対立物の統一の法則

物事の発展は対立物の統一によって起こります。矛盾が運動の原動力となります。

    たとえば、資本主義社会のしくみのところで説明した通り、貯蓄と投資の
    矛盾は、金融によって解決されています。貯蓄すると経済が停滞します。
    でも、投資すると貯蓄ができません。貯蓄しても経済が停滞しない方法と
    して、金融が出現したのです。

    生産と環境の矛盾についても同様です。生産をすると環境を破壊します。
    環境を破壊しないようにするには生産を止めなければなりません。その解
    決策として、情報産業、サービス業、循環型社会への移行が起こっています。

対立物の統一とは、相反するものの間をとって、五分五分で譲り合うことでは
なく、お互いが益する新しい形を生み出すことです。

「変化」とは「ある」と「ない」という矛盾するものの統一によって生じます。

    たとえば、「生」と「死」は矛盾するもので、同一個体には同時にありえ
    ないように思われます。しかし、人間は代謝活動によって生命を維持して
    います。このことによって人間の体内物質は3年で入れ替わるといわれて
    います。つまり、3年前の自分は死んでしまっています。人は少しずつ
    「死ぬこと」(代謝活動)によって「生」を維持しています。

また、対立物によって、物事の認識が可能になります。

    たとえば、光だけの世界を想像してください。実は、そのような世界では、
    何も認識でません。「光」に対する「影」があってこそ、ものの形が認識
    できるのです。

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