愛する者の死
サンダー・シング/イエス・キリスト封印の聖書/P253
「また、あるとき、旅の途中でわたしは一人の牛飼いと出会った。牛の群れに河を渡らせ、夕まで草を食べさせて、それからまた河向こうに戻すのが彼の務めだった。ところが、その晩に限り、一頭の雌牛と仔牛だけが河を渡るのを嫌がった。このままこちら側に残しておけば、夜間、猛獣の恰好の餌食になってしまうと思った彼は、鞭で打ち叩いて河を渡らせようとしたが、それでも牛は動かなかった。そこで、干草を見せながらうまく誘い出そうとしたが、まったく効き目がなかった。見ていたわたしは、こう助言した。『まず仔牛を河向こうへ連れていきなさい。そうすれば、母牛は簡単についていくから』。彼がその通りにすると、母牛も彼に従った。同じように、われわれが主の元に行こうとしない場合、主は、愛する人をわれわれから引き離して御元に連れ去ることがある。われわれは、こうして、愛する人が行ってしまった天上界を望み、自分をそれに合わせるよう仕向けられる」