資本主義社会のしくみ

今の資本主義社会をとても単純な世界でみてみましょう。

    この世界には1人の資本家と1人の労働者しかいません。労働者は1日20
    円の賃金でパンを2個作ります。つまり1個あたり10円の原価です。そ
    れを資本家は1個20円で売ります。1個10円の儲けです。消費者でも
    ある労働者は20円しか持ってないので、1個しか買えません。どうして
    も1個売れ残ってしまいます。つまり、資本家が利益をとる以上、必ず売
    れ残りが出てしまいます。

    問題は資本家が利益を貯蓄しているからです。投資して使ってしまえば良
    いのです。(社会主義社会では労働者に賃金40円を渡すことになるので
    すが、そうはなりません。)ここに新たな人が表れます。パンの製造機械
    を作る人です。彼から製造機械を20円で買います。その機械工は得た
    20円で、残りの1個を買ってくれて、全て売れきれることになります。

    つまり、資本主義社会では、貯蓄は経済活動を停滞させてしまう悪なので
    ある。必ず、利益は次の設備投資にまわさなければなりません。

    製造機械が増えたことで、1日4個のパンが作れるようになります。そし
    て、更にもうけた利益は、更に設備投資に使われ、生産量を増やします。
    このようなことを繰り返して、資本主義社会は成長、拡大を続けます。

資本主義社会を維持するためには企業は利益を必ず投資しなければならない運
命にあるのです。でも、将来のためには貯蓄もしておきたい。その矛盾を解決
するのが金融の役目です。つまり、貯蓄のために、銀行に預けたお金は、他の
人に融資され、投資に使われるのです。金融には銀行、株式のほかに保険、年
金があります。保険は自分の将来の事故、病気ために備えて払っているのです
が、実はその時は、他人のために使われています。年金も同様です。つまり、
お金が停滞しないようにしているのです。

貯蓄は金融によって、投資に変換されます。つまり、資本主義社会では、必ず
投資し膨張しなければならない運命にあるのです。一種のねずみ講みたいなも
のと考えることができるでしょう。やがて破綻が来るのです。それが恐慌です。

マルクスもこの破綻を予言していました。やがて恐慌が起き、市場の奪い合い
から大戦争が起こり、その後、それに不満を持った民衆が立ち上がり、革命を
起こし、共産制社会が訪れると。確かに、その通り、1917年に最初の社会主義
国ソビエトができました。1929年には大恐慌が起き、それが引き金になり、2
度の世界大戦が起きました。しかし、世界全体が社会主義社会に移行すること
はありませんでした。1990年にはソビエトは無くなり、その他の社会主義国も
なくなっていきました。なぜでしょうか。それは、まだ生産性が共産制に移行
するほど高くなかったからです。そのため、この社会を維持するには、無理を
しなければなりませんでした。つまり、民衆の自由を奪い、暴力と強制によっ
て社会構造を固定しなければならなかったのです。

でんし共産制社会
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