愛徳

 

小さな仕事も愛をもって行う

 

 

 

 

1.ルイザ・ピッカレータ

2.マリア・ワルトルタ

3.聖母

 

 

 

 

1.ルイザ・ピッカレータ

 

ルイザ・ピッカレータ/被造界の中の神の王国/1巻P19

 

イエスは以上に記したような事柄について、私が練習するようになさったあと、しばらくして今度は苦業の精神についてお話しになりました。たとえ徳であれ、または大きな犠牲であれ、もしそのわざの初め、最中、終わりがいつも主への愛によるものでないならば、それは味のない、なんの功徳もないものとなる、ということを私に分からせて下さいました。そして私におっしゃいました。「愛徳とは、それなしでは全ての行いは死んでしまうほど、他の全てに輝きを与える徳です。愛徳の精神なしになされた行為にたいしては、わたしの目はなんの魅力も感じません。ですから、それはわたしの心に近づくこともないのです。あなたはどんなに小さい行いも愛徳の精神をもってわたしのうちに、わたしとともに、わたしのためにして下さい。

 

 

ルイザ・ピッカレータ/被造界の中の神の王国/1巻P165

 

 まだ私が神聖な希望の海の中に自分を見失い、溺れていたあいだに愛するイエスは再びご自分をお現しになり、今度は愛徳についてお話しになりました。それは全ての徳の中で最も秀でたものですが、他の二つの徳とは姉妹関係になり、あたかもただ一つの徳のようでありますが、それらは三つの別々な徳です。「事実、もしちょっと火を眺め、それについて考えてみれば、あなたはすぐにこのお互いに一致した三つの徳についてのおぼろげな観念を持つことができるでしょう。火をつけたとたん、最初にわたしたちの目に映るのは、周り全体に生き生きとした明かりを放つ光です。光とは、洗礼によってキリスト信者の霊魂の中にわたしが呼び起こした信仰のシンボルです。次にその周りには、光とともに熱が発散するのを感じるでしょう。それからだんだんとその光がほとんど消えるまで弱まっていくと、火によって生じた熱は、火が完全に消えてしまうまで、もっと強い熱を出します。

 

 

ルイザ・ピッカレータ/被造界の中の神の王国/1巻P167

 

愛徳とは、そこから光と信仰の滋養物が現れる本体です。それなしでは、ちょうど火なしには光も熱もないように、信仰も希望も持つことはできないでしょう。鎮痛剤の軟膏のように希望の焦がれと信仰の視野の成熟に効果を与えながら、どこまでも広がり浸透していくのは愛徳です。それはその愛の甘美さをもって苦しみを香ばしく甘いものとするので、霊魂は苦しみを熱望するまでにいたります。まことの愛を有する魂は神の愛のうちに、その愛のために働くことによって、自身の周りに神ご自身から汲み取ったあの天的な香りを発散します。もし全ての徳が霊魂をほとんど孤独で内気なものにするとしたら、愛は光、熱、微妙な香りなどを放つ本体であり、最も香り高い効果をもった香油であるので、霊魂が神にたいして抱いているあの限りない愛によって人びとの心を一致、いや、むしろ融合させてしまいます。最もひどい苦しみを喜びをもって忍ばせるのは愛です。」愛のうちに完全に変容させられた霊魂は、もはや苦しみなしに生きることはできないまでになり、それが欠けたときには神に叫んで言いたくなります。「イエスよ、花で私を支え、果実の酸味、すなわち苦しみによってあなたのうちに私を入れて下さい。私の魂はますますあなたに焦がれ、あなたのために忍ぶ甘美な苦しみによってでなくてはそれを満足させることはできないのです。ああイエスよ、よりにがいあなたの苦しみをお与え下さい。私たちを愛するがゆえに御心を支える愛の熱烈さをもって、あなたがこれほど苦しまれるのを見るのに、私の心はもう耐えられないのです。」

するとイエスは私に、「わたしの愛は燃え尽くす火です。それがどれかの霊魂に燃えつく時それは他の徳のことを心配することなく全てを行います。それは全てを変化させ、それらを自分自身の内奥に取り込み、それが全ての他の徳の女王になるようにと、それらを治め、支配し、どんな権威にも譲歩しません。」と言われました。このように甘く魅力的なイエスのお言葉の結果として私にかもしだされた気持ちをどう説明したらよいでしょうか? ただ、それは私のうちに苦しみへの非常な渇望の火を灯しましたので、あらゆる痛みや苦しみを熱望することはほとんど自然なこととなり、この時から以後、苦しみがないということはもっとも大きな不幸であると考えるようになったということを申すことができます。

 

 

ルイザ・ピッカレータ/被造界の中の神の王国/4巻P45

 

