〜講演会から〜


「恒藤 暁 先生の特別講演に参加して」 
    木村 茂 運営委員

 いよいよ大分にも緩和ケアについての研究会が発足し、また、ホスピスが開設されることとなりました。そんな、大分にもホスピスをという声が高まる中で行われた恒藤先生の講演の中で一番印象に残ったのは、
 「たとえ手術室であってもホスピスのようなケアが受けられることが理想です」
 という言葉でした。
 
これは裏を返せば今の一般 の病院ではそのようなケアが受けられないということです。たとえ患者さんが希望してもそのようなケアを受けられないばかりか診療を断られることもあるでしょう。私もそのような場面 を目のあたりにしたことがあります。
 ではホスピスは医療の究極の形なのでしょうか? 一日でも長く生きていたい人にとってはホスピスのケアはありがたくも何ともないかも知れません。しかし、もし心のケアを受けたいと思っても、病気をもった人としてではなく病気だけを診ているような一般 の病院や診療科ではそれを受けることができません。このことこそが一番の問題であるはずなのです。そう考えると、現代のホスピスはある意味においては、高度に進歩した医療に対する反省の象徴のようにも思えてくるのです。恒藤先生の言葉はこのことを一言で言い表しているのではないかと感じました。
 私は内科の医師として働いてきました。末期の状態にある患者さん一人ひとりに充分に時間をかけて診療をしたいと思い、緩和ケアにも取り組もうとしましたが、実際には決められた時間の中でより多くの患者さんを診ることばかりが求められる一般 病棟の中では緩和ケアを実践することは無理なのではないかとも感じました。ホスピスは必要なのです。大分のホスピスをみんなで育んでいきましょう。