2006年4月のみことば

インマヌエル

　春。別れや出会いの季節です。
　春。希望の季節です。・・・とは、なかなか学生時代や働いていた頃は思えなかったわたしです。なんとなく憂鬱になる季節でした。
　学生時代は、クラス変えで、友達や担任の先生が変わることや、あるいは、意地悪な同級生とまた１年同じクラスかと思うと憂鬱になるのでした。
　働いている頃は、転勤や、配属換えで、新たに人間関係を作っていかなくてはならないことや、同じ会社の中でも、配置換えで全く新しい仕事を１から覚えていかなければならないことを考えると憂鬱になりました。仕事を辞めて７年が経ちますが、いまだに夢にうなされることがあります。

　ある年、桜が散る頃、だんだんと自分自身を保っていられなくなった時がありました。でも、誰にも言えなかったし、誰にも会いたくなくなりました。教会にも行けなくなりました。仕事も休みたかったけれど、休んだらもう、行けない気がして、這うようにして、自分をカチカチにして、ただ、会社と家とを往復していました。
　でも、フッと、このまま消えてしまえたら・・楽になるだろうか？と自分でも、何をしだすかわからない感じがしていました。
　丁度イースターの頃でした。

　物が食べられなくなり、体は痩せ細って、一人暮らしの部屋の中で、ふっとひとりとめどもなく涙が止まらなくなり泣きじゃぐったり。
　少しでも、楽になりたいと思って、病院を訪ねると「心が疲れている」と言われて、薬をいただき飲み続けたけれど、何も変わらなかった。
　最初の病院では、いろいろ聞いては下さったけれど、待合室で、他の診察室の中の声が聞こえてくるのが嫌で、他の病院に変わりました。次の病院では、緊張で常に汗ばんでいたわたしの手を、女性の医師が、握ってくれたことがとてもうれしかった。
　でも、このまま、どこまで、沈んでいくのだろうかと、思うだけでした。
　半年を過ぎた頃「フットプリント」という詩を読みました。
　とめどもなく、涙が出て、とまらなかった。

　３０年以上、教会の中で、生きてきたのに、神様が今も、こんなわたしのそばにずっといて一緒に歩いてくださり、時には歩けなくなったわたしをおぶっていてくださったことに気がつかされました。
　汗でべたべたの手を握ってくださった医師の手も、ひとりでこもっていたわたしを外に連れ出して気分転換をさせてくれて、家に泊めてくれた友達。
　気がつかなかったけれど、神様が見守ってくれていた。
そのことに気がつくことが出来て、そのことを知ることが出来て、ほんとうに嬉しかった。
　ほんとうに嬉しくて、嬉しい涙が久しぶりに流れました。

　あの頃と、今の時代は、また、大きく様変わりしています。
　もっともっと、たくさんの人が疲れきっているのではないかと思います。

　無理しないでいいよ。
　一生懸命にしないでいいよ。
　消えないでね。
　あなたが、今、いることが、生きていることが大事。大切なんだから。

　「『インマヌエル』神はわれらと共におられる」（マタイ１：２３より）。
わたしのそばにも、あなたのそばにも、今も、神様が傍にいてくださり、あるいは、重たいわたしたちを抱えて歩いておられます。 　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　 アーメン
加須教会 　浦部牧子牧師
(うらべ　まきこ)




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