2008年12月のみことば


子どもと共に迎えるクリスマス


イエスに触れていただくために、人々が子供たちを連れて来た。弟子たちはこの人々を叱った。しかし、イエスはこれを見て憤り、弟子たちに言われた。「子供たちをわたしのところに来させなさい。妨げてはならない。神の国はこのような者たちのものである。はっきり言っておく。子供のように神の国を受け入れる人でなければ、決してそこに入ることはできない。」そして、子供たちを抱き上げ、手を置いて祝福された。
                        
 (マルコによる福音書10章13節〜16節)

 クリスマスの飾り付けが街をにぎわしています。暗さが増してゆくのこ季節に、色とりどりの輝く明かりが瞬くとき、わたしたちの心の中にも、光がともされたような感じがします。最近は、特に、その色合いが鮮やかになり、また、普通の家庭でも屋根や庭を飾っているところが多くなって、クリスマスが来たことを世界中に知らせてくれているようです。

 クリスマスは、神のみ子、イエス・キリストがこの世に来られたことを感謝し、祝うときです。クリスマスの喜びが少しでも理解できたら、この世界がどんなに暗く、希望がないように見えても、神様は決してわたしたちを見捨てることはない、という力強いメッセージを聞き取ることができます。しかも、そのメッセージは、特別に力のある人、能力のある人にではなく、最も貧しく、低く、力のない人たちにこそ、いっそうはっきりと知ることができるものなのだ、ということを学びます。

 クリスマスには、子どもと一緒にお祝いしたい。子どものために、何かをしてあげたい、と考えている人は、クリスマスの楽しみ方を正しく理解している人です。小さい子どもの心にこそ、主イエスがどんなにやさしく、どんなに親しく近づいてくださるかをはっきりと悟り知る心が備えられているからです。だから、何かを子どもにしてあげる、というより、子どもから何かを教えてもらう心で、子どもと一緒にクリスマスを迎えるとよいのです。

 イエス・キリストと子どもの関係は特別です。「子どもたちをわたしのところに来させなさい。妨げてはならない。神の国はこのようなものたちの国である。はっきり言っておく。子どものように神の国を受け入れる人でなければ、決してそこに入ることはできない」といわれるのです。子どもに対するまなざしの深さはは、わたしたちが子どもと関わるときの原像であり、基礎であり、目標です。

 この言葉を語られたとき、イエスの弟子たちは、だれが一番偉いかを論じ合っていました。主イエスは弟子たちの真ん中に子どもを立たせ、妨げようとする弟子たちに対して腹を立ててまで子どもを近くに置かれ、祝福されます。この子どもの存在を通して、神の国がわたしたちのただなかに来ているというその存在のあり方を指し示しているからです。これは容易ならざる逆説です。こどもは大人の文化を学び、言葉と習慣を身につけることによって人間になります。子どもは大人のようにならなければ人間として認められない、これが常識です。子どもたちが幼稚園から学校へ、更に夜遅く今で塾に通って勉強しているのはなぜか、一人前の大人になるために、人より優れた大人になるために、ということでしょう。・・・しかし主は、逆のことを言われます。それはどういう意味なのでしょう。

 確かに、子どもは純粋で、無垢で、希望にあふれ、長く怒ることなく、欲望に心乱されることなく、裏表なくだれとでも笑顔で受け入れることができる、素晴らしい存在。その可愛らしさ、無邪気さによって心は和み、癒される。それは本当です。しかし、このような理想化された子ども像は、近くで子どもに接している人たちには受け入れることはできません。子どもも大人と同じように多様で複雑なのです。

 ではどうして、子どもは神の国を自分のものとし、また子どもは神の国を映し出す鏡なのか。それは、子どもの小ささに鍵があると思います。いと小さいものほど神の恵みは豊かにあふれていることに目を覚まされるからです。空の鳥や野の花がそうであるように。天の父の愛をより鮮やかに見せるためのもの、人の知恵や法が精度を高めれば高めるほど見えなくなる世界が子どもによって示されているのです。

 クリスマスは、不思議なことに、飼い葉おけに寝かされている赤ちゃんのイエス様の前で、ひれ伏す羊飼いや東の博士たちの姿がさまざまな有名な画家たちによって描かれています。最も無力に見える赤ちゃんのイエスさまの姿を通して、天の父の限りない愛がわたしたちに示されているからです。主イエスは子どもの姿で、わたしたちに救いと希望を告げています。子どもと一緒に、子どもから学びながら、今年のクリスマスを迎えましょう。
上尾合同教会  秋山 徹牧師
(あきやま とおる)




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