2007年5月のみことば


湖の上を歩く

それからすぐ、イエスは弟子たちを強いて舟に乗せ、向こう岸へ先に行かせ、その間に群衆を解散させられた。群衆を解散させてから、祈るためにひとり山にお登りになった。夕方になっても、ただひとりそこにおられた。ところが、舟は既に陸から何スタディオンか離れており、逆風のために波に悩まされていた。夜が明けるころ、イエスは湖の上を歩いて弟子たちのところに行かれた。弟子たちは、イエスが湖上を歩いておられるのを見て、「幽霊だ」と言っておびえ、恐怖のあまり叫び声をあげた。イエスはすぐ彼らに話しかけられた。「安心しなさい。わたしだ。恐れることはない。」すると、ペトロが答えた。「主よ、あなたでしたら、わたしに命令して、水の上を歩いてそちらに行かせてください。」イエスが「来なさい」と言われたので、ペトロは舟から降りて水の上を歩き、イエスの方へ進んだ。しかし、強い風に気がついて怖くなり、沈みかけたので、「主よ、助けてください」と叫んだ。イエスはすぐに手を伸ばして捕まえ、「信仰の薄い者よ、なぜ疑ったのか」と言われた。そして、二人が舟に乗り込むと、風は静まった。舟の中にいた人たちは、「本当に、あなたは神の子です」と言ってイエスを拝んだ。
           (マタイによる福音書14章22節〜33節
)



 今日は皆様に荒波の上を歩く幸せな生き方についてお話しましょう。
 私達の住んでいる社会は丁度大海のようなものです。凪(なぎ)だと思ったら急に突風が吹いたり、嵐になったりします。小さな小舟の私達はもみくちゃにされてしまいます。明日もわからない人生はいつも順調に予定通りには行きません。天変地異があったり、家族に何かおこったり、世の中の変動や、自分の病気やけが、失業などがあると、その中で右往左往してしまいます。どうしたらよいのでしょうか。

 聖書に荒波の上を歩いた、お弟子のペトロの事が書いてあります。一緒に学んでみましょう。
 イエス様が大勢の群衆に天国や眞理についてお話なさったり、病人を癒されたりした後の事です。イエス様は弟子達を舟に乗せて、ガリラヤ湖の向こう岸に行かせました。イエス様御自身は祈る為に近くの山に登っていかれました。弟子達の舟は順風に帆をあげて湖面をすべるように走っていきました。きっと、弟子達はその一日のイエス様のなされた業や教えについて話し合いながらゆっくり舟旅を楽しんでいたのでしょう。でもそれは長くは続きませんでした。岸から大分離れた頃、逆風が吹いて来たのです。帆をあげて走る舟ですから風向がよければ順調に走りますが、逆風ではもどされてしまいます。

 強風にもまれ、さすがの漁師だった弟子達も波に悩まされ、一晩中大さわぎをしておりました。やっと夜明けになり、あたりがしらみかけた頃、お祈りを終わったイエス様が湖の上を歩いて来られました。夜通し風や波と戦ってつかれ果てた弟子達は、湖の上を歩いて自分達の舟に向かってくるイエス様を幽霊とまちがえてしまいました。弟子達は恐ろしさのあまり叫び声をあげました。イエス様はすぐに「安心なさい。わたしだ。恐れることはない。」と声をかけて下さいました。弟子達は、ほっとしました。すると年長の弟子であるペトロが突飛な事を云いました。「主よ、あなたでしたら、わたしに命令して、水の上を歩いてそちらに行かせてください」と、向うから歩いてくる親をみつけて、幼子がとびついて行くように、恐怖でいっぱいだった彼はすぐにイエス様の所に行きたかったのでしょう。イエス様はペトロの願いを聞いて「来なさい」と云われた。ペトロは躊躇せずに舟から足を出して水の上を歩き、イエス様の方へ進みました。何と彼は水の上を歩けたのです。

 ここでちょっと、義父がどうしてクリスチャンになったのか、そのいきさつを話しましょう。彼は若い頃、人生になやみ、苦しんでいたそうです。たまたま街を歩いていた時、路傍説教(街頭での伝道活動)を聞きました。丁度この聖書のお話、ペトロが水の上を歩いていたお話でした。「この世は荒波でイエス様のお助けいただくと、世の荒波の上を歩ける、そんな生活ができます。そんな生活がしたい人はついて来なさい。」との事で、彼は教会までついて行った。それから毎週教会に行くようになり、生活にも仕事にもはりが出て生甲斐のある、世間の一歩上を歩く生活が出来たと云っていました。

 聖書に戻りましょう。水の上を歩いたペトロは強い風を見て沈みかけてしまいます。イエス様から目をそらし、よそ見をしてしまったのです。波風に気をとられてしまうと、ずぶずぶと沈みかけてしまったのです。びっくりしたペトロは、あわててイエス様を見上げて手を挙げて叫んだのです、「主よ(イエス様)助けてください」と。イエス様はすぐ手をとって引上げてくださって、「信仰のうすい者よ、なぜ疑ったのか」と叱りました。どんな苦難があっても、それがどんなに強くても、主が助けて下さる事を疑わないで、100%信じてすべてをゆだねる時、この世について、社会の一歩上を歩く人生が送れるのです。救い主イエス様が共にいて下さるからです。2人が舟に乗りこむと風は静まりました。弟子達の舟にイエス様が乗っていらっしゃらなかった時、逆風で悩んだが、イエス様がお乗りになったら風が静まって凪になったのです。イエス様が一緒にいて下さるだけで平穏になるのです。どんなにまわりが荒れていても大丈夫、そこは神様が共にいて下さる所ですから。舟にいた弟子達はイエス様に向かって、「本当にあなたは、神の子です」と云って礼拝しました。常に波風荒れくるうこの世、社会の一歩上をあなたも神と共に歩く幸せな生活を考えてみませんか。

 私たちは今、平和な日本で豊かに暮らしています。一頃、世界の人々から「うさぎ小屋と云われた住宅も、この頃では立派な家やマンションになりました。電化製品があふれ、情報があふれ、自動車や交通手段も限りなく便利になってきました。お金さえ現金を使わないですませるスイカ、パスモの時代となりました。けれども皆さん本当に幸福でしょうか。事故や、事件がいっぱいあります。会社や家庭で、人間関係で苦悩している人が大勢います。競争社会で浮沈みする会社や商店、栄枯盛衰常ならぬのが社会です。私達は様々な舟に乗っています。会社とか、団体、家庭、皆、安定し、安全の様に思われても、いつ荒波が押しよせるか分かりません。舟の下、板子一枚下は地獄と云われます。そんな人生に確たる平安をもたらす救い主がイエスキリストです。この人の業と教えを見て下さい。どうぞ教会へ来て見て下さい。

白岡伝道所  福島英子牧師
(ふくしま えいこ)




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