武装が撤去された跡の機体砲口部分を塞ぐカバーについて
07.10.5

 244戦隊の3式戦では、胴体砲または翼内砲のいずれかを撤去して運用した例が少なからず存在した。これは単なる軽量化のみならず、搭載武装の数(重量)に差を付けることにより、高々度性能を平準化し、戦闘隊形(編隊)を維持し易くする目的があった。

 撤去された砲の跡は機体に穴が開く状態となり、そのままでは空気抵抗の増大等に繋がるために、砲口部分は何らかの手段で塞ぐ必要があったと考えられる。

 写真によって確認できる小林戦隊長機3295号、4424号、震天隊四宮中尉機57号、中野伍長機33号について検証してみると、翼内砲の場合にはテープ状のもので、胴体砲の場合には、くびれ部分をピッタリ塞ぐ専用のカバーが装着されていることが分かる。

 翼内砲の場合は、皮革あるいはゴム板等を接着(粘着)剤で貼り付けていると考えられるが、不思議に思うのは胴体砲部分である。
 写真で見る限り、やはり材質は非金属、おそらくは皮革であろうと推察されるが、これはどんな方法で固定されているのだろうか?

 砲の撤去はあくまでも暫定処置であるから、簡単に原状復帰が可能でなければならず、ネジ、リベット等の機体に穴を開ける固定手段はとれなかったはずである。
 写真でも、表面上はネジ類も金具も一切見あたらないので、接着剤あるいはシーラントで貼り付けられている可能性が高いのだが、確証はない。もし何かご存知の方は、ご教示いただきたいものである。

 なお、前記四宮中尉機57号は、過去の出版物では
1型とされているが、これは誤り。正しくは機首が短い十干が以前のタイプである。

 また、3295号機のプラモキットでは、胴体砲部分のカバーの色を「赤」と指定しているようなのだが、これには疑念がある。写真では塗装が施されているようには見受けられず、材質が皮革であるとすれば、表現が適切か否かは分からないが、革鞄の裏側と同様の「らくだ色」ではないだろうか。


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