射朶


 射朶(しゃだ)は、銃砲の試射をする土手のことで、調布飛行場の場合、元々は営門の近くにあったが、昭和19年夏、調布飛行場最終拡張の際に天文台下の段丘崖を利用して本格的に造成された。
 20年9月2〜4日の占領軍進駐時には、多くの旧陸軍機が射朶周辺に押し込められ、作業を急ぐあまり、傍を流れる野川や周囲の水田に突き落とされた機体もあった。

「朶」という字には本来「土へん」が付くが、JIS漢字に登録されていないため「朶」で代用している。




子供たちのよい遊び場になっていた昭和50年頃の射朶跡。
この後間もなく宅地造成されてしまった。

昭和19年夏、出来たばかりの射朶で照準調整
する独飛17中隊の100式司偵3型改防空戦闘機。
同中隊は、調布飛行場西地区に展開していた。








南方から見た昭和40年頃の射朶付近。右手後方が射朶跡、左には幅1メートル
ほどの野川が流れ、流域は水田。射朶の隣にはワサビ田があった。

この頃はまだ風景は破壊されていないが、現在は住宅で埋め尽くされており、
訪れる気も起こらない。以前は、当地域を「緑豊かな…」などと形容することが
多かったが、そんな言葉を聞かなくなって久しい。




射朶の崖上、東京天文台の裏辺り。のどかで懐かしい光景。09.11.2追加



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