              はるばる
原                  はら            見通しのよい土地
  野良              のら            =野原。
  狼煙              のろし          =のろ(野良)し(気)。「し」は「あらし」の「し」。
腹・肚              はら            人体の中で広々としている部分
  胎                はら            母胎、胎児。
  孕む・娠む        はらむ          =腹む
  同胞              はらから        =腹から。同じ腹から生まれた者。
  肋                あばら          =あ(上)はら(腹)
  這う・延う        はう            腹で這う
  侍る              はべる          這うと同源。傍にひかえる。
  蹲う              つくばう        =突き這う。しゃがみ込む。「這い蹲う」等。
  鰆                さわら          =さはら(狭腹)。胴体が狭い魚。
払う・掃う          はらう          ものをよけて、平らにする。
  祓う              はらう          災厄・罪障などを除き去る。



<ひ>              氷

氷                  ひ
氷室                ひむろ
冷える              ひえる
  冷やす            ひやす
  冷やかす          ひやかす
  冷                ひや
冬                  ふゆ            ひゆ(冷)の音転。
氷雨                ひさめ
  雹                ひょう          「氷雨」を「ひう」と読んだことから。
素見                ひやかし        =冷かし。見るばかりで買わないこと。
ヒヤヒヤ            ひやひや
  ヒヤリ            ひやり
  ヒンヤリ          ひんやり
  ヒヤッ            ひやっ



<ひ>              外に出す

放る                ひる・へる      体外へ出す。ひりだす。
屁                  へ              =ひる(放)。
屁っ放り腰          へっぴりごし
樋                  ひ              =ひる(放)。水を導き送る長い管。
  樋                とい            =とおしひ(通樋)



<ひく>            引く   → 解説

引く                ひく
  引ける            ひける
曳く                ひく            引っ張る。引きずる。「船を曳く」等。
牽く                ひく            引っ張って前進させる。「車を牽く」等。
惹く                ひく            関心をひく。「物事に惹かれる」「人目を惹く」等。
退く                ひく            後ろに引き下がる「兵を退く」等。
挽く                ひく            鋸を手前に引く→切り割る。「鋸を挽く」「コーヒー豆を挽く」等。
碾く                ひく            引きまわす。「臼を碾く」等。
弾く                ひく            琴や琵琶などの爪を手前に引く→弦楽器を演奏する。
                                    「琴を弾く」「バイオリンを弾く」「ピアノを弾く」等。
轢く                ひく            車輪が物を引き掛ける。「車に轢かれる」等。
控える              ひかえる        =引き合える。引いて、相手に合わせる。
率いる              ひきいる        引っ張っていく。
響く                ひびく          音が長く尾を引く。
匹・疋              ひき            =引き。馬を手綱で引くから。
跛                  びっこ          足を引くことから。
蟇                  ひき・ひきがえる
                                    =引き。這い歩くことから。
贔屓・贔負          ひいき          =引き。引き立てる。後援すること。
延いては            ひいては        それからひきつづいて。それが原因になって。
低い                ひくい          海の潮が引くと海面が低くなることから。
  低まる            ひくまる
  低める            ひくめる



<ひし>            形をゆがめる、曲がる

菱                  ひし            形がゆがんだ四角形。
歪む                ひずむ
顰める              ひそめる        眉の形をゆがめる
  顰                ひそみ          眉をひそめること
拉ぐ                ひしぐ・ひさぐ・ひしゃぐ・へしゃぐ
  拉げる            ひしげる・ひしゃげる・へしゃげる
肘・肱・臂          ひじ            曲る部分。
  膝                ひざ            「ひじ」の音転。ひじに似た部分。
  跪く              ひざまずく      =ひざ(膝)まげ(曲)つく(付)
圧す                へす            「ひし」の転。押す。「押し合い圧し合い」等。
  圧し折る          へしおる        =ひし折る。曲げ折る。
  べそ              べそ            押さえつけたような泣き顔
ひしこ              ひしこ          曲がった魚。カタクチイワシの別称。
僻む                ひがむ          =ひしげ(拉)かがむ(屈)。
  僻目              ひがめ          まちがえて見ること。見あやまり。
ヒシヒシ            ひしひし
  犇く              ひしめく        「ヒシヒシ」と音を出す。
ビッシリ            びっしり
ビシッと            びしっと
ビシビシ            びしびし



<ひそ>            隠れる

密か                ひそか
潜む                ひそむ
  潜める            ひそめる
秘める              ひめる
  秘めやか          ひめやか
ヒソヒソ            ひそひそ
ヒッソリ            ひっそり



<ひも>            紐

紐                  ひも            =ひきむすぶ
繙く                ひもとく        巻物の紐を解いて読み始める



<ひら>            広くなる

開く                ひらく
  拓く              ひらく          開拓する。
  啓く              ひらく          啓蒙する。
  披く              ひらく          ひらいてはっきり示しあらわす。
  開ける            ひらける
広い・拡い・弘い    ひろい
  広まる・弘まる    ひろまる
  広める・弘める    ひろめる
  広がる・拡がる    ひろがる
  広げる・拡げる    ひろげる
  広々              ひろびろ
平                  ひら
  平たい            ひらたい
  平ら              たいら          =た(手)ひら(平)
  平らぐ            たいらぐ
  平らげる          たいらげる
  平に              ひらに
  真っ平            まっぴら        ひとえに。ひらに。
  片・枚            ひら            うすくひらたいもの。
  鯛                たい            =たいらうお(平魚)
  タイラギ          たいらぎ        =たいらがい。ハボウキガイ科の二枚貝。
  遍羅              べら            平たい魚。
  専ら              もっぱら        =もはら。まひら(真平)
  ヒラヒラ          ひらひら
  ピラピラ          ぴらぴら
  ヒラリ            ひらり
  ヒラッ            ひらっ
  ヒョロヒョロ      ひょろひょろ
  ヒョロリ          ひょろり
鰭                  ひれ            「平」の転。
尋                  ひろ            「広い」から長さの単位。
拾う                ひろう          手を広げて取る。
箆                  へら            「平」の転。平たい用具。
  箆棒              べらぼう        役に立たないもの。異常なさま。
  べらんめい        べらんめい      =べらぼうめ。
べろ                べろ            「平」の転。舌の俗称。
平目・鮃            ひらめ          片平に目がある。
遍羅                べら            べらべらと身をくねらせる魚。ベラ科の硬骨魚の総称。



