〜ホスピスのお知らせ〜


「ホスピス病院設立にあたって」         
    大分ゆふみ病院ホスピス準備室  佐藤 俊介 さん

 保険医療制度の狭間にあって本当に医療を必要とするガン終末期の方々にとって、ホスピスは一つの大きな選択肢になりうると思う。イギリスに始まった近代ホスピス運動は、それまでの治癒のみを目的とする技術偏重的な医療ではなく、患者とその家族を中心としたケアーを重視する。
 医療の原点ともいうべき姿を再認識させるという点で、大きな意味を持つと思われる。
 その動きは、日本でも 80年代より医療者と市民の協力により徐々に広がっていった。
 
1990年には医療保険の中でホスピスが制度として認められたが、社会的にも認知され、施設が増えてきたのは、ここ4〜5年のことである。
 現在全国で 80以上のホスピスが運営されているが、大分では、設立の動きはあったもののこれまで実現されるには至らなかった。今回の、大分ゆふみ病院設立のきっかけは、末期がんで積極的治療が難しい患者さんにとって、安心して医療を受けられる施設が必要だという医療者の素朴な願いから起こり、2年前から実現に向けての具体的な動きが始まった。その後、紆余曲折がありながらも2年足らずで開院予定までこぎつけられたのは、生と死を考える会を初めとする、市民グループの運動や大分県緩和ケアー研究会の発会など、時代の大きな流れに後押しされたからではないかと考えている。
 大分ゆふみ病院は、大分で初のホスピス病院となるが、患者さんの全人的苦痛を除くという基本的ホスピスケアーを、自然な姿勢で実践したいと考えており、それを志すスタッフが各地より集まりつつある。建設地は、大分ICの西側に位 置し、大分駅から車で 10分余りの場所で机張原行きのバス停もあり、西には由布、鶴見、高崎山を望み、東北には西大分港が望めるなど地の利もよい。完全独立型 24床全個室のホスピスという全国的にも珍しい形態であるが、一日も早く市民の皆様に認知され、ごく普通 の病院として運営してゆけるようになりたいと、切に願っている。