| Looking for...≪前編≫ |
事件が解決し、森の中にあちこち転がるアンデッドの屍を避けながら、急いでクライヴの側に立った。
「大丈夫ですか?回復をかけますので…。」
「大した事はない。」
「ダメですよ!化膿したらどうするんですか!?」
戦闘の際に受けた、腕にある傷にラビエルは手を添えた。手からは白い光が
広がり、彼の傷を包むように降り注いだ。
見る見る、傷が塞がっていく様をクライヴはじっと見ていた。
「これで大丈夫ですね、今日はゆっくり休んでくださいね。」
にっこり微笑む天使の姿に、しばらく見入っていた。いつもこの表情は見慣れているはずなのに、
彼はつい見入ってしまう。はっとして、間を置いてクラ
イヴは頷いた。
「わかっ…!」
返事をしようとして、すぐに剣を抜いた。
「クライヴ?」
ラビエルの側に横たわっていた魔物が、突如起き上がって凄い勢いで彼女に襲い掛かる。
伸びた青色の長い爪が、天使の羽を掴む。
「!?」
「ラビエル!!」
鈍く重い音が聞こえ、クライヴに切られたモンスターは、彼女の翼を掴んだまま後ろに倒れこんだ。
「あっ!!」
その勢いで、彼女も後ろに倒れこんだ。身動きしない魔物の上で、ラビエルは仰向けになる。
「大丈夫か!?ラビエル!!」
ソードを片手に、クライヴが駆け寄った。心配そうに、彼が手を差し出す。
「い、痛いです〜…クライヴ、爪が翼に…。」
急に襲われたというのに、あまり緊張した感じのない声で、彼女はそこでじたばたしている。
言われて見てみると、息絶えた魔物は彼女の翼を握ったまま転がっていた。
事切れた様を確認して、彼はソードを置いて、両手で彼女の翼を魔物から開放してやった。
起きた彼女を見て、表情が変わる。爪が食い込んだのか、翼から少し血が流れている。
そしてその騒ぎでか、彼女の服の一部が破れていた。
「傷が…。」
探し当てたハンカチを出して、その血を拭う。ラビエルの腰の辺りに、クライヴは自分の上着をかけた。
「え…血が出てますか?いやだ、服も破れちゃいましたか??」
破れた服を見ながら、苦笑いをこぼす。その側で、ライラックの瞳を曇らせてクライヴが言った。
「すまない。」
「えっ?」
「俺が戦闘の時に、止めを刺し切れていなかったばかりに…君が傷ついた。」
「待って下さい、クライヴ…そんなことないです!私がぼんやりしてただけですよ!?」
「いや。魔物を倒していれば、こんな事にはならなかった。」
重い声で語る彼に、慌てて彼女は答えた。
「違いますよ!だって貴方は勇者として事件を解決してくれましたし、ベストを尽くしてくれましたよ!?
転んでこうなったのは私の不注意ですから、どう
か気に病まないで下さい!!」
「…回復は。」
しばらくして気を取り直したのか、やっと彼はそう言った。
「あ…。回復は、人にしか効かないんです。それに翼は動きますから、大丈夫ですよ。
あ、でも上着は貸して下さいますか?ちょっと場所が場所ですし…。」
少し顔を赤らめて、彼の上着を腰に巻きつけた。
「自分を癒せないのか…不便な力だな。」
「え?そんなことないですよ。だって、貴方たち勇者を厳かではありますが、癒す事は出来ますからね。」
「しかし、自分を癒せないのでは…。」
「天使は万能ではありませんからね。でもほんとに大した傷じゃありませんから、大丈夫です。」
気にとめた様子もなく、ラビエルは上着を腰に巻いたまま手を借りて、立ち上がった。
「それより、今日は何日ですかね?」
突然の話題の変換に、彼がぼんやりする。
「2月の…13日だろう?何かあるのか。」
にっこりとして、ずっとその笑みを彼に向けていた。
「…もうすぐですね〜。」
「もうすぐ?何がだ…?」
思い当たらない彼は、怪訝そうに聞いた。
「もうすぐ、です。…もうすぐわかりますよ!」
意味深な言葉を残し、その日の同行は終了となった。
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