<ひわ>            細くよわい

繊弱やか            ひわやか        細くよわいさま。
籤                  ひご            ひわこ(繊弱木)の略。竹を細く割って削ったもの。
鶸・金翅雀          ひわ            ひわやか(繊弱)な鳥。



<ふえる>          増える

増える・殖える      ふえる          増える:一般的。「人数が増える」「水かさが増える」等。
                                    殖える:利殖、繁殖。「財産が殖える」等。
  増やす・殖やす    ふやす
潤ける              ふやける
  潤かす            ふやかす



<ふかい>          深い            含むと同系。

深い                ふかい
  深まる            ふかまる
  深める            ふかめる
更ける              ふける          夜や秋が深くなる。
  更かす            ふかす
老ける              ふける          年齢が深くなる→年をとる。
耽る                ふける          深くかかわる→没頭する。
淵・渕・潭          ふち            =深所
鱶                  ふか            =ふか(深)。海の深いところにいる魚。サメ類。「ふかひれ」等。



<ふく>            吹く            膨れると同系。(ほおが膨れる)

吹く                ふく            吹く:一般的。「風が吹く」「笛を吹く」等。
  笛                ふえ            =吹き枝
  鰾                ふえ            魚の笛のような部分。魚類のうきぶくろ。
噴く                ふく            噴く:噴出。「火山が煙を噴く」等。
拭く                ふく            吹き払う。
  布巾              ふきん          拭く巾。
蒸かす              ふかす          蒸気を吹いて、やわらかくする。「芋を蒸かす」等。
  蒸ける            ふける
吹雪く              ふぶく          =ふりふく(降吹)
鞴                  ふいご・ふいごう
                                    ふきがわ(吹皮)の転。金属の熱処理や精錬に用いる送風器。
フワッと            ふわっと
フワフワ            ふわふわ
フワリ              ふわり



<ふく>            膨れる

含む                ふくむ
  含める            ふくめる
  含む              ふふむ          つぼみのままで膨らんでいる。
膨れる・脹れる      ふくれる
  膨らむ・脹らむ    ふくらむ
ふくよか            ふくよか
河豚                ふぐ            膨れるから
袋・嚢              ふくろ          物を入れると膨らむ
  お袋              おふくろ        母親。母親はあらゆるものを取り仕切り袋に入れて管理したから。
葺く                ふく            袋で覆うように、板・瓦・萱などで屋根を覆う。
懐                  ふところ        =含む所
梟                  ふくろう        膨らむ鳥
脹脛                ふくらはぎ      すねの後ろのふくらんだ所。
陰嚢                ふぐり



<ふし>            節

節                  ふし
拳                  こぶし          =小節
  辛夷              こぶし          =拳。つぼみが開く直前の形が子供の拳に似ているから。



<ふす>            伏す

伏す・臥す          ふす
  伏せる・臥せる    ふせる
衾・被              ふすま          =ふす(臥)も(裳)。元は寝る(臥す)ときに着る夜具。
  襖                ふすま          部屋を仕切る障子の模様が、衾に似ていることから。
  麩                ふすま          麦の衾の意。小麦をひいて粉にした時に残る皮の屑。
倒す                たおす          =た(強調)ふす(伏)
  倒れる・斃れる    たおれる



<ふた>            蓋

蓋                  ふた
塞ぐ・鬱ぐ          ふさぐ・ふたぐ
  塞がる            ふさがる
防ぐ                ふせぐ          「塞ぐ」の転。
犢鼻褌・褌          たふさぎ        =また(股)ふさぎ(塞)。ふんどし。



<ふと>            太い

太い                ふとい
  太る              ふとる
  しぶとい          しぶとい        =為太い。強情だ。
豚                  ぶた
不貞寝              ふてね          =太寝。不平があって寝る。不貞の意味はない。
不貞腐れる          ふてくされる    =太腐れる。不満があって言うことをきかない。
ボッテリ            ぼってり
尊い・貴い          とうとい・たっとい
                                    =た(高)ふとし(太)。「ふとし」は壮大である意。
                                    尊い:尊敬。「尊い神」「尊い犠牲を払う」等。
                                    貴い:貴重。「貴い資料」「貴い体験」等。
  尊ぶ・貴ぶ        とうとぶ・たっとぶ



<ふね>            舟

舟・船              ふね・ふな      舟:小さなふね。船:大きなふね。
湯舟                ゆぶね
舷                  ふなばた        =船端
舷                  ふなべり        =船縁



<ふみ>            文

文                  ふみ            文(ブン)の音転。
筆                  ふで            =文手
札                  ふだ            =文板



<ふむ>            踏む

踏む                ふむ
  踏ます            ふます
  踏まえる          ふまえる        =踏み合える
  踏ん切る          ふんぎる
  踏ん張る          ふんばる
麓・梺              ふもと          =踏み本
鐙                  あぶみ          =足踏み
褌                  ふんどし        =ふみとおし(踏通)



