もしも、クライヴが泳げないのを気にしたら……≪V≫
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「君は面白い顔の洗い方をするんだな。」
酒を注文して早速本題に入ります。
「…………。」
「ま、本当のところ……水が苦手なんだろう。」
二人の前に頼んだ酒が運ばれて来ました。
クライヴはロクスを一睨みし、酒を<<あおります>>。
「くくく…その顔、図星ってわけだな。」
>_No.3
>_名前 ロクス・ラス・フロレス
>_身長 俺よりかは低い
>_特徴 銀髪、法衣、五月蝿い
>_登録
>_Yes/No
>_Yes
>OK■
クライヴの中では今まさにロクスが暗殺リストに登録されたのです。
一回目の注文の酒がなくなったので追加オーダー。
「天使であるレゼーヌを騙せても僕は騙せないぞ。」
レゼーヌの名前が出て来たところで一瞬止まりました。
「……彼女はお前に何を話した。」
最初のことからしてあの特訓の事だろうと思ったクライヴ、
これだったらやはりあのまま帰ってくればよかったと。
「そんなに睨むな。……事の成り行きで知っただけだ。」
何時の間にかクライヴはロクスを睨んでいた様です。
ロクスの方を見ずにコップに入った酒を見ます。
その日は色々あって野宿となってしまったロクスとレゼーヌ。
水の綺麗な泉がある側で一晩を過ごすことにしました。
「ここまではよかったんだ。別段おかしなところはないだろう?」
いいから先を話せという目のクライヴ。
「ふう……せっかちだな、君は。まあいい。」
……次の日は何故か早く目が覚めたロクス。
レゼーヌはもう起きていました。
「何をしてたと思う?」
「……話す気がないのか……。」
あまりにも少しずつ話すロクスにクライヴは声を押し殺して言います。
しかし、ロクスにはそんな脅しは効きません。
「いや、あるさ。ただ……一気に自分のカードを見せるのは面白くないからな。」
クライヴがロクスの質問に答えるまで先は聞けないのです。
「……朝起きた時にする事は顔を……。」
仕方なく、思った事を口にしたクライヴは、自分の言っていることが的を射ている事が分かりました。
「どうやら気が付いたみたいだな。」
「……お前はなんて言ったんだ。」
「……何かを言う前に引き上げたさ。天使はどうか知らないが僕達人間からしたらあれは
自殺行為だからな。」
「レゼーヌ!!」
ザバッ!
急に肩を掴まれて顔を上げさせられたレゼーヌ。
顔から水をポタポタと。
「あ……ロクス、おはよう御座います。」
「おはようじゃない! 君は何をしているんだ!!」
何をしているか……それは泉に顔をつけてぶくぶくぶくぶくと……。
その途中でロクスに止められたのです。
「……何って…顔を洗っていただけですよ……。」
「顔を洗う〜? 天使は皆そうなのか?」
人間では絶対にしない顔の洗い方、しかし天使はそう洗うのかと。
「え…アルカヤの皆さんはこうやって顔を洗うものだと……。」
「は?…何処でそんな事知ったんだ?」
「……知ったのではなく教えて頂いたのですよ。」
「誰にそんな嘘吹き込まれたんだ…。」
接触のある人間と言ったら勇者しかいないだろうとは思っても、いったい誰がこの天使に
そんな事を教えたのか……。
まだ会ったことのない勇者二人のうちにそんな事を言うのがいるのだろうかと。