霊魂にとって根本的、かつ必要なことは愛徳である。もし愛徳がないなら、それはちょうどあの治める人のいない家庭、または国のようなものである。すべては混乱し、より良いこともぼやけ、調和が見られず、ある者はこうしたいと思い、他の者はああしたいと願う。つまり、愛が君臨していない霊魂のうちにもこのようなことが起る。すべては無秩序で調和がない。ゆえに愛徳は王権とも呼ばれる。それは統治し、秩序をはかり、すべてを規則づけるからである。

 

 

2.マリア・ワルトルタ

 

マリア・ヴァルトルタ「手記」抜粋/天使館/P50

 

 しかし今、わたしは言う、あなたたちが望まない愛徳は、あなたたちがことによると搾取した後で、蔑み、見捨て、笑いものにした人々の上に再び流れ出ている。彼らは彼ら自身よりもを愛し、彼ら自身よりもあなたたちを愛し、愛徳のためにしか生きない者たちである。彼らは霊魂においても物質においてもあなたたちを助けてが愛するようにあなたたちを愛する。あなたたちは何も知らず、何も理解せず、何ひとつ自らに問おうとしない。しかしは知り、見、何一つたずねなくても理解する。なぜその憐れみをなおもあなたたちの上に注ぐのかを知っている。わたしを愛し、あなたたちを愛するこの思いやりのある人たちは、愛することを人生の目標としている。この人々はあなたたちのためにあなたたちのようにはしない。わたしの気に入ることをするためである。

 

 あなたたちは、どれほどの涙、どれほどの苦しみ、どれほどの償い、どれほどの犠牲があなたたちの存在の代価であるかを知っているのか? あなたたちはあなたたちを生んだ母親と、あなたたちに日ごとの糧を与える父親によって生きてきたと思いこんでいる。そうだ、もっぱら動物的見地からすれば確かにそのとおりで、あなたたちは彼らから生命をもらっている。しかし、いのち、ほんとうのいのちは、この人々のおかげで、あなたたちに回心する時間を与えるために持続する。そして、あなたたちのうちの多くの者が永遠に死なないのは、あなたたちの知らないこの英雄たちが、とあなたたちのあいだに立ち、神に祈り、道徳的な病気に冒されて出血したあなたたちの体内に、偉大な神秘の中を循環している恩恵の血である少量の霊的な血を輸血しながらに罰を思いとどまらせているからだ。しかし、この良いものが邪なあなたたちに浸透するのは彼らの自己犠牲という篩(ふるい)を通してである。

 

 

3.聖母

 

マリアはお呼びになる/世のひかり社/P43

 

 イエズスの愛を愛をもって伝えなさい。愛を最も必要とする人のそばにいなさい。そうすれば、あなたたちも愛をうけるでしょう。

みすてられた人々と老人の生活が、もっと人間らしくなるように全力をつくしなさい。これらの人々に喜びと愛をもたらし、かれらに奉仕して、その人たちの心を豊かにしなさい。これこそマリアの事業です。

 

 わたしの子らよ、愛こそ大切です。イエズスは、愛のうちにあなたたちの中にお住みになります。愛のためにはじめられたあなたたちの事業が祝福されますように。

 

 いつも愛をもって働くようになさい。そうすれば、マリアの軍団がふえてくるでしょう。愛のうちに働くならあなたたちの数はいつも増していくでしょう。どんなことをするにしても、すべてに愛があるようになさい。あなたたちの言葉にも、けんそんと愛がありますように。愛こそ苦しみを喜びにみちた期待に変える力となるでしょう。

 

 あなたたちは、愛のうちに一致して神の恵みの中にとどまりなさい。愛徳は人の霊魂を神のみ前に美しくし、お気に召すものとします。

 

 今、人々のうちに愛徳がないと考えて、あなたたちは重荷を感じています。それで、愛と慈しみを持つようになさい、そうすれば、神と一致させる生命があなたたちのうちに宿るでしょう。

 

 人を決して裁いてはなりません。ただ愛しなさい、愛しなさい、わたしの指導に従いなさい。天の母であり、イエズスの母であるわたしの声をきき入れなさい。わたしは、愛をもって許すようにと招きます、イエズスが、自分を死刑にした人々をお許しになったように、あなたたちも、兄弟たちを許しなさい。

 

 あなたたちが救いを得られるのは、愛によってです。あなたたちが、愛と正義をもって、まことの改心をするようにと、わたしは、くりかえし願います。愛のうちにあなたたちは、正義を見い出すでしょう。

 

 愛を通じて、すべての人々に正義と平和をもたらすようにと、あなたたちを招きます。この世の都を忘れて、永遠の都へと向かうように人々を導くには、あなたたちは、神の恵みをまとって奉仕しなければなりません。平和のために働くすべての人といっしょに、あなたたちも平和のために働き、世の救いであるイエズスの平和を人々にもたらしなさい。

 

 人々の心にほほえみをもたらしなさい。そうすれば、わたしの平和と恵みをあなたたちにふり注ぐことができます。わたしを見い出す人は、平和を見い出して、自分のうちに神のご計画を発見するでしょう。