第6話 猫にだってストレスはあるもん(平成6年1月7日)
この頃かあさんとお父さんは、年末年始をお父さんの両親と一緒に旅行をして過ごしてました。この年は岡山から高松へ渡り、琴平神社(金比羅さん)にお参りしてから、翌日お船で小豆島へ渡るという3泊4日の旅程でしたから、ボクを一人で置いておくわけにいきません。さいわい病院でボクを預かってくれることになり、12月30日の朝、ボクはキャリーバッグに入れられて病院へ。ついでに1回目の予防注射から1ヶ月が経ってたので2回目の注射を打ってもらいました。ぼくはかあさん達が旅行している間、狭いケージの中で過ごしました。病院では勿論エサはちゃんとくれますが、ボクにとって甘えられる家族はかあさんと父さんだけです。だから病院にいる間は一声も鳴きませんでした。それでもお腹は空くので出されたエサはぜーんぶ食べましたよ。お陰で病院の人達はボクのことをおとなしくてとっても良い子だと思ったようです。あとでそれを聞いたかあさんが「お前は内弁慶だねえ、まったく!」と言ってたけど、内弁慶て何?ボクは猫だよ。
かあさんはボクにお土産よといって小さいサルの縫いぐるみを買ってきてくれました。お腹を押すとキューと鳴く指をくわえた小猿で「チャブ君」という名前です。その日からチャブ君を使ってかあさんはボクにキャッチングの特訓をするようになりました。ボクはチャブ君のフワフワの感触と大きさが大変気に入ってしまい、90%の確率でキャッチできるようになりました。お陰でチャブ君はボクのヨダレまるけに・・・。何度か洗濯機の中にチャブ君を見かけました。
そうそう、病院から帰って3日ぐらい、ボクのウンコはビチビチ状態でした。かあさんは悪いものでも食べたのだろうか? ワクチンを打ったのに風邪でもひいたのだろうか? と心配で、ボクを病院へ連れて行きました。お医者さんは「たいしたことはないですよ」と言って下痢止めをくれましたが、いっこうに改善されません。でも、しばらくするとかあさんはピーーーンと来たんだって。 「ハハーン、もしかしてこれは私達への抗議のしるし?」 そうだよ、かあさんやっとわかってくれたの。見ず知らずの狭い場所にボクを一人で閉じこめるなんてヒドイじゃないか! ってボクは言いたかったのさ。何といってもはニャアとしかしゃべれないんだからね、ボクは。猫の心理がわかるようになったんだ。成長したね、かあさん!
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