海賊版資料
「狂気のONE PIECE全話解説」

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狂気のONE PIECE全話解説
 ・以下の文章は 某所 での29条3項様の解説をほぼ原文で掲載させて頂いております。
 29条3項様には改めて御礼申し上げます。
巻一「ROMANCE DAWN −冒険の夜明け−」


第1話 「ROMANCE DAWN−冒険の夜明け−」

 一般的にストーリーの第1話に課せられた義務としては、
  1・登場キャラクターの顔見せ
  2・設定説明
  3・第2話以降に続く、ストーリーの一番最初の部分を見せる
  4・読む者にインパクトを与える何か
  5・+α

 順に分析して行こう。

  1・登場キャラクターの顔見せ
    意外にも、主人公である所のルフィは直接には登場せず、その少年時代のみである。
    しかし、少年時代の描写とはいえ、ルフィの現在の性格を十分想像させるだけの描写を行っているので、問題はない。
    それよりも、赤髪のシャンクスを第1話に持って来ることによって、その後全く登場しない彼を強力に印象づけることを優先させた訳である。
    実質的ストーリーの第1話となる第2話を1話に持って来ることを想像してみると、この選択は見事に成功したと言えるだろう。
   (ちなみにアニメはアルビダとのエピソードが第1話で、この話は第4話になっている)

  2・設定説明
    驚くべきことに、おおまかな世界観設定を一ページ目のたった3コマだけで行ってしまっている。
    かなり細かい設定を作者が考えていることは、先に進むに連れて明らかになるのだが、それをいっぺんに説明してしまうのでなく、
   小出しにして行くことで読者を飽きさせない手法はさすが。
    そして、ルフィがゴム人間である事、シャンクスがルフィを庇ったために片腕になったこと、ルフィの麦わら帽子の由来など、
   ストーリーの中で余すことなく描写し切っている。

  3・第2話以降に続く、ストーリーの最初の部分を見せる
    これについてはほとんど行われて居ない。近海の主との戦いだけである。
    しかし、これは他の要素と比べると、そこまで重要とは言えないものである。それよりも重要なのは次の要素である。

  4・読む者にインパクトを与える何か
    第1話で読む者に次の話を読みたい、と思わせるだけの何かを叩き込めないと、そのストーリーは継続して読んでもらえない。
    本作の場合、海賊物語、という目新しさと、何よりも劇的なドラマを、見事な手法で見せ切っている。
    普通にルフィの旅立ちから書こうとすると、第2話のアルビダとの戦いが第1話になるわけで、そうなるとややインパクトが足りない。
    もちろんその、インパクトを与えるだけのストーリーを書けるかどうか、が鍵なのだが…

  5・+α
    先の展開を期待させるという意味か、第1話のタイトルバックに、何故かルフィの横にナミがいる。
    折角だからゾロとウソップ、サンジあたりは描いても良いと思うのだが…まあ、いつ打ち切られるかわからない週刊少年ジャンプだから、
   そこまで恐ろしい真似は出来なかったのかもしれない。
    ナミを描いたのは、男ばかりだと余りに色気がないからか?
    しかし、ウソップは居ないが、その父ヤソップが描かれている所が恐ろしい。ちゃんと黙って伏線を張ってあるのだ。

  以上、第1話としては申し分ないだけの要素が52ページの中に盛り込まれ、かくしてルフィの冒険は始まるのであった。


第2話 「その男”麦わらのルフィ”」

   実質、ストーリーの第1話となる。コビーとの出会い、「金棒のアルビダ」との対決。
   1話に綺麗にまとまっているが、インパクトには欠ける。アルビダは1話限りの敵だし(この時はそうとしか見えなかった…)
  コビーも結構パターンな弱虫キャラである。
   ルフィの天真爛漫な性格が描写されていることと、ルフィの戦いっぷりを見せるだけである。

   ただ、ちょっと注目すべきとしては、コビーのキャラデザイン。眼鏡のつるの部分に白丸模様が並んでつけられているが、
  たったこれだけで普通の”弱いメガネ君”的キャラとは違う印象を与えているのは地味ながら、うまいデザインセンスである。

   それと、総論でも説明した、引きの絵(アルビダぶっとばし)と寄り(ルフィのアップ)の絵の落差による
  ルフィのアップの印象付けなどの演出も、うまい。


第3話 「”海賊狩りのゾロ”登場」

   その名の通り、”海賊狩りのゾロ”の登場、それにも増してヘルメッポの突拍子も無い髪型に衝撃を受ける(笑)。
   悪役でありながら、この髪型のおかげで、バカさを前面に押し出し、どことなく憎めないキャラに仕上がっている。

   しかし、どうも話の辻褄があっていない。ゾロはルフィに縄を外してくれと頼んでいる。つまり、逃げようとしていたわけだ。
   ところが、ヘルメッポとは一ヶ月そのまま生き延びれば逃す、という約束を結んでおり、それを信じているような口ぶりである。
   それなら、ルフィに縄を外してもらっても、逃げるわけにはいかないはずである。
   その後の描写から言って、ゾロは約束を自分からやぶるような男ではない。

   では、ヘルメッポが約束を破ると見破り、ルフィに助けを求めたのだろうか?
   しかし、ゾロの実力ならば、この程度の縄を九日間も外せないはずはない。

   海軍に逆らって、無駄にお尋ねものになりたくなかったのだろうか。ならば最初のルフィへの言葉は、
  本気で逃亡しようとしていたのでなく、野次馬のように見に来たルフィを鬱陶しく思って、脅しをかけただけということだろうか?
   しかし、それもゾロらしくないような気がする。

   ヘルメッポとの約束を信じていたとしても、信じていなかったにしても、ゾロの言動は矛盾しているように思えるのだが…
  まあ、こんなの何度か読んでみて初めて気づいたのだし、ちょっと読んだだけでは気づかせないだけの話の勢いがあるので、
  問題無いと言えば無いのだが。


第4話 「海軍大佐”斧手のモーガン”」

   モーガン大佐の登場である。ヘルメッポに全く似ていないのは、どういうことだろうか?母親似なの?

