シニョレッジ

 

 

ユダ(イスカリオテ)

 

 

 

育鵬社/青柳武彦/新・貨幣論/P107

 

鬼城群

近頃、中国国内における地域開発事業の失敗例として、巨大なビル群(鬼城と呼ばれている)の映像がテレビで紹介される。政府が開発を企画したビル群を民間の事業会社が投資目的で買い付けたが、消費者となる入居者が集まらないために倒産してしまったものだ。ビルの最終工事がストップしたままになって、巨大な空き家となった多くのビル群が朽ち果てている。こうした例が中国各地に多数存在する。

政府としては巨額の不良債権を抱え込んだことになるはずだが、もともと原資が償還不要の通貨発行益でコストはゼロ同然のはずだから、民間の事業者が倒産しても、また政府の債権が不良債権化しても、たいした痛痒は感じないのかもしれない。

いずれにしても、損失の規模の割には中国政府にとってはたいした財政負担にはなっていない模様だ。しかし、これに乗った民間の不動産事業会社、及びそうした事業会社から投資目的で不動産を買った民間投資家は深刻な状況に陥っている。

たとえば、中国不動産開発大手の中国恒大集団が経営危機に陥っており、負債は約33兆円と見られ、国内外で不安が広がっている。恒大集団は、電気自動車(EV)事業や香港に保有するオフィスビルなどを売却して資金を確保し、利息の支払いに充てようとしているようだ。

 

 

 

 

2015/メディアックス/ベンジャミン・フルフォード/日本はなぜ、アメリカに金を盗まれるのか/P95

 

ドルのシステムは、FRBが国債発行を前提に通貨を発行する。事実上、通貨=国債となる。国債という「借金」の裏付けで価値を付与する。だから、「借金札」(note)なのだ。FRBのドルほど露骨でなくとも、日本の「円」も通貨発行量は日本銀行が決定する。日本政府が通貨発行を増やそうとすれば、国債を発行し、それを日本銀行に引き受けてもらうしかない。

国債発行を前提とした通貨は、国債の金利分で目減りしていく。年利3%ならば、1万円は1年後には自動的に9700円となり、翌年には複利で9700円から3%引かれて、9409円と、どんどん目減りして20年後には半減してしまう。通貨の価値が減っていくのだから、通貨供給を増やすしかなくなる。こうして国債発行を繰り返し、政府は借金漬けとなる。その結果、政府は国債の金利を払うために国債を発行するといった、まさに多重債務者のような状況に陥ってしまう。従来のシステムでは、どんな健全な政府(国家)でも必ず莫大な借金を抱えることになるのだ。

ここで重要なのは、そうして支払っている金利が、国債を引き受ける金融機関、とくに通貨を発行する中央銀行へと流れ込んでいるという点であろう。日本銀行でさえ、45%の株式は民間人、つまりは、「通貨発行勢力」が牛耳っている。

1000円札の絵柄である野口英世の目を透かして見ると、裏に描かれた富士山と重なり、ピラミッドに目のついた「プロビデンスの目」になるという都市伝説がある。これは伝説でも何でもなく、日本銀行が「通貨発行勢力」の傘下になっている証拠なのだ。当然、ドル紙幣にもこの「闇のシンボル」のマーキングが施されている。第2次世界大戦の敗戦で、日本銀行は「通貨発行勢力」の通貨発行システムに組み込まれたのだ。

 もちろん、日本にかぎった話ではない。現在の主要国の中央銀行は、「通貨発行勢力」の傘下になっている。

もはや説明するまでもないが、ドル本位制のシステムでは、世界経済は発展しないのだ。放っておけば枯死するだけで、多くの人が不幸になる。そこで立ち上がったのがBRICSなのである。