海賊版資料
「狂気のONE PIECE全話解説」

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狂気のONE PIECE全話解説
 ・以下の文章は 某所 での29条3項様の解説をほぼ原文で掲載させて頂いております。
 29条3項様には改めて御礼申し上げます。
巻十九 "反乱"

第167話 「”戦線”」

   1ページ目にアラバスタの位置関係の略図が載っている。
   普通に読んでいると全く気づかないが、よく見ると
アルバーナの裏側に、謎のでっぱり(クレーター?)みたいなものが描かれている

   これは、一体なんなのか?一番可能性として高そうなのは、"プルトンの使用跡"という可能性である。

   以後の展開で言葉だけだが登場する、核兵器(?)・プルトンだが、何故それがアラバスタにあるかなどは結局明かにされていない。
   超長期的伏線(再びアラバスタが物語の部隊になった時に明かになる)と考えても良いが、ここは、敢えて「
裏設定」として考えてみよう。

   想像出来る設定としては、
  『数百年前、アラバスタ(アルバーナ?)はプルトンをかつて使って、滅びかかった。そのためプルトンを封印した。
  あのクレーターは、旧首都がプルトンで吹っ飛んでしまった跡である…』というところだろうか。

   話の本筋以外のところで、パッと見では気づかない絵をちょっと書いておくだけで、そこに裏設定を想像して楽しめる。
   これもワンピの凄さの一つである。

   なんだそんなこと、と思うかも知れないが、これは相当すごいことである。
   読者に裏設定を想像させるということは、それだけその物語世界がしっかりしているということであり、
  リアリティがあるという証左であるからだ。

   物語世界がしっかり一定の枠を持ち、作者はその世界観をきちんと構築していて、裏切らない。
   しかもストーリー上は明かされていない(描かれていない)物事も、きちんと物語世界に存在している。
   そういう
信頼が読者と作者の間に形成されていて初めて、裏設定というものが存在し得るのである。
   単なる荒唐無稽の行き当たりばったり漫画では、誰もそんなことに興味を持たないのだ。


第168話 「夢の街”レインベース”」

   サンジがプリンスの名をもらい、以後しばらく「Mr・プリンス」と名乗ることになるわけだが、
  クロオビにつけられた「騎士道」にしろ、この「プリンス」にしろ、どうも定着しないのが寂しい。

   思えばゾロの武士道に対する騎士道、ビビのプリンセスに対するプリンス、のような相対的・比較対象ありきなネーミングは、
  イマイチ
他者との関係でしかキャラを確立できない、サンジの悲しみというか、漂流っぷりを象徴しているような気もする。

   ルフィ・ウソップ相手ではツッコミ役・チョッパーやビビ相手ならお兄さん役、ゾロ相手ならボケ役、ナミ相手なら奴隷役、と、
  相手によって変幻自在にキャラを変えて行くサンジ。
   現実ならサンジはみんなに好かれる頼れる(かつ、どこか母性本能をくすぐる)人物な気がするが、
  ワンピ世界においては、どうも周りに濃いキャラが多く、割りを食ってしまっているような気がしてならない。

   だが、物語を書く方からすると、サンジはかなり「使いやすい」キャラとなっているように感じる。
   たとえば日常会話のシーンを書く時には、キャラが変幻自在なのでオチをどの方向にでも転がせるし、
  逆に戦闘シーンを書くときにも敵の強さを表現するのに使いやすい。
   (ゾロやルフィはストーリー上よほどの大物しか苦戦・敗北させづらいし、
  ウソップ・ナミ・チョッパーでは、戦わせても、敵の強さの証明にならない)

   濃いキャラたちの暴れまくる本作。
   サンジの存在は、作者にとって、意図通りにストーリーを転がす上の潤滑油になっているのかもしれない。

   "サンジならでは"の何かを見せつけて、なんとか
  
物語の主役に踊り出られるか、それともストーリーを自然に転がして行く潤滑油に殉ずるのか
    サンジの行く末を、見守っていきたいところである。


第169話 「”王国最強の戦士”」

   「海楼石」なるものが登場。これによって悪魔の実の能力者の弱点がもう一つ増えたことになる。
    これがいかに能力者同士の戦いを面白くしてくれるか、作者の力量に期待したいところである。

