核燃への再質問
「Na-Cl型地下水」と
超深地層研究所の定義について


  1月17日の話し合いで解明できなかった点、さらなる疑問が生じた点を
 2月10日に再質問しました。
 3月9 日までに文書を求めています。

:「Na-Cl型地下水」についての再質問

T DH-14と15のボーリングについて

1.なぜボーリングを必要としたのか。
2.何を確かめたかったのか。
3.採水のための機器、設置費、年間の継続調査費用はいくらか。
4.垂直面と水平面で、同一地下水系か否か。
5.同じ水系であったとして、どちらが上流でどちらが下流か。
6.1999年に不要と答えた4平方キロ内のボーリングが、2002年に必要となった理
  由は何か。 DH-14号孔実施計画書には97〜 98年のDH-5、DH-7ボーリング
  で次月断層を確認していたとある。一方1999年8月の弁護士会調査で、弁護士
  から4平方キロ内へのボーリングを提案された。ところが核燃は必要ない旨答
  えた。99年から2002年の間に地質が大きく変化したわけではない。なぜ4平
  方キロ内にボーリングが必要となったのか。

U DH-12、DH-2および研究所用地のNa-Cl型の地下水とDH-15の採水について

1.Na、Clイオンの由来について仮説を絞り込み、判断をするのは何時までに行う
  のか。
2.DH-12とDH-2、DH-15はではNa、Clイオンの起源がぞれぞれ異なるのか。
3.DH-15の採水データが公表される時期はいつか。
4.DH-15の採水で、DH-12のNa、Clの起源の仮説を確かめることが可能か。
5.1月17日付文書回答で「Na-Cl型地下水の分布を把握すること自体、研究課題
  の一つ」としている。
1)分布把握のめにもDH-2、DH-15や研究所用地、白狐温泉の地下水流出地域
  として、 瑞浪市内の土岐川周辺未調査研究領域での土ボーリングが必要で
  はないか。
2)ボーリングを行わないとする予算以外の理由は何か。
3)ボーリング以外の調査を行っているあるいは行う予定があれば具体的に示さ
  れたい。
6.文書回答3−1)にDH-12、DH-2および研究所用地以外で「Na-Cl型地下水」
  を確認しているところとして「白狐温泉や高砂温泉などが知られています」とあ
  る。
 1)核燃が確認したのはいつか。
 2)この2ヶ所を継続的に調査しているか。しているとしたらいつからか。 
 3)核燃が2ヶ所で継続調査していないとすると、立坑掘削に伴う水質変化の有無
   をどのようにして確認するのか。
 4)それぞれのNa、Cl濃度を示されたい。
 5)高砂温泉のCl濃度だけで見た場合、塩水に分類できるか。
 6)立坑掘削により2ヶ所のCl濃度など水質への変化をどのように考えているか。

V 研究所建設に伴う地下水の水質の変化や流れの変化について(「東濃地域に
   おける地質環境特性に関する調査研究」2002.12p.14より)
1.地下水の流れが変わると推定する範囲を、水平・垂直方向で示されたい。
2.1で予測した根拠を資料名および調査方法(井戸水、わき水、ボーリング孔な
  どの調査地点と調査回数、調査項目および深度、開始時期)も併せて具体的
  に示されたい。
3.予測が正しかったかどうか確認する必要がある。確認方法(調査方法、実施期
  間実施場所、調査深度など全て)を具体的に示しされたい。
4.予測およびその確認方法を自治体や地域住民にどのように説明なしている
  か。配布文書なども併せて示されたい。
5.予測が正しいかどうか確認するのためにもDH-2、DH-15や研究所用地の地下
  水流出地域での調査が必要ではないか。
6.Na-Cl型地下水については調査地点の所有者や関係者にどのように説明し
  ているか。説明文書も併せて示されたい。

