第8話 かあさんの母さん(平成6年3月?日)

かあさんの実家は山陰地方、島根県にあります。実家にはかあさんの母さんと父さんとお祖母ちゃんが3人で住んでるそうです。かあさんには弟が1人いて今は東京の某通信社で記者をやっていますが、この頃は大阪支社に勤務していて西宮の近くの夙川(しゅくがわ)というところに住んでいました。 島根の実家では犬を飼ったことはあるのですが猫は飼ったことありません。でもかあさんが小さい頃は近所で猫を飼っている家に行って子猫と遊んだりしてたそうです。しかし、かあさんの母さんは動物、特に猫が嫌い。天気の良い日にはかあさんちの屋根に干してある布団で隣の猫が勝手に寝たりしてた(スイマセンがとことわってよそんちの布団で寝る猫はいないだろうに・・・)ので、かあさんの母さんはよく怒っていたそうです。

そんなかあさんの母さんが3月にここへ来ることになりました。最初、かあさんは動物を飼うことに反対する母さんに僕を飼い始めたことを黙っていたんだって。でもここに来るとなれば黙っているわけにいかないじゃないですか。ついに「実は・・・」と告白したらしいのです。最近はほとんど良くなっているけど、かあさんは赤ちゃんのころからアトピーに悩まされていたので、動物の毛がアトピーには良くないと信じているかあさんの母さんにはショックだったようです。「大丈夫なのアンタ。痒くならない?」と聞かれたけど「ぜーんぜん、へいき!!」と答えたそうです。ホントに大丈夫なんだもん。暫くの間、かあさんの母さんは「あー、どうしよう。あの子の所へは行きたいけど猫がいるんじゃ・・・」と悩んでいたようですが、かあさんの父さんに説得されてやっぱりここへ来ることになりました。

さあ、かあさんの母さんと父さんがやって来ました。僕はご多分に漏れず最初はパニック状態・・・。すぐに押入に隠れてしまいました。それでも数時間経つと、僕も2人に興味があるので押し入れから出て、早速2人の荷物をクンクンとチェック。お茶していた4人の前に恐る恐る出てみました。すると「綺麗なネコだね」とお褒めの言葉をもらっちゃいました。<こうなったら甘えるしかあるめえ・・・クンクン・・・なんだかかあさんと同じ匂いがするぞ・・・うん、これなら大丈夫そうだ>とかあさんの母さんの足下にスリスリ。母さんもこわごわ僕の背中を撫でてくれたり、シッポの付け根を叩いてくれました。そうだ、僕が猫用のトイレでだけオシッコしたりウンコしたりすることも感心してくれました。エッヘン! ただ、ソファでバリバリするのだけは怒られましたけどね。

その晩は最初、かあさん達と寝室で寝てましたが、明け方近く、かあさんの母さんと父さんが寝ている布団の回りをぐるっとまわって点検。枕元に立って顔を覗いていたら、目が合っちゃいました。ついでにトイレに立った母さんの後にもついて行っちゃいました。翌日、暖房機の傍で毛布を掛けて昼寝をしているかあさんの母さんの所があまりにも気持ちよさそうだったので、つい足元で丸くなって寝てしまいました。その様子を見たかあさんは 「ケン太が私とダンナ意外の人にひっついて寝るなんて!」とビックリしてました。それ以来、沢山お客さんが来ましたが、ひっついて寝たのはかあさんの母さんにだけです。この時から彼女は僕をカワイイと思うようになったんだって。島根へ帰ってからも電話で「どうもケン太が彷徨いているのが目の端にチラチラしていけんのよ。」と僕を懐かしがっていたそうです。

あれから6年経つけどたまにしか来ないかあさんの母さんと父さんだけはすぐにわかって、隠れたりしません。じゃあ、父さんの母さんと父さんはどうなのかって? うーん、僕はどうも苦手なんです。だって父さんの母さんは僕を抱っこさせろと追いかけるんだもん。僕は抱かれるのは嫌い! 気儘なのが好きなんだあ。

(写真は大笑いしている(?)僕。後ろに写っている「ベニスに死す」という映画知ってますか? かあさんが言うにはこの組み合わせがミスマッチでいいんだって???)