   王国最強の戦士、ペルの戦いも爽快。前のコマでわざとフォォォォ…と溜めを作って、
  次のページの「飛爪」で一気に放出する、この演出はさすがである。

   しかし、個人的には好きなペルの活躍が、結局この一回だけになってしまう、
  というか、既にこの回のラストでオールサンデーへの噛ませ犬の香りがプンプンするなんとも悲しい限り…


第170話 「”始まる”」

   オールサンデーのハナハナの実の能力、クロコダイルのスナスナの実の能力、その二つが一気に明らかになる、内容の濃い回。
   怒って飛んで行くペルのスピード感や、流れるようにペルを真っ二つにクラッチしてしまうオールサンデーの美しさと力強さも、印象的である。

   ところで、邪推とは思うのだが、どうしてもこの回からは「キン肉マン」を連想してしまう

   ジャンプ黄金期の代表的作品、キン肉マン。
   (2001年)現在、大学生以下の人にはあまりわからんと思うので、読み飛ばして頂きたい。

   まず、ハナハナ(手が六本)とスナスナ(全身砂化)の悪二人組は、アシュラマンとサンシャインのはぐれ悪魔超人コンビを彷彿とさせる。
   ビビが思わず口にする「関節技…!」の台詞。
   これに「サブミッション」とルビを振るのもキン肉マンならではだし、(48の殺人技&52の関節技)、
  ペルを仕留める「クラッチ」は、ラーメンマンの得意技、「キャメルクラッチ」そのものである。

   過去の作品のパクリは作品を貶める、と前に書いたが、ここまでオブラートに包んでくれるのなら、
  逆に昔からのファンへの隠れたメッセージぽくて、好感が持てる。
   歳を取ってる読者へのサービスをこうやって折りこんでくれる、これもまたワンピの一つの魅力と言えようか。


第171話 「”反乱軍統率者コーザ”」

   ついに動き始めるストーリー。
   この辺の、前回との繋がりが一瞬わからない展開・ストーリー構成が、うまく謎と緊張を演出出来ているように思う。

   国王が消えた理由は、182話まで不明(というか、結局直接的な説明はない。
  おそらくメリクリが地下から掘り進んで誘拐したのだろうが。この辺の読者の想像に任せる演出も、またニクい。)


第172話 「”反乱(うねり)”」

   反乱と書いて"うねり"。敢えてこう読ませる。
   第100話「伝説は始まった」の、G・D・ロジャーの台詞を彷彿とさせる。
  「決して止まらない」とそこで書いていると言うことは、この反乱は止まらないと、ここで予言しているのか?と、予想し、
  またもワクワクさせられた題名である。(結果的には「時代のうねり」ではなかったので、止まったが…)こういう、
  
題名からストーリーを予想したくなるのも、また本作の魅力である

   ストーリー的にも、ついに反乱軍・国王軍ともに緊張が爆発する、盛りあがりの回。
   町の風景や逃げ惑う人々、それに反乱軍や国王軍の一人一人を丁寧に描き込んでいる(アシスタントの努力?)結果、
  場面の緊張感がリアリティを持って迫って来る。

   さて、ちょっと気になる点が一つ。
   コーザの台詞、「
アラバスタはもう死んだ!」であるが、
  実はこれ、雑誌連載時は「アラバスタはもう死んだ!」であった("現"はない)。
   何故書き変えられてしまったのか、謎である。

   ここまでの反乱軍の描写からすれば、アラバスタを復興させようと考えている気配などなく、"現"なんて言い方をする理由がない。
 ("現"ということは、"新"アラバスタがある、と言う意味に聞こえる)
   どう見ても反乱軍は国王を打倒することしか考えていないし、
  考えてたとして、コーザを中心にした民主的新国家樹立、くらいであろう。"現"をつける理由がない。(ゴロも悪くなってる)

   意図の不明な書き換えであるが…さて?