<ふる>            振る

振る                ふる
  振るう・震う      ふるう          振るう:振り動かす、盛んにする。「事業が振るわない」「刀を振るう」等。
                                    震う:小刻みに揺れ動く。「声を震わせる」「身震い」等。
  振える・震える    ふるえる
  振わす・震わす    ふるわす
  振れる            ふれる
  振舞う            ふるまう
  振り・風          ふり            ふるまい。「人のふり見て」「知らぬふりをする」等。
  ぶる              ぶる            ふりをする。「大人ぶる」等。
揮う・奮う          ふるう          ものが自分の持つ生命力・活力を発揮して震動する。
                                    揮う:力を発揮する。「腕を揮う」「筆を揮う」等。
                                    奮う:勇み立つ。「勇気を奮って立ち向かう」等。
降る                ふる            振りまかれたように落ちてくる。
篩う                ふるう          篩にかける。
  篩                ふるい
触れる              ふれる          振ると同系。
相応しい            ふさわしい      =触れ添う+しい
房・総              ふさ            =ふ(振)さ(下)
  髻                たぶさ          =たば(束)ふさ(房)。髪を頂に集め束ねたところ。
ぶれる              ぶれる          ゆれ動く。
狂る                たぶる          た(強調)ふる(振)。行動がおかしくなる。
  誑かす            たぶらかす      =たぶる(狂)+かす。だます。
  誑す              たらす          「たぶらかす」の略。甘言でだます。「女誑し」等。
ブルブル            ぶるぶる
  プルプル          ぷるぷる
ブラブラ            ぶらぶら
  ブラリ            ぶらり
  フラフラ          ふらふら
  フラリ            ふらり
  ぶらつく          ぶらつく
  ぶらんこ          ぶらんこ
  ぶら下がる        ぶらさがる



<ふるい>          古い

古い・旧い・故い    ふるい
  古す              ふるす
  古びる            ふるびる
  古めく            ふるめく
  古めかしい        ふるめかしい
経る                へる            時間がたつ。
狂れる              ふれる          古びて中を失う。狂う。「気が狂れる」等。



<へ>              かめ、びん

瓮                  へ              酒食を入れる容器。
鍋                  なべ            =菜瓮
甕                  かめ            =か(甕)へ(瓮)
  お亀              おかめ          顔形が甕のように丸いから。
鼎                  かなえ          =金瓮



<へ>              かまど

竈                  へ              かまど。
  竈                へつい・へっつい
                                    =へ(竈)つ(の)い(火)。かまど。
戸                  へ              =へ(竈)。戸籍。



<へ>              はなれる

隔てる              へだてる        =へ(隔)たてる(立)
  隔たる            へだたる
曾・隔              ひ・ひい        へ(隔)の転。1代隔たった。「曾孫」等。
鄙びる              ひなびる        =へ(隔)なびる。田舎。「鄙びた場所」等。
外・他              ほか            =へ(隔)か(所)。
                                    外:「思いの外に到着が早かった」「想像の外の事件が起こる」等。
                                    他:「この他に用意するものはあるか」「他の人にも尋ねる」等。



<へる>            減る

減る                へり
  減らす            へらす
謙る                へりくだる      =減り下る
諂う                へつらう        =減りとらう
  おべっか          おべっか        =お+へつらう+か(人)
剥る                へずる・へつる  削り取る。
剥ぐ・折ぐ          へぐ            薄く削り取る。はがす。
凹む                へこむ          =へ(減)こむ(込)
  へこたれる        へこたれる      凹む+垂れる。
  ペコリ            ぺこり
  ペコン            ぺこん
  ペシャンコ        ぺしゃんこ
  ペチャンコ        ぺちゃんこ



<ほぐ>            解す

解す                ほぐす
  解れる            ほぐれる
綻ぶ                ほころぶ
  綻びる            ほころびる



<ほぐ>            言葉を述べる

祝ぐ                ほぐ
ほざく              ほざく          =ほ(祝)ざく(騒)。ペラペラしゃべる。
ふざける            ふざける        =ほざく。「巫山戯る」と当て字。



<ほける>          惚ける

惚ける・呆ける      ぼける          頭が鈍る。
惚ける・耄ける・呆ける
                    ほける
惚ける・耄ける      ほうける
恍ける・惚ける      とぼける        =と+ぼける
恍れる・惚れる・耄れる
                    ほれる
  惚れっぽい        ほれっぽい
暈ける              ぼける          色が薄れてはっきりしない。物の輪郭がぼやける。
  暈す              ぼかす
ぼやける            ぼやける
ボヤボヤ            ぼやぼや
ボンヤリ            ぼんやり
ボヤッと            ぼやっと
ボーッと            ぼーっと



<ほこる>          誇る

誇る                ほこる
誇らしい            ほこらしい



<ほしい>          欲しい

欲しい              ほしい
欲する              ほっする
欲しがる            ほしがる
恣・縦・擅          ほしいまま



<ほそい>          細い

細い                ほそい
細る                ほそる
細める              ほそめる



<ほる>            穴をあける、空洞

掘る                ほる
  堀・壕・濠        ほり
彫る                ほる
穿る                ほじる
穿る                ほじくる
掻っ穿る            かっぽじる      =掻き穿る
洞                  ほら            洞窟。「洞穴」等。
  法螺              ほら            ほら貝。中が空洞の貝。
陰                  ほと            =ほ(凹)と(所) 。女の陰部。



<ま>              間

間                  ま
待つ・俟つ          まつ            =間つ。時間をかけて待つ。
侭・儘              まま            =間に間に。間がいっぱいある→自由
壗・圸              まま            土のままの山。切りたった土地。
継                  まま            =間間。隔てある意。「継母」「継子」等。
稀・希              まれ            =間有れ。物事と物事の間が広く開いている。
  客・賓            まろうど        =まれ(稀)ひと(人)。稀に来る人→客。
疎ら                まばら          間があいて、ばらばらに有る。
申す                もうす          =ま(間)うす。相手と間をおいて言う。
  もしもし          もしもし        =申す申す
齣                  こま            =小間。一区切り・一場面。
接ぐ                はぐ            =間ぐ。二つのものの間をつぎ合す。



