第2話 ボクの名はケン太(平成5年11月1日〜2日)

さあ、かあさんとお父さんは早速ボクの名前を考えました。ボクは男の子です。当時サッカーのJリーグが始まったばかりで清水エスパルスがとっても元気でした。かあさんはエスパルスのストライカー長谷川健太さんの名前がお気に入りだったので、ボクの名前はすぐに決まりました。どうしてお気に入りだったかというと「だって、呼びやすいし、叱りやすいんだもん」だって。ただ人間ではないので漢字ばかりだと変だからって結局「ケン太」になりました。

ボクの名前が決まると、かあさんは近くのコンビニへボクの餌(猫缶)を買いに行きました。そうそう、それと本屋で「猫を初めて飼う人のために」という本も買ってきました。かあさんは昔、犬は2回ほど飼ったことがあるけど、なんたってネコは初めてだったんだって。まず、ダンボール箱に細かくちぎった新聞紙を入れてボクのトイレを作りました。「こんなんでいいのかしら?」かあさんはちょっと不安でした。

ボクは無理やり連れてこられた初めての部屋と二人の人間が怖くて怖くて、台所のテーブルの下にもぐり込み、お父さんが来ても、かあさんが来ても背中の毛を逆立てて、フーッ、フーッ、と鳴くばかりで出ていきませんでした。仕方なく、かあさんはお皿に人肌程度に温めた牛乳をいれて置いてくれました。ボクは夜、こっそり出てきて全部飲んじゃいました。あーおいしかった。

翌日はお父さんも、かあさんもお仕事があるのでボクを置いて出かけて行きました。かあさんはボクを一人にするのがとっても心配だったそうです。会社にいても気が気ではありませんでした。お父さんはそのころは単身赴任で東京へ行っていました。金曜日の夜に帰ってきて月曜日の朝の新幹線でまた東京への1週間の繰り返しでした。ちなみにボクは東京も新幹線もまだ見たことありません。

さあこの日からボクとかあさんの2人暮らしが始まったのです。

ボクはもう怖くはありませんでした。この人達はボクに食べ物をくれるやさしい人達なんだってことがわかったんです。かあさんが帰って来て「ケン太、ケン太」と呼びます。それってボクのこと? ボクは「ミャア、ミャア」とご飯をおねだりしてみました。「出てきたのね! よしよし」かあさんはボクを撫でてから、また温めた牛乳と猫缶(カルカンだったかな?)を少しくれました。久しぶりのまともなご飯はおいしかったー。

食事に満足すると次は緊張で我慢していたオシッコがもれそうになりました。どこにしたらいいの? 鳴いてもかあさんはボクの気持ちに気づいてくれません。ついにうちで一番高い家具(と、かあさんがいつもボヤクんです)のソファにオシッコをもらしてしまいました。それを見つけたかあさんは、さあ大変。ティッシュや新聞紙で一生懸命、ボクのオシッコを吸い取ろうとするのですが・・・。腹にすえかねたかあさんは人間のトイレの前に置かれたダンボール箱のトイレにボクを連れて行って「ここがあなたのトイレなんだからね!」と教えてくれました。

それからは一度もそそうをしたことはないよ。あっ、そうだ一度だけ、かあさんが寝室のドアを閉めてしまったので、僕が出るに出られず、かあさんの羽毛布団の上にしたことあります。羽毛布団の上は気持ちいいよ。この時もオシッコを吸い取るのは大変だったようです。でも、かあさんは僕に謝っていました。「ゴメンネ、かあさんが閉め出しちゃったもんね〜、悪かったね〜」って。ゴメンネ、かあさん。

(写真は夜撮ったのでお目々が緑色してます。なんで?)