第八章 朝礼での「今日の一言」そして大分出張
喫茶店部では毎朝の朝礼時誰かが前に来て一言何か言う事になっていた。その当番が皇氏にも廻って来た。
皇氏は趣味でツーリングをよくしており、いつぞやの休みの日にも行って来たらしい。その際高速道路のチケットを無くすというアクシデントに見舞われ、料金所を通過できず、事務所のような場所に連れて行かれ、高速道路に入る前の行動について追求され、本当はどこのインターチェンジから入ったのかを調べられたらしい。ここで、信用されないと始点からの料金になってしまうそうだ。結局皇氏の場合、インターチェンジ近くのコンビニのレシートを持っていたおかげで信用され、正規料金で済んだようだ。
この経験を活かすべく、皇氏は職場の朝礼で「コンビニのレシート等そのインターチェンジから乗った事がわかる物を持参して高速道路に乗るように」との事を言ったらしい。・・・・職場の朝礼だぞ・・・。
ある日の昼休み皇氏の様子が少し違っていた。いつもは私服で会社に来ているのにこの日はYシャツにネクタイをしていた。何故か聞いてみると大分出張との事。移動時間が長いためこの日の夕方から行かねばならないようだ。
出張は移動日を含め3日もの長丁場であった。しかし異変は出張後に起こった。お休みを続けたのである。本人曰く「腸炎」だそうで、その後腸炎から喘息へと「病状」が変化し、ちょくちょく会社を休むようになった。会社の食堂では咳を連発して向かいに座っている人の食欲を削いでいた。しかし、誰も本当に病気と思わなかった。「会社休む前振りか」と皆で陰口を言っていた。ほとんど賄氏と同じ扱いである。