6/8 「ロイ。メンバーが決定したら副隊長も連れて私のところに来てください。メンバーの確認と打ち合わせをしましょう」 「了解です。では、後ほど」 ミーティング後にメンバーを決めて千鶴の所に向かう。と、ここまでは何事もなく進んでいたのだが事件はこの後に起こるのだった! 「……ロイ、俺寝てもいいか」 「いえ、聞いて下さい。つーか愚痴るヒトが欲しい。お願い」 千鶴の部屋にて打ち合わせ中。段取りは特に詰まることなく進み、後は「規格外者(ノンスタンダー)」に遭遇した場合の対処法になった。足場が悪い場所が多いロシアでは一つ間違った行動を取れば命取りになる。そのためここは慎重に対処法を考えなくてはならない。 「ロイは地形から見てどう判断できますか? 接近戦は不利でしょうし、結界がある以上まとまりすぎるのも得策ではありませんが」 「ええ、そうですね。森の中、ということもありますからあの女の結界は非常に危険だ。ここは思い切った作戦になりますが俺と千鶴姉だけ残るというのはどうでしょう」 「それはほんとに思い切った作戦ね。他のヒト達にはレイポイントを優先させるの?」 「全員が残れば結界でやられかねない。だけど二人ならあちらもなめられていると油断するでしょうし、何より千鶴姉が接近戦をできないと油断している可能性がある。それは確実にこちらに有利に働くから確率は高いかと」 すると千鶴は少し考えた後、 「……そうですね。確率が高いのであればそちらを取りましょう。あなた達は?」 二人の副隊長にも聞くが反論は無いようだ。 「では決まりです。ロイ、その時は頼みますよ」 「了解。ふう、予想以上に話はあっさりと決まりましたねー。千鶴姉もこれくらいあっさり男捕まえればいいのになー」 ピシッ。何かが、割れる音がした。 「よーし、時間もちょうどいいし飯でも行きますか。そうだ、たまには千鶴姉も一緒に……」 そこでロイは固まる。よく見ると千鶴の右手に、今にも弾けそうな、雷。副隊長達はすでに部屋の外に非難していた。そこまで状況を確認してロイはようやく理解する。 ああ、地雷を見つけたのではなくて。もう、踏んでしまっている―― 「お仕置きが必要ね、ロイ♪」 「あ、はは、すみませ」 彼の絶叫は。宿舎内に高く響き渡った―― 「……という訳なのだよ」 「やっぱりお前が悪いじゃねえか。無意識でも何であっても口から出た時点でアウトだ」 そう。千鶴にはもう何年も彼氏がいない。付き合った男のほうから根を上げてしまうのだ。原因は未だに不明だが、彼氏を作らなくなってからこの話題に触れようとすると文字通りの「天罰」を喰らう。次の日が任務でも、容赦なく。ロイは全員の中で「天罰」を喰らった回数がトップだ。今回の件でさらにスコアを更新した。 「ふう。どうでもいいがほんとに寝るぞ」 「? どうした。具合でも悪いのか。まだ日が沈みかけている最中だぞ」 「いんや。抱えていた不安を解消してきたが同時に精神的にかなり疲れた。今日はこれ以上持ちそうにないや」 二段ベッドの上に上がり枕に顔をうずめる。 「そっか。なら明日は少し早めに起こしてやるよ。その時間でシャワー浴びて来い」 「ああ。頼む」 その台詞を最後に、雪那は深い闇の中へ意識を落とした。 Copyright 2005-2009(C) 場決 & 成立 空 & k5 All rights Reserved. |