W 「Na-Cl型地下水」について自治体や事業報告での説明
 瑞浪超深地層研究所の平成14年業報告(2003.4)で研究所用地内の「水質は
 塩化ナトリウムが多い(濃度は海水の約100分の1)」と説明した。
  一方、広域地下水流動研究による土岐市肥田町内のDH-12のボーリング孔で    2000年に確認されたNa-Cl型地下水については、センターが発行する事業概要
等には一切記述がない。
1.研究所用地の賃貸借契約に係る協定書に基づく説明以外の説明基準はある
  か。
2.都合の悪いものは説明しないと憶測されかねない。DH-12について説明しない
  のはなぜか。
3.自治体にはいつ説明したか。していないのであれば理由を示されたい。

X 天然バリアにおける好ましい化学的環境としての「低塩分濃度の地下水が分
  布」(2003年10月 地下水学会)について 

 「天然バリアにおける好ましい化学的環境としては、@還元性の地下水が分布
すること、A地下水のphが強酸性や強アルカリ性でないこと、B低塩分濃度の地
下水が分布すること」などを上げている。
1.Bの低塩分とは、どの程度の塩分濃度をさすか。
2.低塩分濃度の地下水が、なぜ天然バリアとしての好ましい化学的環境なの
  か。
3.海水より高濃度の塩分では、ベントナイトが十分膨張せず透水性が高まるこ
  とか。
4.処分坑道のコンクリートや鉄材の腐食の可能性に関することか。

Y 東濃地科学センターが2001年夏行った、幌延の地下水(塩水系)は「海水が
  地下にしみ込んで形成された塩分濃度が比較的高い地下水です」との説明に
  ついて。
1.これは幌延町の地下水形成の説明として正確か。
2.いつ頃しみ込んだものと推定しているか。
3.幌延では、塩水系地下水を生活用水として使用しているか。
4.旧動燃時代の北海道への説明(1988年)や「貯蔵工学センターに関する調査
  取りまとめ」ではどのように説明したか。

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 ◆「Na-Cl型地下水」についての再質問の背景

 DH-12で確認された「Na-Cl型地下水」は、核燃の「これまでの研究における作業仮説とは相反するもので」、地下水の水質形成や地下水の動きを解析する上で「非常に重要な結果である」から、「この地下水の起源や分布範囲を調査することが必要不可欠である」「今後の深層試錐調査などを通じて調査を継続する」(「高レベル放射性廃棄物の地層処分技術に関する研究開発−平成13年度報告−」)ことを予定していました。その試錐がDH-14、DH-15でした。
ところが1月17日話し合いでは、DH-14での採水計画は予算がないので取り止めたと回答しました。
 
 さらに「Na-Cl型地下水の分布を把握すること自体、研究課題の一つ」と文書回答しながら、実施するのは研究所用地のMIZ-1(深度約1350m)や周辺のDH-15(深度1000m)ボーリング孔だけです。MIZ-1、DH-15という接近した場所での調査からは、限られ地点の垂直方向のNa-Cl濃度は確認可能です。
 しかし水平方向の分布範囲の確認は不可能です。この調査の方法だけでは、平成13年報告や文書回答の分布範囲確認の必要性とは矛盾します。
また研究所の地下施設建設による水質の変化や地下水の流れの変化は核燃自体が想定(「東濃地域における地質環境特性に関する調査研究」2002.12)しています。この想定は当然であり、想定が正確か否か確認する必要があります。そのためにも上流のみならず中流域や土岐川流出域及び対岸での事前調査が必要です。事前の調査なしに、影響の有無を判断することは不可能です。必ず事前調査すべきです。
 ところが深層ボーリングはしないとのことでした。井戸水調査の実施では深度が限られます。今後どのような方法で水質や流動の変化を確認しようとしているのについても併せて質問します。



 超深地層研究所の定義について再質問

1.研究所の定義について
 1)超深地層研究所計画予算に計上されている建造物、測定機材、研究テーマ
  を示せ。
 2)超深地層研究所計画における調査研究項目を示せ。