「嘘……?…クライヴが嘘をついたと言うのですか!?」
レゼーヌの口から出て来たのは一番想像していなかった名前でした。
「……クライヴにそう言われたのか?」
ちょっと間違ったかな〜っと首を傾げ、思い出そうとしているレゼーヌ。
「直接言われたのではないですが、訪ねた時に水を張った洗面器に顔をつけていたので、
何をしているのですかと尋ねたところ、顔を洗っていると。」
「……ふ〜ん、あのクライヴがな〜。」
一人納得をしているロクス。
クライヴがいったい何をしていたのか分かったのでした。
「ロクス? あの…では顔を洗っていなかったのだとするとクライヴは何をしていたのでしょうか…。」
「……だとさ。どう考えても洗面器に水を張って顔を突っ込んで洗うとは思えない、
それは水が苦手な奴がまず初めにやる事だろう。」
「それを言ったのか……。」
「まだだ、楽しみは最後にとっておかないとな。」
それはこれから言うことを意味しているのでした。
それが分かったクライヴは酒をぐびぐびと。
「クライヴ、そんなに飲むな。君が潰れたら流石に僕だけじゃ運べないぞ。」
そう言っている側から追加でまた頼むクライヴ。
「追加するな! 悪い、今の追加取り!?……っつ〜〜〜。」
『取り消し』と言おうとしたロクスの向こう脛をクライヴが蹴ったのです。
ロクスはそのまま床に蹲りました、あまりの痛さに。
「ク、クライヴ……。」
「……そんな所に座っていると邪魔になるぞ。」
いったい誰がロクスをそうさせたのか……。
素知らぬ顔で瓶を次から次に開けて行くクライヴ。
「…誰の所為で……。」
よほど強く蹴られたのでしょう、当分ロクスはそのままの体勢でいるのでした。
その間もクライヴは絶え間なく飲み干して行っては追加オーダーを頼んでします。
いったい誰がそれを払うのかは考えていないようです。
ロクスの方から誘ってきたのだから、ロクスが払うのだろうと言うのがクライヴの考えです。
やっと痛みから解放されたロクスが椅子に座りなおすとテーブルの上には数え切れない
ほどの空瓶が……。
「…………クライヴ、いったい誰が勘定するんだ?」
「お前が誘ったんだからお前だろう。」
当たり前の事を聞くなと言う調子で答えます。
「もう飲むな。」
瓶に伸ばしかけているクライヴの手をロクスは掴みます。
「……離せ。」
「これ以上飲まれたら僕の生活が危ういんだぞ! ただでさえ借金があるというのに!!!」
別にそんな事わざわざ声を張り上げて言わなくてもいいものを……。
「ふふふ…ロクス、そんな事自慢してどうするのですか…。こんばんは、二人とも。」
突然二人の前に現われたのは話の中心にいるレゼーヌでした。
テーブルを見て自分も椅子に座ります。
そして何を思ったのか店員を呼び…。
「すみません、コップの追加をお願いします♪」
しっかり自分の分まで頼んでいます。
「レゼーヌ……君は何をしに来たんだ。」
「?…何って一緒に飲もうと思いまして。」
店員からコップを受け取り酒を注ぎます。
とくとくとくとく……
「あ〜堪りませんね、この音♪……クライヴ、どうしたのですか? なんか目が据わってますけど……。」
今まで気付きませんでしたが、クライヴの目は据わっているのです。
「ここにある瓶は誰が開けたのですか?」
ロクスはクライヴを顎で差します。
「これ全部ですか!? クライヴ、そんなに飲まないとやっていられないことでもあったのですか?
