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参/水鏡、曇のち晴れ。
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 ――目を、覚ます。

「あ、起きた。おーいテュッティー」

 瀬里奈がテュッティを呼ぶ。すると驚いた表情のテュッティが走ってこちらにやって来る。

「雪那! あなた宝具の選定やっちゃった!?」

「……あのな、女の子がいきなりやっちゃったはねえだろう」

「え? あ」

 顔を真っ赤にしてテュッティは俯いてしまった。よく見ると耳まで真っ赤。こういうのは素直にかわいいと思う。

「雪那殿、急に宝具が消えてしまったので何事かと思いました。するとテュッティ殿がもしかしたら、と言うものですから」

 カーマインが割って入る。こういう状況ではほんと、助かる。

「ああ。意識失っているのをいいことに俺の心の中に直接入り込んで話しかけてきた。ま、おかげで選定は簡単に済んだよ……ってあれ? 傷が、治ってる?」

 身体の外側だけではなく内側までも完璧に治っていた。

「え? ああ、宝具が消えてからいきなりあんたの体、治ったみたいだけど?」

 ――となるとあいつなりの励ましか。

「オーケー、事情は理解した。宝具は俺が所持者になったよ。これで目的達成か」

「そのようですね。選定に関しては我々が関与できるものではありませんから。ところで雪那殿、オーブは何処に?」

「? なんだそりゃ?」

「あの宝具はオーブですよ? 前に私が扱おうとしたときは魔力を注ぎ込もうとしただけで全てを吸い取られそうになりましたが」

 ……話が違う。自衛のためとはいえ少々強力すぎるし、形も……ん?

「……刀、鞘の色が違う」

 雪那が気付いたのはそれだった。蒼い鞘が紅い色に変わっている。まさか。

「俺の『霧消』と融合したのか!? そじゃあこれも指定した型の一つか。まあ、これなら扱いやすいからな、助かるぜ」

「???」

 他の者達はどうも話についてこれていない。

「あの、雪那殿? 宝具は?」

「ん? ああ、説明しないと分からないか。この宝具はさ、九つの形を持っていて所持者が自由に九つ分決める方法で型を成すんだ。で、所持者がいない時はオーブ。現在、刀もその一つになっている」

「……うそ」

 他のみんなは、信じられない、という顔だ。

「まあ旧約聖書に書かれていたくらいだからこれくらいのインパクト無いとなー。うんうん。ではお披露目しますか。九つ、いまやってみるよ」

 その後。さらに驚愕の光景をみせつけられたメンバーは、しばらく口が塞がらなかった。

「帰還するぞー。いつまで口開けてやがる」

「え? あ、ああ、すみません」

「インパクトありすぎよ、あれ」

「ちょっと予想外すぎかも」

「ですが今のでは八つしか見せていませんが」

 疑問をもったダンデオンが雪那に訊ねる。

「ああ。最後の一つは限界突破(オーヴァードライヴ)したときだけに使用できるやつだ。ここではお披露目できないな」

「そうですか。では、帰還しましょう」

 フェイミンが促すのと同時に全員が帰還を始める。また、いつもの生活に戻るために。



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