量子論 まとめ
量子論(theory of quantum)
・分子、原子レベルのミクロの世界を扱う。
・量子(quantum)
・ミクロの世界では、物理量は、最小値の整数倍の不連続な値になる。
・この最小値を1つの塊とみなしたものを量子という。
・プランク定数 h
・物理量の最低値を表す
・6.6×10-34 J/s
・光の量子のエネルギー
・E = hν (ν:振動数)
・波と粒子の二面性
・光量子、光子(photon)
・光は電磁波という波の性質を持つと同時に、
光子という粒の性質を持つ。
・電子の波動性
・電子は粒としての性質を持つと同時に、
電子波という波の性質を持つ。
・物質波
・電子だけでなく、全ての物質は、
物質波という波の性質を持つ。
・物質波の波長
λ = h/mv (m:質量 v:速度)
・シュレーディンガー方程式
・電子等の波を数学的に表したものが波動関数。
ψで表記される。
・波動関数が原子の中などで、どのような形をとるか
導くための方程式がシュレーディンガー方程式。
・iħ(∂ψ/∂t) 波動関数の時間変化の割合
= -(ħ2/2m)(∂2ψ/∂x2) 運動エネルギーの項
+ U(x)ψ 位置エネルギーの項
・発生、消滅
・発生、消滅時は粒子として振る舞い、その間は波として振舞う。
・光の粒子性から導かれる事柄
・光電効果
・金属の表面に光を当てると、電子が飛び出してくる。
・光の粒が、電子を叩き出すことによる。
・コンプトン効果
・X線を原子に当てると、散乱したX線の振動数が少なくなる。
X線のエネルギーが原子の運動エネルギーに変わるため、
X線の光子のエネルギーが減り、振動数が少なくなる。
・遠くの星を見ることができる。
・光のエネルギーが無限に薄まることがないので、
十分に目の網膜に反応することができる。
・電子の波動性から導かれる事柄
・原子モデル
・電子の軌道は、とびとびの軌道にしか存在できない。
・電子の物質波の波長の整数倍になる周長の軌道のみ。
・最低値の軌道以下には、電子は原子核に近づけない。
そのため、電子が原子核に落ち込むことはない。
・原子が放出する光の波長が不連続になる。
・ある軌道から別の軌道に移るとき、
それぞれの位置エネルギーの差のエネルギーが
光として放出される。
・電子の軌道が不連続なので、光の波長も不連続になる。
・原子核の周りの電子のイメージ
・粒としての電子がくるくる回るのではなく、
波としての電子が雲のように広がっている。
・電子の干渉縞
・電子を二重スリットに通すと、スクリーンに干渉縞が現れる。
・電子顕微鏡
・電子の波長が、光の波長より短いので、
より小さいものを見ることができる。
(波長より小さいものを見ることはできない)
・可視光の波長 10-7 m(細胞の各部品の大きさ)
・電子の波長 10-10 m(原子の大きさ)
・不確定性原理(uncertainty principle)
・波として振舞っている量子は観測されると粒になる。
・どの位置に粒が観測されるかは確率的である。(確率解釈)
・観測される確率が多い場所が波の形になっている(確率波)
・量子はいろいろな経路を運動する。
・量子の運動は慣性的なものでなく、
その運動方向はあらゆる方向に確率的である。
・位置と運動量は同時に決められない。
・位置の揺らぎ × 運動量の揺らぎ ≧ h/4π
・位置を確定しようとすると、運動量の不確定さが大きくなる。
・運動量を確定しようとすると、位置の不確定さが大きくなる。
・このことは、量子が波であることからくる。
速度を計るにはどうするか。速度とエネルギーは関連するので、
エネルギーを見る。
エネルギーは波長の長さで分かる。
しかし、波長の全長を計ると位置に幅ができる。
位置を正確に決めるには、波の一点のみ見る。
すると、波長が分からなくなる。
・エネルギーと時間は同時に決められない。
・エネルギの揺らぎ × 時間の揺らぎ ≧ h/4π
・エネルギーを確定しようとすると、時間の不確定さが大きくなる。
・時間を確定しようとすると、エネルギーの不確定さが大きくなる。
・振動数(エネルギー)を計るには、時間の幅ができる。
・計測時間を狭めると、振動数(エネルギー)が不確かになる。
・通常の不確定性原理
・1つの量子状態は固有の位置と速度を同時に持つことはない。
・ハイゼンベルグの不確定性原理
・測定精度の限界(量子限界)
・測定行為が測定対象の速度を変化させてしまう。
・量子限界を超える精度の測定方法があることがわかり、
小澤の不等式ができた。
・不確定性原理から導かれる事柄
・回折
・光が通るスリットを狭くする(位置を正確にする)と
スクリーンの像の幅が広がる(運動量が不正確になる)
・量子トンネル効果