<ま>              真

真                  ま
真面目              まじめ          =真し目
  忠実              まめ            まじめに働く。「まめに仕事する」等。
                                    健康の意にも用いる。「まめに暮らす」等。
    忠実忠実しい    まめまめしい
  古女              ごまめ          =ご(御)まめ(健康)。健康を祝い食べるもの。
                                    小形のカタクチイワシの乾製品。
愛                  まな            =ま(真)の
豆                  まめ            =真実。
  肉刺              まめ            皮膚が豆のように膨れる。「血まめ」等。
真面                まとも          「と」は接続助詞「つ」の転。正面で向き合うこと。正道なこと。
深                  み              =ま(真)。深い。「深山」「深雪」等。



<まいる>          参る

参る                まいる
詣でる              もうでる        =参出る



<まか>            他の大きな力の支配と制約のもとで出入りする

罷る                まかる          貴人・他人の前から退き去る。
  身罷る            みまかる        身から魂が去る→死ぬ。
任せる              まかせる        支配を委託する。
  任す              まかす
賄う                まかなう        料理人にゆだねて、食事を用意する。



<まがる>          曲る

曲る                まがる
  曲げる            まげる
髷                  まげ            髪を曲げて結う
  丁髷              ちょんまげ      チョンは髷が「ゝ」の形に似ているところから。
                                    ちょう(丁)の音を当てた。
禍々しい            まがまがしい    曲がった物→よくない物
もぐ                もぐ            まぐ(曲)の転。
  もげる            もげる
  虎落              もがり          「もがれ木」の転。竹を組み合わせて縄で縛った柵。虎を防ぐ柵。



<まく>            巻く

巻く・捲く          まく            丸(まる)と同系。丸く包み込む。
  巻                まき
捲くる              まくる
  捲くれる          まくれる
  捲る              めくる          「まくる」の音。
  捲し立てる        まくしたてる    たてつづけに勢いよく言い立てる。
まいまい            まいまい        =巻き巻き。かたつむり。
纏う                まとう
  裳                も              まとうもの。腰から下にまとう衣服。
纏める              まとめる
  纏まる            まとまる
纏わる              まつわる        「纏わり付く」「この地方に纏わる伝説」等。
手纏・環・鐶        たまき          =手巻き。玉・鈴などを紐に通し、ひじにまとった輪形の装飾品。



<まける>          負ける

負ける              まける          勝負に負ける。ねびきする。おまけをつける。
負かす              まかす
感ける              かまける        =気負ける。一つのことに心を取られて、他がおろそかになる。



<まじる>          混じる

混じる・交じる      まじる          混じる=元のものが区別できない。交じる=元のものが区別できる。
  混ざる・交ざる    まざる
  混ぜる・交ぜる・雑ぜる
                    まぜる
交わる              まじわる
  交える            まじえる
  交じらう          まじらう
塗す                まぶす
  塗る              まぶる
塗れる              まみれる
呪う                まじなう        =まじ(蠱)なう。「蠱」は神霊と交わること。
斑                  まだら          「混ざる」の音転。



<ます>            増す

増す・益す          ます
  益々              ますます
勝る・優る          まさる
況して              まして
升・枡・桝・斗      ます            「増す秤」を略した。
ませる              ませる          年齢を「増す」から。「ませた子」「おませさん」など。
益荒男・丈夫        ますらお        =まさり(勝)お(男)。強く勇ましい男子。
猿                  ましら          まさる(優)の音転。さるの異称。



<まず>            貧弱

貧しい              まずしい
不味い              まずい          「貧しい」の転。味が貧しい。
拙い                まずい          技術が貧しい。「拙い言い方」等。



<また>            全く

全く                まったく        =またし(全)=真たし
全う                まっとう        =まったく
まったり            まったり        全く良い味。味わいがまろやかでこくのあるさま。



<まつる>          神仏に供える

祭る・祀る          まつる
  祭                まつり
奉る                たてまつる      =立て祭る
政                  まつりごと      昔の政治は神事と関連が深かった。
  政所              まんどころ      「まつりごとどころ」の略。



<まよう>          迷う

迷う                まよう          =ま(目)よう(酔)
彷徨う              さまよう
惑う                まどう
  戸惑う            とまどう        入るべき部屋の戸が分からなくなる→どう対処すべきか迷う。
まどろしい          まどろしい      「惑う」の転。
迷子                まいご          =まよい子



<まる>            丸

丸・円              まる
  丸い・円い        まるい          丸い:立体的、球形。円い:平面的、円形、円満。
  丸まる            まるまる
  丸める            まるめる
  丸で              まるで          丸は欠けることがないのいで、すべての意。
円やか              まろやか
円                  まどか
鞠・毬              まり
円居・団居          まどい          人々がまるく並びすわること
転ぶ                まろぶ          ころがる。



<まわ>            円運動          「まる」と同系。

回る・廻る          まわる
  回す・廻す        まわす
回り・廻り・周り    まわり          回り・廻り:一般的。回転、たどる、行き渡る、移る。
                                                「身の回り」「胴回り」等。
                                    周り:周囲。「池の周り」「周りの人」等。
巡る                まわる          巡回する。ひとが道をたどる。
  お巡りさん        おまわりさん    巡回する人→警察官。
舞う                まう            回るように踊る
  舞                まい
  幣                まい            =舞をして供える。礼物として奉る物。
    賄ふ            まいなう        =まい(幣)を行う。謝礼や依頼のために贈物をする。
    賂              まいない        賄賂。