   ゾロは刀を奪われていた。そうなるとやはり第3話でやすやすとつかまった理由がわからない。
   あの刀は命よりも大事だった筈である。(この時点ではあきらかになっていないが)

   さて、作画面では、なかなか面白い絵が見れる。ルフィがゴムゴムのロケットで塔を登る絵で在るが、
  塔のてっぺんに手を掛け、ゴムの反動で一気に登るシーン。
   ルフィ自体に効果線を使わず、凄い反動で登って行く動きを綺麗に表現している。

   アニメと違って漫画は静止画であるから、動きを表現するのに効果線を使う。
   しかし効果線なしで動きを表現した方がおもしろい効果が出るときがある。この絵はその一例であろう。
   下手な効果線を入れないことで、ルフィの動きが単純な直線でなく、左右に揺れながら登っている想像を働かせることができる。

   さて、ラストだが、妙な終り方をしている。
   これは流れとしては、コビーが撃たれたシーンで終了するのが普通だと思うのだが…
  なぜか塔の中でルフィがヘルメッポを引きずって行く、なんという盛り上がりも無いシーンで終らせている。
   どういう演出なのか良く分からない。


第5話 「”海賊王と大剣豪”」

   やっぱりゾロはヘルメッポを信じていた…もういいか、この話は。

   この話のメインはやはり、ゾロの過去の話。くいなとの約束である。
  くいながあっさり死んでしまうので、他のエピソード(ナミ・サンジの回想な)と比べ、少々もの足りないようにも見えるが、
  最初からダラダラ回想するのもよくないだろうし、短い分エッセンスが凝縮されており、"濃さ"は引けを取っていないといえるだろう。


第6話 「”1人目”」

   三刀流である。見るからに無理のある3本目であるが、第5話でその由来を見せられているので、納得せざるを得なくなる。
   このへんのエピソードの配置タイミングがうまい
   三刀流を先に見せてから、くいなのエピソードが入るとなんとなく言い訳がましく見えてしまうからだ。

   絵的にも、見開きのゴムゴムの鞭など、迫力あるシーンを満載している。
   ただモーガン対ルフィの戦闘が意外と短いので、モーガンの印象が薄く終ってしまうのが悲しい所。

   また、ゾロのコスチュームや、刀、「腹を切れ」などのセリフ、くいなとのエピソードでのバックにある建物等、
  ゾロに「日本」のイメージを植え付けてさせているのもチェックである。


第7話 「”友達”」

   ほとんど第6話の余韻だけで終る話である。コビーとルフィとの別れだが、まあ、それほどのものではない。
   コビーも夢が「海軍士官」だから、それほど大きなスケールでも無い。
   ただ、ルフィとの掛け合いは悪くなかったし、武系キャラであるルフィ・ゾロと比較した文系キャラとして、
  結構面白いキャラクターとして育つ余地が感じられるだけに、スパッとここで別れてしまうのは、少々もったいない感じがする。

   だが、コビーほどのキャラを確立した登場人物を、あっさり切れるくらい、印象的キャラクターが次から次に登場するところも、
  本作の凄い所なのである

   ここでルフィとコビーを別れさせてしまうのも、尾田氏の余裕の現れといえようか。

  (ただ、彼をこれで完全出番無しにするのはやはり勿体なかったらしく、何故かヘルメッポと共にのちに登場することになるのだが…)


第8話 「”ナミ登場”」

   その名の通り、ナミ登場の話である。のちに航海士として仲間入りするわけだが、突然航海士の話になるのではなく、
  すでにコビーが3話で航海士の必要性について言及している。これにより、ナミの登場を自然に感じられるわけである。

   ストーリーは完全にナミのキャラクター描写に重点がおかれている。美貌と機知で難局を切り抜けて行く姿はまるで峰不二子。
   しかし、彼女の半袖コスチュームが、まさか肩を隠していたということで、のちの伏線になっているとは誰が考えるだろう?
   尾田氏が一体どこまで計算していたのかと思うと、怖くなる。
   まあ、たまたま半袖だったからできた、あとづけ設定なのかも知れないが。

   さて、最後に細かいツッコミ。冒頭のルフィとゾロの会話。ゾロはルフィに向かって左側のヘリによりかっかっている。
   それは191ページ1コマ目「生活費を稼いでた…それだけだ」まであきらかに継続されているのだが、
  2コマ目、ルフィが「何だ お前 迷子か」と即答する時、ゾロの体の向きが変わっている。

  そして次のコマではゾロの位置はルフィに向かい右側に変わっているのだが、これは変である。
  時的には、1コマ目と2コマ目の間の方が、2コマ目と3コマ目の間の方が短い筈。
  となると、2コマ目で、ゾロは叫ぶと同時に体の向きを変えるという変な動きをしていることになる。

  たしかに細かいが、こういう細かい所までしっかり書いておいた方が、絵に説得力が出て来ることは確かなのである。


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