「ああ、雅也(まさや)、愛してるわ……」 ……そのときのことを、よく覚えている。 押し当てられた、彼女の躰の温もり。さらさらと心地よく肌に触れる、その流れるような黒髪。その黒髪から漂う、彼女の香り。頬に触れる、吐息。背中に回された、華奢な腕の感覚。 そして、触れ合った唇に込められた、熱のような想い。 ……清花(さやか)。 愛すべき、俺の、半身。 「雅也、雅也……。 あなたのことを、愛してるわ。 そう、あなたの全てを、私が守ってあげる。 あなたを傷つけようとする、あらゆるものから。 たとえ、他の何を犠牲にしようとも、あなたのことは、私が守るの……」 …………そして、彼女は、その通りに、……した。 |