闇に映える<T>


――その日の月はいつも以上に眩しく感じた――


漆黒の闇が空を覆う。
家事を行う音や、子供の笑い声は自然と静まり
家々の明かりは順々に消されていき、森の方からは狼の遠吠えが聞こえてくる。
村の住民は森から反響されて返ってくる遠吠えを気味悪がり、その時間は滅多に外に
は出ない。
だが、それはクライヴの活動を開始する合図でもあった。


辺境地スラティナ
アルカヤの中でもアンデットが多く生息する地域である。
夜な夜な村などを襲っては、本能のままに殺害を繰り返し血の宴を行っている・・・・・・
そんな奴等を始末するのがクライヴの仕事であった。


その日もクライヴはアンデットを相手にしていた。
自我を失い、容赦無くクライヴに牙を向ける魂無き者達・・・・・・
手足がもげかかっている者、長く放って置かれたのか肉が腐敗し異臭を放っている者
・・・
普通の人間ならば恐怖に身を凍らせ、一目散に逃げるのだろうが
クライヴはそんな光景は見慣れているので微動だにしない。
  「来い・・・まとめて相手になってやる・・・」
そう言うが速く、次の瞬間には抜刀を済ませ、アンデット達をなぎ倒していく姿が
あった。


アンデットを全て倒したクライヴはふと天を仰いだ。
空の闇に負けじと立派なほどの三日月が皓々と光を放っているのをアメシスト色の眼
に映った。
 「・・・・・・月、か。どうりで明るいと思った訳だ。」
いつもはあまり関心を示さないクライヴであったが、余程見事であったのだろう
その三日月に見入っていた。
・・・と次の瞬間、上空からゆっくりと何かが舞ってきている。
 「・・・・・・羽?」
鳥の羽とは言い難い純白な汚れの無い色をした羽が、次から次へと舞ってきてクライ
ヴの眼前を過ぎていく。
不審にも思いながら無表情でその光景を眺めているクライヴの視界に
純白の翼を持った一人の少女が舞い降りてきた。
腰にまでかかった赤銅色の髪をたなびかせ、アクアマリンの瞳には薄っすら笑みを浮
かべている。
  「あなたはクライヴ・セイングレントですね?」
  「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
少女は問い掛けたがクライヴは答えない。
元々人付き合いが苦手な彼に、初対面で会った者に対して軽く口を開く事は容易では
なかった。
まして、正体が明らかになってはいない生物などに
  「私は天使アイラと言います。」
  「・・・・・・天使?」
クライヴは口を開く。
いきなり目の前に現れて自分を天使と名乗る少女・・・・・・
クライヴはその言葉を疑ったが、彼女の背には立派な翼が月の反射を受けて煌めいて
いるので
否定はできなかった。
いや、する必要も無いのだろう。
 「はい、私はこの世界の混乱を正す為に天から使わされました。」
 少女はなおも続け、クライヴに”共に戦って欲しい”と願い出、幼さの残る顔から
真剣な眼差しがクライヴに注がれた。
 「本当に・・・・・・いるのだな。」
今まで架空の生物だと思っていた天使が今はこんなに近くにいる。
まして自分のいる世界と遠くかけ離れた存在だと思っていたのに・・・・・・
  「俺に頼みたい事があるなら来い・・・・・・ お前の好きにしたらいい。」
クライヴはそう言うと血の付着した刀を鞘に収め、新たなアンデットを倒しに森の中
へと姿を消した。
天使はまだ何か言いたげだったが、クライヴが森の中へと入って行ってしまったので
仕方なく翼をはためかせて天界にあるラキア宮に戻り休憩を取ることにした。


  「天使様ぁ、どうでしたかぁ?」
ペンギンの着ぐるみを着た妖精のフロリンダが忙しそうにアイラの傍に飛んでくる。
 「私ちょっと心配だったんですよぉ。 捜索に行った時、何か怖い感じがしましたしぃ。」
 「大丈夫でしたよ、フロリン。クライヴは勇者になる事を承諾してくれたようです。」
 「良かったですぅ。 じゃぁフロリン、他の勇者様を捜しに行ってきますね。」
 「えぇ、お願いします。」
そう言うとフロリンダはセレスタに向かって捜索に行った様子だ。
見た目はアレだが、一生懸命に仕事をこなしてくれるフロリンダに一時の仕事を任せ
アイラはソファに腰掛けた。
 「・・・・・・・・クライヴ・セイングレント・・・、彼から信頼を得る事はできるのでしょうか・・・」
まだ話が終わらぬうちに目の前から消えられたのを不安に思い、深刻そうな顔をして
何やら考え事をしている。
と、突然何を思ったのかソファから立ち上がり、再び空が白み始めたアルカヤに向
かって羽ばたいて行くアイラの姿があった。


天が夜明けを告げた頃、クライヴはアンデットを倒し終わり自室に戻っていた。
眠る為だけに戻った部屋はいつもと変わらず静寂を保っている。
ベットに入ろうとした時、ふと自分の掌に視線が走る。
そこにはあの天使と名乗った少女の羽が横たわっていた。
  「・・・・・・・・・・アイラ、か」
一言天使の名を唱えると、羽はそっとテーブルに乗せてからクライヴは深い眠りに落
ちて行く。



その日の月は眩しかった。
月と同じように輝いて見えた天使がいた所為だろうか・・・
クライヴの瞳にアイラの姿がどう映ったかは定かではない。
スラティナ上空では、一人の天使が翼をはためかせている。



                                      





  (コメント)

 えーっと、い、いかがだったでしょうか??(汗)
 実はこういう小説物を書いたのは初めてだったりします

 コレを書いたのはPLAYしたての頃で、、、大体一ヶ月前くらいですか?
 どなたかと内容がかぶってしまっていたらすみません

 天使名は”アイラ”となっております
 ”1”の方でもこの名前を使って定着してきてますね〜

 経験も浅くて表現が至らない個所もあるかと思いますが読んでやって下さいませ♪ 
 感想などを頂けたら嬉しいです。 (*^−^*)
                         


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