<み>              水

海                  うみ            =う(大)み(水)
  海原              うなばら
  海路              うなじ
水                  みず
  水っぽい          みずっぽい
  瑞々しい          みずみずしい
  清水              しみず
  水面              みなも
  水分              みくまり        =みくばり(水配)。山から流れ出る水が分岐する所。
満ちる・充ちる      みちる          水がいっぱいになる。
  満たす・充たす    みたす
  ミッチリ          みっちり
漲る                みなぎる        =水たぎる
港・湊              みなと          =水な戸
源                  みなもと        =水な本
泉                  いずみ          =出づ水
乱れる・紊れる      みだれる        =水たれる
  乱す・紊す        みだす
  淫ら・猥ら        みだら          「乱れる」の転。
  乱り・妄り・濫り・猥り
                    みだり
汀                  みぎわ          =水際
湖                  みずうみ        =水海
雲丹                うに            =うみに(海丹)
澪                  みお            =水緒。水の筋。
磨く・研く          みがく          =水掻く。水を注いで掻く。
溝                  みぞ            =み(水)ぞ(沿)。
  針孔              めど            「みぞ」と同系。針の糸を通す孔(あな)。
鳩尾                みぞおち        =水落ち。飲んだ水が落ちる所。
砌                  みぎり          =みぎり(水限)。水際。
緑・翠              みどり          =み(水)どり(透)。みずみずしい→若々しい→若葉の色。
  嬰児              みどりご        新芽のように若々しい赤子。
舳                  みよし          =み(水)おし(押)。へさきにある波を押し切る木。



<み>              神聖な

霊・御              み              神聖なものをあらわす。道、嶺の「み」もこれ。
宮                  みや            =霊屋。神聖な場所。
  雅                みやび          =宮び(「び」は「らしい」意の接尾語)
    雅やか          みやびやか
  都・京            みやこ          =宮こ(「こ」は場所を示す接尾語。どこ、そこ等)
巫女                みこ            =霊子
尊・命              みこと          =霊事
操・節              みさお          =霊青
御神酒              おみき          「お」は敬称の接頭語、「み」は神聖、「き」は酒。
御神籤              おみくじ        「お」は敬称の接頭語、「み」は神聖。
御神輿              おみこし        「お」は敬称の接頭語、「み」は神聖。



<むく>            向く

向く                むく
  向ける            むける
  向かう            むかう
  向こう            むこう
  向かい            むかい
  むき              むき            心が向かう→本気になる。
迎える              むかえる
報いる・酬いる      むくいる        相手に向いて答える。
昔                  むかし          現在から向かって過ぎ去った時
婿・壻・聟          むこ            =迎える子。他家から迎え入れる子。
考える              かんがえる      =かんがう。か(発語)むかう(向かう)。
                                    向かい合わせて比較する→かんがえる。
むかつく            むかつく        =向く+つく
  ムカムカ          むかむか
  向っ腹            むかっぱら



<むく>            剥く

剥く                むく
  剥れる            むくれる        皮がはがれて中のものが現れる→怒りが外へ現れる。
麦                  むぎ            皮を剥くのに手間がかかるから。
毟る                むしる
ムキムキ            むきむき



<むさ>            きたない

穢い                むさい          きたない。
貪る                むさぼる        =むさ(穢)ほる(欲)
  ぼる              ぼる            「むさぼる」の略。高く売りつける。
むさ苦しい          むさくるしい



<むつむ>          睦む

睦ぶ                むつぶ
  睦む              むつむ
  睦まじい          むつまじい
  睦言              むつごと        仲よく語り合う話。
憤る                むずかる        =むつ(睦)か(離)る。機嫌をわるくする。
  難しい            むずかしい      =むつ(睦)か(離)しい。不機嫌な理由がわからない。
むつ                むつ            睦まじい魚。ムツ科の海産の硬骨魚。



<むら>            集まり

村・邑              むら
群                  むれ・むら
  群れる            むれる
  群がる            むらがる
  紫                むらさき        =群咲き。群れて咲く花。
斑                  むら
屯                  たむろ          =たむれ(手群)
叢・簇              むら            むれ(群)の古形。
  叢がる・簇がる    むらがる
  叢                くさむら        =草叢。
  腓                こむら          こ(小)むら(叢)にく(肉)の転。肉が集まっている部分。
                                    足のすねの後ろ側の、膨らんだ部分。ふくらはぎ。「腓返り」等。
葎                  むぐら          =む(群)ぐら(暗)。群がって茂る、荒れ地や野原に繁る雑草の総称。
  金葎・葎草        かなむぐら      「かな」は鉄のように茎が硬いから。
連                  むらじ          =むら(村)あるじ(主)
叢雨・村雨          むらさめ        群になって降る雨。にわか雨。



<めでる>          好ましい

愛でる              めでる
目出度い            めでたい        =愛でたい
珍しい              めずらしい      =愛づらしい
  珍しがる          めずらしがる



<める>            減る

滅る                める            語源不明。減る。滅入る。
めげる              めげる          める(減)の延。
滅入る              めいる
減り込む            めりこむ
減り張り            めりはり



<も>              海草

藻                  も              「もや」または「もゆ(萌)」の「も」。
水雲・海蘊          もずく          =藻付く。藻に付着して生育することから。
若布                わかめ          =若め。「め」は海草の意で、藻と同系。



<もえる>          燃える

燃える              もえる
燃やす              もやす
燃す                もす
靄                  もや            「燃ゆ」の転。煙のようなもの。
  モヤモヤ          もやもや
艾                  もぐさ          =燃え草。火をつけ灸に用いる。
  蓬・艾・蒿        よもぎ          「善い燃え草」の略。成長した葉は灸の「もぐさ」とする。



<もぐる>          潜る

潜る                もぐる
土竜                もぐら          土の中に潜る生き物。



<もし>            確かめてない事、まだはっきりとは分っていない事、事実に反する事

若し                もし
若しか              もしか
若しも              もしも
若しくは            もしくは
若しや              もしや
寧ろ                むしろ          =もし(若)ろ



<もじる>          捩る

捩る                もじる          ねじる。よじる。
  綟                もじ            麻糸をもじって目をあらく織った布。
縺れる              もつれる        =捩連れる。からみ合って乱れる。
モジモジ            もじもじ



<もだ>            言葉を発しない

黙す                もだす          だまっている。
黙る                だまる          「もだ」の転置「だも」から。
騙す・瞞す          だます          黙って知らぬふりをして、あざむく。
ダンマリ            だんまり