・エネルギーがなくても壁を越える。
・一時的にエネルギーを生み出し、すぐ返すことによって、
つじつまを合わせているとされている。
・短時間なら、エネルギーの値が不確定になることによる。
・アルファ崩壊
・原子核からα粒子(陽子2つと中性子2つのかたまり)が
放出される現象
・通常は、外部からエネルギーを与えないとα粒子が
飛び出さないが、外部からエネルギーを与えなくても、
エネルギーの揺らぎにより、一瞬、エネルギーが高まり、
α粒子が飛び出す。
・トンネル電子顕微鏡
・金属の表面からトンネル効果によって飛び出す電子を捕らえる。
電子を捕らえる針との距離が近いほど、多くの電子が
飛び出すので、表面の凹凸を知ることができる。
・反物質
・シュレーディンガー方程式に相対性理論を組み込んだ、
ディラック方程式は、電子が光速に近い速さで運動している
ときの電子の量子的な運動を表す。
・ディラック方程式からは、電子とは電荷が反対の陽電子の
存在が導きだされる。
・真空の一点にエネルギーを集中させると、電子と陽電子の
ペアが対生成される。すぐに対消滅してガンマ線を出す。
・真空エネルギー
・真空では不確定性原理から、エネルギーが0で確定しない。
エネルギーの揺らぎの中で、仮想的な電子と陽電子が、
対生成と対消滅を繰り返している。
・0点振動
・絶対0度にしても分子の振動は止まらない。
不確定性原理により、位置を1点に確定しようとすると、
運動量の揺らぎが大きくなるため。
・量子論から導かれる事柄
・スピン
・素粒子は磁気的な量を持っている。この値は飛び飛びの
値しかとれないので磁気量子数またはスピンと呼ばれる。
・物質を構成する粒子はフェルミ粒子という。
1/2, 3/2などの半整数倍の値を持つ。
同じ場所に同じ値のフェルミ粒子は存在できない。
(パウリの排他律)
・力を媒介する粒子はボーズ粒子という。
0, 1, 2などの半整数倍の値を持つ。
同じ場所に同じ値のボーズ粒子はいくらでも存在できる。
・超流動
・ヘリウムは合成スピンが0のため、ボーズ粒子と同じように振舞う。
(同じ場所に複数の粒子が存在できる)
・超低温にすると、運動量が0に近づくので、
物質波の波長が長くなる。(マクロレベルの長さ)
・そのため、液体ヘリウムは、ふたをした容器からもれ出る。
容器を構成している物質粒子に邪魔されることなく、
物質波が回折して容器の粒子をすり抜ける。
・超電導
・超低温で電気抵抗が0になる。
円形の導体の中を数ヶ月も電流が流れ続ける。
・スピンが反対の電子が2個対になって、
合成スピン0、合成速度0のボーズ粒子状態になる。(クーパー対)
・電気抵抗は金属イオンの振動によって伝導電子波が散乱されるのが原因。
・クーパー対は合成速度が0なので、運動量が0に近くなり、
物質波の波長が長くなる。(マクロレベルの長さ)
・そのため、クーパー対の電子は、
金属イオンの振動に邪魔されることなく、
物質波が回折して導体の中をすり抜ける。
・超電導体による空間固定
超電導体と磁石に空間を空けて、絶対0度までに冷却すると、
その位置を記憶して浮いたままになる。
上下逆にしても、超電導体と磁石の距離は変わらず固定されたまま。
・場の量子論(量子電磁力学)
・量子論を電磁場に適用した。
・場を小さな升目に区切り、電場や磁場を量子化した。
・各升目には一つ一つバネが付いていると、たとえられる。
・バネの振動を光子として観測する。
・バネの振動の大きさはhνの整数倍で、これが光子の個数である。
・バネの振動が伝わることが、粒子が空間を伝わるとみなす。
・バネには2種類があって、スピンの種類(右巻きと左巻き)に対応する。
・光子以外にも、電子には電子の場、クォークにはクォークの場がある。
・電子の場では、バネは4種類ある。
電子と陽電子とそれぞれスピンの上向きと下向きに対応する。
・バネの振動の大きさはhνの1つしかない。
同じ場所に、同じ状態の粒子が1つしか存在できない
ことに相当する(パウリの原理が適用される。)
・相互作用
・電子と光子が相互作用するのは、電子の場のバネと、
光子の場のバネがひもで結合されいると、たとえられる。
・電磁相互作用の結合の強さは1/137である。
・同様にクォーク場のバネと、グルーオン場のバネも
結合されている。
・強い力の相互作用の結合の強さは1/4である。
・量子化学
・電子は原子の中で様々な軌道を作っている。
・それぞれの軌道の形はシュレーディンガー方程式で求められる。
・1つの軌道には2つまでの電子が入る。(パウリの原理)
・これらの軌道の違いが各元素の化学的な性質の違いを生む。
・イオンになりやすさ
・他の元素との結合のしやすさ
・電気の通しやすさ
・磁化のしやすさ
物理なんでも帳