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はち/宮崎家の休日の場合
〜ご奉仕評価争奪戦・第2ラウンド開始〜
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「最初の先制は貰ったんだから、どうにかしてうまくやらないと」 

こちらは椿。

目の前にきわどい服が何種類か並んでいる。最初に玄関で出迎える役目は部屋での奉仕に続いて有利といえば有利だ。

なにせ、事情を全く知らない雪那を一発目で驚かせるわけだから、うまく選べば相当なインパクトを植えつけることが出来る。

「うむ。もうこの際、下着でもいいかなと思えてきた私やばいね」 

本気でそれでもいいかと思い、用意された中にある下着までも吟味し始める。あからさまに派手なものを一応選んでおき、服の選定に戻った。

「ゴスロリ……いや、SM女王様でもいいかな」

 と。

「椿さん、決まった?」

「ううん、まだ。それとね、椿さんってその」 

綺羅々がそう呼ぶのは前の事件のせいだろう。まだ学校のヒトに距離を置かれていると分かった椿は気が重くなる。

「……。うん。わかった。椿、それでさ」

「え?」

「大丈夫、瀬里奈と友達なら私も友達よ。それでね、これなんてどう?」 

あっさり同意してくれた綺羅々に驚きながらも、綺羅々が用意した衣装を見る。

「これだとどうかなあ」

「あのさ、今のところ京子にも回避させたから和服はないわけよ。いけるかもよ?」 

一瞬、それを聞いて椿の表情が変わる。京子が和服を回避した――?

「……いける」

「およ?」 

ここで頭の中に思い描いたプランをそのまま綺羅々に話す。

「綺羅々、これをもっとこうしてね? それで、こうして……」

「ふんふん。おお、面白い! 大丈夫、それなら向いてるやつあるよ! 椿凄いね、センスいい!」

「へへ。よーし、これで雪那の心鷲掴みよ!」  

最後に残るはアティ。さすがに体のサイズが違うため、どの服も着ようとしても、只でさえ小さい綺羅々のサイズの服ですら体に合わない。

「うー、これじゃえらべないよう」 

悩んでいると、そこに綺羅々がやってくる。

「アティちゃん、決まったー?」

「キララおねーちゃん、どれも大きくてアティが着れないよ」

「あらら、私より小さいものね。うーん、どうしようか」

「うーん」 

アティは綺羅々の真似をして、顎に手を当てて同じポーズで考え込む。すると、綺羅々の目の奥が嫌な光を発した。

「ねね、アティちゃん。私に任せてくれない?」

「?」

「大丈夫、月代君を一発で落として見せるから」

「うん! じゃあキララおねーちゃんにまかせるね!」

「ふっふっふ、この子は最終兵器そのものよ。覚悟なさい、月代君……」  

かくして、全ての衣装は選択し終える。あとは夕飯にあわせて雪那の帰宅を待つのみ。

「へえ、雪華ちゃんも凄いの選んだじゃん」

「せ、瀬里奈さんこそ、そんなの……!」

「京子すごいの選んだね……」

「わ、私は恥ずかしくてたまりません……! 綾乃さんはもうそれ犯罪ですよ!?」

「これは着たもの勝ちだ。文句は言わせんぞ」 

着替えた全員が揃うとかなり圧倒的な光景である。やばい集団にしか見えない。ちなみにアティはというと。

「アティちゃんは最後だから、途中で居間に目が行かないように待機させてる。食事中にさりげなく配置させるから、それまでは秘密ね」 

とのこと。あとは各々が解散して配置についた。キッチンで彼女が料理の下ごしらえを終えたら開始ということになる。雪那は結局雪華が料理準備を終えるまでさらに2時間街を彷徨うことになった。



  帰宅してもいいぞとメールを貰った雪那は、歩き回って時間を潰した挙句ようやく帰路に。

そして、家の前に戻ると――

「……」

「おかえりなさい、月代君」

「あー、いや、待て。少し待てよ」

「うん」 

状況は読めないが、良くない方向に傾いているのは理解できた。目の前にいる少女はクラスメイトの朝幹綺羅々だ。

彼女が何故ここにいて、何故自分を出迎えたかはこの際どうでもいい。分かる。家の中に入れば間違いなく何かしらの洗礼を受けると。

「今日は田中の家にでも」

「駄目。綾乃先生が直々にご指名です」

「――はい。で、俺はどうすればいいんだ」 

そしていつものごとく先手を打たれた雪那はあっさりと負けを認める。昨日あんなことがあったばかりのため、ここでさらに底下げするわけにはいかない。

「中に入ったらね、1人ずつ案内していくからその指示に従って。それで最後に誰のが一番よかったか聞くから。それだけよん」

「え? あ、ああ、じゃあとりあえず入ればいいのか?」

「そ。じゃあ開始でーす」 

戸を空けてもらい、早速雪那は玄関に。

「雪那、お帰りなさーい!」

「ぶっ!」 

出迎えたのは椿。その姿は着物、というか浴衣。ただし、もう下着が見えそうなくらい丈はぎりぎりで、生足全開です。ついでに着ている浴衣の生地自体非常に薄く、肌の色まで確認できるためにブラが透け透けだ。青いブラが見えておりまする。

「お、おまえ」

「はーい、最初は私だよー。ほら突っ立ってないでこっちきなよ」 

ぐい。 

引っ張られて抱き寄せられた。すぐ傍で見れば見るほどくっきりと下着が見える。耐性がないわけではないものの、ここ最近は確実にご無沙汰のため、体に良くないことこの上ない。椿も髪型を少々いじっており、うなじが見えていつもより断然綺麗だった。

(……やべ) 

体が反応しそうになるのをなんとか抑えて靴を脱ぐ。

と。

「ふふ」 

ぎゅむ。

(――。胸) 

当たってます。どうせわざとだろうけど。腕にやわらかーい感触が。噛み締めながらなんとか我慢する。

「ねー雪那」

「あ、ああ?」

「暑いよねー」

「!?!?」 

襟元をわざとあけて見せてくる。まずい。かなりきつい。

「くくく、そんな顔しないの。さて、次は」 

ピーッ!

「え?」

「時間切れです。はい、椿、次に案内して」

「え! 短いよー!」

「文句言えば失格」

「うー……」 

どうやら時間切れのようだ。笛を持っているのが綺羅々であるため、彼女が時間を計っているのだろう。

しかも本人達は知らないと見た。これで1つは希望が持てる。きつくても我慢すれば解放はしてもらえるのだ。なんとか椿の誘惑を耐え切って、次へと進む。

「ほら、椿」

「んー。次は食卓で飲み物を貰ってね」

「お、応。じゃあ」

ばっ。

「――」

「いってらっしゃーい」 



最後に見えた椿の青いレースの下着を目に焼き付けながら、雪那は食卓へと向かった。


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