2.広域地下水流動研究のスケジュールについて
 1)広域地下水流動研究はH17年終了、その後は長期モニタリング継続、終了
   時期は未定としているが、研究終了とはどのような状態を示すのか、予算、
   人員等も無くなるのか。
 2)終了後の長期モニタリングのデータはどのような目的に利用するのか、また
   広域地下水流動 研究終了後の長期モニタリングは超深地層研究所計画に
   含まれるのか。
3)広域地下水流動研究のスケジュールでは平成17年以降長期モニタリングを行
  うとしている が、立坑掘削が本格化するまでに周辺地域での調査を終了し、以
  降は超深地層研究所の立坑掘  削による周辺地域の影響調査のため長期
  モニタリングを行うという事なのか

3.広域地下水流動研究の範囲について
 1)広域地下水流動研究の調査解析領域は東濃鉱山周辺での分水界(涵養域)
  や主要河川(流出域)の位置により設定した(97年広域地下水流動研究基本
  計画書)としているが、主要河川とは木曽川と土岐川を指し、それらに挟まれ
  た地域を調査解析領域と設定したのか
 2)配布資料における空間スケールの概念図におけるサイトスケールは模式的
   に表現したものであるとの見解であるが、概念図と計画書における断面図の
  関連を説明願います。特に南側でローカルスケールとサイトスケールが重なっ
  ている理由と、概念図における土岐川と木曽川の位置について説明願いま
  す。
 3)調査解析領域は新たな知見に基づき適宜見直す事(97年広域地下水流動
  研究基本計画書)としているが、新たな知見とは何を指すのか、また超深地層
  研究所の立坑の。位置が大きく変更された場合は領域の見直しはあるのか。
 4)サイトスケールが超深地層研究所計画であり、サイトスケールの範囲は研究
  所用地より広いという認識で間違いないか。
 5)サイトスケールは研究所を含む研究範囲を想定したもの、机上の想定であ
  り、実際の境界線は未確定とは、観測機材の設置は用地内であるが、対象
  範囲は用地周辺も含む、ただし境界線は未確定と言う事か。
 6)用地外にも研究範囲が設定されているとしたら、それらの区域において研究
  所計画に含まれる施設、観測機材が設置されているまたは設置する予定が
  あると言う事なのか、または周辺での広域地下水流動研究の結果を研究所
  計画に利用すると言う事なのか。

4.土岐市長の申し入れについて
 土岐市への事業説明会の開催期日及びその際市長からの申し入れについて、
 市長が市民団体への文章回答で示したように、「市民の不安を払拭するため4
 平方kmの区画内での深層ボーリング掘削を求める」主旨の内容であったか回
 答願います。
                   以上


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 ◆超深地層研究所の定義につて再質問の背景


 1月17日の核燃交渉にて研究所の定義及び範囲について質問を行いました。その際、定義について核燃はあくまで市有地および正馬様所有地内の施設を超深地層研究所とし、そこで行う研究プロジェクトを超深地層研究所計画としています。一方核燃の報告書では超深地層研究所計画の範囲を超深地層研究所の周辺を含めた地域とし、明確な境界を示していません。先の交渉においても、研究所用地に比べ研究所計画は広い範囲であるとの回答でした。核燃は超深地層研究所計画は高レベル放射性廃棄物の地層処分の為の研究であるとしていますが、周辺で行う広域地下水流動研究についてはあくまで地下の岩石や水の基礎的なデータ収集としています。先の交渉では核燃は用地周辺での調査も超深地層研究所計画の一部であるとの認識を示し、さらに広域地下水流動研究との境界は明確でないと認めました。これは広域地下水流動研究が実質的に超深地層研究所計画の一部として認識されている事を示します。
 広域地下水流動研究も高レベル放射性廃棄物地層処分を目的とした研究であるとすれば、広域地下水流動研究の範囲である10Km四方を四者協定や確約書及び高嶋瑞浪市長が主催する安全確認委員会における対象範囲とすべきと考えます。
 超深地層研究所を受け入れるにあたり締結された協定書においては、周辺地域について高レベル放射性廃棄物を持ち込まない、将来処分場とならないとは確約されていません。このため、研究所計画の範囲は重要な問題と考え、定義および範囲について再質問を行いました。



  








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