箱根火山の生い立ち

箱根はカルデラ・三重式火山の複雑な地形をしており、2回の陥没を間に挟んで、3回の活動期を経て形づくられたと考えられている。


古期外輪山

三国山の大ブナ

第1期の活動は、およそ40万年前の噴火に始まり、溶岩の噴出を何度も繰り返して、富士山のように裾野を長くひいた成層火山を形成した。今でも外輪山の外側には美しい裾野の面影を残している。高さは、約2700mにまでなったと推定されている。

円錐形の成層火山が完成した後、火山体中央部が陥没して大穴(カルデラ)ができた。そして、ちょうど鍋の縁のようにリング状に取り残されたのが「古期外輪山」である。塔ノ峰から始まり、明星ヶ岳、明神ヶ岳、長尾峠、三国山を経て箱根峠から白銀山に至る円形線上に、海抜1000m前後の山々が連なっている。右の写真は三国山の大ブナ。

なお、外輪山の一つに見える金時山は、実は箱根火山の山腹に生じた側火山(寄生火山とも言う)である。

カルデラ(caldera)
カルデラとは本来、なべとか、かまを意味するポルトガル語で、火山地域にできた円形の凹地をカルデラ地形と呼んでいる。その成因は、大規模な火山爆発により多量の溶岩が噴き出し、中空になった山体の中央部が陥没したものといわれている。

箱根の側火山(寄生火山)
箱根には側火山は少なく、金時山と湯河原にある幕山のみである。


新期外輪山

古期外輪山に囲まれたカルデラ内部に第2期の活動が起こり、溶岩が噴出して扁平な火山を造った。その後、この火山の西半分が再び陥没し、残った北と東側の部分が、碓氷峠、浅間山、鷹ノ巣山、屏風山など、半月状に並んだ「新期外輪山」である。


中央火口丘

二子山、芦ノ湖と元箱根

第3期の活動が始まり、カルデラ内に粘性の大きな溶岩を噴出し、神山(1437.9m)を最高峰に、駒ヶ岳、台ヶ岳、小塚山、二子山などの中央火口丘群を形成した。最新の活動が約4000年前に神山の北西部山腹に起こった大爆発で、山体の一部が吹き飛ばされ、山崩れは湖尻、仙石原方面へ流れて、現在の仙石原の高原地帯をつくるとともに、早川の上流をせき止めて芦ノ湖が誕生した。大涌谷はその大爆発の名残である。

右の写真は芦ノ湖の西、山伏峠(古期外輪山)付近から見た二子山と芦ノ湖。





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