第7話 男の子でなくなっちゃった(平成6年2月11日〜12日)

前話からだいぶ間があいちゃいましたね。でも、これからお話しすることはボクにとって、とっても大事だけどショックなことでしたからね、なかなか筆が進みませんでした。

なんでも本によるとオス猫は生後8〜10ヶ月で成熟し、自分の縄張りを示すためにオシッコをあちこちに吹き付けるスプレイという行為をするそうです。ほら、シッポを垂直に立てて震わせながら後ろにむけてシャーッてオシッコをかけるの見たことあるでしょ? かあさんはボクを室内飼いすることに決めていたので部屋の中でそんなことされたらたまらないわって思ったんだって。それに発情期がくると赤ちゃんが泣くような声をだしてうるさくて近所迷惑だし、だいいち発情しても行為そのものができないなんて不憫だしって。(ホントかなあ? かあさんの我がままなんじゃないの?) それで獣医さんに去勢手術の相談をしたら、「一度スプレイ行為をすると癖になるからその前がいいですよ。でもあまり早すぎて尿道が発達してない時にすると尿道結石になりやすいですからね。」と言われたそうです。余談ですが、お父さんは夜中に尿管結石になって救急車で病院に行ったことあるんだって。メチャクチャ痛いんだってね、石が腎臓から尿管へ出るときと膀胱に入るとき、それに膀胱から出るときは。

あわわ、また話がそれちゃった。
結局ボクの手術は生後7ヶ月目にあたる2月に行うことになりました。手術の予約をした11日がきました。ボクは勿論何も知りません。かあさんはボクを飼う事にした最初から躊躇なく去勢手術することに決めていたはずなのに、当日になるとなんだか可哀想になったんだって。全く人間ってどこまでも勝手だよね。それでもかあさんは意を決してボクをキャリー・バッグに入れ、父さんと病院へ。万がいち不慮の事故等があってボクに何かあっても文句を言いませんというような同意書に署名・捺印もしたそうです。めったにそんな事はないけどね。そうそう、メスはお腹を切らなきゃいけないから大変だけど、オスは○○袋を切って取り出すだけだから簡単ですよとも言われたそうです。しかし大事をとって手術をしたその日は一日入院することになりました。「先生、それではよろしくお願いします。ケン太、頑張ってね!」そう言うとかあさんは帰っていきました。

手術の時のことを覚えているかって? そんなもの覚えてるわけないじゃん全身麻酔なんだから。 気がついたら○○袋の回りの毛を剃られていて、ピンク色の肌が見えてたよ。それに釣り糸のようなレーヨンだっけ? そんな糸が結んであったね。麻酔が切れたら痛かったかって? それも記憶がないんですよ。ボクは我慢強いからね。(ホントか?)  翌日心配そうな顔をしてかあさんが父さんと一緒に迎えに来ました。お医者さんは「大丈夫、無事済みましたからね。この糸は自然に取れますからほっといてもいいですよ。」と言ってかあさんを安心させてくれました。でも家に帰って○○袋の回りの毛が剃られているのを見て可哀想だったんだって。ちなみに手術代は1日お泊まりして1万円だったそうです。女の子はもうちょっとかかるそうですね。ボクはどうもこのレーヨンの糸が気になって気になって噛んでばかりいました。そのうちポロッと糸はとれてしまいました。 今ですか? やっぱりスプレイの格好はしますがその時にオシッコは出ません。それに、ものの本に書いてあるように体重が見事に増えて行きました。現在6.5sあります。 テヘッ、太りすぎ?

(写真はベランダの手摺りをまたぐボクです。かあさんに呼ばれると端から端までこの状態で歩きます。)