<もつ>            持つ

持つ                もつ
  持たす            もたす
  持てる            もてる          =持てはやされる。人気がある。
用いる              もちいる
齎す                もたらす        持って来る。
凭れる・靠れる      もたれる        体を持ってもらうように寄りかかる。
以って              もって
保つ                たもつ          =手持つ
遇す                もてなす        =持て成す
餅                  もち            =持ち。保存、持ち運びができるから。
  モチモチ          もちもち
  モッチリ          もっちり
擡げる              もたげる        =持ち上げる。
舫う                もやう          =持ち合う。船と船とをつなぎ合せる。
  催合              もやい          部落内の共同作業。また、利益の共同分配。
  催す              もよおす        寄り合って共同で事をする。



<もと>            本

本・元・原          もと            元:一般的。はじめ。「火の元」「出版元」等。
                                    本:根本。末に対する。「本を正す」等。
  元々              もともと
下・許              もと            下:下部、支配、影響下。「法の下に平等」等。
                                    許:近く。「親の許で暮らす」等。
素                  もと            素:原料。「スープの素」等。
基                  もとい・もと    =本居。
                                    基:基礎。「資料を基にする」等。
  基ずく            もとずく        本にする
求める              もとめる        本をさがしだす
  求まる            もとまる
乏しい              とぼしい        =ともし。求める状態
戻る                もどる          元の所へ行く
  戻す              もどす
  擬き              もどき          「戻る」の転。収まるべき所に収まらず食い違う→まがいもの。
    もどかしい      もどかしい      「もどき」の形容詞形。収まるべき所に収まらない→じれったい。
  悖る              もとる          元の所へ戻るため、逆を向く→そむく。
回る・廻る          もとおる        =元へ戻る。めぐる。
尤も                もっとも        =元元。元の意見を肯定する→理にかなっている。「君の意見は尤もだ」
最も                もっとも        =元元。最初→最高。「最も大きい」
  最                も              もっとも。
    最中            もなか          物事のまんなか。まっさかり。
                                    和菓子の最中は、最中の月=満月に似ているから。
    最寄            もより          最も近い。「最寄の駅」等。
    最早            もはや          最も早く→すんでしまった→今となっては。すでに。
滅多に              めったに        =もとな(本無)に。根拠が無い。むちゃくちゃに。



<もの>            物

物                  もの
者                  もの
武士                もののふ        =物の夫。物は武器のこと。
物の怪              もののけ        祟る死霊。
物物しい            ものものしい



<もむ>            揉む

揉む                もむ
揉める              もめる          揉むように、人と摩擦が生じる。
紅葉・椛            もみじ          =もみいづ。色を揉み出したような葉。
樅                  もみ            皮を揉むから。もみのき。
股・腿              もも            =もみ(揉)。左右の足を交互に踏む筋肉部分。
モミモミ            もみもみ



<もも>            桃

桃                  もも
李                  すもも          =酸桃



<もる>            盛る

盛る                もる
森・杜              もり            木が盛るように集まった。
銛                  もり            頭が森のようだから。魚を刺しとる道具。
諸                  もろ            「盛る」の転。物が盛るように集まった。
モリモリ            もりもり



<もる>            守る

守る                もる            =も(目)る
守る・護る          まもる          =ま(目)もる(守)



<もる>            漏る

漏る・洩る          もる
  漏れる            もれる
  漏らす            もらす
貰う                もらう          「漏る」の転。人の所有から漏れたもの。
脆い                もろい          「漏る」の転。漏るような、ボロボロのもの。
放る                まる            大小便をする
  御虎子            おまる          まる(放)は大小便をする意。室内用に持ち運びできる便器。
  尿                ゆまり          湯(ゆ)放(まり)。小便。
  尿                ゆばり          「ゆまり」の音転。



<や>              屋

屋・家              や              屋:主に職業。「酒屋」「屋根」「屋敷」等。
                                    家:主に建物。「二階家」「家主」「家賃」等。
宿                  やど            =屋戸
  宿る              やどる          =屋取る
  宿す              やどす
  宿木・寄生木      やどりぎ        他の植物に寄生するから。
館                  やかた          =屋形
屋敷・邸            やしき
部屋                へや            =へ(隔)や(屋)
屋根                やね            =屋の上
輩・族              やから          =家から
奴                  やつこ          =家つ子。武家の使われる人。
  奴                やつ            「やつこ」の略
社                  やしろ          =屋代
寡・鰥              やもめ          =屋守女
守宮                やもり          =家守
宅                  やけ            =やか(屋処)。住居。
  公                おおやけ        =大宅。大きな家は宮殿→朝廷、政府→私有でないこと。
梁・簗              やな            =屋魚。魚をとるための仕掛け。



<やく>            焼く

焼く                やく
  焼ける            やける
妬く                やく            心が焼ける
火傷                やけど          =焼け処
灸                  やいと          =焼き処
自棄                やけ            「焼く」の転。自分を焼く。



<やす>            気を楽にする   「止む」と同系。

休む                やすむ          気を楽にして休む。
  休まる            やすまる
  休める            やすめる
  休すらう          やすらう
安い                やすい          気を楽にできる。
  安らか            やすらか
  安らぐ            やすらぐ
  安っぽい          やすっぽい
  廉い              やすい          気楽に買える値段。
易い                やすい          気楽にできるほど簡単。
  易しい            やさしい
  容易い            たやすい        =手易い



<やせ>            やせる

痩せる              やせる
  痩せぎす          やせぎす        体がやせて骨ばって見えること。
  窶れる            やつれる        「痩せる」の転
  窶す              やつす
  倅                せがれ          =やせかれ(痩枯)。自分の息子を卑下してこのように言った。
優しい              やさしい        優しい→相手に気をつかう→身も痩せる。
                                    「易しい」と同系とする説もある。相手を気楽にさせる性質。
  優しがる          やさしがる
  優男              やさおとこ      心根のやさしい男。