174話 「”バナナワニ”」(週刊少年ジャンプ2001年第14号掲載)

   この「”バナナワニ”」、普通に数えれば173話だが、ここで何故174話と表記しているかというと、
  
雑誌連載時はこう表記されていたからである。
   その時は「消えた173話」として、謎に思い「来週、サンジが電伝虫をかけてくる過程が描かれて、それを"173話"とするんじゃないか?
  (つまり、雑誌連載とコミックス掲載で、話の並びが入れ変わる)」などと、想像していたのだが、
  なんてことはない、単なるミスだったと次の週に判明して、ガックリした思い出がある。

   ビビの手錠はいつの間にかはずれているし、作者も疲れ気味だったのだろうか?

   とはいえ、「お前の方が小者だろ!」と言い放つルフィの迫力は鳥肌ものだし、ストーリーの勢いは衰えを見せていない。
   ちょっとしたケアレスミス、というところだろうか。


第174話 「”Mr.プリンス”」

   サンジがクロコダイルをマンマと罠に掛け、かつてないほどにカッコイイ登場を見せてくれる回。
   ここでもまた、どうやってサンジがやられずに逃げて来られたのか、とか、じゃあクロコダイルは誰を追っかけてったんだよ、とかは
  
とりあえず謎のまま先へ進める演出で、スピード感溢れるストーリーテリングを見せている

   また、逃げるビビをクロコが叩き落すシーンを、直接描かずにビビとクロコのアップ絵に上から効果線を描きこむことで表現する手法は、
  迫力とリアリティを読者の想像力で補完し両立させる、秀逸な手である。


第175話 「”解放”」

   前話で説明しなかった、サンジのクロコ騙しテクニックを、ここで説明する。
   テンションの低くなりがちなシーンを次の話の冒頭でやって、カッコイイ見せ場を前の話のラストでやってしまう。
   なかなかにうまい方法と言えよう。

   また、その過程でもダラダラと見せないように工夫が施されており、
  チョッパーの「おれにできること…」の
一言で、チョッパーの心理状況を描き切っている
   しかも18巻でのウソップとのやりとりと繋がる、見事な台詞回しである。

   そしてラストはまたしても、謎を残して先へ進む前話の手法。
   今回は何故かMr3まで登場し、さらに強烈に次回への引きを残している。


第176話 「”Rush!”」

   Mr.3がバナナワニに食べられた展開が、実はここに繋がっていた。相変わらずのストーリー構成の絶妙さを思い知らされる回。
   また、ナノハナでナミが買った香水も伏線として使用される。
   もう、ありとあらゆるストーリー要素が螺旋状に折り重なって新たな展開を呼ぶこの作りは脱帽するしかない。

   一方、隠れたお遊び要素も満載。
   ここまで"溺れるルフィを救うのはサンジの役目" "ビビのウソップ鼻引っ張り" "ルフィ以外の能力者を救うのはゾロの役目"
  という変なジンクスが出来上がっているのに、お気づきだろうか?

   クリーク戦後、アーロン戦で沈められた時、双子岬でナミに蹴飛ばされた時、と、ルフィを救うのはいつもサンジだし、
  ビビは139話、203話でウソップ鼻引っ張りを見せている。
   また、156話でボンクレーを救ったのは状況から見てゾロだし、180話の川渡りでチョッパーを運ぶのもゾロである。

   こういう、お遊びジンクスを探して見るのもまた、ワンピの楽しみの一つであろう。

   ラスト、クロコダイルとの一騎討ち(?)を予想させる展開は、次回への期待感抜群の、見事な引きである。
   特にコミックス版はここで切れると次回まで3ヵ月待たされることを考えると、絶妙な区切り方である。


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