私に出来る事があったら言って下さい。」
酒の入ったコップを持ったままクライヴの方を向き、言います。
当の本人はと言うと、横を向き酒をちびちびとやっているのです。
「……ロクス、クライヴがこうなってしまった原因分かりますか?」
ロクスは先ほどの仕返しのチャンスとばかりに話し始めようとしました。
しかし、口を開こうとしたロクスをまたしてもクライヴが蹴って来たのです。
「!………!!」
二度目ということもあり、先程よりも強くやったのでしょう、声も出ないようです。
「ロクス!? クライヴ何をしているのですか! 急に蹴るなんて。」
ロクスの足元に近寄り、回りから見えないように細心の注意をはらって回復をかけます。
「これでもういいです。……クライヴ。」
「そいつがいらんことを話そうとしたからだ。」
まるで子供の様にそっぽを向いて言います。
「ロクス、言って下さい。」
クライヴの足が届かない位置まで下がってからロクスは言いました。
「洗面器の件は泳げないのを気にして水に慣れる為の特訓。それを僕に知られて自棄酒。」
「……気にしてたのですか…何故気にするのですか?」
レゼーヌの考えはこうです。
人にはそれぞれ得手不得手がある、それは天使も同じ事、それを気にする事はないのではないか。
「君に泳げないところを見られて恥ずかしかったんだろう。」
「…………。」
>_No.3
>_変更
>_No.2
>_Yes/No
>_Yes
>_No.2
>_名前 ロクス・ラス・フロレス
>OK■
クライヴの中の暗殺リストの変更が行われました。
レゼーヌはコップを傾けながらクライヴに微笑みました。
「でも、それでもクライヴはクライヴですし、私はそんな貴方が好きですよ。」
「…………。」
心なしか顔が熱くなるのを感じるクライヴ。
「クライヴ、顔が赤いですが……酔ってしまいましたか?」
「酒もあるだろうけど、それだけじゃないだろうな。」
「……どう言う事ですか、ロクス。」
ロクスの方を向いているレゼーヌからは見えませんが、クライヴはこれでもかってほどに
ロクスを睨みつけています。
これには流石に敵わないと思ったロクスは話すのをやめました。
「いや……まあ、そのうち分かるんじゃないか?」
「……なんですかそれ……。」
「いつかクライヴ本人から聞ける時が来る……ん?」
ちらりとクライヴの様子を覗ったロクスは何かおかしい事に気付きました。
下を向いてコップも持たずにいるのです。
気付いてしまったからには確かめずにはいられないので席を立ち、クライヴの横へ。
「…………。」
クライヴの頭の上で手を上げてそのまま降ろします。
ばこ
「ロクス!?」
そんな事をされても何の反応も返さないクライヴ……眠っています。
「……ちっ……レゼーヌ、クライヴ眠ってる……。」
「え? 今まで起きてましたよ……。」
「ああだけど、前回もそうだった……成長してないな。…さて、どうやって運ぶか……。」
いいだけ飲んでそのまま眠ってしまうクライヴ。
どうするかロクスが考えている時に……。
「レゼーヌ様ぁ、こんな所ですみませんですぅ。でもフェイン様が敵と遭遇しましたぁ、
来てくださいですぅ。」
少し考えてからロクスの方を向き、にっこり。
「お金ここに置いていきますね。それでは後の事は宜しくお願いします♪」
出口へ小走りで向かうレゼーヌ、出口少し前で立ち止まり振り向きます。
「ロクスの事も好きですよ。では、失礼します。」
バタン
「…………。」
残されたロクスは既に夢の中にいるであろうクライヴとテーブルの上にある空き瓶を交互に見ました。
「僕にどうしろというんだ……。しかもご丁寧にあいつ自分の飲んだ分だけ置いて行きやがって……。」
ロクスは勘定を済ませ、クライヴをフェインのように担ぎはせず、と言うか無理なので襟を掴み、
引きずって運びました。
部屋に鍵をかけてなくても大丈夫だろうと思い、そのままにしてロクスも休む事にしました。
数日後……。
ロクスからクライヴへ、レゼーヌ経由で請求書が送られたのでした。
END
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(コメント)
やっと終りました……読んでくれている方いますでしょうか?
書いてる本人としては楽しかったのですがね。
最初は徹底的にクライヴがからかわれて終るはずだったんですけどね、
チャットの方では最後まで話さなかったので……。
暗殺リストも使わせてもらってしまいました♪
登録されました、ロクス……しかも上がってます。
この二人を書いているのも楽しいものです、
ロクスは突っ込み要因としてこれからも重宝しそうです(笑)
これでクライヴが潰れたのは全部で三回ですね、
やはり二度あることは三度ある。うんうん。
既に次の【もしも〜】も決まっていたりします。
これもチャットで……本編の更新滞りますな(^^;
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