<やぶる>          破る

破る                やぶる
  破れる            やぶれる
敗る                やぶる
  敗れる            やぶれる        失敗して心に痛手を受ける。
破く                やぶく          「破る」と「裂く」との混成語
  破ける            やぶける
吝か                やぶさか        =やぶれ(破)さかる(離)。物惜しみするさま。



<やま>            山

山・岾              やま
大和                やまと          =やまと(山所)
女形                おやま          江戸の人形遣いの小山次郎三郎。女形の人形を使った。
山彦                やまびこ        =山響き。
山吹                やまぶき        山に咲き、風が吹くと小刻みに震えるから。バラ科の落葉低木。



<やむ>            止む

止む                やむ
  止める・已める    やめる
  止事無い          やんごとない    =止むこと無い。捨てて置かれない。高貴な。
辞める・罷める      やめる
病む                やむ            病気になって活動が止まる。
  病・疾            やまい
  病める            やめる
  疚しい・疾しい    やましい        気分がすぐれない→良心に恥じるところがある。
止す                よす
闇                  やみ            光が止む。
  黄泉              よみ            闇の母音交替形
    蘇る・甦る      よみがえる      =黄泉帰る
軈て・軅て          やがて          「止み難い」の転。ただちに。



<やる>            遣る            送る。人を派遣する。

遣る                やる
  やれやれ          やれやれ        自分のみから遠くに遣り、開放された気分。
槍・鎗・鑓          やり            「突き遣る」の転
矢・箭              や
  鏃                やじり          =矢尻
  矢庭に            やにわに        矢を射ているその場で。たちどころに。
  やばい            やばい          =矢場い。矢場は、江戸時代の矢を的に当てる室内遊技場、
                                    裏で売春が行われていた。危険な状態。
  矢張り            やはり          弓に矢をつがえ張ったまま体を動かさない状態から。
                                    そのまま。思ったまま。
  矢っ張り          やっぱり        「やはり」の転。
射る                いる            =矢る
  戦・軍・兵        いくさ          矢を射て戦う。
遣る瀬無い          やるせない      =遣る+する+ない。心のやりどころがない。
流鏑馬              やぶさめ        やはせめ(矢馳馬)の転。走る馬上から矢で射る技。



<やわ>            柔らかい

柔らかい・軟らかい  やわらかい      柔らかい:「剛」に対する。しなやか、穏やか。「柔らかい毛布」等。
                                              力を加えて変形しても元に戻る場合。
                                    軟らかい:「硬」に対する。手ごたえが無い、軟弱。「軟らかな土」等。
                                              力を加えると変形しやすく元に戻らない場合。
  柔らか・軟らか    やわらか
  柔                やわら
和らぐ              やわらぐ
  和らげる          やわらげる
ヤンワリ            やんわり
弱い                よわい          柔らかくて弱い。
  弱る              よわる
  弱まる            よわまる
  弱める            よわめる
  鰯・鰮            いわし          =弱し。弱い魚。
徐ら                やおら          「やわら(柔)」の転。静かに体を動かす。
柳                  やなぎ          =やなき(柔木)



<ゆ>              湯              いづ(出)の転。湧き出る湯。

湯                  ゆ
茹でる              ゆでる・うでる  =湯だる
  茹だる            ゆだる・うだる
浴衣                ゆかた          =湯かたびら。湯上りに着る衣。
白湯                さゆ            =素湯
粥                  かゆ            =こ(濃)ゆ(湯)



<ゆう>            結う

結う                ゆう
結わう              ゆわう
結わえる            ゆわえる



<ゆがむ>          歪む

歪む                ゆがむ
弓                  ゆみ            木を曲げて作る弓
  左手              ゆんで          =弓手。弓を持つ方の手。
  弓削              ゆげ            =弓けずり。弓を削り作ること。また、それを職とする人。
  檀・真弓          まゆみ          弓を作る材料にしたから。ニシキギ科の落葉小高木。



<ゆずる>          譲る

譲る                ゆずる
委ねる              ゆだねる



<ゆたか>          豊か

豊か                ゆたか
ゆとり              ゆとり
ユッタリ            ゆったり



<ゆるい>          緩い

緩い                ゆるい
  緩やか            ゆるやか
  緩む・弛む        ゆるむ
  緩める・弛める    ゆるめる
許す・赦す          ゆるす          行動の縛りを緩める
緩                  ゆっくり
忽せ                ゆるがせ        心をゆるめるさま。おろそかにするさま。
ユルユル            ゆるゆる
ユルリ              ゆるり



<ゆる>            揺る

揺る                ゆる
揺れる              ゆれる
揺らぐ              ゆらぐ
揺るぐ              ゆるぐ          「揺るぎ無い」等。
  揺るがす          ゆるがす
揺らめく            ゆらめく
  揺らめかす        ゆらめかす
揺する              ゆする
揺さぶる            ゆさぶる
揺すぶる            ゆすぶる
強請る              ゆする          体を揺すって脅す
濯ぐ                ゆすぐ          =揺りすすぐ
百合                ゆり            風に揺れる。
燻る                くゆる          =気揺る
  燻らす            くゆらす
岼                  ゆり            風が砂をゆりあげてできた山間の平地。
強請                ゆすり          強盗。相手の体を揺すって脅すから。
ユラユラ            ゆらゆら
  ユラリ            ゆらり
  ユラッと          ゆらっと
ユサユサ            ゆさゆさ
  ユッサユッサ      ゆっさゆっさ



<よい>            良い

良い・善い・好い    よい            良い:一般的。「品質が良い」等。
                                    善い:道徳的。「善い行い」等。
                                    好い:好ましい。「好い天気」「人が好い」等。
良く・善く・能く    よく
いい                いい            「よい」の転。
宜しい              よろしい
喜ぶ・慶ぶ・悦ぶ・歓ぶ
                    よろこぶ        良いので喜ぶ。
  喜ばしい          よろこばしい
善がる              よがる          良い気持ちを声に出す。
余程                よほど          =よき(善)ほど。「余」は当て字。程よいさま。かなり。
  よっぽど          よっぽど        「よほど」の転。
縦しんば            よしんば        仮に「よし」と許せば。かりにそうであっても。
美味しい            おいしい        =お+いしい(好し)
好・誼              よしみ          親しいまじわり。ゆかり。
ようこそ            ようこそ        よう(良)こそ(強調)
よしなに            よしなに        良いように。



<よこ>            横

横                  よこ
  横たえる          よこたえる
避ける・除ける      よける          横にずれる
過ぎる              よぎる          =横切る
邪                  よこしま        横の方向→邪悪
讒す                よこす          =横す。正しくないことを言う。
寄る・凭る・頼る    よる            横に位置する。
  寄せる            よせる
  最寄り            もより
  寄席              よせ            人を寄せる場所
  遣す              よこす          =寄来す。こちらへ来させる。
  寄方              よるべ          =寄辺。「寄方なき身」等。
  縁・因・便        よすが          =よす(寄)か(処)。ゆかり。頼みとする相手。
  すげない          すげない        =よすがなし。つれない。同情心がない。
  素っ気無い        そっけない      =すげない。つれない。同情心がない。
因る・由る・縁る    よる            「寄る」と同系。そのことに基づく。
  由・因・縁        よし            物事のよってきたるところ。由来。
  因って            よって
拠る                よる            「寄る」と同系。根拠とする。
依る                よる            「寄る」と同系。頼りにする。
縒る・撚る          よる            横にならべて、ねじり合せる。
  紙縒              こより          「かみより」の転。
  縒れる            よれる          よった状態になる。
  捩れる            よじれる
  捩る              よじる          ねじる
  攀じる            よじる          体をねじって、すがりつくようにして木を上る
鎧                  よろい          「寄ろう(十分に備わる)」の名詞形。
                                    十分に備わった防具。
蹌踉ける            よろける        =寄ろける。何かに寄りかかるように。
  蹌踉めく          よろめく        =寄ろめく。
  ヨロヨロ          よろよろ
淀                  よど            =よと(寄止)
  澱む・淀む        よどむ



<よご>            汚す

汚す                よごす
汚れる              よごれる



<よそう>          準備する

装う                よそう          「ご飯を装う」など
装う・粧う          よそおう



<よむ>            声を出す

読む                よむ            一般的によむ。
詠む                よむ            詩歌をよむ→詩歌を作る。
呼ぶ                よぶ
  呼ばう            よばう          求婚する。
  呼ばい・婚        よばい          「呼ばう」より、恋人のもとへ忍んで行くこと。「夜這い」は当て字。
嫁                  よめ            =呼女。良女という説あり
指                  ゆび            「呼ぶ」の音転。人を呼ぶときに指を使う。



<わ>              輪

輪・環              わ              「ま」の転。まる、まわると同系。
罠                  わな            =輪縄。
泡・沫              あわ            あ(上)わ(輪)。
  泡                あぶく          =あわふく
  慌てる・周章てる  あわてる        =泡立つ。泡が立ったり消えたり少しも間もない様。
  慌しい            あわただしい
轍                  わだち          =わつち(輪つ道)。車輪の跡。



<わく>            湧く            「分ける」と同系。

湧く・涌く          わく            湧く・涌く:底から生じる。「温泉が湧く」「勇気が湧く」等。
沸く                わく            沸く:沸騰する。「湯が沸く」「風呂が沸く」等。
  沸かす            わかす
若い                わかい          活気が沸いている。
  若人              わこうど
  若々しい          わかわかしい
早稲                わせ            「湧く」の転。「わす」の名詞形。
ワクワク            わくわく        感情が湧き出る



<わけ>            分ける

分ける              わける
  分かつ            わかつ
    頒つ            わかつ          くばり与える。
  分かれる          わかれる
分かる・判る・解る  わかる          事を分けて理解する
別ける              わける          弁別する。判別する。
  別れる            わかれる        人とわかれる。
訳                  わけ            事を分けて明らかにした、物事の筋道。
脇・腋・掖          わき            胴体から腕が分かれている所
  腋臭・狐臭        わきが          =脇香
弁える              わきまえる      良く見分ける
枠                  わく            周りと分ける部分
病葉                わくらば        =別くる葉。病気で枯れた葉。
邂逅                わくらば        =別くるばかり。偶然に。
分つ・頒つ          あかつ          「わかつ」の転。
  県                あがた          =あが(頒)た(田)。地方官の任国。



<わざ>            隠された神意

業                  わざ            神意のこめられた行事→すること。仕事。
技                  わざ            する方法。技術。
災い・禍・厄        わざわい        鬼神のなす業。
態と                わざと          しようとする意思をもって。
  態々              わざわざ



<わずらう>        苦しむ

煩う                わずらう        思い苦しむ。
  煩わす            わずらわす
  煩わしい          わずらわしい
患う                わずらう        病気になり、苦しむ。
辛い                つらい          わつらし(煩)の転。



<わた>            曲がったもの

曲                  わた
腸                  わた            曲りくねった腸
  腸                はらわた
綿・棉              わた            腸のように着物の中に詰め込む綿
蟠る                わだかまる      =わた(曲)かがまる



<わた>            分かれた場所

海                  わた            =わ(分)た(場所)。対岸→うみ。
海神                わたつみ        =わた(海)つ(の)み(霊)。
渡る・渉る・亘る    わたる          分かれた場所へ行く。
  渡す・済す        わたす



<わび>            侘しい

侘しい              わびしい        物静かな、心さびしい、気落ちした
詫びる              わびる          気落ちした → 謝る



<わる>            割る            「分ける」と同系。

割る                わる
  割れる            われる
  割                わり
笑う                わらう          顔が崩れる
悪い                わるい          =割るい。割れたものは悪い。
  悪さ              わるさ
  悪びれる          わるびれる


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